岸本佐知子のレビュー一覧

  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    私が読んだのは、単行本で「エドウィン・マルハウス―あるアメリカ作家の生と死」(2003/8)だったけど、文庫化にあたってタイトルが短くなったのが、エレンディラ同様に寂しい。
    岸本佐知子は悪くない。

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    2018年10月17日
  • エドウィン・マルハウス

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    描写がくどくて読むのがつらい小説だった。

    しかし、途中、エドウィンの死が決まり、これは小説を覆す反小説だと確信できたところ、全てがスルスルと飲み込めた。

    なんと野心的な作品だろうか。
    晦渋な小説内小説、小説内批評などを駆使しながら、死をも虚構する小説の見えざる虚構性を突き崩してしまっている。

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    2018年07月14日
  • エドウィン・マルハウス

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    ある天才少年が、夭折した親友の少年の伝記を書いた、という体裁。更には、その著者たる少年もどうやら行方不明になっているらしき導入部分があるんだけど、そこを二重にしている意義はちょっと不明(自分的に、最後までそこが気になったんだから仕方ない)。それはともかく、書かれているのはほんの10歳ちょいまでの短い一生なんだけど、内容はとても濃密。ちょっと気難しそうで、何を考えているのかも分かりづらいマルハウスくんだけど、そのせいで素っ頓狂な行動に出てしまう場面も多く、結構にシリアスな人生ながら、思わず微笑ましくなる部分もちらほら。マルハウスくんを悩ませる脇キャラも個性的で、読んでて飽きさせられない。評判通り、傑作の架空伝記小説でした。

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    2018年06月10日
  • 気になる部分

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    たいして読んでないのに言うのもなんだけど、岸本さんのエッセイ、面白すぎ。さくらももこのエッセイを好んで読んでいた頃と同等の満足度を感じてます。もちろん褒め言葉。”ねにもつタイプ”も素晴らしかったけど、本作はもうちょっと現実寄り。翻訳家としてのコラムみたいなのも掲載されていて、それはそれで興味津々。岸本さんの翻訳本を、もっと読みたくなりました。

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    2018年03月08日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    すげえなこれ。いやまったく騙された。第一部 幼年期 がいまいちピンとこなかったので中断しそうになったが、あるキャラの登場から俄然おもしろくなり… 表紙はのほほんとしてるが、読後は印象が一変する。子供向けじゃない大人向けの本です。いやほんとにw

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    2017年05月25日
  • いちばんここに似合う人

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    他人の生きざまを知るということが、これほど自分を、そして自分と関わってくれるすべての人を救ってくれるとは。孤独に、けれど「何か」を追い求めるそれぞれの主人公が、目の前を通り過ぎていく。私には彼らが何をしたいのか、何が目的なのか分かっている。自分のことは分からないくせに。
    それでも、そのヒントを垣間見た気がする。今日も、いちばん「ここ」に似合う人として、生きていこうと思う。

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    2015年11月25日
  • 気になる部分

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    この人の生きている世界はとても不気味で、すごく羨ましい気持ちにさせられた。こんな目で世界を見てみたい。

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    2015年02月08日
  • ほとんど記憶のない女

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    普段、心の奥底に潜んでいる悲しい事忘れてしまったはずの傷ついた出来事いつもはりついているような不安。大人になったら自信を持って生きていけると思ったのに、何処かに子供の頃と変わらない臆病な柔らかい部分をひらりと描いてくれた。その高い知性と明晰な言葉でひらりとすくいあげてくれた。大切な作家、大切な一冊になりました。

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    2013年12月14日
  • ほとんど記憶のない女

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    そっけなかったり、非常に客観的なのだけれど、静かに揺さぶってくる感じ。1ページだけの非常に短いエッセイも多いのだけれど、わたしはそれが特に好きです。

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    2013年06月16日
  • ほとんど記憶のない女

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    リズム、ユーモア、奇妙な感触、イタチゴッコの様な可笑しな文章…。
    ほぉと唸ってクスッと笑って、時折フワリと感覚に訴えかけてくる、
    そんな著書にすっかりヤラレてしまいました。

    『私が興味をもつのは、つねに出来事よりも、
    その裏で人間が何を考え、どう意識が動くか、そのプロセスなのです。
    出来事は、それを見せるための方便でしかない』
    こうキッパリと言い切る著者の他作品に興味津々。
    今後、未訳作品の翻訳予定もありとの事なので、今からワクワクムズムズとしています。

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    2013年03月10日
  • ほとんど記憶のない女

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    ほんの数行、数ページの短編や旅行記のようなものが51編詰まった本。

