岸本佐知子のレビュー一覧

  • 最初の悪い男

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    寂しくて孤独でストレスをためていて、他人に愛されたい。おそらく皆がそれらを抱えているのだろうが、上手に処理できる者、見て見ぬふりができる者、一切気づかないで人生を終えることができる者が、この世間では多数派だ。ただ、どうにもできずに苦しむ者は確かに存在する。彼らはいつも泣きながら、周りからみたら滑稽なやり方で不器用に生きるしかない。私はそんな彼らがどうしても好きだ。

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    2019年08月31日
  • 最初の悪い男

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    『いちばんここに似合う人』を読んだ時にはついていけなかった、一種の奇妙さを、今は少し楽しめるようになった。OK、まあこんなこともあるよね、というふうに。
    母性に自然に目覚めるのではなくそれを獲得する物語でもあるし、妄想に囲われた世界の「最初の悪い男」から抜け出す物語でもあるし、シェリルが何度も奇妙な方法で脱皮して新しい自分になっていく様子が面白かった。それも過去と決別するやり方ではなくて、すべてが繋がっていながら少しずつの変化なのが心地よかった。
    ただ性的な描写があまりに多かったのはウッてなってしまったな。

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    2019年05月02日
  • いちばんここに似合う人

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    この人は2番である。同じく私も多分2番チームだと思う。「ほんっと訳わかんないんですけど、いい加減にしてくれる?」(世の中の声)今から説明しまあす。1番チームはアンナカヴァン隊長率いる、病気チーム。ヴァージニアウルフ、太宰治などが所属します。2番は「天然」として、一応は社会生活おくれるチーム。しかし一緒にいる人は理解が必要。3番は「不思議ちゃん」チーム。いわゆる偽者。サブカルまがいとか、なんとなくオシャレはここの人達が作ってます。色々書こうと思ったらスペース無くなった。無念。

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    2019年01月27日
  • いちばんここに似合う人

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    皆、孤独を抱えて、手を伸ばしている。

    滑稽で、哀しい、けれど、愛おしい。繊細な味わいの短編集だった。孤独を誇示するのでもなく、強がるのでもなく、それを自分として、つながりたいと手を伸ばす人たち。たとえ、うまく生きられなくても、不幸とは呼ばない。

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    2019年01月12日
  • いちばんここに似合う人

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     「江國香織が帯を書いている本をあなたが読むなんて・・・」という妻の言葉通り、私のストライクゾーンから少し外れていたようだ。
     それぞれの短編で、少し独特な主人公たちが孤独と疎外感と、わずかな人とのつながりを握りしめている物語だ。時にあっさりと握りしめている手を緩め、一人で歩いていく。寂しい?寂しくない?いや、そういう問題ではなく、それが彼女であり、彼なのだ。
     おっさんゆえ主人公への感情移入は難しいが、妙に気にかかる主人公たちではある。

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    2018年12月11日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    恋愛ではなく「変」愛を集めたアンソロジー。 
    どこへゆくやら全くわからない。
    予想も付かない展開、意味さえわからなくなるけれど、なぜか読むのを止められない引力。
    奇妙な、強烈な印象を残す読後感です。
    面白かった。

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    2018年08月16日
  • 気になる部分

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    翻訳家である岸本佐知子の主に90年代のエッセイ。

    岸本佐知子という翻訳家の名を初めて認識したのは恐らく高校時代のこと、それは例の『中二階』という奇妙な小説の存在を知ったのと同時であったと思う。しかしそのときは、『中二階』も彼女の他の翻訳も手に取ることはなかった。その後、大学生となった2000年代初め、朝日新聞の「ベストセラー快読」という書評コーナーで初めて彼女の文章を読むようになった。それ以外にも、確か白水社だったか筑摩書房だったかが出していた出版情報誌に連載されていたエッセイなどにも目を通していた。

    当時と云えば、小泉政権下、人の生を「勝ち/負け」という思慮の陰翳を欠いた暴力的な記号で序

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    2018年02月04日
  • エドウィン・マルハウス

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    これは… 最初ワクワクして読み始めたけど、正直一読しただけでは消化し切れなかった…。けど、すごい世界観、そして緻密な描写。子どもの世界がこれか、と言われれば否と思うけど、待てよ、実は自覚はなくてもハタから見ればそういうものだったのかもと、グルグル考えさせられる。簡単には底が知れない深さを持った作品であることは確か。

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    2017年03月20日
  • エドウィン・マルハウス

