貫井徳郎のレビュー一覧

  • 新月譚

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    ある美人作家が引退した理由。
    そこには誰にも言えずにいた過去とある一人の男性への強い想いがあった。
    それは幸せと言いながらも辛く寂しい恋愛だった。
    圧倒的な世界観に、震えた。

    女性の深い深い部分であるはずのものを、男性作家がここまで書くのか…と思わずにいられない。

    2021.7.13

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    2021年07月13日
  • 天使の屍

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    とても後味の悪い話。
    でも、もし現実になったら?と思うと恐ろしかった。

    子供は、大人では考えられないような償い方をする。
    取り返しがつくと思うのは、大人の分別でエゴ、
    それは正しいことだけれど、
    子供にとってはそうじゃないこともある。

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    2021年06月17日
  • 宿命と真実の炎

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    古畑任三郎的な倒叙系。
    中盤から終盤にかけた展開は、貫井ファンとしてはやや物足りない。それだけ貫井作品は期待値が高いということ。
    西條シリーズとして純粋に登場人物の活躍ぶりにニヤニヤさせられる。二作目、続編にも期待。
    展開を読ませない。登場人物毎のエピソードがどこで交錯するのか。人物像を深掘りしておいて被害者へ転落、といった貫井作品らしさも随所に。

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    2021年06月17日
  • 崩れる 結婚にまつわる八つの風景

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    短編はあまり印象に残らないので好きじゃないのですが、こちらはゾッとする内容が多く楽しめました。
    予想はつくものの、身近にありそうでしっかり怖がれます。

    意思の疎通が足りない関係性ばかりで、自分も気をつけないとと思いました。

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    2021年06月14日
  • 新月譚

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    すごく良かった、鬼気迫る感触。男性作家が女性の心理描写に挑むってすごく勇気がいると思うのやけど、改めて見事だった。蛇口の話もすごく凄みがある。小説家として何かを表現することが蛇口だと、そして自分は情念の蛇口になるのだ、と。
    貫井徳郎は慟哭とプリズム以来だと思うが、ほぼ一人称で心理描写していく、こういう描き方もできるのかと新鮮。引き込まれて夢中で読んだ。ミステリーとホラーな感覚もある。

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    2021年05月29日
  • 女が死んでいる

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    貫井作品の読後は本当に気分が悪い(褒めてます)。こんなにも嫌な感情、勘違いさせる文章、巧み。この短編集は発表が20年近く違うものもあり時代を感じる面白さもあった。

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    2021年05月24日
  • 私に似た人

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    格差社会、事なかれ主義など日本や日本人の風潮がぎっしりつまっていて、様々な立場から考えさせられた。
    社会を恨んだ結果、起こした行動がテロというのは極端すぎるけど、どんな形であれ復讐が解決方法にはなり得ない。

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    2021年05月16日
  • プリズム

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    確かに真犯人は結局誰なのか気になるけれど、それ以上にこの手法が面白かった。 個人的には結局真犯人は強盗で、睡眠薬入れたのは南條。後から発見した井筒が伝票を持ち帰って話をややこしくした、くらいの話かなと思う。 彼女に対して後ろめたいことがある人間が居たから、犯人っぽく見えただけのような。
     各章の語り手が、次の章の語り手が犯人であると疑う形でループしていたが、小宮山父が息子を疑ったのには引いた。自分は息子の担任と不倫しておいて、冷淡な反応しただけで犯人とは。

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    2021年04月17日
  • 壁の男

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    貫井徳郎の作品を初めて読んでからもう20年は経つだろうか。毎回斬新なミステリ、仕掛け的な文章構成に驚かされる。
    一人の人物をここまで深く描き、なおかつ語られない部分を想像力で膨らませてくれる、素晴らしい作品だった。
    読後、放心状態になること間違いなし。
    逆に下手な映像化だけはやめてほしい。

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    2021年04月01日
  • 宿命と真実の炎

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    まずまずの読後感。
    最近の貫井君、重たい話が多いんだよね。
    でもこれは警官殺しという重いテーマにも関わらず、女刑事や退職警官などが登場し読者を飽きさせへん。本屋の親父もええ味出してるわ。

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    2021年03月17日
  • 失踪症候群 <新装版>

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    若者の失踪が全国的に起きている。
    彼らは一体どこに姿を消したのか?
    事件なのか、たんなる失踪なのか?
    現役警察官の環と、訳ありな3人がチームとなって、警察が表向き動けない事件を追う。
    失踪した若者の行方がわかった時、その仕掛けと思わぬ事態に…

    2021.3.4

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    2021年03月04日
  • 新月譚

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    ネタバレ

    いつ殺人事件が起こるかとワクワクしながら読み進めていったがコレは恋愛小説だったようだ。
    貫井徳郎氏は恋愛小説も書くのか…

    しかし主人公は頭の良さとスタイルの良さを得てるのに(歯を矯正していないので歯並びも良かったはずだ)なぜそんなに卑屈な性格なんだろう。
    大学まで出してもらい、父のコネで一流企業に勤めたのにすぐに辞め、多額の美容整形費を出させ、
    本当に両親が気の毒だ。
    恋人や男友達がいないのはともかく
    同性の友達がいないのは(ひとりいたが)
    やはり当人のせいだろう。
    なんでもかんでも顔のせいにするのはみっともない。

