【感想・ネタバレ】悪の芽のレビュー

あらすじ

大手銀行に勤める41歳の安達は、無差別大量殺傷事件のニュースに衝撃を受ける。40人近くを襲ってその場で焼身自殺した男が、小学校時代の同級生だったのだ。あの頃、俺はあいつに取り返しのつかない過ちを犯した。この事件は、俺の「罪」なのか――。懊悩する安達は、凶行の原点を求めて犯人の人生を辿っていく。彼の壮絶な怒りと絶望を知った安達が、最後に見た景色とは。誰の心にも兆す“悪”に鋭く切り込んだ、傑作長編ミステリ!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ものすごく考えさせられる作品だった。
自分の何気ない一言が他者の人生を大きく変えてしまうことがある。大人になった今でも、ましてや幼少期にそこまで想像力を広げるて生きていくことなんてできない。

想像力の欠如こそ人間の弱さ。

まさにその通りであると思う。悪の芽も善の芽も育てるのは人間の想像力だ。

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2024年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「大半の人間は、想像力などないのだ。そして、想像力がないことにも気付かずに生きている。」
「人間が作った社会は、本当なら助け合って弱い人も生きていけるようにする仕組みだったはずだ。なのに今更自己責任って言い出すのは、人間であることの放棄だ。」
「人間はなぜ、自分の周囲に向ける分しか優しさを持っていないのだろうか。」
命を賭しての問題提起。善の芽を育てるのも、悪の芽を絶やすのも、人間の想像力。動物であるのをやめた人間の進歩はまだ、始まったばかり。

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2024年09月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても興味深くて引き込まれました。事件の動機はもちろんですが、ネット社会の危うさや職業差別、弱肉強食の社会、いじめ、復讐など、色々なテーマにしっかり向き合った内容だと思いました。こういう人いそうだなというリアルな人物も沢山登場するし、凄い視点を持って書かれていると感じました。解説の石井光太さんの本も好きで読んだりしているので、そこも含めてとても良かったし考えさせられる内容でした。想像力と勇気の大切さを教わりました。

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2024年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった!貫井作品にハズレなし!冒頭、凄惨な事件から幕を開ける。犯人の動機や人間性についての報道がされるが、犯人が事件直後にその場で自死したこともあり、憶測を交えたものとなる。この物語の主人公の安達は小学生の頃、犯人がイジメにあうきっかけを作ってしまった人物で、自分は悪くないんだーっていう理由を探すお話。正直、安達みたいな人は好きになれないな。あと余談ですが、果南がキャバ嬢では!?と思ったりして、つくづく自分はミステリー脳ではないなぁと実感。

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2024年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間は誰しも悪の芽を持っていて、その成長は「理性」と「想像力」で決まるということか。
最後、熊谷さんの言葉は今の世の中そのものですよね。あんたらのやってること動物やんってかなりくらう言葉だわ。

本を読んでいると、『この本、義務教育の教材にしたらいいのに』と思う事が稀にあるのですが、これもそう。自分の理性と想像力を再確認するのにちょうど良いです。

物語のラストは希望。
(動物をやめた)善の芽を宿す人間が作る社会への期待です。すごく綺麗に終わります。そこは物語だな。

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2025年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

幼少期から勉強も出来、人生“勝ち組”街道のエリート銀行員・安達周(41)。ある日、ニュースで見た無差別大量殺傷事件の犯人が、小学生時代の同級生と知る。それもただの同級生ではなく、安達が何気なく口にした一言からいじめられることになったあの同級生だったのだ。世間を震撼させるほどの大事件を引き起こした犯人の悪の芽は、あの時安達が作り出したのか…?

子供の頃のいじめって本当に残酷。集団対1人の構図が一度でも出来ちゃうと、なかなか元通りの関係には戻れない。
だからっていじめられた方が無差別テロを起こしていいはずはないけど、いじめた側に何のお咎めもなく後の人生“勝ち組”街道っていうのがめちゃくちゃ後味悪い。
パニック障害を患って、それなりに自分の罪とも向き合ったのかもしれないけど、ラスト20頁で達観してスムーズに元通りってところが自分には消化不良でした。うーん…。

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2024年11月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解き明かしたような感覚になりながらも、解決していないから達成感や安堵感はない。
主要人物のほとんどに同情しきれない陰りがあるからか、胸を衝くような痛みややるせなさは感じないまま読み終わった。
安達は善でも悪でもないけれど、社会的地位から若干鼻につく感じ。そしてそれを自覚している。
過去の自分が起こしたいじめが原因かもしれないという罪悪感と、そんなことはないと自己弁護する気持ちの交錯。
テーマは想像力。
いじめの加害者、傍観者、事件の傍観者、被害者の遺族…残忍な事件の犯人にまつわるさまざまな人の考えが見て取れる。
犯人家族を訴えたい人、いじめの加害者を逆恨みする人、事件にかこつけて承認欲求を満たしたい人、過去のいじめを半ば美談にする人…それぞれに主張があるし、それぞれに想像力が足りない。
でも、みんなそんなものじゃないかな?
身近な人ならまだしも、関わりのない人や立場が違う人にまで想像を巡らすのは難しいのでは?
…と言いたくなるけれど、想像力が足りない故の絶望を味わった人の叫びを聞けば難しいなと。

教訓としては、悪口、第三者に聞かれて困ることは密室で!ファミレスも危険だね…。

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2024年08月18日

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