【感想・ネタバレ】夜想のレビュー

あらすじ

事故で妻と娘を失い、毎日を惰性で生きる雪籐(ゆきとう)。ある日落とした定期を拾ってくれた若い女性に、雪籐は胸を衝かれた。彼女は涙を流し「あんまりかわいそうなので、つい……」と言ったのだ。その女子大生・天美遙は、物に触れるとそこに籠もった“思い”を読み取る不思議な能力を持っていた。悩む人の相談にのる彼女の力をもっと広く役立てようと、雪籐は仕事をやめ、会をつくるが…これは新興宗教の誕生なのか? 魂の救済を描く、圧巻の感動巨編。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

空白の叫びが良かったので、そのまま連続で貫井さん。
なんやかんやで3連続(冊数で言うと5冊連続)
多分これで貫井さんの積読終了かな?
新しいの仕入れなきゃw

さて、久々にどう書いたらいいか悩ましい。
というのも、とてもいい作品すぎて稚拙な表現をするのが怖いし申し訳なく。

共感あり、衝撃あり、涙あり、どういう結末を迎えるのか、ハラハラドキドキの逸品でした。

貫井さんはほんとに凄いな。
だからこそ、やめられないのよね。

有意義な読書タイムをありがとうございました
この読後感を噛み締めつつ

個人的には『八日目の蝉』の読後感と似てるかな。
内容は全然似てないんだが、うまく説明できないけど、なんか似てるのよ。
感覚なので反論は受け付けない。

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2025年10月27日

購入済み

最後まで目が離せませんでした

途中、何が虚で何が実か分からなくなりかけて怖がりながら読みましたが、さすがは貫井氏でした。
ただ、もう少し続きが欲しかった。

#切ない #深い #怖い

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

救済がテーマ。ダイナミックとは言えないストーリーを、この長さで飽きさせずグイグイ手繰りよせるように読者を導く手腕、貫井ワールドの真骨頂です。この作品も素晴らしいです。益々ハマっていきそうです。

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2017年12月01日

Posted by ブクログ

ずっしり重たい、この雰囲気はまさに貫井さん。
もう大好きで心酔します。しかもテーマは新興宗教。

新興宗教団体が出来上がって、怪しい世界に変わっていく、そんなドラマかと想像してたけど、全然違った。

悲しみや苦しみの真の姿はこうなんだろうな、と。
2つの線が最後に繋がって、そのあたりは圧巻。

かなりの長編だけど、あっという間に読んでしまった。

貫井氏の「神の二つの顔」、のような独特な崇高な世界感がたまらない。

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2017年09月30日

Posted by ブクログ

雪滕の妻子を失った悲しみの描写が酷くリアルで、貫井氏の文体に自分の感性がぴったりハマってしまっていることを感じる。天美との出会いから、それに固執し、依存し、徐々にまた壊れていく雪滕の精神構造の様子が痛々しい。その精神構造破壊の進み具合が絶妙。相変わらず人物の描き方も卓越しているし、メーター振り切ってぶっ壊れている人を描くのも上手し。宗教の怖さではなくて、宗教にハマっていく人の精神構造が怖い。もっと言えば、誰にもその破壊の過程へと陥る可能性があるからこそ、身近に感じられて怖い。慟哭とは違い、最後に救いがあったのも個人的には素敵だと感じた(ここは賛否両論だろうが)。マスターありがとう。

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2017年01月30日

Posted by ブクログ

『こんなふうに思ったんです。悲しみってのは絶対に乗り越えなきゃいけないものなのか、と。悲しければ悲しいままでいてもいいんじゃないか、とね。

悲しいことや辛いことには、立ち向かっていかなかなければいけないように考えてしまうじゃないですか。それを克服して心の奥底にしまい込まなければいけないと、義務のように感じてしまいますよね。でも本当はそんな必要ないと思うんです。

