貫井徳郎のレビュー一覧

  • 乱反射

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    幼い子供がある事故で命を落とす。
    おおくの多くの人のモラルのない行動が積み重なり、連鎖した結果引き起こされた悲劇であった。


    自分の小さな過ちが直接的に大きな事故に繋がるは少ない。
    しかし、偶然が重なれば取り返しのつかない事態になる可能性がある。
    それを事前に予想するのは非常に難しい。
    だからこそ自分の行動を振り返ってみて、「誰かに迷惑をかけていないか」、「不快な思いをさせていないか」といったことを考えることも必要だと思う。
    モラルの欠如により、誰かの不幸に繋がるかもしれないからだ。

    本書のような振る舞いを自分も無意識にやってしまっていることがあると気付かされた。
    もちろん、罪に問われるよ

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    2025年06月14日
  • 乱反射

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    すごく嫌な風が吹いたら桶屋が儲かる話。「乱反射」という題名が象徴的。車の運転を家族に求められるとか犬のフンを放置するとかそれを片付けるひとを囃すとか一人一人がちょっとズルをしたり楽な道を選んだせいで、連鎖的に大きな事件を巻き起こす。実際はこんなことありえないって分かってても自分も多かれ少なかれこういうマナー違反をしたことはあるので無意識に共犯者の一人になったうしろめたさを感じちゃう。
    家族が淡々と「犯人」を追及して責めていて諦観を持っているせいで後味が悪くならず若干スッキリ終われるのが救い?

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    2025年06月02日
  • 邯鄲の島遥かなり(中)(新潮文庫)

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    昭和が始まって終戦までがこの中巻では描かれています。離島だからといって戦争の影響が少なくなるはずはなく、むしろ離島だからこその苦しみもあって全体的に暗く悲しいお話が中心でした。
    戦争ですべてを失ったこの島がその後どう時代を生きていくのか、、、下巻にも期待です。

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    2025年05月25日
  • 壁の男

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    貫井徳郎作品の違う一面を見た。
    それは予想外で、予想以上で、読後に胸がしめつけられるほどの感動と大きな愛が降ってくる。

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    2025年05月25日
  • ひとつの祖国

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    とにかく設定が面白い。今の日本のディストピア感というか、不満の吹き溜まり感が、暴発を招くという設定に、説得力を与えるアイデアが素晴らしい。
    冒頭から一気に引き込まれてしまって、ワクワクしたのだけれど…。
    組織の中身がいろいろと明らかになるにつれ、荒唐無稽感が増していき、失速したように思う。自衛官との関わりももっと膨らませられたような気もする。
    問題提起は鋭いだけに、もったいない。

    余談だが、この手の小説にありがちな表現がここでも。
    ・なぜか男性は苗字、女性は名前で話が進む(自衛官の彼女は珍しく苗字だったが、男性扱いということか)
    ・なぜかとても強い女性はとても美人
    男性エンタメ小説家に目新し

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    2025年05月21日
  • 微笑む人

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    ネタバレ

    エリート銀行員が妻子を殺害する。動機は「本が増えて家が手狭になった」という理由で…。誰に聞いても「いい人」と評される男だが、過去に遡ると不審死を遂げた人物が周辺に何人もいることがわかる…

    何人もの証言から、主人公が『死』に対して障害物を排除するように実行してきたのかという疑念が生じるが、殺人を自白したりする場面はなく、最後まで真相はわからずにモヤモヤ感が残る。(ネットには多くの考察があるよう)

    2019年に松坂桃李主演でドラマ化され、見た記憶がある。U-NEXTで見返してみたが、小説のダイジェストのような内容だったなあ。
    小説には無い雑誌記者の役柄で尾野真千子が登場し、最後に浮気した夫をア

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    2025年05月20日
  • 邯鄲の島遥かなり(上)(新潮文庫)

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    読み進めていくうちにどんどんハマっていく、そんな印象。
    時代としては明治維新から東京大震災までがこの上巻で、このあと中・下巻と続いていくんだけど、正直長い……長いんだけど、でも次が気になるから止まらない。上巻だけでも満足感。
    離島というロケーションと、その島のある一族を軸にしたストーリーで単純におもしろくて次の中巻にも期待です。

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    2025年05月18日
  • 乱反射

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    たった一つの「これぐらいは大丈夫」という傲慢がとある重大な結末を迎えてしまうということは中々想定することができないかもしれない。しかし、他人に及ぼす間接的な影響が予想以上に大きいと改めて感じました。

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    2025年05月10日
  • 慟哭

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    ネタバレ

    2つの舞台の時系列が追いついたり追い越したりな感じ?と思いきや…な結末。The推理小説を読んだー!という読後感。

    推理小説好きからすると、佐伯=松本説はなんとなく勘づくとは思うけど、
    ・松本の娘が殺されているという前提を、佐伯章でどう結びつけるのか
    ・警察官名簿流出のミスリード
    ・松本が1回目黒いゴミ袋に入れて山奥に埋めたのに、佐伯章ではなぜ見つかったのか
    ・娘を蘇らせることが目的だった松本が、なぜ急に警察官(の娘)を標的にしたのか
    ・松本はなぜみんなから見たことがある、と思われたのか
    ・松本章で司摩が言った「事件が起き始めた時期と合わないし」という発言
    などなどの違和感を持たせつつ、ぎりぎ

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    2025年04月16日
  • 微笑む人

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    慟哭という小説がとても面白く、
    別の作品も読んでみたいと思って手に取った。

    こんなに頁を捲る手が止まらない事があるのだろうか。
    とにかく続きが気になって仕方がなかった。
    そして最後。
    読み終わったので本を閉じるしかない。
    こんな形で、こんな気持ちにさせて終わらせるのか。
    そう思い、閉じると出てくる題名。
    「微笑む人」


    くそぉ!!面白かったです!!!

