福澤徹三のレビュー一覧
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【正義か悪か。決めるのは強者だ。】
条川署クロニクルシリーズの第一弾。
冤罪で左遷されたかつてエースだった警察官と職を失い多重債務に苦しむ息子。うだつの上がらない暴力団幹部の男。
3人は巨大組織が絡んだ事件に巻き込まれていく。
息子のクズさ加減にイライラしつつも、章が短いかいため読みやすく、一気に読んでしまった。
“闇金ウシジマくん”の雰囲気が漂いつつ、ラストに掛けて窮地に追い込まれていく様子はハラハラし、面白かった。
会話は方言がでてくるので多少読みづらさはあったものの、暴力団が出てくる小説としてはいい演出効果なのかもしれない。
気の緩みからあっという間に転落していく様がリアルで怖 -
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物件、つまり家や土地にまつわる怪談集。
表紙に並んだ著者名を見てほしい。
どれもこれも怪談の名手じゃないか!
一作品既読があるだけで、他は全て初めて。
なんだよー全然怖くない、なんて思っていたが、やっぱり夕暮れ時から夜にかけて思い出したり読んだりするとぞわぞわする。
「牢家」は、座敷牢というキーワードに引っかかってしまうと、最後にひっくり返される。
そして、ホラーにはお決まりの(作中でも言及されているが)地元の老人が「はいっちゃいかん!止めろ!」という。
もう絶望しか無いフラグが立つ。
そしておそらくその通りになる。
が、みなまで言わず余韻を残すところは作者の技量。
大島てるの「旧居の記 -
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侠飯8作目。
今回は屋台の賄い編。鉄板でじゅうじゅう焼けるソースの匂いが漂ってきそうな相変わらずお腹の鳴る一冊。
今回の悩める若者は底辺ユーチューバーの葉室浩司。伸びない再生回数と、最近つれない彼女に悩んでいる…。彼の口から何度も出る「親ガチャ」という言葉。10代の学生ならいざ知らず、大学まで出させてもらった24歳が何を甘えたことを言ってるんだ…と思ってしまう。
絵に描いたような悪者が正義(見た目はヤクザ)に成敗されて大団円。清々しいほどの勧善懲悪がこのシリーズの醍醐味。今回も堪能しました。
柳刃さん、前回パックご飯の美味しい食べ方伝授してくれたのにそれは今回は出してこないのね。ラストにちょこ -
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購入済み
死者は何も出来ない
世の中には、説明出来ない怪異や不思議が溢れている。
この作品もそんな話が詰まっている。オチも無く、ただ不思議を楽しんだり怖がったりした。
ただ、怪異のせいで家族や友人が亡くなる話は正直気分が悪かった。
怪異で人は死なない。
死者は何も出来ない。 -
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一応、「家」にまつわる怪談、ということになるのかな。(読んでいる最中それが強く意識されるという感じでもないのだけど。)
全体的にはきちんとそれぞれ「作品」になっているので、素人っぽいノリで集めた聞き書き怪談、みたいな雰囲気ではなく、しっかり読み応えがあるものが多かった。
ただ、なんというか、「物件」と冠されたタイトルと内容とはちょっとズレがあるように思う。「怖い家」くらいの方が適当なんじゃないだろうか。あんまり、不動産としての物件にまつわる怪という方向性ではないので、いわゆる事故物件怪談みたいなのを期待していると「およ?」となるかも。
個人的に印象に残ったのは、福澤徹三『旧居の記憶』、黒 -
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一 書かない作家
<旨さと驚くポークソーセージと冷奴>
二 センセイと大先生
<ビールがノンストップの餃子とモヤシ>
三 作家の視点って?
<これだけ知ればステーキの旨さ倍増>
四 無料で読める名作短編
<昭和なスナックの激ウマおつまみ>
五 なぜ本が売れないのか
<史上最強のモツ煮と白菜キムチ>
六 ぶっ飛んだ作家たち
<人生でいちばん旨い鮭ごはん>
入社ほやほやの文芸編集者・山野内和真が担当するのは「書かずのチクリン」の異名をとる竹林賢一郎。
東京のはじっこ・高尾山の麓にある瓦葺の一軒家に一人住まいで隠居同然の竹林は、もう何年も新作を出していない。
のらりくらりの竹林は -