どうしても乗り越えられない悲しみもあるんですよ。だったら、無理に乗り越える必要はない。乗り越えられないことを恥に感じる必要なんてないと、私は思うんですよね。』

最後の3章がすごい。
みんなが世界を見たいように見ているから、すこしずつ世界はずれていく。そのずれを直すことは非常に難しい。そんなことを考えさせられる作品。

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2015年07月22日

Posted by ブクログ

悲しみを乗り越える必要はない。楽しい気分で心を上書きすればよい。楽しいとは、他人に喜んでもらえること。自分を救うのは自分自身しかいない。自分の為に楽しみをみつけよう。
この物語の主人公・雪藤が最後に悟ったことである。新興宗教めいた言葉であるが、宗教の教えなど必要ない考え方である。
「真沙子と美悠がいなくなったあの日以来、初めて人のために笑うことができた。」・・・涙がこぼれた。

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2012年09月25日

Posted by ブクログ

デビュー作の慟哭も衝撃的で面白かったけど、それよりずっと洗練されて、重いテーマだけど読みやすかった。

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2011年10月12日

Posted by ブクログ

ぞわぞわ怖いけど、続きが気になる。
そんな感じで読んだ。
面白かった!
辛い時どう乗り越えるか、考えさせられるなぁ。

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2023年03月19日

Posted by ブクログ

新興宗教の様な団体が自然発生的に出来上がっていく様は、面白かった。深い悲しみがあった時に、同情ではなく共感が欲しいと思う気持ちがよくわかります。雪藤と子安嘉子の話が同時に進みますが、精神崩壊や救済について明暗でした。救ってくれるのもまた人ですね。

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2017年04月05日

Posted by ブクログ

絶望の度合いというのは人によって違うのだろう。
どんなことでも、例えそれが他人から見て些細なことだったとしても、心が深く暗い穴に落ちていくきっかけになる。
耐えられないほどの哀しみに襲われたとき、きっと人は自分を守ろうとするのだろう。
生き続けるための防衛本能が働き、気づかないうちに周囲に壁を作ろうとする。
今以上に傷つかないために、もうこれ以上に哀しまないために。
宗教というのは何だろう?
どうして人は宗教にすがろうとするのだろう?
人は人によって支えられ、人を支えることで生きていく喜びを得る。
誰かに頼られること。
それは自分自身の存在意義にもなる。
宗教というものがよくわからないのだが、観念的なものだと思っている。
信じればそこに真実が見えてくる(見えているような気がする)のだろうし、信じなければ何ひとつ得るものはない。
だって形のないものだから、目に見えるものじゃないから。
ずっと雪藤が彷徨っていた世界は閉ざされた世界だった。
誰も入り込めない。誰の言葉も届かない。
自分で抜け出すしか前に進む方法はない。
自分をありのままに認めることは難しい。
普段でさえ難しいことを、まして雪藤のような状態では尚のこと難しいだろう。
「元気を出して」
「頑張って」
励ましの言葉が逆に人を追い詰めてしまうこともあるのだ。
ありのままの自分。
弱さも、狡さも、どんな自分でも受け入れる。
雪藤がようやくたどり着いた心境は、それまでが過酷だったからこそもう揺らぐことはないだろう。
光の見える結末でよかった、と思える物語だった。

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2017年03月20日

Posted by ブクログ

事故で妻子を亡くした雪籐は、偶然町で出会った美少女の天美遙の特殊能力に救いを求める。
彼女の力はやがて多くの人を虜にし、活動は膨れ上がっていく。
やがて宗教化していくが、そこには幾つもの壁が立ちはだかる。

2017.1.8

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2017年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本筋とは関係の無い娘が家出した母親の話が時々割り込んでくる。それが、本筋と交差した時に伏線が回収される、ってのはよくある話だが、最終的にその母親と主人公である雪藤の状況が見事に対比されているわけだね。
ミステリーとしてのどんでん返しも中々良いし、不幸からの救いの話としても味わい深い。

