岸本佐知子のレビュー一覧
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予想を超えて面白かった。
収録されているエッセイの初出は、一番古いものだと1993年。だけど、時代を感じさせるものは少なく、普遍的な日常や記憶の中からお題を取り上げて深く考える過程が、上手く、面白く文章化されている、と感じる。
元々人間的にも魅力を感じていて、この本を読んで言語感覚も好きなことを確認できた。
岸本さんは、元々はショーン・タンの絵本の訳者として知り、その後、アトロクで翻訳者のお仕事の話だったか日本翻訳大賞の審査員としてだったか、とにかく出演し話しているのを聞き、話し方や話す内容、会話の反応から「この人、なんかちょっと気になるな……」と思っていた(そのとき一緒に出演していた柴田元 -
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ネタバレ★3.8
岸本さんのものの着眼点がとにかくおもしろい。
特に好きだったのは前半部分で、もう今の時代マスクしててよかったなっていうくらい電車の中で読みながらニマニマしてしまった。
自分にとっては一見どうでもいい、どうでもよくないことが他の人の気持ちを楽しくさせてくれるんだなと、。
こういうくだらないこと(本人にとってはそうでもないことかも)を人に伝えたり、お話するのっていいな、と思う。
岸本さん、元気をありがとう。
わたしも思ったこと、くだらなくても
これからメモしとこ。誰かや自分を時々救ったり救わなかったりするかもしれないから。
好きな章:
才能 レジで遅い列並ぶ人優勝
ダース考 -
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ネタバレ12編のアンソロジー。
どの作品も変愛の名に相応しかった。この一冊に密度濃く詰め込まれたそれぞれの変愛。愛と一口に言っても当たり前ながら1つも同じものはない。
その中でも特に好みだった2つについて書きたい。
『藁の夫』
2人の間に嫌な空気が流れる、その始まりはいつも些細なことなのだと思い出させる自然な流れだった。あんなに幸福そうだったのに、藁に火をつけることを想像させる経緯、鮮やかな紅葉にその火を連想させるところがたまらなく良かった。
『逆毛のトメ』
シニカルでリズムのいい言葉選びが癖になる。小説ってこんなに自由でいいんだと解放して楽しませてくれた。躊躇なく脳天にぶっ刺す様が爽快だし、愚か -
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いやこれ、めちゃくちゃ面白かった。
世界的名作、ドストエフスキー作の『罪と罰』を読んだことのない作家4人が、持っている知識(断片的)を駆使し、出版社の人にヒントをもらいながら、作品の内容を想像(妄想)し語り合う企画を書籍化したもの。
企画からして既にかなり面白そうなのだが、なまじ作品構成や小説づくりを日頃から考えている人たちなので断片からの推理力や展開への発想が鋭かったり、好き放題言ったり盛り上がりがすごい。というかわからないからこそ皆さん言いたい放題。笑
特に三浦しをんさんによる登場人物へのあだ名の付け方や人物考はかなり笑わせてもらった。
主人公の名前も「ラスコーリニコフ」じゃとっつきに -
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一番ここに似合う人、あなたを選んでくれたものに続いて。こんなに1人の人の著書を読むのは久々。人があえて文字にしたり口にしたりしないような人間のどろっとした事や世界の一部を冷静かつプッと笑っちゃうような表現でひとつの作品にしちゃうのがこの人のすごいところ。動物の鳴き声が「たすけて」に聴こえてもその動物にとっては全く違う意味かもしれないし、とか。しょーーもないんだけど確かに真理だと思わせられる面白い表現がいっぱい。端的に書こうと思えば全然書けそうなことを良い意味でダラダラ書いてて、でもそのどうでもよさに登場人物たちの生活を感じる。短編もドキュメンタリーも面白かったけど長編は読み終わってこのミランダ
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いちばん早いと思ったレジが、最も遅くなる。
買ったばかりの服のボタンが、初めて着ようとした時に、ぶらぶらになって垂れ下がってる(しかもそこそこ高いやつ)。
家庭科の授業で配られた裁縫セットの中にあった、アルミの円盤部分に、なぜかローマ皇帝の横顔みたいな模様がある、針穴に糸を通すための道具のような、間がもたない気がしてついつい入れてしまった飾りが、心の琴線に触れる。
上記について、すごい、私の心が読まれてるよ。
なんか分かってくれる人がいる!
と、思わず心の中で快哉を叫んでしまった。
ダースベイダーも夜は寝るのだろうかと考えることや、アロマを嗅ぐ時の「くんかくんか」って表現は私のツボに -
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奇観のエッセイ三冊のうちで一番好きかも知れない。ビザールな(奇妙な)本に挙げられているようなものが私も特に好きだ。
最近読もうとした(最後まで読んでないけど)藤枝静雄、昔から読んできた筒井康隆(特に虚人たち)それに吉田知子、村田喜代子、それに、それに、奥泉光の怖さがドッペルゲンガーのそれだ、と書いてある(嬉)。好きなのもそのあたりか、
裸で書割の窓に向かってサックスを吹くカフカかぶれの男など。なんとも言えず奇妙で面白い。(そうそう私ファンの奥泉光さん作)
後、笙野 頼子(私。残念ながら未読、Wikiでは緊密な文体で鬱屈した観念・心理表現と澄明な幻想描写の融和を試行した、とある、読まねば)そ