貫井徳郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“読者にとって”これ以上ないバッドエンドだと思う。
「本が増えて家が手狭になった」という理由でエリート銀行員が妻子を殺害、というあらすじに強烈なインパクトを感じて手に取った一冊。小説家である語り手が取材しながら犯人の過去を追っていく形式。登場人物は多かったが時系列も明確で非常に読みやすかった。前情報なく読んだのでラストは大混乱。最後のページの次を捲って「解説」が現れた時は「!?」となった。ミステリ小説は、最後には犯人のすべてが明るみになって然りという当たり前を崩される衝撃。殺人犯を殺人犯たらしめた経緯や動機がわかればその瞬間対岸の火事として自分と切り離すことができるけど、それが許されないってこんなにモヤモヤするんだ。うっすらと背中が寒くなるような。好き嫌いは分かれるだろうけど、個人的には新鮮でよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の語り口調とキャラたちの軽口でストーリーが進んでいくのでサクサク読み進めれた。タイムスリップの説明は一度では噛み砕けなかったが、「体験していない時間軸はあと一つ」と
「コンタクトレンズを探す君はこれからの君」の意味を考えて理解することができた。
ここからは個人的になタイムスリップの考察と感想になるので、自分なりの解釈が他の読者様の助けになればと思い書いておきます。
最後のタイムスリップをn回目とすると、「昨日この時代に来た」と言った侑里はn−1回目のタイムスリップで来たということになる。
そのn−1回目の侑里が体験していない時間軸とは、コンタクトレンズを探すことから始まり、殺されてしまうまでのn回目のタイムスリップ期間ということになる。このn回目のタイムスリップは名倉を追い詰めたn−1回目の侑里にとっては未来のことであるため、「コンタクトレンズを探す君はこれからの君」となり、同時にn回目で殺されてしまい時の旅の終わりがくるためn回目より前の時代にタイムスリップすることはなく「体験していない時間軸はあと一つ」となったと考えられる。しかし未来での侑里の生死には言及されなかったため、殺されたからタイムスリップが終わったのか、それともn回目で主人公と出会い名倉を追い詰めることができたことで誤認逮捕の署名活動が始まり、その後の未来で冤罪が晴れたためタイムスリップの当初の目的を果たしn+1回目のタイムスリップが発生しなかったのかまでは読み取れなかった。個人的には後者であり侑里のその後の未来が明るいことを願う。 -
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貫井さん♪♪
妻を不慮の事故で亡くし、失意の中にある大学講師の松嶋は、50年前に自殺した作家の未発表手記を入手する。
残された娘と一緒に生きていくために名を上げようと、手記の発表に向けてその作家の自殺の真相を探ることに。
するとそこには思いもよらない悪意が存在し、松嶋を陥れようとしているのだった。
640頁もの長編だったけど、中弛みもなくめっちゃ面白かった〜!
物語は現在と、手記の内容が作中作として同時に語られていく構成。
私が読んだのは改訂版で、元々は手記の部分が旧かなづかいだったのを、現代語にして読みやすくしたものらしい。
お人好しで単純な松嶋にあ〜あ〜と思いながらも好感をおぼえる。
首謀者が一体誰なのか分からず二転三転していく展開が面白かったな〜。
ただ予想外の首謀者とその動機にちょっと拍子抜けしてしまった。
ラストの妻からの手紙にじわっと( ᐪ꒳ᐪ )
読後も良くとても好きな作品でした! -
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おもしろかった!!
確かにおもしろかった!!けど最後の終わり方はまじかーと裏切られた気がして悲しかった。まぁ後半ページが少なくなるにつれて、これもしかして答えは闇の中系の話か?と予感してましたが過去に読んだ「慟哭」が後半の残り少ないページでとんでもない衝撃を与えてくれたので期待してしまいました。最終的に答えが分からずモヤモヤしてしまっている自分自身が、この本の指摘している「分からないはずの事を自分の都合の良いように解釈して安心したい」人間そのものなのだと感じました。それにしても仁藤がショウコという名前に執着?してる意味とか殺人に目覚めたほんとの理由があれば知りたかったなー!