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2016年09月12日

Posted by ブクログ

これまで宗教や占いを信じる人の気持ちがよく理解できなかった。でもこの本を読んだ後なら理解できる気がする。

何かに救いを求めることは悪いことではない。でも、自分を救えるのは結局自分自身しかいない。今の現状を嘆くのも前向きに捉えるのも自分次第なのだと改めて教えられた。

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2016年05月14日

Posted by ブクログ

貫井さんが得意な宗教モノです。
心に深い傷を負うと何かに縋り付きたくなるんですかね~。
周りが何も見えなくなってしまった主人公の行動が痛々しいです。それよりもっと痛々しいのは、あのおばさんなんですが。。。

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2014年08月07日

Posted by ブクログ

人はみな誰かに依存して生きている。
誰かに救われたいと願っている。
でも自分を救えるのは自分だけなのだ。
そう教えてくれる本です。
悩んだときにまた読みたいです。

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2013年06月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人の心は弱いんだなぁ、と再認識を繰り返しながら読み進んだ。
登場人物の誰もが、他人に依存している。
新興宗教に群がった人たちなので仕方ないといえば仕方ない。

出て行った娘、亜由美を支配し続けようとする母親の身勝手さに、彼女登場する度に辟易した。
北條メンタルクリニックは衝撃の結末だったが、貫井さんの本を読んだ満足感を一番色濃く味わえた瞬間でもあった。

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2013年05月11日

Posted by ブクログ

妻と子を交通事故で亡くした男が、人の心を読む力のある女性と知り合い、救いを求めるあまり、宗教化へ突き進みやがて破局を迎える話。
人のエゴがたくさんのひとを巻き込んで本当に良いことが見えなくなっていくさまは怖い。あまり触れたくない部分をうまく書いていてそれほど不快感を感じずに読めた。

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2012年03月03日

Posted by ブクログ

処女作『慟哭』と通じるテーマである“救い””宗教”を描いています。ただ、”宗教”の部分は「慟哭」と大きく違い「内」から描かれています。テーマに比して重すぎない、だけど軽すぎない微妙なラインを渡りきった作品のように思いました。

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2011年09月21日

Posted by ブクログ

貫井さんの小説は、個人的に合う合わないがはっきりするのですが、この本はとても楽しめました。話は重いのですが、最後には感動が待っています。

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2012年08月04日

Posted by ブクログ

相手の所有物を持つと、その人の感情を読み取ることのできる能力をもつ遥。その遥に救われたサラリーマンの主人公雪籐が、彼女の能力で1人でも多くの人を救いたいと組織を作っていくという物語。
世間的には怪しげな宗教として見なされる中で、宗教ではないと奮闘していく姿は本当に孤独な戦いとして描かれている。
並行して、娘が失踪した中年女性の物語も展開するが、この女性が遥とまさかこのように絡むとは!というのが想像していなかっただけに驚き。
貫井さんの作品は好きで良く読むのだが、多少毛色が違っていて面白かった。
ただ、ストーリーが分かってしまうと2度読みはしないかな。

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2024年01月23日

Posted by ブクログ


途中までかなりのハイスピードで読めたが、最後に近づくにつれ、不穏な雰囲気になり…

死にたいくらい辛い時、宗教に頼りたくなる気持ちにうまくつけ込んでくる人はどの時代にもいる。

事故で目の前で妻子を亡くした雪籐は仕事にも身が入らずミスを連発。だんだん周りの人達が自分を鬱陶しいと感じていることに耐えられなくなり、退職。
ここまでにも、すでに亡くなった妻と夢の中で会話している。
そこまでは全く無いとも言えないが、だんだん現実と理想の境界が無くなり、狂っていく様子が、恐ろしくよくわかる。

特に天美遥と出会ってからは、加速度的に変わっていく。

境界が無くなるのは、雪籐だけでなく、田舎からいなくなった娘を探しに東京に来るおばさんも同じ。

辛い目にあった人は、この境界線をギリギリのところで綱渡りしていると思う。
身内が亡くなるのは、本当に身を裂かれるような辛さなので、話しかけてしまうのは、そうだと思う。
周りに助けられて、何年も過ごし、だんだんその人の不在に慣れてくる。
亡くなったことを認めつつ悲しい気持ちも忘れずに。

