貫井徳郎のレビュー一覧
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ネタバレ心臓移植手術を受けたら、もともと自分の持っていなかった趣味や能力が身についていた・・・。というのを発端に、自分のドナーを探り始める、という、まあ、割とよく見かけるテーマの物語。ドナーは誰なのか、そして警告を発してくるのは誰なのか、という謎はあるけれど、比較的ミステリー要素は薄いかな。ドナーにたどりついた後は、さらさらと流れていく感じ。移植手術と生命倫理などの重いテーマを扱いながら、雰囲気は青春小説で、読後感は爽やか。
臓器移植は、人工臓器が実用化されるまでの、過渡期の医療行為であり必要悪、という部分には考えさせられます。
また、人間の記憶や心はいったいどこにあるのか・・・。本当に、考えれば -
Posted by ブクログ
ネタバレ幻冬舎文庫の「心を運ぶ名作100」で重版されたものを購入。
「慟哭」や「症候群」シリーズでしか作者を知らなかったので、軽く明るい文体に引きこまれた。
あとがきにもあったけど、徹底的に無意味な物語である。
結局歴史は変えられず、祐里は消えてしまう。
そのあがきにも見える必死さが次第に心を打つ。
理屈にはあわなくても希望を持ってしまう人の心のありようが切ない。
祐里がなかなか事情を説明できないわけが、圧倒的な孤独を伴って伝わってくるラスト。それを受け止める和希はひとつ成長するのだ。智美さんがもうちょっとガッツリ絡むのかと思ったけどそういうわけでもなかったのがちょっと残念。 -
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駆け出しの役者・和希の前に現れたのは
劇団のファンだという魅力的な女性・祐里。
そんな彼女から不思議な頼み事を受ける。
劇団の女優・圭織の控え室に誰も入れないで欲しい。
理由も分からないまま、
彼女の真剣な眼差しに負けその依頼を受けることに。
しかし、一瞬の隙を突かれ圭織は殺されてしまう。
なぜ祐里は圭織が殺されることを知っていたのか。
そんな疑問を抱いた和希に彼女は驚きの一言を告げる。
《私、未来から来たの》
和希はその言葉に戸惑いながらも
歴史を変えるべく奔走する祐里に次第に惹かれていく。
事件の真相に迫ったとき和希はその悲しい決意を悟る。
貫井作品 -
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明詞シリーズ第1弾。
維新の騒擾燻る帝都の武家屋敷で青年軍人が殺害される。
容疑者,動機,殺害方法,全て不明。
被害者の友人で公家の三男坊・九条惟親は事件を調査し始める。
九条が助言を求める博学の奇人・朱芳慶尚。
朱芳は事件から手を引くように言うが,やがて悲劇の真相が…。
文頭にはポーの「モルグ街の殺人」が挿話として書かれ,
座敷の埃,生きているけど死んでいる猫など,
京極堂のような論理的挿話,
朱芳は病弱のため,話を聞くだけの車椅子探偵的な設定,
あらゆる要素が盛り込まれ,著者の技術でうまく融合されている。
角蔵や金之助など著名人が端役として登場する点も楽しめた。