貫井徳郎のレビュー一覧
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駆け出しの役者・和希の前に現れたのは
劇団のファンだという魅力的な女性・祐里。
そんな彼女から不思議な頼み事を受ける。
劇団の女優・圭織の控え室に誰も入れないで欲しい。
理由も分からないまま、
彼女の真剣な眼差しに負けその依頼を受けることに。
しかし、一瞬の隙を突かれ圭織は殺されてしまう。
なぜ祐里は圭織が殺されることを知っていたのか。
そんな疑問を抱いた和希に彼女は驚きの一言を告げる。
《私、未来から来たの》
和希はその言葉に戸惑いながらも
歴史を変えるべく奔走する祐里に次第に惹かれていく。
事件の真相に迫ったとき和希はその悲しい決意を悟る。
貫井作品 -
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明詞シリーズ第1弾。
維新の騒擾燻る帝都の武家屋敷で青年軍人が殺害される。
容疑者,動機,殺害方法,全て不明。
被害者の友人で公家の三男坊・九条惟親は事件を調査し始める。
九条が助言を求める博学の奇人・朱芳慶尚。
朱芳は事件から手を引くように言うが,やがて悲劇の真相が…。
文頭にはポーの「モルグ街の殺人」が挿話として書かれ,
座敷の埃,生きているけど死んでいる猫など,
京極堂のような論理的挿話,
朱芳は病弱のため,話を聞くだけの車椅子探偵的な設定,
あらゆる要素が盛り込まれ,著者の技術でうまく融合されている。
角蔵や金之助など著名人が端役として登場する点も楽しめた。 -
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ネタバレ"あなたとはやっていけなくなりました。ごめんなさい。私を捜さないでください"
突然、置き手紙を残して姿を消した絢子。
決定的な理由が思い当たらず、呆然とする迫水。
どうしても、諦める事が出来ず、絢子を捜し始めるのだが、その行く手には、何故か暴力団の存在が…。
絢子は一体何者なのか? そして、迫水は絢子と再会出来るのか?
"『慟哭』の次は、これを読め!"
書店(…というか、出版社?)に乗せられているような気がしますが、素直に買ってしまいました。
『不夜城』はたまた『新宿鮫』か!?
…てな感じですが、私は別に嫌いじゃ有りませんよ?
『慟哭』よりはインパクト -
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読んだ本 悪の芽 貫井徳郎 20251206
嫁さんのお下がり本。
小学生のころの同級生が大量殺人事件を起こす。その同級生を不登校まで追い込んだいじめの原因者が主人公で、自らの責任、自己嫌悪、社会的制裁への怖れとか色んなものを抱えながら犯行の動機を探るってお話。いじめてたことがばれて公表されると社会的に抹殺されるっていうSNS時代のサスペンスを絡めて、結構先がどうなるのか気になって一気に読んじゃいました。
なんだかんだ言って、SNS上の匿名の世間は無慈悲だけど、実在のリアルな関係者たちには情があるというか救いがあるというか、正直ラストはうまく呑み込めなかったんだけど、ホッとした感で終わ -
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日本最大のアニメコンベンションで起こった無差別殺人事件。
主人公の安達はニュースを見て、犯人の斉木が小学校時代の同級生だと気付く。
しかも、安達が付けたあだ名で斉木はいじめられていた。
斉木が起こした事件の責任は、過去の自分の行いにあるなではないかと衝撃が走る。
斉木は事件を起こした後、自らも命を絶っており、動機がわからい。
この事件により、安達だけではなく、安達と同じように斉木をいじめていた同級生や斉木の両親、被害者の家族、斉木の事件に遭遇した参加者たちの考えが少しずつ動き出す。
この話は、誰にでも起こりうる可能性があるものかもしれないものかもしれない。
2025.12.3
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ネタバレ人ひとりを殺したら死刑になる世界の連作短編
この本を手に取ったのは、最近SNSで蔓延している私刑について、それがどうというわけではないけど、それが行き着く先の一つとしてこんな世界もあるかもなとか思ったから。
あと、ずっとエンタメ100%の小説ばかり読んでいたのでたまにはエンタメの中に社会的メッセージありそうな作品を読みたくなったから。
勝手にメッセージ性の強い作品である思っていたけど、実際そんなことはなくて、ただ人を殺したら死刑になる世界線の事件の話。
無論そのルールの弱点(殺さなくても両腕切り落として眼球くり抜いて舌切られたら殺してるのと同じじゃない?とか、過失で殺しちゃったらどうなのと -
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5人の幼なじみ。別荘で旧交を温めた夜、一人の女が一人の女を撲殺し、その罪を告白する。後日弁護士が残された2名の男と1名の女に真相を知るためインタビューする、その書き起こしという体裁のミステリー。
3名とも加害者は5人の中で最も殺人を起こすような人物ではないと語り、幼なじみ同士恋愛関係はないと語るがしかし…。
てっきり当夜何が起きたのかを検討して事件の真相を明らかにする展開になるのかと思ったら、始終グループ内の相関関係が二転三転明らかにされていくという展開だった。タイトル通り、5人相互の不当辺な距離感の関係が描かれてました。
ところで犯人の女性は父権主義など旧弊な価値観を嫌っていて、昔な -
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複数の人物からのアプローチ、無関係と思われる人物らの以外な接点、点が徐々に繋がり線になっていく展開は著者の得意とする手法であり、本作でも持ち味が発揮されている。
だが、部分的な繋がりを見せるが全てが完璧に絡まり合う事はなく、少しモヤモヤする章が多い。また似たようなエピソードがあり、必要性に疑問を持ってしまう章もあり後半で失速気味。
また、終盤で物語の肝である「最初のトベ」が明かされるが、違和感を覚える章があり多くの読者を途中で気づくはず。
消化不良の部分も多いが、テロを起こすレジスタントの行動心理には現代日本が抱える問題が数多く内包されており、フィクションと思えないほど真に迫った内容だっ -
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ネタバレオチが綺麗すぎて、微妙だった。「時系列がずれている、主人公が犯人」というのは、なんとなく予想がついてしまったし、現実離れしすぎていてミステリーとしては無理があると思ってしまった。同列の時系列に見せるためのミスリードが荒く感じてしまった。「娘を殺された元警視課長が現警視課長の娘を狙う」というのが特にしんどすぎるなと。しかも単純に話に展開があまりなく、終始冗長に感じてしまった。謎が最初から最後まで、「犯人は誰か」のみだったため、物語に推進力がなかったのだと思う。自分の地元がこき下ろされていたのは面白かった。愛人の負けん気の強さと繊細さが魅力的だった。