    心が貧しい上に短気で
    不倫してるくせに悲劇のヒロイン。
    こんなに主人公に嫌

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    2021年02月22日
  • 崩れる 結婚にまつわる八つの風景

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    人間の怖さが垣間見えたり、ドキドキする短編でとても楽しく読ませていただきました。
    因果応報的な話が多く、嫌な感じの怖さではなくすんなり読めます。
    短編以外も読んでみたいと思います。

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    2021年02月16日
  • 我が心の底の光

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    晄(こう)の父親は殺人を犯し、そして母親は死亡 5歳だった晄は母の兄である伯父夫婦に引き取られ、中華料理店を手伝いながら暮らして行きます。

    「晄、十九歳」の章に描かれている母親からのネグレスト(育児放棄)の場面は壮絶で目を覆いたくなりました。

    晄が果たして行く復讐は「悪」ではあるけれど、晄の苦し過ぎた幼少期を考えれば止むを得ない行動にも思えて来ます。

    復讐の相手は大方予想は付きましたが、ラストに明らかになる復讐の動機はあまりにも切なすぎて苦しくなりました。

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    2021年02月04日
  • 崩れる 結婚にまつわる八つの風景

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    貫井さんの長編小説に嵌り、最近の物はほぼ読んでいます。 短編集はないものか調べてみた所、15年以上も前に書かれた、この作品に出会いました。

    時代背景は15年前と様変わりしても、人間の持つ様々な感情は変わる事がないだけに、全ての物語に感情移入しながら読めます。

    以前、長編の時にも感じた事ですが、著者は女性以上に女性心理がわかる事にも驚かされます。

    きっと誰もが登場人物の誰かと似たような経験や気持ちを味わった事があるかの様に感じた短編集でした。

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    2021年01月26日
  • 女が死んでいる

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    結末に驚かされる話が多く面白かったです。
    個人的には「憎悪」が好きでした。
    暗めの話が多いなか,最後の話は雰囲気が異なり前向きな終わり方なのが良いと思いました。

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    2021年01月24日
  • 殺人症候群 <新装版>

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     症候群シリーズ完結編にあたる本作は700ページほどの読み応え十分のボリューム。そして、内容もシリーズ史上最大の重たさとなっている。いわゆる法で裁けない人に対する復讐殺人がテーマ。同じような題材を扱っている作品も多いと思うが、印象に残るのは江戸川乱歩賞を受賞した薬丸岳「天使のナイフ」や同じく薬丸岳「虚夢」だろうか。話の根源は似たようなところだが、当たり前だが展開がまるで異なる。読み比べてみるのも面白いかもしれない。ただ、これだけ様々な作品で取り上げられているテーマということは、それだけ結論も出ず、ただ現状として納得できない部分があるからなのかもしれない。
     本作は様々な登場人物の視点から全く異

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    2021年01月22日
  • 壁の男

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    自分でも意外なのだが、この作者、初読み。

    北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた子供の落書きのような奇妙な絵が評判となり、その不思議な絵を描く伊苅という男に、ノンフィクションライターが取材を試みるのが話の始まり。
    ノンフィクションライターの存在は話のひとつの切り口でしかなく、伊苅の実像はライターの取材とは全く別に三人称で語られる話で徐々に明らかになる。
    第一章、伊苅が絵を描き始め、それが町に広がっていった経過が語られる。予断にとらわれたノンフィクションライターの思いとは全く異なる経緯で、そのすれ違い様におかしみあり。
    ちょっと風変わりなお話という印象だったが、ここから話が進むに連れて重さが

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    2021年01月16日
  • 平成ストライク

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    ネタバレ

    平成の出来事をテーマにした連作アンソロジー。好みだったのは、青崎有吾「加速してゆく」、千澤のり子「半分オトナ」でした。平成を通過した世代としては、いろいろあったなあ、としみじと思い返しながら読みました。当時のヒット曲や流行なんかも物語の中に登場して、面白かったです。

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    2021年01月14日
  • 宿命と真実の炎

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    『後悔と真実の色』の主人公だった西條輝司や捜査9係のメンバーも登場するので、その続編と言えるか。
    しかし今回、おもに捜査の主役となるのは所轄の女性刑事高城理那。女性刑事が主人公の警察小説では、大概美人として描かれるのが相場だが、この女性刑事は頑固刑事みたいなご面相だとかとで、ユニーク。がむしゃらに捜査に邁進する彼女に、コンビを組む捜査9係の村越も評価を高めてゆく。
    最初反発していたこの二人、捜査が進むにつれてお互いの能力を認め合い、最良のコンビとなって行く。
    そんな警察小説の側面と、冒頭から犯人が登場し、行動や内面が逐一描写されることから、ピカレスク小説の側面もある。
    さらに、事件の背後に冤罪

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    2021年01月09日