岸本佐知子のレビュー一覧
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ネタバレ独裁を行うためのメソッドが満載。
・内をまとめるために敵を作る
・大きな声と断定的な口調で一目置かせる
・自分に従う者の自尊心をくすぐる
・マスコミを抱き込む
・中身が不明な全面委任を信頼(忠誠)の証とする(踏み絵的な活用でもある)
・時に武力行使も辞さない(刃向かうとこうなる、を早々に示す)
現在の国内外の政治にも通じて、薄寒いものを感じます。
最後フィルは自滅したようなものだけど、このまま独裁が続いていたらどうなったのか。独裁下での一時的な治安維持がしばらく続いていくのだろうか。
現代でもこのまま自然破壊が続いたら、「創造主」が天災という形で粛清してくるかもしれない、と想像しました。
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Posted by ブクログ
頭くらくら、胸どきどき、腰がくがく、おどる言葉、はしる妄想、ゆがみだす世界は、なんだか愉快。 奇想天外 抱腹絶倒のキシモトワールド。 ――帯より拝借――
岸本さんはまた多少自虐的に面白い日常を話してくれる。そこのところが同病持ちの私にグッとくる、思い当たる節々が多い。
博識でエピソードが笑える。読者にはそういう所がうけるのかも。読めば読むほど妙に嬉しくなり、相憐れむ心地よい気分になる。
あるあるぅ~という日常の出来事に、えへへ笑いを隠して読む。
時々読み返すように机の隅に置いてある岸本本も四冊目。これを読んで納得したり同じ世界に行ってみて煙に巻かれたり、日ごろのうっ憤を晴らしたりする。晴れなかったらもう一度読む。「身に覚え」を共有する。時には私だってこれでいいのだ、と思える強い味方の一冊
52編のエッセイとフィナーレ付き
1編が3ページに統一されていて、1ページを使って愉快なイラストがつく2019年の初版だが
それぞれ、締めの一言が誰かに話したくなるほど利いている。
52編の感想は多いし読むたびに違うので今日の笑いを少し。
・「ふるさと」
横浜の日赤で生まれたと思っていたら母は寿産院だといった。がっくり来たが寿町っていえば日本三大ドヤ街と知って、ワクワクした。そして寂しい夜更けなどに、小さな声でこっそり「どらぁ」と言ってみるのだ。
例えば
・「哀しみのブレーメン」
あまり外に出ないがたまに外に出ると興奮して喋り過ぎたり酔いつぶれたり、サイズ違いの服を買ったり座談会では緊張して「あう、あう」としか言えなかったり。膝を抱えて家の中にある「ダメなもの」を探す。でもそんなものにも優越感のはずが親近感を覚える。
・「洗濯日和」
物干しざおの端っこのキャップが外れてどろりとした赤茶色の液体がベランダの床に広がった。なんだこれ錆びなの?泥なの?キモいんですけど。ひょっとして有害物質?それとも宇宙からの生命体かなんか?
一方意識がドロドロの方にも行って、わっ何ここ、まぶしいんですけどこれどういうことやばいやばい、帰りたいです元の真っ暗がいいです。
中に新進気鋭の者もいて、ひゃっほう、やった苦節十二年おかしいと思っていたんだ。世界がこんなに真っ暗で狭くて細長いはずはないって、ああ。ああ。この色彩。この風……どこまでも広がっていける無限の空間。生きている。私は今生きている!
又 物干し竿は深く恥じていた。
ああなんてこと。自分の中からこんなものが出てきたなんて。……銀色メタルの直線の硬質の輝くボディのこの私が。ああ恥ずかしい。死んでしまいたい。でも何なのだろう、体の中にぽっかりと空洞ができてしまったようなこの感じは。もしやこれは寂しさ。なぜならあのドロドロは私が十二年かかって育んできた自分の分身。すこしずつしみこんだ雨水と自らの成分とで醸したわたしの大事な子ら。行かないで。帰ってきて。ほら、もう一度、この中に。私の胎内に。
三つに分かれたまま、私は長いことベランダに立っていた。
ドロドロを拭かねばという思いとどこまでも自由に広がりたいという思いと戻りたいという思いと恥と喪失感とその他何やかやのベクトルが均等に引き合って、微動だにすることができなかった。
台風が去ったあとの、からりとよく晴れた洗濯日和だった。
季節外れの黄色い蝶がひらひら飛んできて、サンダルの爪先に止まった。
というような異世界浮遊中の岸本節が素晴らしいです。ホント。
これこそこれこそ『中二階』の翻訳者。
なにか心の底に重いものでもあれば、その時読むと少しは軽い気持ちになれるかも?
かも!
中二階 へ -
Posted by ブクログ
一度に1人しか入ることのできない『内ホーナー国』と、その国を取り囲む大きな『外ホーナー国』の話。内ホーナー国に1人が入っている間、他の住人は外ホーナー国の領土内にある『一時滞在ゾーン』で身を寄せ合って立って待っている…。
両国の住民として登場するのは、機械の部品や植物を組み合わせたような何とも形容し難い生き物たち。
お互いに睨み合いながら暮らしていたが、ある日、一時滞在ゾーンからはみ出してしまったことがきっかけで騒動に。
そこにフィルが出てきて税を取ると言い出し…。
まさに近代の戦争やジェノサイドを表現していて、それが不変的であることに悲しみを覚える。ちょっと頭の回転が速くて声が大きく、もっともらしく喋ることができるそんな人物に流されていく。世の中がうねりだすと、それを止めるのはとても難しい。
少しでも声を上げたものは粛清され、小さいうちにその芽を引っこ抜かれてしまう。
ジョージオーウェルの動物農場に通じるところのある、この世界を風刺した物語。滑稽なキャラクターと嘘だらけの政治。読みやすくわかりやすい。身につまされる思いだ。
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2000年ごろからの、あちこちに書いたものをまとめた、というエッセイ。今年は『死ぬまでに行きたい海』に続いて2冊目になるが、それまでの5年間はエッセイの出版はなかった・・・。なしたの?(調べたら、キシモトさんはこのペースでしかエッセイを出していなかった。「それでいい」とまで書いていた、自分・・・)
それにほら、まとめて出すから、370ページにもなっちゃって。半分ずつ、2冊でもよかったのに。でも、ボリュームの割に2300円(本体)でお値打ちかな?
中身を読みはじめたら、たいへんお買い得でした。
1ページと少しくらいの文章が多いので、他の本を読みながら、ちょっとお菓子をつまむように、ひとつ、ふたつと読んでいる。このボリュームなら長いこと楽しめる。
「読み終わった」設定にしないとメインの本棚に並ばないので、そうしたけれど、じつはまだまだお楽しみの最中なのだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ12月になったら読もうと思っていたけどあえてクリスマスシーズンに読む本ではなかったかも…(汗)原書刊行は2013年。短篇集。
バッドエンドの中に少しのハッピーエンド、それはまさに人生じゃないだろうか。
個人的に気になった作品↓
子犬
救いたい形をしていない人の話。
センプリカ・ガール日記
「読み落とした?」って混乱しました。調べちゃいますよね、SG。普通の格差のある生活の中のディストピア。
わが騎士道、轟沈せり
途中までは面白く読んでいたらあっという間に社会的に死んでいた、怖い
十二月の十日
読み終わって少しホッとした。本書の最後がこの作品で良かった。