    リズムがすごく心地よい。アフォリズムも好み。

    小説は、伝わるならばなるべく短いほうが良いと思っているので、すごく気持ちよく読めた。

    ポールオースターと過ごした日々についての短編も入ってます。
    ポールオースターも同じエピソードを作品として残しているらしい。

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    2011年06月21日
  • エドウィン・マルハウス

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    町の見知らぬ地区に行く感じ、天候が変わったときの海辺の表情の変化、夜の街の徘徊など・・・主人公達はあまり子供っぽくないけど、こどもの頃の心象が鮮やか。

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    2026年10月10日
  • あれは何だったんだろう

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    ちょっとしたことから広がるあれやこれや。著者の想像、連想は果てしない。エッセイが物語になり、時にクスリとさせられる。
    突然出てくる江戸の人、海パンの今後に笑った。

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    2026年10月10日
  • はいつくばって

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    ミランダ・ジュライの新刊が出ている!と思って本屋で手に取った。家にはまだ読み終わっていない『いちばんここに似合う人』があるのに本書を買ってしまったのは、書き出しに心を掴まれたからだ。こんな魅力的なはじまり方があるだろうか。
    あと、過去の作品を読んでから最新作を読むという読み方もあると思うが、何となくではあるが、ミランダ・ジュライは新作があれば新作から読んだ方が面白いような気がした。とにかく今を生きているイメージがあるので、最新を知りたくさせられるのかもしれない。この人は今どんなことをしているのだろう。作品よりもこの人が気になってしまう。

    もの凄く面白かったのだが感想が難しい。男の自分が読んでどこまで共感できているだろうと考えてしまう。男性は楽しめない作品では全然ないので、とにかく多くの人に読んでみてほしい。見方によって感想は様々ありそう。

    女性の更年期がテーマではあるが、性別や年齢を越えて、人生の曲がり角に光を当てる素晴らしい小説だった。 45歳の家庭もある女性アーティストが魂の赴くままに突き進んでいく。あまりにも奔放すぎる主人公の言動に笑いを堪えることができないくらいだが、小説とはいえ女性がここまで赤裸々に心情を曝け出すことに、現代の作家としての覚悟を感じる。
    自分に正直であるが故に、どこかで今の生活が壊れることを望んでいたりするのだろうか。ふとしたことから一人旅を思い立ったことで、築き上げてきたものが壮大に崩れていく。
    ひりひりとした痛みを伴いながら、こちらのちっぽけな倫理をどこまでも飛び越えていく。何故そんなイバラの道を?と思いながらも、いいぞ、もっとやれ!と、いつの間にか応援してしまう。

    歳を重ねると落ち着いてくるなんて嘘なんだろうなと思う。オードリーの若林さんが言っていたが、大人は元気が無くなるから落ち着いて見えるだけらしい。クロマニヨンズの甲本ヒロトさんは、若い人に向けて「歳をとってもイライラするよ」と笑っていた。それが悪いことかどうかは時と場合によるのだろうけど、良い歳した大人だって盛大に転んだりしたいよなぁと思う。
    どうしようもない人間の「どうしようもなさ」が、とても面白い。

    不安定な精神の波に溺れそうになりながらも、何とか自分らしい生き方を探す。歳をとる事は悪いことばかりではないのだ。何もうまくいかなくても、過去に引き摺られながらも、それでも自分の人生を生きていく。強いメッセージを感じて胸が熱くなる。
    そんな切実とした瞬間の連続にも関わらず、全体に張り巡らされたミランダ・ジュライのすっとぼけたユーモアに笑いを堪えられない。どんな感情で読めばいいのか謎のパワーに満ちた奇妙な小説でもある。これは自身の人生も多分に投影されているらしいので、当時の複雑な感情がそのまま入り乱れているからではないか。

    複雑なことは複雑なまま、答えのないそのままの人生が詰まっていて、正解はないのだからもっと正直に生きていいのではないかという作者からの問いかけを感じた。
    この本を読んで救われる人は沢山いるだろうなぁ。大きなテーマでありながら、元気の出る楽しい小説でした!

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    2026年10月08日
  • はいつくばって

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    ・あらすじから想定されるちょっとコミカルな筋。その先からはちょっと予想外の展開をして、最終的には静かな感動(達成感?)に辿り着く。小説を旅になぞらえる比喩があったりするけれど、まぁまぁ長いこの小説を読み終えたその読後感はまさにそれだなぁ、と思った。
    ・自分は男なので、この女性の更年期問題(それだけじゃないけど)に感情移入を完全に出来たかは、あやしい。ただ、「老い」の問題、それに伴う生物的、社会的、経済的な変化という点として見るならば、完璧でないながらも、重なる所は多い。
    ・その上でのある種エキセントリックな、そして滑稽な主人公の行動、その果てにあったちょびっとの癒しにはグッときてしまった。
    ・旅のたとえをしてしまったけど、あと読みながら、特に後半部分は、最近読んだ東畑さんのカウンセリングの本、まさにカウンセリングの道程の様な話だな、と思ったりした。