雪籐はいいカウンセラーがいてよかった、と最初のうちは思っていた。
でも最後は違っていたことがわかる。
なんとも恐ろしい話。

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2021年08月08日

Posted by ブクログ

ちょっと前に岬一郎の抵抗という本を読んだわけです。
これが結構あらすじが似ていて、特殊能力を持った人が
良い人で、それを熱心にサポートする主人公との
ドタバタ劇、だったんだけども。
途中まで読んでいて、なにこれー、一緒じゃんかー、
展開も変わんないじゃんよー、と上から目線で読んでいたものの、
あっちはSFっぽくて、こっちはもうちっと情緒的というか、
他にも幾つかネタ元がありそうなのもあったりしつつ、
最後はええ話やね、って事になってた。
あと北条先生がエロい描写になっているのがフロイトあたりの
考えでは何か意味があるのか、この裏に潜むものは何なのか、
とか考えたけど、結局このおっさんもそういう人が好きって事なんか、
って勝手に納得した。徹底的に恋愛ネタを避ける主人公に
むしろ溜まりに溜まったものを感じる。

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2018年11月30日

Posted by ブクログ

死んでしまいたいぐらい辛い事があった時、人に縋りたい気持ち....気持ちは一時的には楽になるだろうけど
宗教は救ってくれやしない。

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2018年02月22日

Posted by ブクログ

新興宗教をテーマにした物語。
救いと狂気の揺らぎの中から、宗教の本質?に迫っていくような物語でした。

新興宗教やカルト集団がどのように立ち上がっていくのかが理解できる物語です

主人公雪藤は事故で妻子を失って絶望の中惰性で生きている人物。そんな雪藤が遥と出会ったことから、人生が変わっていきます。遥はその人の触れたものから気持ちを読み取ることができる特殊能力を持つ人物。たまたま雪藤の落し物に触れてしまったときに雪藤の心の絶望を理解し、共感することで雪藤に癒しをあたえます。

彼女によって救われたと信じた雪藤はこの経験をより広く人に知らしめたいという活動をすすめ、ついには「コフリット」という会員制の団体を立ち上げます。
新興宗教ではないと位置づけながらも、設立の想いから組織がどんどん肥大化し変貌していく中、自分の立ち位置を失い、狂気じみていく雪藤。
スタッフとの軋轢の中、疑心暗鬼になりながらも、ようやく開催にこぎつけた講演会で起きた悲劇。
再びの絶望からようやく気がついた真の「救い」。
といったストーリ展開です。

「救われたいと願っているうちは、決して苦しみから逃げることができない。自分を救うのは自分自身」

暗く重いストーリの中、最後の最後で「人のために笑うことができた」主人公が真の意味で救われた瞬間でした。

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2017年07月01日

Posted by ブクログ

技巧派ベテランの力作なんだけど、ややマンネリ・新機軸無し、と評論家ウケがイマイチな2枚組アルバム、って感じ。クオリティは安定も、迫力不足は否めない。どこでひっくり返すのかな?とずっと期待してたのに最後までひっくり返らない。貫井作品にしては珍しくストレートです。

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2015年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うーん、宗教の話?
人は弱った時に何かに頼りたくなるもの。人から言葉をもらって生きる自信をもつのは悪い事でないけど、結局、自分が前に進もうという気力がないと何も始まらない、って感じかなあ。
貫井作品の中ではあまり好みではなかったかも。

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2014年04月27日

Posted by ブクログ

家族を突然の事故で失った雪藤は、その絶望の中から救ってくれた不思議な能力を持つ女子大生、遥を中心に教団をつくり上げる。どの様にして新興宗教、カルト教団などが発生するのか参考になる。専門的な解説は期待できないが、切っ掛けとしては十分である。続編として、小さな集団から巨大宗教に成長するストーリーを期待したい。

