貫井徳郎のレビュー一覧

  • 壁の男

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    ネタバレ

    都市からやや離れた田舎町。
    その町が脚光を浴びることになったのは、家々の壁に描かれた独創的な絵が、SNSによって話題にあがったからだった。

    その絵はどちらかといえば下手な絵なのに、不思議と心が掴まれる。
    ノンフィクションライターの肩書きを持つ「私」は、この絵の作者である伊苅という男を題材にしようと電車に飛び乗る。

    そんな出だしなのに、「私」と伊苅が話をする場面は、あまり登場しない。
    多くを語ろうとしない伊苅の代わりに、動きを与える役割を担う人物として「私」がいるということなのかもしれない。

    そして、絵によって変化する町を語る第一章の時点で、読んでいる側はふと違和感を覚える。
    「このシーンは、クライマックスで語られるものではないのか?」
    そんな予感は、第二章以降、伊苅の背景が語られるにつれて、ある意味その通りになっていく。

    どうして、この構成にしたんだろう。
    読み終わって、率直な疑問だった。
    この小説は、章を入れ替えるだけで、きっと読後の印象を変えてしまう。
    伊苅自身というより、描きたかった(絵)ものは何か?がテーマになっているように読めた。

    脱線するが、伊苅の妻、梨絵子と、伊苅の母という二人の女性が印象的だった。
    どちらも「才能を持つ女性」でありながら、そのために不幸を背負ってもいる。

    特に梨絵子の、自分では自分を認められず、他者からの評価や好意に縋ってしまうところ。
    そのことを「自分が悪い、いなくなればいい」と言うことで、結局は自分でシャッターを下ろしてしまう部分に共感もする。

    その意味では、一度下ろされたシャッターを、絵を通して、他者から言葉をかけられていく過程には、伊苅の「通路回復」の意味があったのかな。

    0
    2022年08月12日
  • プリズム

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    ネタバレ

    面白かった
    最初僕たちはミツコ先生と呼んでいるをツッコミ先生って空見してたからつっこんでくる美人な先生かと思ってた

    教え子、同僚、元恋人、不倫相手(最初の教え子の父親)の視点からそれぞれ事件の真相を探るのが面白い
    最後まで犯人わからないっていう終わり方で若干拍子抜けしたけどそこまでモヤモヤしなかった

    睡眠薬入りチョコレート関連でそのチョコを贈った南条先生ともと付き合ってた同僚の先生がなんで昔睡眠薬を使ったことあるのを知ってるのか謎だった
    なので犯人はこの先生と友達が悪戯されどうにか仕返ししたい大人びた山名さんかな?と思ったけど、それだと辻褄が合わないことも多い

    名前思い出せないけど、同僚の女教師が天真爛漫すぎて一緒にいると自己嫌悪になることから訃報を聞いた時に少し喜んでしまった罪悪感から犯人探しするためにミツコに、関係のある人に接触しまくるのなんか違和感すごかった
    そんな理由で元彼に会ったりしてて事件楽しんでるんじゃ?って感じた

    0
    2022年07月31日
  • 悪党たちは千里を走る

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    考察や深読みなど無く、これぞエンタメ小説という作品。ただただスピーディーな作品をワクワクしながら楽しめた。

    0
    2022年07月27日
  • 後悔と真実の色

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    ネタバレ

    やはり人との対話はかなり重要だなと思った。察してくれているだろうは絶対にダメ…
    まさかの犯人で面白かった。

    0
    2022年06月18日
  • ドミノ倒し

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    ネタバレ

    しがない田舎の私立探偵が元カノの妹から受けた依頼を受け殺人事件の調査を依頼される
    しかし調査を続けてるうちに別の殺人事件とぶつかりそれを調べてるとさらに別の殺人事件と繋がり・・・とまさに【ドミノ倒し】のように繋がっていく。追えば追うほど謎が深まるミステリー

    名探偵を自称しハードボイルドを気取る主人公のキャラは三枚目な方で、どちらかというと迷探偵な印象。そのため作中の推理が外れているように感じて最後まで真相を読みきれなかった