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    2026年10月05日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    変と恋愛を混ぜると不気味という感覚が残るんだなあと思いました。どこか歪んでるのにその愛というものがあったことをみんな信じている。こんなにも不確かなものはないのにこれだけは言える、みたいな感じで。
    変。変わる。
    人と交わるとどうしても変わっていってしまう。想像のつく未来なんてひとつもない。

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    2026年09月27日
  • あれは何だったんだろう

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    思わず引き込まれて、一気読み。エッセイなのか、創作なのか?そんな思いも、関係なく、単純に面白い作品です。

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    2026年09月26日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    以前、『掃除婦のための手引書』を読んだ時に、いずれはこちらも、と思っていた。どちらの短編集も著者自身の人生経験の豊かさが、題材と詩情の豊穣さに結実している。
    主人公はしばしば学生、看護師、電話交換手、子育てに忙殺される主婦である。それら全てが彼女の人生の諸相だ。ところが小説家だけは登場しない。そこは客体化したことがないのだろう。それとも私が知らない作品にあるのだろうか。

    いずれにせよ登場人物たちの日常が生き生きとして楽しげであることに読者は安心する。それほど彼女の分身たちは我々に愛されているのだ。本書の最後ではついに全てから解放された70歳の老女役で登場する。トレーラーハウスの屋内で、病気のために酸素ボンベを持って移動するという、彼女の終末の姿そのものだ。しかし難病にもめげない朗らかさにホッとさせられた。

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    2026年09月24日
  • はいつくばって

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    ネタバレ

    人生をローラーコースターに例えるのは安直だが、じゃあ登り切った頂点は、あなたにとって、いつなのか?
    そして、そこからの落下は、恐怖?それともスリルに満ちた体験?

    やっかいなことに、このメタファーは、滑り落ちた先で、これにてお終い!さようなら、ともいかないのだ。
    完全停止して下車するその日まで、僕らに待っているのは再び車両を自力で押し上げていく作業だ。もう以前ほど楽々と高くへ昇ることはできなかったとしても。

    ミランダ・ジュライの、“はいつくばって”は、彼女の、彼女たちの二周目のローラーコースターだ。
    もちろん同じ敷かれた軌道には戻らない。
    コースアウトした先にレールがあるかも分からない。


    ふと気づけば無頓着だった若さ/性的な魅力は失われる手前。若い恋人に焦って執着してもモノにできない。幸せな家庭生活は、妻と母を無条件に請け負うことの言い換えだとも気づいている。

    それってミッドライフ・クライシスでしょ、通り過ぎ去れば笑い話だよ、なんて世間の知恵みたいなことを彼女は当然言わない。
    これって何?わたしは何処へ向かえばいいの?
    まっしぐらに全力で落下した後に、冒険と探究が再び始まる。

    つまり本当の問題は、更年期の乗り切り方のハウトゥーなんかじゃないのだ。
    “わたし”がハッキリと気づいてしまったこと。
    それは、ホルモンにコントロールされた身体と欲望が求めるままに人生を生きることではない。
    かといって、旧式であれ進歩的であれ、頭と理性で考えた人生を生きることでもない。

    誰も所有せず/誰にも所有されない、“遍歴する魂”の赴くままに、生きること。
    例え大切な人を傷つけ、損なってしまうことが見えていても、自分の心を誤魔化さずに生きること。

    それは自由であること。

    これは高らかな宣言ではない。
    本作中で示された家族の形のように、紆余曲折の末にパートナーもまた新しいガールフレンドを見つけて、対等な関係性が築かれるといった、物語的エンディングが待っていると期待するのは難しい。
    それでも、墜落の痛みに怯えずに飛ぶのだ。
    ゴミ袋に身を包んで窓枠を乗り越えるのか? No!


    赤裸々で、生身で、弱さをあらわにしながら這いつくばって崖っぷちを前進する彼女は、タフだ。
    “いちばんここに似合う人”の、世界に対して私をハグしてと、泣きべそと共に訴えていた彼女たちはもういない。
    作中で語られる通り、四つん這いの体勢は、“ちょっとやそっとじゃ倒せない”。

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    2026年09月26日
  • 『罪と罰』を読まない

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    好きな作家さんたちが、読まない読書会をするという絶対に面白いだろう!と思い、読んでみました!
    私も罪と罰は読んだことがないです。英訳された本が苦手ということ、文化の違いに戸惑って進まないなど海外文学に対して苦手意識があるのですが、そのおかしいだろうを読んだ4人が共有する場面から興味が湧きました。(4人が読んだということはネタバレになるのでしょうか…)
    何かの折に、挑戦してみたいです。

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    2026年09月20日