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    11歳で夭折した天才作家エドウィン・マルハウス。
    その伝記を親友であるジェフリーが記した。
    という設定の物語。

    主人公が少年で、わたしが女性であるからエドウィンやジェフリーの気持ちがよくわからないのかもしれない。
    エドウィンが魅力を感じた物事に、記憶に残る少女だったわたしは特に興味も無かったように思う。

    ジェフリーはエドウィンを天才と言うが、エドウィンが感性豊かな少年だとは思うものの、だから天才というのとも違うように思う。
    こういうところがわたしの平凡さなのかもしれない。

    エドウィンが気に入った子の影響を受けすぎるところも自分に重ねられない。
    好きになったローズやアーノルドに影響されるエ

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    2017年01月19日
  • エドウィン・マルハウス

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    とある子どもの伝記作家がとある子どもの作家の人生を書いた物語。エドウィンの一生が生れた際から順を追って書かれているのかと思いきや、序盤のほうでは急に成長しているエドウィンとジェフリーが出てくる場面があって、少し混乱してしまう。でも、読み続けているうちに、「ああ、これはこういう意味のある場面だったのか!」と納得できるし、最初を読んでしまえば、あとは基本的には時間軸通りに物語が進んでいるので、読みやすくなる。
    エドウィンは普通の子どもだと思う。ジェフリーはエドウィンを天才であるかのように扱っているけれど、どちらかというと天才というか非凡なのはジェフリーだと思う。でも、彼はあえてエドウィンの影に潜み

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    2016年08月21日
  • 気になる部分

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    変な人って変なんだなぁとしみじみ感じいった。
    私の好きな作家翻訳家の皆さんはだいたい通して世界を見るフィルターの具合がずいぶんおかいしいので、それをちらりと覗くと本当に面白い。

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    2015年12月23日
  • いちばんここに似合う人

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    ところどころ気がかりな一文に出くわし、いくつかの短編に心がさざなみ立つ経験をさせられた。感覚的な作風のようでいて、さにあらず作り手の緊張感がひんやりと伝わる構築物、と思う。

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    2014年06月02日
  • いちばんここに似合う人

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    読んでいるうちにつらくなってくる。どうしてこの人たちはこんなにも孤独なのか、それを突きつけられて、なんとなく目を背けたくなるのに、最後には希望が見える。
    これは確かに私たちのことである。

    あり得ないようなこと、奇妙な行動、時には笑ってしまうくらい滑稽な一文。それらが妙に私たちの生にまとわりつく。この感覚を、私たちは知っている。と思う。

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    2014年03月09日
  • いちばんここに似合う人

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    短編集。いくつか読んだ。
    「水泳チーム」がとても良かった。
    これに書かれている孤独は、小川洋子さんの書く孤独に似ている気がする。
    「妹」も面白かった。まさかのオチで…

    2014.01.24

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    2014年02月07日
  • 気になる部分

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    翻訳家岸本佐知子さんのエッセイ。こんなに面白い人がいたなんて!今まで知らずに損した‼子供の頃の実験話に、宙に浮くと思って腕を振り回していた自分を思い出し、妄想癖の話に小3で小説を書いていた自分を思い出した。誰でも内緒でしていることがあるんだよね?常に客観的に自分を観る眼があることが必要だとつくづく思った。

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    2014年01月26日
  • ほとんど記憶のない女

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    岸本佐知子翻訳ということで手を出してみました。
    数行から十数ページの、さまざまな長さ、テーマの文章がまとめられています。

    琴線に触れる、ようなものもあったものの、全体としてなかなか私の脳みそが追いついてくれませんでした。

    ある意味、もっとも理解するのが難しい種類の難解さでできた一冊。

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    2013年02月26日
  • ほとんど記憶のない女

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    昔読んだ本で、話の中身は忘れてしまったのだけど、特定のシーンだけが心に残っていることありますよね。この本はそんな断片がたくさん詰まった感じ。

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    2011年11月10日
  • ほとんど記憶のない女

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    数行で終わる作品もあれば、「ロイストン卿の旅」のように30ページの長い作品もある。30ページで長いと思うくらいだから、ほとんどの作品が数ページで終わるもの。
    何かうまいオチとかそういうものを求める人には向いていない。訳わからんなあと思って読んでいると時折、ハっとさせられる一文が出てきたり、でもそういうものを求めるのも違うような気がする。いやとにかくこの人は相当変わっているひとだな。
    長いものも読んでみたい。

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    2011年04月10日