貫井徳郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
引き取った大事な親友の一人娘が苦しい闘病生活を送っている間、ずっとそばに居て何も出来ない主人公は誰よりも歯痒い思いをしただろう。
平凡で誠実な主人公が、自宅の外壁に上手くもない絵を描くようになった理由と過去。
唯一の汚点は女を見る目がなく、ヤリマン女を妻に選んだこと。
小児ガンを患った養子の3歳娘が手術して回復するも、再発の可能性ある不安から宗教ハマり、ついでに不倫。
そうよ私が悪いのよ話し合いの余地なんてないのよ出ていくのよー!と、小児ガン再発の可能性がある小学生の娘を夫に押し付けて離婚。
最後まで構ってちゃんな元妻。
娘の死の間際にどっか行ってくれてて良かった。 -
Posted by ブクログ
一つの事件の犯人が、立場の異なる人たちの目線で推理されていくお話。
初めはだんだん犯人に近づいて行くのかな?と思っていたが、答えは明らかにならずあくまで匂わせで終結した。
講評を読んで貫井さんはこういった表現も多い方なのかなと思った。
もやっとしそうなところだけど、なぜかそんなこともなくただもっと読みたくなるようなそんな終わり方で不思議な感覚。
各章の主人公たちも真実が知りたいのではなく、自分なりに納得できたらそれでいいというか、自分の思う終結のさせ方で満足しているように感じたので、読者もそうなのかもしれないなと思った。
別の作品も気になったので読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
連続女児誘拐事件を追う警察側と、心に空いた穴に苦しみ、新興宗教に救いを求める男。二つの物語が交互に描かれ、それぞれ別の話だと思いながら読み進めていた。
しかし、二つの物語がつながったとき、犯人の正体が明らかになる。その衝撃とともに、物語の見え方が一変した。二つの話がなぜ並行して描かれていたのか。その意味に気づいたとき、誰も救われない、あまりにも悲しい物語が完成する。
悲惨な出来事に直面したとき、何かにすがりたくなる気持ちは、何となく理解できる気がする。それでも、救いを求めた先で起きたことは、あまりにも残酷だった。
犯人の正体に気づかないまま迎えたラストには大きな衝撃を受けた。そして、真犯人が明らかにならないまま終わる物語に、やりきれなさと救いのない悲しさが残った。読み終えた後も、タイトルの『慟哭』が心に重く響く作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今まで王道のホラーやミステリーを読んできましたが、ある意味一番の恐怖だったかもしれません。
一人一人の、誰にでも一度は経験のあるようなちょっとしたモラル違反が重なって、重大な事故に繋がるお話です。主人公が新聞記者なので、事故の真相にたどり着きますが、関わったその人たちを罪に問えません。皆言い逃れします。一つ一つのことは言い逃れできてしまうほどのことなのです。自分も当事者だったら素直に謝れるか分かりません。保身に走るかもしれません。とても考えさせられました。
日常生活を送る中でこの本が頭をよぎるようになりました。我が身の行動を振り返るいい勉強になったと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ警察の捜査が進んでいく話と、それと並行して「彼(松本)」の話が交互に描かれていく。最初から松本のことがずっと「彼」と表現されていたので、「これは何か仕掛けがあるな」とは感じていた。それでも、二つの話がどうつながるのかまではまったく予想できず、最後に明かされる結末にはかなり驚かされた。読み終わってから振り返ると、途中にあった描写の意味が変わって見えてくるのも面白い。
特に印象に残ったのは松本という人物。普段はかなり冷静で、聡明で、物事を落ち着いて考えて行動できる人間なのに、娘のことになると少しずつ正常な判断ができなくなっていく。その姿が単なる「異常な人」の話には思えなかった。自分にとって本当に大切な存在を失ったり、追い詰められたりしたとき、果たして自分は冷静でいられるのか。そう考えると、どこか他人事ではない怖さがあった。
「彼」と書き続ける意味、警察側と松本側を並行して進める構成、そして最後にそれらを一つにつなげる結末。読み終えたあとに「ああ、そういうことだったのか」と振り返らせるところまで含めて、かなり巧妙に作られた作品だった。作者の構成力には唸らされた。結末の驚きだけでなく、親が子どもを思う気持ちが人間をどこまで変えてしまうのか、という部分が一番心に残った。 -
Posted by ブクログ
かなり異色の殺人ミステリー。
「本が増えて家が手狭になった」という理解困難な動機で妻子を殺害して有罪となった男。犯人に興味を抱いた小説家が真相を探るべく取材を始めるが・・・
事件を取材する作家の目線で手記を綴るように進んでいく構成は、「人間失格」や「こころ」を彷彿とさせる独特の臨場感があって良きです。私は一人称体小説が好きなのかも。
一つ一つ取材情報を集めていくストーリーなのですが、お宝ハンターが埋蔵金に向かって着々と手掛かりを得ながら掘り進めるかのようでワクワクします。
読者を惑わすかのような衝撃的な結末なので、大きく好みが分かれる作品ですね。エンタメ的なスッキリ感が欲しい読者には向かないです。
一つだけ作中の象徴的な文言を。「人はわかりやすいストーリーを聞いて安心する」