というか仁藤の供述が本当の犯行動機という捉え方でいいのかな?
だめだ、考えるほど仁藤の内側を知りたくなってしまう。。。
この時点で作者さんの掌の上で転がされてるんでしょうね笑
最近貫井徳郎さんの本を読み始めたのですがほんとに今の所ハズレがなくめちゃくちゃ面白いです。
自分の感性にマッチしてるのだと思います。
もっと探して沢山読んでみます。 -
Posted by ブクログ
日本が大日本国(西日本)と日本人民共和国(東日本)に分断されて、ベルリンの壁が崩壊する頃に日本もひとつの国に統一される…。
その後、四半世紀を過ぎたが西日本と東日本の格差は埋まらず、再び東日本の独立を目指すテロ組織が暗躍する。
意図せずにテロ組織に関わってしまった一条を幼馴染の自衛隊特務連隊の辺見が追うこととなる。
2人の幼馴染のやりとりが少ないまま、架空の日本でのテロ。
それは東日本対西日本というより、上級国民と下層民の闘いかと思われたが、テロ組織のなかで一条が逃げようとまで思ったのがとんでもない情報を知ったからで…
アメリカにも知られてはならない…
中国やロシアまでもが、一条を追うのか…
一条の運命は…
架空の日本を舞台にしてるが、テロからあり得ない話にまで広がっていくのに驚愕過ぎて、脳内でいろんな思いが交錯する。
人間の闘争本能は必要ないのか⁈
あり得ないとわかっているのに何故か荒唐無稽だと思えないのは未来が予測不可能だからかもしれない。
そう思うと怖さを感じた。
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Posted by ブクログ
あまり評価は高くないようだけど、私は楽しめた。
VRとミステリを絡めた作品はよく見かけるようになったが、その中では抵抗感がなく、すんなり読めた。
RPGでドラクエとかFFをやってた世代だからか?ゲームの中でも、アバターを使って人間同士がやり取りするような内容だとついていけないので、多少のレトロ感もちょうど良かった。
(そういう意味では、スーファミくらいでも十分だったかも)
ゲームの中でも、ちゃんと伏線回収があって、ミステリの基本に忠実。そのぶん、現実の世界が少々薄くなってしまったけれども…
近未来感があまりわからず、また現実の事件の解決があっさりだったので、そこはちょっと残念。 -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦後、東日本と西日本に分断されソ連とアメリカに統治された世界。その後、ソ連邦の崩壊、東西冷戦の終結に伴い再び統合された日本は、格差が固定化し、貧困が蔓延る旧共産主義国である東日本の独立を標榜するテロ組織が暗躍していた。
意図せずしてテロ組織に関わることになった一条と彼の幼馴染で自衛隊特務連隊に所属する辺見。立場をことにする二人の友情の行方は……
戦後日本が2国に分断されたら、という割とよくある設定のSF的手法によりながら、富裕層と貧困層の格差の固定、資本主義の行き詰まり、文明の発展と人間の進化、希望が失われた社会の行く末など、現代社会の諸問題を余すところなく描き切っているという点で現実的な物語になっている。
テロリストの目論見は少々無理筋な気もするが、人間の闘争心というものに焦点を当てた試みは面白い。
ミステリではないので、広げた風呂敷は畳まれないし、目に見える解決策も、読後のカタルシスもない。これは作者の問題提起で、「考えろ、考えることをやめるな!」という強いメッセージと受け取った。
「今日を生きるのに精一杯で、夢を持つことすら贅沢になってしまった日本人。文明を発展させ、地球を破壊してまで手に入れた生活がこれか。人間は愚かだ、と思う。」
ラストの3行が響いた。