岸本佐知子のレビュー一覧

  • 最初の悪い男

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    とてもよかった。自分のルールをガン無視してくる他人と関わるのはしんどいし腹も立つけど関係性は変わっていくし考え方も広がるし自分はもっと遠くまで歩けるようになる、したいと思ってもできなかったことへの勇気も湧いてくる。少しずつ自分を愛せるようになる。

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    2019年06月16日
  • 最初の悪い男

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    ネタバレ

    Amazing! と言いたくなった。笑えて切なくてホロッと最後は泣きそうになるエンディング。ページターナーでした。43歳女性が66歳シングル男性に密かに恋してる所から始まるけど日本の恋愛市場ではオワコンの年齢だ。その主人公シェリルの人生がそこからあれよあれよと、ここどこ?私誰?な感じでスピーディーにモノクロからカラフル人生に変わっていく。一番印象に残ったのはやはりsexual fantsies性的妄想やその描写があからさまなんだけど、ちっとも下品ではないとこ。「おりもの」だなと分かるって新鮮だった。おっぱいが垂れてるとか陰毛に白髪とかウケるけどいくつになっても恋してるっていいなと思う。タイトルはクリーの事らしい。本当に素敵な物語だった。

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    2019年05月09日
  • 最初の悪い男

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    これまでの人生で当たり前のように内在化してきた自分自身の「価値観」や「倫理観」が思いがけない方向からぶんぶんと揺さぶられる。散々振り回されてへとへとになるのに読後感は人と人が愛しあうことへの祝福に満ちている。不思議な一冊。

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    2019年02月15日
  • 最初の悪い男

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    こんなにヘンテコでエキセントリックでユーモアに溢れた作品ってほかにある?

    中年女と若い女が殴り合ったかと思えば、愛し合ってみたり、子育てしてみたり。
    ほんとに意味がわからない展開ばかりなんだけど、不思議と嫌悪感はゼロ。むしろ次はどうなるの?とページをめくる手が止まらない。

    え、これってアリ?そんな問いはシェリルには愚問。
    ぜんぶ、アリ。なんでも、アリ。

    信じられないことが起きるのが、ミランダ・ジュライの小説なんだとおもう。

    本の後ろに書いてあるコメントにすごくいいのがあるので、それを載せておしまい!

    『私たちの愛し愛される能力について、誰にもできない形で教えてくれる。』

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    2019年02月09日
  • 最初の悪い男

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    「最初の悪い男」(ミランダ・ジュライ)

    「例えばシェリルの家の壁から、世界地図が外れなかったとしたら。」


    この物語の主人公、シェリルは43歳独身女性。職場ではある程度の地位を得て、快適な一人暮らしを謳歌している。

    本当の自分とか、生きる意味とか、無くても生きていくことはできる。煩わしさを排除して、毎日なにかを少し我慢しながら。

    空想の世界では饒舌なシェリル。
    人の良い感じがするけれど、その世界では誰かを踏みにじってしまうこともある。

    それはそれで、ひとつの人生。誰にも当てはまる人生。
    自分を感じずとも、生きることはできる。

    だけど。

    世界地図は外れる。ミランダの描く世界はひとところには留まらない。


    望んだわけではない出来事だったはずなのに、足が臭くて暴力的な美人の娘、クリーが転がり込んできて、偶然は必然かのように、シェリルの人生は回り出す。

    世界地図が外れる!
    その展開のめまぐるしさ、生々しさ、ページをめくる手が止まらない。

    前半は、シェリルのイジイジした様子、優しいようで、決して心を開かない様に、読みながらあんなに悶々としたのに。

    新しい価値観に気付いたあとのシェリルの心の声は、センシティブの極み。ヒリヒリと心を打つ。

    そして、声を限りの、
    ノーノーノーノーノーノーノーノーノーノー。

    サンドロップを見たときのこと。虹に似た何かなんてない。美しすぎるエピローグ。ここはもう、何度読み直したかわからない。

    これ以上ない美しい気持ち、これ以上ない悲しい気持ち、これ以上ない優しい気持ちに満たされる。もちろんすごく笑わせてもくれる。会話のセンスが、ずば抜けて面白い。

    あと、これは個人的な意見です、と前置いた上で書く。
    ミランダがこの作品を、子供が産まれてから書いたこともやっぱり作品の手触りがより切実になった要因な気がする。

