貫井徳郎のレビュー一覧
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ネタバレ警察の捜査が進んでいく話と、それと並行して「彼(松本)」の話が交互に描かれていく。最初から松本のことがずっと「彼」と表現されていたので、「これは何か仕掛けがあるな」とは感じていた。それでも、二つの話がどうつながるのかまではまったく予想できず、最後に明かされる結末にはかなり驚かされた。読み終わってから振り返ると、途中にあった描写の意味が変わって見えてくるのも面白い。
特に印象に残ったのは松本という人物。普段はかなり冷静で、聡明で、物事を落ち着いて考えて行動できる人間なのに、娘のことになると少しずつ正常な判断ができなくなっていく。その姿が単なる「異常な人」の話には思えなかった。自分にとって本当に大切な存在を失ったり、追い詰められたりしたとき、果たして自分は冷静でいられるのか。そう考えると、どこか他人事ではない怖さがあった。
「彼」と書き続ける意味、警察側と松本側を並行して進める構成、そして最後にそれらを一つにつなげる結末。読み終えたあとに「ああ、そういうことだったのか」と振り返らせるところまで含めて、かなり巧妙に作られた作品だった。作者の構成力には唸らされた。結末の驚きだけでなく、親が子どもを思う気持ちが人間をどこまで変えてしまうのか、という部分が一番心に残った。 -
Posted by ブクログ
かなり異色の殺人ミステリー。
「本が増えて家が手狭になった」という理解困難な動機で妻子を殺害して有罪となった男。犯人に興味を抱いた小説家が真相を探るべく取材を始めるが・・・
事件を取材する作家の目線で手記を綴るように進んでいく構成は、「人間失格」や「こころ」を彷彿とさせる独特の臨場感があって良きです。私は一人称体小説が好きなのかも。
一つ一つ取材情報を集めていくストーリーなのですが、お宝ハンターが埋蔵金に向かって着々と手掛かりを得ながら掘り進めるかのようでワクワクします。
読者を惑わすかのような衝撃的な結末なので、大きく好みが分かれる作品ですね。エンタメ的なスッキリ感が欲しい読者には向かないです。
一つだけ作中の象徴的な文言を。「人はわかりやすいストーリーを聞いて安心する」 -
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ネタバレ
子供が死ぬ作品は自分も人の親なので、なんだか切なくなりました。考えたくもないけど、自分も同じ立場だったら、同じように原因究明するのかなぁ、と。
これでもかというほどに張りめぐらせた伏線を見事に回収していくので、そういう部分は読み応えがあり、痛快な作品でした(ただ、ちと登場人物が多すぎたのと、「ここまでやるかな」と疑問に思った部分があったので★4つにしています。)。
各章で視点が変わる点、事故発生までカウントダウンしていく点等の実験的な部分は斬新で楽しめましたし、著者の語彙力も目を見張るものがあったと思います。
作中に出てくるPAでの家庭ゴミ排出、犬フン未始末、軽症患者の夜間病棟の利用、公務員の怠慢、有閑マダム達の暇つぶし等々は、作者が日頃、問題視・疑問視していることなのかなと読みながら考えていました。どれもがリアルに描かれていて、作者の知識や想像力というのは見上げたものがあるなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ4.5くらい
『藪の中』みたいだなと思ったが、『藪の中』と違ってちゃんと真相がわかる。
なんか面白いらしいと聞いたので読んでみた。
デビュー作はこの前読んだ。
ミステリーかというと微妙。
殺人の動機はともかく、手法についての言及が後半まで読まないと全くわからないので。
5人の人間ドラマを楽しむ小説になっている。
『不等辺五角形』は、3人の証言と1人の独白によるリレー形式。
聞き手は弁護士だが、目立って喋ることなく、語り手の話を聞いて行く。
最初は5人の人となりのうち、特に女性陣がごっちゃになった。
雛乃を殺したと梨愛が言う。
重成が最初の語り手。
お互いの証言が微妙に食い違ったり、過去の話でも憶測混じるので、その訂正や曖昧なままなところが面白かった。
結局のところ、梨愛が香澄のために雛乃を殺したことにした。
香澄の証言では、雛乃が部屋を出たことになっていたが、香澄が雛乃を突き飛ばして部屋を出たのを梨愛が目撃。
梨愛は香澄に対して、蜘蛛から救ってくれたことに感謝しずっと愛し続けている。
覚書キャラ表
聡也
金持ちだが背が低い。重成に対して、イケメンだとは言ってなかった気がするが、女性三人に対しては容姿が良いとは何度か言及。
重成から雛乃が好きだと思われていた。
香澄や雛乃からは梨愛と付き合っていた時期があったのではないかと思われていた。
重成
ウガンダへ行く予定だった。
背が高くイケメンだが鈍感。
梨愛いわく「誰のことも好きではない」
雛乃がデートの時に第三者を連れて来るのにまいって別れる。
香澄
思ったことをそのまま言う。
雛乃に嫉妬して嫌がらせをした疑惑がある。
重成のことが好きだと梨愛に思われている。
雛乃
三人の中で一番の美人。
クラスの男子の点数付けをしていた。
男性に思わせぶりなことをしていたが、本人は合理的に考えているためそういった意思は無いらしい。
重成の見た目は好きだが性格は好きではないと気づいて、デートに知り合いを連れて来ていたらしい。