岸本佐知子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
些細なことで感情を揺るがさない、大人の余裕にあこがれる。我欲を手放しなさい、なるほど。自我を解放する瞑想もおすすめです、なるほど。しかし、筆者のように雑念満載で上手くいかないのであった。だが、本書を読み進めてハッとひらめいた。
筆者は、時にホームレスのおじさんになったり、江戸の人になったりする。キノコやニシン、はたまた無生物の死語までも擬人化し対話を試みる。このアプローチでも自我の解放に辿りつくのではないだろうか。
つまり、自我を消し去るのではなく、他者をどんどん取り込み自我を無限に拡張していくことで無我に近づくのである。
疑うのならば、自我の拡張を実践した本書を読むといい。些細な気がかりなら、本書を楽しむうちに雲散霧消しているはずだ。本書では解消しないまじめな方は、瞑想がおすすめである。 -
Posted by ブクログ
あくまで個人の感想として書くが「好き」か「嫌い」の二択だけで感想を言うと「嫌い」な作品。
今までにない読書体験や共感を強く得られたり、小説としての特異性には驚愕させられる。
しかし、自分が求めている読書体験は、あくまで読者としての安全な立場から、作品を通しての感情や学び、成長、心の豊かさを欲しているのであって、巻き込まれることを求めているのではないと、訳者の岸本さんの書かれたあとがきではっきりとわかった。
この作品には何人もの「私」が登場する。
作者の意図か否かわからないが、この「私」の輪の中に読者も巻き込まれる作品で、あとがきで書かれた「奇妙に不安定で生々しい気持ちにさせられる」のだ。
この表現がぴったりで、一人でふらりと入った食堂で、突然同席された数人の会話に入ってしまい、なんか楽しいかもと思った瞬間、突然「ねえ、そうでしょ?違う?やっぱりこうだよね?」と振り回される感覚。
ブッカー賞やマッカーサー・フェロー賞を受賞された作家で、確かに作品としては凄いのだろう。
しかし読後は「ふうーっ」と疲労感を覚える作品で、結局何だか分からんものに巻き込まれたなと感じたのが素直な感想だろう。
今までにない読書体験をしたい方にはお勧めしたい作品。 -
Posted by ブクログ
・『アメリカ文学最後の秘密』と言われるルシアベルリン
・昔、本好きの同僚のお勧めで購入した『掃除婦のための手引書』が切っ掛けで知り、数年経って改めて読みたくなりこちらを購入
・彼女の人生は、経験の幅広さと苦労に特徴付けられると思う
>1936年アラスカ生まれ、2004年に亡くなる
>鉱山技師の父親の元各地を転々とした幼少期
>教師、掃除婦、電話交換手、看護助手など多くの仕事を経験
>アルコール依存症、脊柱側弯症に苦しむ、など
・10~40ページ程度の短編集、全19編
・①電話交換士、教師など自身の経験に基づくと思われる題材 x 純文学的ストーリー、②寄り添い/暖かさと突き放し/冷たさの共存、③独自の比喩表現、が彼女の唯一無二さの根源かなと思う
>「彼はひどくゆっくりエンピツ削りをまわし、ドラムをブラシで撫でるような音を立てた。」
>「エロイーズはそれを自然界の現象のように思い出した。小さな地震や、夏の日に吹きすぎる風のように。」
>・・・思いつきそうで思いつかない、ありそうでなかった輝く様な素敵な表現が沢山
・自分の世界観が優しくリセットされる様な読後感・・・という感じかな -
Posted by ブクログ
ネタバレ機械のような人間のようなものたち十人程度の世界で展開する“おとぎ話”。ヒトラーを念頭に置いたと思しきキャラクター「フィル」による〈外ホーナー国〉の専制と、〈内ホーナー国〉への隷従・圧迫と、自国民中心主義的な偏狭を描く。
題名に「短くて」とあるところから明らかなとおり、「フィル」の独裁はあっけなく終わる。しかし、その瓦解の原因が独裁者フィル自身の病気あるいは凡ミス、加えて、創造主による文字通りの“デウス・エクス・マキナ”であったというのは、何とも絶望的。一度生まれてしまった独裁専制政治の萌芽は、〈外ホーナー国〉〈内ホーナー国〉の内側にある力のすべてをもってしても、その成長を止められないのだ! -
Posted by ブクログ
----------------------------------
笑いがこみあげる
奇妙な世界
微妙に増量して文庫化
----------------------------------
ゴールデンウィーク前、
仕事が忙しくて余裕がなくて小説は読めず。
でも読書ができないのはストレスになるので、
エッセイを探していたときに本書と出会いました。
タイトル買いでした。笑
でもエッセイというよりは小話的で、
数ページで現実的な疑問から気づいたらクスッと笑えるような不思議な着地で。笑
通勤時間にちょこちょこ読みましたが、
思わず口元が緩んでしまうような話も。笑
日常の見落としがちな視点や、
忘れてしまっているような子供時代の話から、
面白ふしぎな世界になります。