岸本佐知子のレビュー一覧

  • ひみつのしつもん

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    ネタバレ

    文庫化に伴い11編もエッセイが追加されたというので再読することに。

    単行本は3年以上前に読んでいるが、細部まで覚えていない。
    前回は急いで読んだので、今回は結局全編じっくりと読んでしまった。
    何度読んでも面白さは変わらない。

    エッセイごとにクラフト・エヴィング商會のイラストがあるのだが、これも全く覚えていなかった。
    このイラストが実にいい味を出していて、眺めるのが楽しみになります。

    「じゃむぱんの日」からさほど日数を空けず、岸本ワールドを満喫できてラッキー(^O^)
    レビューは、単行本でしているので省略です m(_ _)m

    追加分のエッセイはまとまっていなくて、バラバラに挟み込まれてい

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    2024年01月03日
  • ひみつのしつもん

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    『単行本『ひみつのしつもん』刊行から、気づくともう四年が経っており、今回もこうして文庫にしていただき、とてもうれしい。文庫化に際しては、単行本未収録だったもののなかから十一本を選んで増量した』―『文庫版あとがき』

    本は単行本の形が好きなので、岸本さんのエッセイ集は全て単行本で所有している。そして、基本的に単行本に持っているものは文庫化されても買い足したりはしないのだけれど、「二割増量」と聞いて手が伸びる。「気になる部分」(2000年)も「ねにもつタイプ」(2007年)も「なんらかの事情」(2012年)、そして「ひみつのしつもん」(2019年)も単行本しか持っていないのだけれど。

    別に著者の

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    2023年11月30日
  • いちばんここに似合う人

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    半泣きのような、半笑いのような。一編を読むごとに、きっとヘンな顔になっている。
    ゾクゾク、ゾワゾワして、しんとする。僕の中の埃が溜まったへこみを押し開けて、入り組んで届きにくいカーブに指をぴたっと添わせてグイグイ突いてくる。
    なんともイタ気持ちいい読後感。しばらく動けない。

    ギュッと腕を身体に巻き付けて、バラバラに解けてしまいそうな自分の形を保つのに必死なとき。一緒にベッドに潜り混んでいる人の寝顔が、見知らぬ他人だと思うとき。バスタブの中で息を止めて、「ねぇ、私は悪くないよね」って呟くとき。
    そんな危うい瞬間を潜り抜けて、残念な今日とウンザリな明日を生きていく誰かさんに、奇妙な回線で、接続し

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    2023年10月28日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    深いどん底のさらに底深くその奥にいても光の方へと顔を向け言葉を綴った人なのだと思う。1番上品なのは自分の過去を笑い話にできる人。ずっと手元に置いていたい一冊。

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    2023年09月28日
  • 短くて恐ろしいフィルの時代

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    理想的本箱の紹介を受けて。おとぎ話。表現されている登場者は、人と同じ。人に例えると残虐といえる行為をするため、理屈をつけて正当化。おとぎ話のようなので客観的に見ることができる。自分のまわりの人に似た光景も見られるし、自分もそうなんだとの自戒にもなる。

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    2023年08月11日
  • 話の終わり

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    トゥーサンが好きなら好き、と誰かが書いていたが本当にそう。奇妙で大好き。
    全ての失恋した人に渡したいし、彼女のような目線で世界をみたい。というか、この本を読むと主人公の目線で世界をみている。本のインパクトの強さよ。

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    2023年08月10日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    著者ルシア・ベルリン自身の半世に材を取った短編集である本作は、「わたし」の一人称語りで、自身を取り巻く苛烈で過酷な環境や人物が描かれる。「わたし」視点の世界なのに、「わたし」の居場所はない。語り手は家族から不当な扱いを受け、学校のクラスメイトから無視され、孤独に浮いている。世界から拒絶されて、アウトサイダーとなっている。

    その様子が独特の筆致で描かれる。訳がとても良いのだと思うが、原文が孕んでいるであろう特殊な「熱気」を感じる文体だ。荒々しく、ギラギラした勢いある近視的筆致のながれの中に、シニカルで冷徹な一文が時折、紛れ込んでくる。著者の説教くさい思想やじめじめした感想はほとんど出てこない

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    2023年07月29日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    原作はもちろんのこと、自分が読んだ邦訳が素晴らしいのだろう、リズムがとても心地よい。いつか原文にもチャレンジしてみたい。
    知性と環境とユーモアと好奇心‥‥どれだけの幸運が重なったら、作者のような文章を紡げるようになるのだろう? 至福の時間でした。

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    2023年07月14日
  • 気になる部分

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    初っ端から心を鷲掴み。著者の頭の中を覗かせてもらっている感じが楽しい。「あ、そういうふうに感じます?」ってのが随所にあって面白い。ぷぷっと笑いつつ、共感しつつの、めっちゃ好みのエッセイだった。個人的に著者にとっても親近感で、私、岸本先生が好きです。

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    2023年07月13日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    彼女のそれまでの人生は毎日毎日退屈なレコードの繰り返しのようだったが、あっと言う間にレコードがひっくりかえされて音楽が始まった。マックスがそれを聞いて、わたしに向かってほほえみかけた。ほらね、愛する人(アモール)、僕らはいまB面なんだ。

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    2023年06月14日
  • ねにもつタイプ

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    た〜のしかった!私は現実より空想の方が好きだから、現実の続きで空想の世界があるのがとても心地よくておもしろかった。

