感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた貫井徳郎をはじめて読んだ。よかった、その一言に尽きる。
ひとは、自分がとる何気ない行動が、取り返しのつかないほどのダメージを他者に与えていることに気づいていない。ちょっと想像してみたらわかることなのに、それをしないから。
この小説は、ある男が無差別殺人を引き起こしたことから始まる。男をここまで追い詰めたものはなにかを探るなかで浮かび上がるのが、「人々の想像力の欠如」。
人々の何気ない行動から取り返しのつかないダメージを受け、社会の底辺に追いやられた登場人物が語る絶望はとてつもなく重い。一方で小説の最後には、一縷の希望も垣間見れる。
社会は、人々の心がけ次第で、良い方向にも悪い方向にも動かすことができる。
将来子どもに読んでほしいと思った一冊。
Posted by ブクログ
貫井徳郎って、こういう世の問題を投げかけるような物語が多い。嫌いじゃないし、結構いつも考えさせられる。
問題解決にはならないんだけど、この本の読者が少しでも問題行動を認識して自身を振り返ることができればいいな。
過去は取り戻せない、でもこういった問題提起をすることがまず必要だよね。
Posted by ブクログ
殺害動機についてなぜアニコンだったのかは個人的にはそこまでしっくり来なかったが、そこに至るまでの各登場人物の心情に共感する部分があった。
Posted by ブクログ
小学生の時のたった一言。その一言が生まれるまでの経緯や、その一言からパニック障害になるまでの描写、心情がとてもリアルで、貫井さんの文章はやっぱり面白いなぁと、どんどん読むのが止まらなかった。後半は、とんとん拍子に進んで終わってしまったのが少し残念。もっと読みたいと思った。
Posted by ブクログ
凶悪大量殺人犯の犯行目撃者、同級生、支援を受けた人、被害者家族…
それぞれがそれぞれの思惑の元行動する
そんなお話です
それぞれが考える犯行動機も様々で、
幼少期のいじめに対する復讐、社会的弱者としての社会への恨み…
やがて1人の人物が真実へ辿り着くのですが、
その過程の人物による考えの違いが面白いです
ああ立場によってこんなにも違うものなのか、と
話のベースには近年あった放火殺人事件があるようで、
ストーリー中にその事件と類似する点がところどころにあります
Posted by ブクログ
小学校5年生の時に自分がいじめた相手がそれにより人生を踏み外しのちに重大事件を起こす犯人となってしまったら…。何とも怖い物語だった。そんな恐ろしい事の原因を作るなんて子供の頃の幼さでは想像もしていないだろうに…。想像力の無さがこんなに悲惨な結果を生むのか。犯人の絶望もわかるけどアニコンでただ自殺するという方法もあったはずで、どんな理由があっても無関係の人を巻き添えにしたのは許されない。犯人の母親の「どのボタンをかけ違えてしまったのかわからない」という苦悩が痛い。弱肉強食の動物世界でなく、手を取り合うのが人間社会。昨今、やまゆり園の事件でも社会に有益じゃない人はいらないという考え方に恐怖を感じたがどんなに文明が栄えても人を思いやる精神的な能力が高くなっていかない社会なのが悲しい。もっと想像力をもちたいと思った。
Posted by ブクログ
昔いじめてた同級生が起こした殺人事件の動機をいじめのきっかけを作った主人公が追いかけ続ける話。
主人公の心情、他の登場人物(いじめの主犯格、被害者家族、現場撮影者)へも事件は波及して、それぞれ心情の変化を描写している。
自分と向き合う大事さ、を教えてくれる本でした。物語の締めまでの流れもきれいで、分量は少し多めなものの、すくすく読めました。
Posted by ブクログ
その先に何が生じるか、考えること、想像することで変えられたかもしれない連鎖。
流れは、一度加速すると止められない。
目に見えない、「何となくの」嫌な流れ。
(いじめ、募金活動。自分で考えての行動ではなく、周りがそうするから、悪い噂が流れてるから、相手にも非があるから、巻き込まれたくない等々)
小学校の時にいじめた元生徒二人。
事件と関わった人たちの心の変化。
被害者と加害者。
被害者同士、家族でもさまざまな考えがあって、ここにも想像力が欠如しそうな場面が出てくる。厚子も怒り、憤る中で、暴走しそうになるが、ある一人の被害者遺族の考えで思いとどまる。
絶望で死を選んだものと、それでも生き続けるもの。
すぐには無理でも、人は変われる、勇気を少しでももてれば、想像力をもてればと、ラストは安達の行動、優しさで終わる。