岸本佐知子のレビュー一覧
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翻訳者としての岸本さんしか知らないので、はじめて本書エッセイを読んで、へー、こんな人だったのかと思った。
細かいこと、みんなが気にしないことがやたら気になるひとが言葉づくしで書いたエッセイである。
テイストは、昨年読んだ三浦しをんの昔のエッセイにちょっと似ている。
それは20年前のエッセイだったので、さすがに古いなと思った。
本書も初出は20年ほど前のもの。
三浦しをんほどの共時性ニーズはないものの、やはりこの手の本は出版されてから、5年以内に読まないと鮮度が落ちてしまう。
今回は00年代以降の倫理観価値観の変化を大きく感じた。
いまの岸本さんが同じ内容を書くなら、書き方がかなり変わるだろうと -
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問題作。
あとがきにもあるが、ジョージ・オーウェルの「動物農場」を引き合い出されて書評が多く語られているそう。
家畜を擬人化して、独裁体制的な政治を批判しているが、こちらの擬人化されているものは、もっと過激で何が何だか分からない奇妙な物となっている。
ちなみに登場する大統領の姿は「小柄で貫録たっぷり、たくさんの腹、白い口髭、二重顎が小山のように積み重なり、細く頼りない三本脚で支えてる」だそうだ。
どんな生き物だか想像が出来ない。他の登場人物はもっと分からない。
何となく気が付かない内に、どんどん恐怖政治が実行されて行き、気が付くと理不尽な理由で自由が奪われ、ちょっとした事で殺される(物語では解 -
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一回も著者の本を読んでいないくせに手に取ったこの本。想像以上に著者は変な人だという印象を受けた。特に最後の日記はカオス。しかし、日記なんて人に見せる前提のものではないからカオスで何が悪いと言われそうだ。
さて、エッセイで好きだったのは、テロップについて書かれていたところ。最近テレビ番組を観ていると、必ずテロップが出てくるとのこと。著者はこれをあまり快く思っていない。確かに聞く力はどんどん衰えてしまうかもしれないが、私はテロップ結構ありがたいと思っている。耳が悪いのか聞きとれないことが割とあり、イライラするからだ。でも著者もテロップを場合によっては認めている。心が広い。
また、ゴキブリに対す -
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ネタバレ著者の名前は存じ上げていたが、今回はじめて文章を読んだ。
きっかけはSNSで有名な人が好きだと言っていたから。
最初はよくある(?)自分の生活や老いを面白おかしく書くタイプのエッセイだ、と思ったら「羊羹」あたりからおや?となった。
短いテーマの文章を読み終えるたび、いろんな種類の不思議な気持ちになった。
エッセイというより創作の短編集を読んでいる気持ちになった。
小さい頃、今よりもっと世界が狭くて面白いものも少なかったとき、身の回りにあるものともっと距離が近くて、いろいろ考えていたことを思い出した。
著者はずっとずーっとその感覚を持って大人の頭で考えて唯一無二の感覚を磨いてきたんだな、と思っ -
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#河出文庫 #ミルハウザー 著 「 #エドウィンマルハウス 」
ジェフリー著 の伝記「エドウィンマルハウス」を まるごと入れてしまう入れ子構造。「復刻版によせて」や「初版へのまえがき」も入れた遊び心のある構成
芸術家の人生が終わらなければ、芸術に結びつく 中間点や始点が定まらず、伝記作家は伝記が書けない一方で、芸術家を見出す伝記作家がいないと、芸術家が誕生しないという、芸術家と伝記作家の表裏一体性は なるほどと思う
著者は、子供の執着心に芸術性の萌芽を見出している
「何かに執着できる能力を天才と呼ぶ〜誰もかっては天才だった」
ジェフリー著の伝記は、予定調和的に出来事をプロットしていく狂 -
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