岸本佐知子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
水が一滴もない土地で、老人たちに洗面器一つで水泳を教えようとする娘(「水泳チーム」)。英国のウィリアム王子をめぐる妄想で頭がはちきれそうな中年女(「マジェスティ」)。会ったこともない友人の妹に、本気で恋焦がれる老人(「妹」)-。孤独な魂たちが束の間放つ生の火花を、切なく鮮やかに写し取る、16の物語。カンヌ映画祭で新人賞を受賞した女性監督による、初めての小説集。フランク・オコナー国際短篇賞受賞作。
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けったいな一冊、って印象。奇談、というわけでもなく、前衛的ってわけでもなく、虚実入り混じった印象でもなく。荒唐無稽な話でもなく、あくまでも現実に即した話なのだけれ -
Posted by ブクログ
先日読んだ吉田篤弘さんの『おかしな本棚』に登場した1冊。
翻訳家でありエッセイストということでありますが、面白すぎて声出して笑ってしまいました。中でも岸本さんが洋酒メーカーでPR誌の仕事をしていた時のライターさんの事をかいた『ヨコスカさんのこと』と『「国際きのこ会館」の思い出』は爆笑でした。これを読んだら国際きのこ会館に宿泊してみたい!と思って検索したら今はもう閉館しているようでショック(TT)
このエッセイの中にも気になる作家さんと小説が紹介されていました。吉田知子さんの短編集『箱の夫』。そして村田喜代子、奥泉光さんなど私の存じ上げない作家さんもいつか読んでみたいです。
岸本さん -
Posted by ブクログ
〈読まずに読む〉とは
「文字を読む」と「先を読む」の組み合わせ。
この興味深い読書会を覗き見できるのが本書であり、笑いたい時にぴったりな本だと私は思っています。
登場人物に勝手にニックネームを付けちゃったり、各々が持ち合わせた情報から推理しつつ皆さん好き放題言ってて(特に三浦しをんさん)、電車では読めないレベルで笑えます。
読後の読書会の模様も描かれているので「罪と罰」のネタバレありですが、読んだことのない「罪と罰」を読んでみたくなります。
「本は読まなくても読める」
「読む前から“読む”は始まっている」
「小説は、『読み終わったら終わり』ではない」
という言葉が素敵だなと思いました。 -
Posted by ブクログ
独裁者が誕生する様子や、同調圧力に流される集団心理などが、ブラックユーモアで語られる寓意に満ちたディストピア小説。
国民が、一度に一人しか住めない極小国と、その周囲を取り囲む大国の物語。ある日、大国の国境警備員が巡回中に、小国からの侵犯を発見。騒動を大国の論理を押し付けて収めたのは、たまたま近くのカフェにいた中年男のフィル。この男、脳がはずれて地面に転がるたびに熱狂的な演説を繰り返し、次第に民衆を魅了していきます。対して、この男が独善的な要求を小国に突き付けるたびに、小国は疲弊していき……という話。
脳がはずれると書くと、面喰らいますが、そもそも登場人物たちが荒唐無稽・奇妙奇天烈な容姿なた -
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おそろしいことに気がついた。岸本佐知子さんのエッセイ集で未読のがなくなってしまった。これから何を楽しみに生きていけばいいのでしょう。…あ、『わからない』って新刊が出てるみたい。
■簡単なメモ
【意識的にオフにする】耳と脳をつなぐ回線を意識的にオフにする。おお、それはやったことがなかった。いろんなものをオフにして楽しんできたけど。今度試してみよう。戻れなくなったらどうしよう。
【一週間】一週間の歌はたぶんみんなへんやと思ってると思う。
【ガミネタ】「ガミネタ」って何?
【気になる部分】そこだけが気になり全体が見えなくなるというのはけっこうあったりします。「それ」が本体のように思えてきます。
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Posted by ブクログ
翻訳者でありオモシロ幻視者でもある岸本佐知子のエッセイ集。
先月小川洋子の『原稿零枚日記』みたいなのが読みたいと思ったとき、なんで岸本さんのエッセイじゃなくてリディア・デイヴィスを選んだんだっけ。『サミュエル・ジョンソンが怒っている』も面白かったので全然いいのだが、謎の遠回りをした気もする。
「ねにもつタイプ」のシリーズに表れでる妄想癖は、思いっきりパラノイアックに描けばサイコホラーにもなると思う。そういう日常が歪みだす異次元に繋がる穴を、ドロップを舐めながら木の棒でツンツン突いて遊び続けてるのが岸本さんって感じがする。老いを感じるエピソードも多いのに、全部がボンヤリと"そういう -
Posted by ブクログ
このところ忙しくて、隙間時間にさっと読めるものを……と選んだエッセイ集、面白かったです
連載エッセイの文庫第三弾、ということですが、私はこの本が初めまして
サラッと淡々とした語り口なんですけど、連続で読むと想像以上にどっしりと重いというか、脳を使うような濃厚さがあります
本当に数話読んでちょうどいいような読後感
でも、一話一話を読んだ限りではそんな風には感じないんですよね
なんでしょうこの感覚、不思議です
自身をぐうたらのダメ人間として描いてらっしゃるのですけど、それが営業的なビジネスぐうたらでなくて、本当に自然なノリのナチュラルぐうたらとして描かれているので、嫌悪感なく親近感と共に読