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    2023年05月23日
  • ほとんど記憶のない女

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    なんとかっこよく、へんてこで、小気味がよいのか。
    世界の切り取り方、唐突な出だし、とてもいい。
    一番好きなのは、フーコーとエンピツでした。

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    2023年05月21日
  • 短くて恐ろしいフィルの時代

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    めちゃくちゃおもしろかった。

    ・疑心暗鬼から虐殺までの過程
    ・悪の陳腐さについて
    ・悪事は属人として押し着せられ構造的には何も反省されない
    ・そして繰り返す(多分)

    という示唆深ポイントばかりだった。
    何かにむすびつけずにフラットに読むのもアリ。

    鈴木久美さんの装丁も素敵。

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    2023年05月16日
  • 『罪と罰』を読まない

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    ここ最近のヒット。いや〜みんなの言い放題っぷりが気持ちが良い。ドスコ?馬かな?って冒頭の辺りから爆笑。
    ちょっととっつきにくそうだな〜と避けていた外国文学だけど、やはりキリスト教とかの影響はありつつも、こんなふうに面白がって読めるんだ!っていう大発見だよね。
    後書きでもお話されているように、読む前から読むことは始まっている。あらすじとか見ながら選んでる時、わくわくするあの感じ。そして読んだ後も読書は続く。本はなにより待ってくれるから、良い。その通りだなと。
    誰かと読書会できたら楽しそう!

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    2023年04月16日
  • ねにもつタイプ

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    本屋さんでオリンピックの章を読んで即、購入を決めた。間違ってなかった。 思考が似てる気がして、終始くすくす、楽しかった〜
    「このときのこと、この先も覚えてるんだろうな」って思ったこと、私もある。いろんな記憶が薄れていく中でずっと鮮明なもの。
    読んでいると自分も文章書きたくなるような一冊でした、幸せ。

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    2023年04月05日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    描写力がすごい。キャッチャー・イン・ザ・ライみたいな多くの人がぶち当たるある時期の感情のもつれとかとは違ってターニングポイントにすらならずに忘れ去られた子供時代をよくあそこまで表現できるなと思った。

    ----ここからネタバレ----

    エドウィンが撃つフリして目を開けたことによって安堵するよりも伝記を書くためのプロットを完成させることを厭わなかったジェフかなりやばい

    あと表向きには多くの人が忘れ去ってしまった子供時代の感性を忘れることなく保ち続けたエドウィンの人生と作品話なんだろうけど、ジェフがそこから外れることを許さなかったという感じがするんだよなぁ
    ローズ・ドーンやアーノルドからの影響

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    2022年12月03日
  • ねにもつタイプ

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    この上なくユニークで時にぶっ飛んでて。感動話はないはずなのに、不思議と読後は心穏やかになる色んな意味でミラクルな作品。

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    2022年11月18日
  • ねにもつタイプ

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    ほとんど読んだことがないエッセイ
    どなたかのレビューかな?
    なぜか登録してて手に入れました(・_・;

    わたしもたいがい妄想しまくってますが足元にも及ばない‼︎

    爆笑です!こんな凄い妄想知らない笑笑
    妄想がもう一つの作品に仕上がってます(°_°)
    なんて不思議な方…翻訳家の岸本佐知子‼︎

    爆笑妄想をひとつ…
    富士山に興味があった子供の頃登る事になった話

    プリンのようなゼリーのような不思議な形
    下が青、上が白…その青い土を袋に詰めて帰るのだ
    五号目とはどのあたりだろう?青と白の境い目あたりだったら、不二家の三色アイスみたいに色の変わるあたりを持ち帰りたい‼︎

    どうしよう…次シャンプー・リ

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    2022年10月30日
  • 気になる部分

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    ネタバレ

    岸本佐知子さんが某洋酒メーカーを辞めて翻訳家となり何年か経った33~39歳の時のエッセイで、最初のエッセイ集がこの本です。
    しょっぱなから、「リニアモーターカーは根性とか念力で動いている」と密かに感じているとのたまう岸本佐知子さん。
    最初のエッセイを最後に読むことになってしまったが、この本も、岸本ワールドが期待できそう♪と確信。

    とは言え、遠慮して抑えている感も伝わってきて、円熟した岸本ワールドをさらけ出すまでには至っていない。
    一番面白かったのは、新書版で追加された最後のエッセイで、これだけが2006年(46歳)に書かれたものだから遠慮なく自由だ。
    一度も会ったことのない川上弘美さんとの思

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    2022年10月15日
  • 『罪と罰』を読まない

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    ロシアものは自分に酔う
    こんな本読んじゃってる自分を想像するだけで満足してるかもしれない。
    何冊か読んで途中棄権してる本もあるが、罪と罰も上下巻で揃えて読むタイミングを逃している。

    そこにこの本があると知り、こちらを読んだら読む気になるのか…?なんて
    ちょっと遠回りしてみることに。

    結果、四人の読書会がエッセイのようでもあり
    とてもハマってしまった。
    作家さん達であるから、書き方や持って行き方なんかも自分と比較したりする、そんな会話もめっちゃ楽しい。
    罪と罰を普通に読んでいたらこうは思わなかったと思う。

    ロシアものは難解だ
    だって人の名前も日本人にはとっつきにくい発音(発声)
    それでいて

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    2022年08月20日