    そして真実が明かされたとき、その内容に背筋が凍った
    とても恐ろしくゾワッとなった
    読んでいた印象としては『ひぐらしのなく頃に』を思い出した
    キチンと言えば違うんだけど、ダム戦争を連想した

    無事解決!というようなスッキリとした終わりかたではなかったのが少しモヤっとしたけど、基本的には面白かった

    0
    2022年04月30日
  • 壁の男

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    小さな田舎町で自分の家の壁に絵を描く伊苅。
    しかも、その絵は幼い子供が描くような下手な絵。
    どうしてそんな絵を描き続けるのか…
    その理由が深い。

    2022.4.20

    0
    2022年04月20日
  • プリズム

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    慟哭に続いての著作2作目。
    相変わらず読みやすい綺麗な文章。

    タイトルも的を得ていて良い感じ。

    それに、素人探偵の数珠繋ぎの次に私も加わろうって思ってしまうラストの余韻がすごく好き。
    わかり易く誘導してる気すらする…。

    0
    2022年03月26日
  • 宿命と真実の炎

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    「後悔と真実の色」の続編
    警察官だった頃の知った名前も出て来るのでその面々と会えるのも
    お楽しみ。
    暗闇に落とされたような生活をしている西條にまた光は見えるのか。
    その後の西條にもぜひ会いたい。

    0
    2022年03月09日
  • 壁の男

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    凄く良かった。

    章が進む度に伏線が回収され、最後に全てが腑に落ちる。人間の感情のあらゆる部分が繊細かつ丁寧に描かれていて、主人公の人柄がとても愛おしく感じた。

    ⭐︎を5つ付けたかったが、あまりにも悲しく辛い主人公の半生だったので4つにした。

    0
    2022年02月28日
  • 崩れる 結婚にまつわる八つの風景

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    結婚にまつわる短編小説集

    どれもゾクゾクするような不気味さや
    なんとも言えなくなるような感情に包まれる話。

    男性作者でありながら、
    各物語主人公とされる女性たちの目線で
    とてもよく書かれているのがすごい。
    どれも現実で起きてしまいそうな、
    生々しさがあった。

    0
    2022年01月08日
  • 新装版 修羅の終わり(上)

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    交番爆破のテロ組織を追う公安警察官、謎の売春組織を追う悪徳非道の警察官、目が覚めたら記憶喪失になっている青年、この3人の視点で物語が交互に進む。時間軸が違うような。後編で明らかになるのかな。警察の暴力的な描写など、すごく嫌な気分になるけど、ぐいぐい読み進めていける面白さ。下巻でこの3つのストーリーがどう絡んでくるのか楽しみ。

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    2021年12月20日
  • ミハスの落日

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    短編5作収録の作品
    いずれも舞台は海外となっている
    後半の3作品がよかったと思います
    結末で明かされる真相には驚かされるものも
    著者のあとがきも楽しめました

    0
    2021年12月11日
  • プリズム

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    先生が死んだ
    他殺なのか事故なのか
    章ごとに視点が変わり、それぞれが事件について
    調べて語る
    まさかの結末でしたがなるほどそういう展開かと
    思わせました
    あとがき、解説も補足としてよかったです

    0
    2021年12月01日
  • 迷宮遡行

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    妻の失踪から始まる
    男は妻を探し始めると・・・
    暴力団が絡んできて暴力団の抗争も
    少しずつ妻に近づいていく感は伝わりました
    主人公は出会う人たちに恵まれた感じでした
    もちろん主人公の行動の結果でもありますが
    中身は濃かったと思います

