貫井徳郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりに貫井徳郎さんの作品を読みました。
過去には『慟哭』や『愚行録』も読みましたが、今回も事件の真相へと導く巧みな構成や、視点の切り替えの妙に感嘆しました。
本書の紹介文にあるように、「同じ出来事を語っていても、当事者たちの思惑は三者三様に異なり、証言を重ねるごとに人物像と関係性はめまぐるしく変貌していく」。まさにその言葉どおりで、読み進めるうちに私の推測も二転三転し、なかなか真相に近づけずもどかしい思いをしました。
しかし、そのもどかしさこそが、貫井徳郎作品の醍醐味なのだと改めて感じます。
このもどかしさをもう一度味わいたくて、また貫井徳郎さんの本を手に取りたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
★4.5
羅生門形式ってワードを初めて知ったけど、言い得て妙なり。
人の語りのみで綴られる物語。幼馴染5人のうち、1人がもう1人を殺害。残る3人によって語られるそれぞれの人物像が重なりつつも一致しない。これって実生活でもある。人によって見せる顔は違うし、見たいように相手をフィルターかけて見ることある。そういう人間心理を突いている。
殺人事件の結末ははっきりとは明記されていないけど、ここに至るまでの瑣末な思い出の中にちゃんとヒントがあり、ものすごくフェアでミステリーとしてもまとまりよし。
語りのみで深まるタイプは、私好みドストライク良作だった。 -
Posted by ブクログ
幼馴染の男女5人の中で起きた殺人事件
被害者を除く4人の証言で進む心理劇のミステリー
読みながら犯人を探していったり、それぞれの証言の矛盾とか嘘とかあるんかな?とか思いました読んでました
ただ、読み終わってから「そういうことやったんか!」ってスッキリすることはなくて、「ん?どういうこと?」と思いながら再度読み返しすまでがこの作品の味わい方かなって思います
というのも、本当の真相は明らかにならないんですよ
ただ、現実世界でもこんな事件ってあるんじゃないかなって思う
犯人は真実をはっきり口にしないし、証言者も全員本当のこと言ってるわけではない
それぞれの証言から得られる情報を取捨選択して、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ貫井徳郎著『紙の梟 ハーシュソサエティ』は、現代社会が抱える「正義」と「制裁」の境界線を、冷ややかでありながらも深い人間愛をもって照らし出す一冊である。
「殺人を犯した者は即死刑」という徹底したルールのもとに築かれた架空の社会。その世界を貫井は、倫理や制度の問題としてではなく、“人が他者を裁く”という根源的な問いとして描き出す。物語は短編形式で展開しつつ、どの章にも通底するのは、善悪を単純に切り分けられない人間の複雑な情念だ。
冷徹な設定でありながら、作中に流れるのは静かな慈しみの気配である。登場人物たちは罪に向き合いながらも、自らの心の奥底にある「赦し」や「理解」へと手を伸ばそうとする。そ -
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貫井さんの悪の芽
考えさせられる話しだった
悪意なく発言した言葉が発端と思って読み始めたから、過去の発言に悪意が入っているとわかった時、苦しんでいる安達に同情することができなかった
過去のいじめの加害者が安達含め2人出てくるけど、最初は自分たちが被害者みたいな心情になってるのがすごく嫌だった
でも丁寧な描写でそれぞれの現在の背景や成長過程など細かく描かれていて良かった
プライドは上手く扱わないと傲慢に繋がるんだなと改めて実感した
現在の被害者家族の行動や心情もすごく丁寧に描かれていて、辛かったけどすごく良かった
江成さんが加害者側にならなくて良かったな -
Posted by ブクログ
夏のフェア棚に置かれていた本作。
帯が大きく新しくなっていて、
新聞のようなレイアウトのものでした。
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無差別大量殺傷事件
隠された犯人の壮絶な半生
殺人鬼を生んだ悪意のひと言。
この事件は、誰の「罪」なのか?
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アニメの大型イベント、アニコン。
そこが突如、無差別殺傷事件の現場になる。
40人近くを襲いその場で焼身自殺した犯人。
ニュースで報じられた犯人の名前、出身学校。
本作の中心人物である安達は、
小学校のかつての同級生だと気づく。
死んでしまって -
Posted by ブクログ
ネタバレ本を数ページ読み進めた時、【あぁ、この仁藤は松坂桃李に合うなぁ】と思った
別に私、松坂桃李のファンでは無いんだけど何故だかそう思って…
読み進めていけばいくほど【松坂桃李】が浮かんでくる!
モヤモヤしだして本を一旦端に置きネットで調べたら、この本はドラマ化されてるんですね、主演が松坂桃李だった!笑
私多分、このドラマを観てるんだろうな〜
読み終えたあと、ドラマの内容を覚えてなかったからまたネットで調べたら、内容は少し違ってましたね、うん
で、本の感想は結局のところ、仁藤の犯行なのか実はやってないのか、そこはハッキリしない
嘘か真実か分からないもので塗れてる
複雑でスッキリしないラストだが
それ -
Posted by ブクログ
幼少期に海外で共に過ごして以来二十年以上の付き合いのある男女五人の幼馴染。海外赴任になる重成の送別会を兼ねて聡也の別荘で過ごした夜、事件が起きる。雛乃が頭から血を流した状態で死亡していたのだ。自分が殺したと自白した梨愛は警察に連行されるが犯行動機には口を閉ざす。梨愛の弁護士は残る三人に話を聞いていくが、それぞれの証言は微妙に食い違っていて…
え!?どうゆうこと?
読み終えた瞬間、この本の装丁のように頭が真っ白になる。。。
パラパラと読み返して、ようやく真相らしきものが腑に落ちる。いやしかしメダパニった。
一つの出来事を複数の登場人物がそれぞれの視点から語ることで、物語が多層的に展開していく構