貫井徳郎のレビュー一覧
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幼い子供がある事故で命を落とす。
おおくの多くの人のモラルのない行動が積み重なり、連鎖した結果引き起こされた悲劇であった。
自分の小さな過ちが直接的に大きな事故に繋がるは少ない。
しかし、偶然が重なれば取り返しのつかない事態になる可能性がある。
それを事前に予想するのは非常に難しい。
だからこそ自分の行動を振り返ってみて、「誰かに迷惑をかけていないか」、「不快な思いをさせていないか」といったことを考えることも必要だと思う。
モラルの欠如により、誰かの不幸に繋がるかもしれないからだ。
本書のような振る舞いを自分も無意識にやってしまっていることがあると気付かされた。
もちろん、罪に問われるよ -
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とにかく設定が面白い。今の日本のディストピア感というか、不満の吹き溜まり感が、暴発を招くという設定に、説得力を与えるアイデアが素晴らしい。
冒頭から一気に引き込まれてしまって、ワクワクしたのだけれど…。
組織の中身がいろいろと明らかになるにつれ、荒唐無稽感が増していき、失速したように思う。自衛官との関わりももっと膨らませられたような気もする。
問題提起は鋭いだけに、もったいない。
余談だが、この手の小説にありがちな表現がここでも。
・なぜか男性は苗字、女性は名前で話が進む(自衛官の彼女は珍しく苗字だったが、男性扱いということか)
・なぜかとても強い女性はとても美人
男性エンタメ小説家に目新し -
Posted by ブクログ
ネタバレエリート銀行員が妻子を殺害する。動機は「本が増えて家が手狭になった」という理由で…。誰に聞いても「いい人」と評される男だが、過去に遡ると不審死を遂げた人物が周辺に何人もいることがわかる…
何人もの証言から、主人公が『死』に対して障害物を排除するように実行してきたのかという疑念が生じるが、殺人を自白したりする場面はなく、最後まで真相はわからずにモヤモヤ感が残る。(ネットには多くの考察があるよう)
2019年に松坂桃李主演でドラマ化され、見た記憶がある。U-NEXTで見返してみたが、小説のダイジェストのような内容だったなあ。
小説には無い雑誌記者の役柄で尾野真千子が登場し、最後に浮気した夫をア -
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ネタバレ2つの舞台の時系列が追いついたり追い越したりな感じ?と思いきや…な結末。The推理小説を読んだー!という読後感。
推理小説好きからすると、佐伯=松本説はなんとなく勘づくとは思うけど、
・松本の娘が殺されているという前提を、佐伯章でどう結びつけるのか
・警察官名簿流出のミスリード
・松本が1回目黒いゴミ袋に入れて山奥に埋めたのに、佐伯章ではなぜ見つかったのか
・娘を蘇らせることが目的だった松本が、なぜ急に警察官(の娘)を標的にしたのか
・松本はなぜみんなから見たことがある、と思われたのか
・松本章で司摩が言った「事件が起き始めた時期と合わないし」という発言
などなどの違和感を持たせつつ、ぎりぎ -
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三月のある日、小学校教師・山浦美津子先生が急用で休んだ。
山浦はチョコレートを食べ倒れ、タンスから落ちたアンティーク時計が頭に当たった。死因は頭打傷と見られている。先生の部屋に送られてきたチョコレートから睡眠剤が検出され、送り主は同小学校の南条先生だった。
担任を受け持つ山浦先生は、生徒目線で受け答えするため、生徒たちの人気が高い。
休んだことに疑問を持った生徒は、なぜ休んだのか?クラスの中で話題になり、ミニ探偵団が暗黙の了解で犯人探しを始めたが、犯人捜しの調査能力に限界があったので、生徒たちの納得を満たしたところで探偵団は解散した。
一方、小学校教師達とPTAの間で問題になり意外 -
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読みはじめは一家が殺害された事件、ただそれだけだと思っていました。
読んでいくうちに、本当に可哀想な家族だったのか?
羨ましがられる見た目とは裏腹に恨まれるような人柄だった?
ルポライターと犯人の正体を知って、なるほどーと思いました。
そして、兄妹の育てられた環境がむごくて悲しい。
自分は母のようになりたくないのに、結果的には母なような虐待をしているとして逮捕されてしまった。
幼少期の家庭環境が自分の将来を左右しているのだと痛感しました。
そして人は愚かな生き物…。自分はそんなつもりはなくても、その時の言動で誰かに恨まれていることもあるんでしょう…。 -
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解説の冒頭に『読者の中に自分はいじめとは完全に無関係だったと言い切れる人、子供の頃に誰かを傷つけた経験は無かったと断言できる人はいるだろうか?』…そんな問題提起がされる。
主人公は41歳のサラリーマン。一応順風満帆に社会を渡ってきた。ある日、アニメの大イベントでの無差別大量殺傷事件のニュースに衝撃を受ける。その後自らに火を付け動機不明のまま死んでいった犯人…この男が、小学校時代の同級生だったという事実。そして自分は過去に犯人をいじめていたことがある…犯人の動機は過去のイジメに端を発し、社会への憎悪を膨らませたのだとしたら、この事件は自分の「罪」なのか…そんなストーリーだ。
各章では別な人物