    0
    2021年11月28日
  • 後悔と真実の色

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    二回目のワクチンの副反応にやられながらも、ただ横になっているのも落ち着かない。
    あれやこれや考えて眠れないので、分厚いこの本を読んで過ごすことにした。
    若い女性ばかりを狙い、殺害後に人差し指を切り取る「指蒐集家」が社会を震撼させていた。
    捜査一課のエース西條は、遺体の第一発見者となった交番勤務の若い警官大崎と事件を追うことになる。
    男同士の腹の探りあい、何度も振り出しに戻る捜査、そのうちにまた新たな被害者が出た。
    鼻につくタイプの西條に恨みを持つ人間は沢山いたとしても、あまりに理不尽なやり方で失脚させる綿引。刑事ものは結構読むが、多忙過ぎて家庭を省みず最悪な夫婦仲になっているパターンの内容が多過ぎると思う。
    が、実際に知り合いの刑事はバツイチだからあながち間違いではないらしい。
    本をベッドから落としたまま眠ってしまったり、腕の痛みで読み進めるのに時間がかかってしまった。
    西條のその後が気になっていたが続編もあるらしいので、読んでみたい。

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    2021年11月12日
  • 壁の男

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    ネタバレ

    伊苅がどうして、小さな集落の家屋に稚拙で奇妙な絵を描き続けたのか、どうして金銭の見返りも求めないのか、どうしてその稚拙な絵が多くの人の胸を打つのか、言葉に表すとなんだか嘘っぽくなるけれど、その根っこにある大きな愛情と悲しみが胸を打った。

    各章に渡ってこれまでの伊苅の歩みや選択、彼を取り巻く人々が時系列バラバラに描かれるのだけど、そのちょっとした違和感がどんどん後の章で明らかになり、深いヒューマンドラマとミステリが組み合わさったような読みごごちだった。

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    2021年10月31日
  • 誘拐症候群 <新装版>

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    出張に持って行き移動時間や宿泊先であっという間に読み終えた。
    内容には作者特有の重厚さがなかった事が理由かもしれないけど、展開の切り替えが早かったので飽きなかった。
    チームリーダーの超人的過ぎる冷静さと推測が少ししらけたけど面白かった。

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    2021年10月01日
  • プリズム

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    ネタバレ

    読み終えると、各目次の意味が分かる。それぞれの人物がそれぞれの立場からから、それぞれの情報を元に推理する。被害者の見方も、子供、恋人、同僚などからそれぞれ違って見えるのも面白かった。
    結局犯人は。最後に、各伏線を回収する意外な犯人は!と思いきや、明かされず、ヒントもなく、というか作者も決めてない?ようなのでやや拍子抜け。
    死因も日付も関係者も、空想の余地が大きい状況設定なので、読者が考えるのも面白いのかも。
    芥川龍之介の藪の中みたいに、山浦先生の霊を呼び出してしゃべらせたら面白かったのに。

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    2021年09月14日
  • 北天の馬たち

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    昔テレビでやっていた、M&R探偵事務所が頭の中に、若くてハンサムな草刈正雄と渋い藤竜也さんの姿が浮かんできてしまいました。


    ほうほうと、読み進めて行って、そんな終わりなんですか❗ もう少し何とかならなかったの?


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    2021年08月03日
  • プリズム

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    小学校の女性教師が自宅で変死。物語は4つの章で出来ていて、各章ごとに被害者と関わりを持つ者達が主人公となり、それぞれ独自の推理で様々な犯人像を描いていくミステリー。

    慟哭に続き貫井徳郎作品連読。
    いやはや、率直に面白かった。私の好きなやつだ。

    各章の主人公は、女性教師の謎の死をテーマに、別の主人公を犯人と仮定し、推理を持って根拠固めを行っていく。

    しかし、次の章の主人公の独白により、その理由がくつがえされ、別の真実が明らかになり、新たな推理が生まれる。と思えば、次の章でその推理は成り立たなくなり…
    と、推理の構築と崩壊の無限ループ。

    見る角度を変えることで如何様にも変化する。
    そう、正に表題通りプリズムだった。

    そして結末たるや否や…

    賛否が分かれる作品と思われるが、謎解きの過程を楽しむ私のような方にはハマるのではないだろうか。

    ちなみに私はミスチルの【Prism】という曲が好きだ。

    『転んだ時だけ 気付くコンクリートの固さ』

    そうだよな。
    痛みだけじゃなくて、固さ、冷たさ、情けなさ、悔しさ。ふとした出来事で、改めて色んなことに気付かされるよな。

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    2021年07月27日