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    2025年04月14日
  • 邯鄲の島遥かなり(中)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    上巻と同様、イチマツの子孫たちをそれぞれピックアップした短編集。それぞれがイチマツの血を意識したりしなかったりの人生が描かれていた。読み進めつつ気づいたら時代が終戦まで進んでいた。上巻の始まりが幕末だったことを思い出して隔世の感と言うか。駆け足で下巻へ。

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    2025年04月13日
  • 邯鄲の島遥かなり(上)(新潮文庫)

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    「イチマツ」というイケメン以上の神がかった色男がとある島内であらゆる女性と子をなしたことによる、その子どもや孫たちにまつわる島全体の物語、か? 子孫たちの人生を個別に追った短編集にしてそれぞれがうっすらと繋がる大長編で、上中下の上巻だけでかなりの満足感。引き続き中巻を読みますか。

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    2025年04月03日
  • プリズム

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    三月のある日、小学校教師・山浦美津子先生が急用で休んだ。

     山浦はチョコレートを食べ倒れ、タンスから落ちたアンティーク時計が頭に当たった。死因は頭打傷と見られている。先生の部屋に送られてきたチョコレートから睡眠剤が検出され、送り主は同小学校の南条先生だった。

     担任を受け持つ山浦先生は、生徒目線で受け答えするため、生徒たちの人気が高い。
     休んだことに疑問を持った生徒は、なぜ休んだのか?クラスの中で話題になり、ミニ探偵団が暗黙の了解で犯人探しを始めたが、犯人捜しの調査能力に限界があったので、生徒たちの納得を満たしたところで探偵団は解散した。

    一方、小学校教師達とPTAの間で問題になり意外

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    2025年04月02日
  • 龍の墓

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    特殊設定ミステリーと呼ばれるものを初めて読んだが、なかなか面白かった。
    ラノベ風の設定なのに意外なほどロジカルなトリックで、ヒントも散りばめられていたのでしっかり謎解きすれば解けたかもと一気読みして後悔。
    まだ読んでいる途中の方はぜひ謎解きパートの前に一度本を閉じて推理を楽しんでみてほしい。

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    2025年03月24日
  • 邯鄲の島遥かなり(下)(新潮文庫)

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    ・勝利もだんだん大人になって行くなあ
    ・野球の夢は遠かった。ストーリーにはひきこまれたが、最後はなんだか、切ない終わりかただなあ
    ・いろんな事情により、いろんな事が終わったというより新たなスタートだなあ
    ・明治から令和に至るまで、島のストーリーは展開された。いろんな事件や天災などもあったが、それらを乗り越えて今がある。もしかして、島が無くなってしまうのかと予想した事もあったが、そんなネガティブな事にはならず、あらたな未来を感じた。終わってみれば、なかなか楽しいストーリーだった。

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    2025年03月28日
  • 邯鄲の島遥かなり(中)(新潮文庫)

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    選挙のストーリー同様、ご落胤騒動始末はオチが今一歩だなあ。勝ってくるぞは小百合の文通相手は奴だったのか。友への想いが人き方を変えた。戦争反対の気持ちは強かったなあ。
    平和な話ばかりでは終わらず、最後の空襲の状況は臨場感がひしひしと伝わって来て、戦争は絶対してはならないと痛切に感じた。

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    2025年03月20日
  • 愚行録

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    読みはじめは一家が殺害された事件、ただそれだけだと思っていました。
    読んでいくうちに、本当に可哀想な家族だったのか?
    羨ましがられる見た目とは裏腹に恨まれるような人柄だった?

    ルポライターと犯人の正体を知って、なるほどーと思いました。
    そして、兄妹の育てられた環境がむごくて悲しい。
    自分は母のようになりたくないのに、結果的には母なような虐待をしているとして逮捕されてしまった。
    幼少期の家庭環境が自分の将来を左右しているのだと痛感しました。
    そして人は愚かな生き物…。自分はそんなつもりはなくても、その時の言動で誰かに恨まれていることもあるんでしょう…。

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    2025年12月07日
  • 邯鄲の島遥かなり(上)(新潮文庫)

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    イチマツの頃はどんなストーリー展開なんだろうか?と訝ったが、それぞれの物語は過去の貫井作品には見られないものが感じられる。次(中)にも期待したい。

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    2025年03月10日
  • 邯鄲の島遥かなり(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    文庫化を待って一気読み
    最後、これまでの流れが繋がってくるのかとドキドキ期待していたけどそうではなく、、
    しかし、貫井徳郎さんの人生を書き上げる力には圧倒された。長編大河だがするすると読めた。

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    2025年03月08日
  • 悪の芽

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    解説の冒頭に『読者の中に自分はいじめとは完全に無関係だったと言い切れる人、子供の頃に誰かを傷つけた経験は無かったと断言できる人はいるだろうか?』…そんな問題提起がされる。

    主人公は41歳のサラリーマン。一応順風満帆に社会を渡ってきた。ある日、アニメの大イベントでの無差別大量殺傷事件のニュースに衝撃を受ける。その後自らに火を付け動機不明のまま死んでいった犯人…この男が、小学校時代の同級生だったという事実。そして自分は過去に犯人をいじめていたことがある…犯人の動機は過去のイジメに端を発し、社会への憎悪を膨らませたのだとしたら、この事件は自分の「罪」なのか…そんなストーリーだ。

    各章では別な人物

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    2025年03月04日