あらすじ
銀行の現金輸送車を襲い、一億円を手に入れろ――。銀行マンの西村は、競馬場で出会った男とすぐに意気投合した。ギャンブルに入れ込む自分を非難する妻から逃げたい。ひと旗あげたい。鬱屈するような日常に辟易した二人の男たちが巧妙に仕組んだ、輸送車からの現金強奪計画。すべてはうまくいくかのようにみえたのだが……。男たちの暗い野望が招いた悲劇を描いた表題作ほか、平和な家庭を突如襲った児童誘拐事件、動物園での密室殺人、ある家族が隠し続けた秘密など、名手が鮮やかなストーリーテリングで魅せる、珠玉の傑作中編ミステリ4編。
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Posted by ブクログ
4つの短編、全部がすごく面白かった。
特に表題作は貫井徳郎さんの思惑通りに。
最後…ん?え?えぇ?となって読み返してしまった。たしかに…そこココにヒントがあるでわないか!笑
久しぶりの貫井徳郎さん。面白かったぁ!
Posted by ブクログ
4作とも読みやすく面白かった。ただどの話ももう少し短くても良かったかも。
特に気に入ったのは最後の話。こういうことなんだろうな、とすぐ分かってしまうけどそれでも先を急ぎたくなるのは作者の文章が優れているからなのかなと思いました。
2作目はやや苦手。海外ドラマっぽい。
Posted by ブクログ
短編集。
かなりフェアな描かれ方をしているため違和感がなくラストが落ちていくが、そのせいで驚きはない。
いや、密室のラストは読めなかった。
確かに読めなかったけど……。
それはどうなの? 硝煙反応は服とかにも付くんじゃないの? とか、そのトリックは実際問題、どうなのよ。とか、思いっきり突っ込みたくなること間違いなし。
とは言え、まあ、読みやすいし、軽い気持ちで読むのならば十分楽しめると思う。可もなく不可でもない安定感があるのだ。
Posted by ブクログ
短編集、というか中編に近いのかな。1話1話はとても読み応えがある。
最初の「長く孤独な誘拐」が一番好みだったけど、ラストが物悲しく(貫井さんらしいけど)、やるせない気持ちになる。
2番目の「二十四羽の目撃者」がいつもの趣向と違う気がする。部隊がアメリカだからなのか、翻訳されたものを読んでるような。
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短編だけど非常に濃い作品ばかり
個人的には、「長く孤独な誘拐」、「光と影の誘惑」が好きかな。
特に「光と影の誘惑」は長編で、読んでみたいです。
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貫井さんの4編からなる中編集。
どれも密度の濃い作品ばかりで、それぞれ違った面白さがあり、
ある程度予想して読み進めていたとはいえ、
最後にはあっと驚かせられました。
シリアス路線もコメディタッチの話も、
長編も短編も、どちらも面白い作家さんだと感じます。
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最初の「長く孤独な誘拐」 身代金を親に要求するのではなく別の子どもを誘拐しろ、というもの。
最後の「我が母の教えたまいし歌」 母亡きあと実は自分に姉がいたことを知る。さらに母と思っていた人は…そして本当の母は…驚く結末だった。
イヤな読後感漂う。
流石だな。
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貫井ファンとしては、この話はどんな方法で読者を裏切ってくれるのだろう?と期待を上げて読み始める。圧倒的な人の心を描ききる筆力に引き込まれるあまり、忘れた頃にいきおい裏切られる。
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貫井さんは既読4作ほどだが、貫井さんらしい嫌な後味の中編4編だった。特に最初の『長く孤独な誘拐』は、子どもが小さい同じような家庭環境だと他人事と思えず、余計に辛い。『儚い羊たちの祝宴』でも自分の子どもで想像してしまい、最悪の気分になったので、出産前に読みたかった。
表題作は久しぶりの叙述トリックで楽しめたが、ラストは救われない。主人公が子どもの誕生日プレゼント資金を競馬でスったくせに、妻のヒステリーにはウンザリとかボヤいてて殺意を覚えたので、読後感は重くはなかった。最後の話もあっさり展開が読めてしまうので、ファンの方以外には勧めない作品かな。