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2014年04月11日

Posted by 読むコレ

ズゥーンと重たい方の貫井作品。やはり読んでいても
なんだか精神的疲労を伴うのですが、それが決して
不快じゃないんだから、やはり凄い。
ミステリ作家の描く宗教作品の場合はどうしても
カルトに寄ったものが多いイメージですが、今作は
もうガチでテーマが救済だけあって、まるでイメージ
したものと違ったのも自分にとっては良かったような
気がします。

本当の絶望の中から抜け出すという事。救済とは
どういう事なのか。そして新興宗教というシステム。
様々な事が絡み付きながら、ゆっくりと静かに
ストーリーは常に破滅ち終焉を孕みながら進んでいく様は
ある意味圧巻で、ページを捲る手と目を休ませてくれません。
主人公の「雪籐」の視点のパートと、母娘関係の破綻から
家出した娘を探す主婦「嘉子」のパートが挿入されて、
展開されるのが少々疑問だったのですが、終盤にその
2つのパートが交錯し、この2人が繋がってくる時の
恐怖と驚愕は、流石ミステリ作家。救済をテーマにしながらも
ただ重く描くだけではないところが流石。

500P越えの長編ですが長さを感じず、かと言って
軽く読み流せる訳ではない、貫井さんらしい楔を
打ち込むような作品。そして珍しく読後感は...
悪くないです。

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2013年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

事故で妻子を失い、生きる希望を見出せなくなった男が、ある特殊な能力を持った一人の少女との出会いにより、生きがいとなる団体設立へと向かう。

新興宗教って、こんな風に出来上がり、膨れ上がり、空中分解していくんだな・・。

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2013年03月05日

Posted by ブクログ

ロマンチックな話を想像していたのに、
内容は人の悩みと苦悩と苦しみからの脱出の話だった。

交通事故で妻と娘を亡くし自分一人だけが生き残った男、雪藤は、妻子を助けられなかったという自責の念から逃れられず、日々地獄の中にいるような生活を送っていた。
そんな中で知り合った女子大生・天美遥は、その人の持ち物に触れただけで、それまでのいきさつや持ち主の気持ちがわかるという特殊能力の持ち主だった。
彼女と話すだけでそれまでの苦しみが、ウソのように楽になった雪藤は、無欲な彼女を励まし、もっと多くの人の苦しみを解いてあげようとするようになる。
やがて娘が東京に出たまま行方知れずだという女性が現れて、なぜか真実がわからないと答える遥に対して不信感を持つようになり、恐ろしい事件へと発展する・・・。

詳しい経緯と人間描写は、以前にあめん坊さんが書かれているので、
私はサラリと述べておいた。

新興宗教というものはこんな形でできていくのかとまずは驚き、
次に特殊能力など無い方がいいと単純に思った。
どうしょうもないほど苦しい悩みを持った時、人は誰かに救ってもらいたいと思うものなのだろう。だから、教祖ともいうべき誰かの元には、人が集まるようになってくる。

だが、教祖も一人の人間であった。
この作品では、教祖である遥自身も自分の力をどこまで人に使えるのか、悩んでいるところが描かれている。

神から選ばれて特殊な能力を授けられたのなら、それを人のために使うのか、金銭目的に使うのか。無欲に人のためにだけ使いたいのに、ビジネスにしようと企む人も遥の周りに集まってくるのだ。

人が集まればどうしても金銭トラブルや人間関係で又地獄を見ることになるのだろう。これもみな人間であることの証なのだろうか。

新興宗教が人の苦しみを救うところに意義があるのなら、人が自分たちでまくトラブルは余計なものだ。苦しみを話して救ってくれる人が自分の近くにいるのなら、誰にも知らせずに、独占しておきたいと思った。

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2017年11月09日

Posted by ブクログ

交通事故により妻子を突然亡くし絶望からただ惰性で生きていた雪籐が特殊能力をもつ女子大生遥との出会いで救われ、遥の能力を人々の為にとコフリットを立ち上げ活動に生きる意味を見いだした雪籐の心の様子が良く書かれて面白く読めた。二人の周りに様々な人がが集まり、狂気の嘉子の異常性もスパイスになった。最後雪籐が自らの力で立ち直る姿に感動。

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2012年10月17日

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