    生まれたての子を昼夜問わず世話するあの、作中に出てくる言葉で言うところの、
    「洗脳」、の表現。子を持つ前の自分がいなくなってしまうような感覚。
    それでもなにかひとつでも、例えばずっと出なかったウンチがやっと出たりとか、初めて声をあげて笑ったとか、それで帳消しになるようなあの感覚。
    すごくリアルだった。

    奇跡と偶然で、「私たち」はここにいる。
    絶対に、ひとりではないのだ。

    作中の様々なシーンが頭をよぎる度、自転車を漕いでいても、バスに乗っていても、どこにいても、甘やかな痛みが鼻を刺しては目が潤む。

    素晴らしい映画を観終わった後のような読後感。そしてまた始めから、味わうように読み直す。

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    2019年01月27日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    私が読んだのは、単行本で「エドウィン・マルハウス―あるアメリカ作家の生と死」(2003/8)だったけど、文庫化にあたってタイトルが短くなったのが、エレンディラ同様に寂しい。
    岸本佐知子は悪くない。

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    2018年10月17日
  • エドウィン・マルハウス

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    描写がくどくて読むのがつらい小説だった。

    しかし、途中、エドウィンの死が決まり、これは小説を覆す反小説だと確信できたところ、全てがスルスルと飲み込めた。

    なんと野心的な作品だろうか。
    晦渋な小説内小説、小説内批評などを駆使しながら、死をも虚構する小説の見えざる虚構性を突き崩してしまっている。

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    2018年07月14日
  • エドウィン・マルハウス

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    ある天才少年が、夭折した親友の少年の伝記を書いた、という体裁。更には、その著者たる少年もどうやら行方不明になっているらしき導入部分があるんだけど、そこを二重にしている意義はちょっと不明(自分的に、最後までそこが気になったんだから仕方ない)。それはともかく、書かれているのはほんの10歳ちょいまでの短い一生なんだけど、内容はとても濃密。ちょっと気難しそうで、何を考えているのかも分かりづらいマルハウスくんだけど、そのせいで素っ頓狂な行動に出てしまう場面も多く、結構にシリアスな人生ながら、思わず微笑ましくなる部分もちらほら。マルハウスくんを悩ませる脇キャラも個性的で、読んでて飽きさせられない。評判通り、傑作の架空伝記小説でした。

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    2018年06月10日
  • 気になる部分

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    たいして読んでないのに言うのもなんだけど、岸本さんのエッセイ、面白すぎ。さくらももこのエッセイを好んで読んでいた頃と同等の満足度を感じてます。もちろん褒め言葉。”ねにもつタイプ”も素晴らしかったけど、本作はもうちょっと現実寄り。翻訳家としてのコラムみたいなのも掲載されていて、それはそれで興味津々。岸本さんの翻訳本を、もっと読みたくなりました。

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    2018年03月08日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    すげえなこれ。いやまったく騙された。第一部 幼年期 がいまいちピンとこなかったので中断しそうになったが、あるキャラの登場から俄然おもしろくなり… 表紙はのほほんとしてるが、読後は印象が一変する。子供向けじゃない大人向けの本です。いやほんとにw

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    2017年05月25日
  • いちばんここに似合う人

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    他人の生きざまを知るということが、これほど自分を、そして自分と関わってくれるすべての人を救ってくれるとは。孤独に、けれど「何か」を追い求めるそれぞれの主人公が、目の前を通り過ぎていく。私には彼らが何をしたいのか、何が目的なのか分かっている。自分のことは分からないくせに。
    それでも、そのヒントを垣間見た気がする。今日も、いちばん「ここ」に似合う人として、生きていこうと思う。