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やはり著者の作品ふ読みやすくておもしろい。
個人的には「我が母の教えたまいし歌」が面白かった。
読み終わったあともう一度冒頭を読み返したら考え深いものがあった。
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ミステリ中篇4つ。貫井徳郎の腕冴えるわたる作品を堪能した。
長く孤独な誘拐
二十四羽の目撃者
光と影の誘惑
我が母の教えたまいし歌
4篇とも本格推理で、読者を謎解きの世界に誘ってくれる手際はすばらしい。が、けして非現実的ではなく、日常的にありうる情景に描かれているので、ひょっとして起こったこと?と思ってしまう。
ユーモラスなハードボイルド調の「二十四羽の目撃者」もいいが、私は嫋々たる「我が母の教えたまいし歌」が好き。各編とも推理を大いに楽しんだことは勿論、推察できたのもあって、それも一興であった。
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4篇からなる中編集。前2篇はいまいち。後2篇はドンデン返しに重きを置いた佳作。競馬場で知り合った男達が現金強奪計画を練る表題作と、ある家族の謎に迫る「我が母の教えたまいし歌」。それぞれのオチはやや強引だが、伏線が丁寧で面白い。ただオチが明かされた途端呆気なく終わってしまったのが残念。確かに想像に委ねるというのも余韻を残す良い手段ではあるが、もう少しその後についても書いてほしかった。でないとまるでドンデン返しのための小説のようで、そこまで積み上げてきた登場人物の心理が置き去りになってしまうのがやや勿体無い。
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中編四編から成る作品集。途中途中に違和感を感じる描写があったものの、表題作には「慟哭」に引き続き見事に騙された。二重誘拐がテーマの「長く孤独な誘拐」は緊迫感に溢れていたし、貫井作品に対するイメージを大きく裏切る「二十四羽の目撃者」も一風変わったテイストで楽しめたが、結末に至るまでのプロセスに唐突な印象が残ってしまうのはやはり尺の問題だろうか。そういう意味では「我が母の教えたまいし歌」はやや強引な設定ながらも徐々に真相へと近づくミステリーの醍醐味を楽しめる作品だった。次回は長編作品を手に取ってみようと思う。
Posted by ブクログ
表題作を含む四編が収録された作品集。
貫井さんらしい重い読後感を残すものが多いのですが、作品ごとに趣向を異にしている為それぞれに違った面白さがあり、バラエティに富んでいます。
そういう意味では、これから貫井さんの作品を読んでみようと思っている方に丁度良いかもしれませんね。
特に印象に残ったのは「二十四羽の目撃者」。
軽快でコミカルな雰囲気はちょっと意外な気もするのですが、同時に作風の幅の広さも感じました。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
銀行の現金輸送車を襲い、一億円を手に入れろ―。鬱屈するしかない日常に辟易し、二人の男が巧妙に仕組んだ輸送車からの現金強奪計画。すべてはうまくいくかのようにみえたのだが…。男たちの野望が招いた悲劇を描く表題作ほか、平和な家庭を突如襲った児童誘拐事件、動物園での密室殺人など、名手・貫井徳郎が鮮やかなストーリーテリングで魅せる、珠玉の中編ミステリ4編。
Posted by ブクログ
貫井徳郎の短編集というのは多分初めて読む。四篇あるどの話も途中で真相がわかってしまうが、それでも物語自体が面白いので満足できた。「長く孤独な誘拐」ではハラハラする緊迫感を味わえ、また舞台がアメリカで登場人物もアメリカ人という、翻訳物のような「二十四羽の目撃者」も、珍しい作風で興味深かった。
Posted by ブクログ
創元推理に掲載された二編に書き下ろし二編を加えた中編集。どれも水準クラスでトリッキーな仕掛けが施されています。
ベストは【光と影の誘惑】。二人の思惑の違いによって生じる緊張感を最大限に高めてから落としていますし、クライマックスまで違和を感じる部分もないので切れ味は抜群です。
ただ、巧妙に伏線が張られていないので傑作には至らない印象です。
【我が母の教えたまいし歌】はオチが見え易いのは残念ですが、見せ場までのプロセスが良く出来ているのでお気に入りです。