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    2015年11月25日
  • 気になる部分

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    この人の生きている世界はとても不気味で、すごく羨ましい気持ちにさせられた。こんな目で世界を見てみたい。

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    2015年02月08日
  • ほとんど記憶のない女

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    普段、心の奥底に潜んでいる悲しい事忘れてしまったはずの傷ついた出来事いつもはりついているような不安。大人になったら自信を持って生きていけると思ったのに、何処かに子供の頃と変わらない臆病な柔らかい部分をひらりと描いてくれた。その高い知性と明晰な言葉でひらりとすくいあげてくれた。大切な作家、大切な一冊になりました。

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    2013年12月14日
  • ほとんど記憶のない女

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    そっけなかったり、非常に客観的なのだけれど、静かに揺さぶってくる感じ。1ページだけの非常に短いエッセイも多いのだけれど、わたしはそれが特に好きです。

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    2013年06月16日
  • ほとんど記憶のない女

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    リズム、ユーモア、奇妙な感触、イタチゴッコの様な可笑しな文章…。
    ほぉと唸ってクスッと笑って、時折フワリと感覚に訴えかけてくる、
    そんな著書にすっかりヤラレてしまいました。

    『私が興味をもつのは、つねに出来事よりも、
    その裏で人間が何を考え、どう意識が動くか、そのプロセスなのです。
    出来事は、それを見せるための方便でしかない』
    こうキッパリと言い切る著者の他作品に興味津々。
    今後、未訳作品の翻訳予定もありとの事なので、今からワクワクムズムズとしています。

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    2013年03月10日
  • ほとんど記憶のない女

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    ほんの数行、数ページの短編や旅行記のようなものが51編詰まった本。

    リズムがすごく心地よい。アフォリズムも好み。

    小説は、伝わるならばなるべく短いほうが良いと思っているので、すごく気持ちよく読めた。

    ポールオースターと過ごした日々についての短編も入ってます。
    ポールオースターも同じエピソードを作品として残しているらしい。

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    2011年06月21日
  • 『罪と罰』を読まない

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    読まない という試みが面白くて、とびとびでページを読んで中身を推察するの楽しそうだと思った 想像力は経験値や知識からくる

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    2026年11月01日
  • 短くて恐ろしいフィルの時代

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    読み始めてすぐ、キャロルの描写で「?」となり、キャルの描写で「???」となり、5回くらい読み返した。笑
    訳がすごい!岸本さんらしい。原文と照らし合わせて読んでみたい。

    脳がラックから落ちてからのフィルの大演説がすごかった。何か言ってるようで、何も言ってない。
    あと、何を言っても会話が成り立たない感じ。
    勢いがあって声が大きい人の言葉は、届きやすいのかな…。たとえそれがめちゃくちゃでも。怖。
    脳みそだけは、絶対に落とさないように、気をつけよう。

    「あの、フィル…さん?」ラリーが遠慮がちに言った。
    「お脳、戻した方がかよかないですか?」

    お脳。笑

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    2026年10月22日
  • あれは何だったんだろう

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    岸本さんの本を初めて読んだ。世界観が独特で、夢か現か、はたまた夢か…みたいな文章。ゆっくりとこの世界観に浸りたい気分だった。絵の入るページ、各編の最後でもいいのでは!?となっちゃった、夢に途中でノイズが入る気持ちになった(絵はとっても素敵なんだけどさ)
    クスクスとなるけど読んだ後はあんまり内容を覚えていない不思議な本だった、まるで岸本さんの忘れた記憶みたいだな

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    2026年10月21日
  • 短くて恐ろしいフィルの時代

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    ネタバレ


    おとぎ話から彷彿するのは、歴史の中で何度も繰り返されてきた愚行。作者の言葉「私たち一人ひとりの中に、フィルはいます」にリアルさを感じる。

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    2026年10月18日