岸本佐知子のレビュー一覧

  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    作品によってスッと入るものとそうでないものがある。『メリーナ』『カルメン』『BFとわたし』は描写が丁寧で心地よい

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    2025年01月01日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    前作にブコウスキーのようなパンクを感じていたので読んだが、
    今作はパンチが弱いと感じた。
    読後感はとても普通だ。なので、何も入ってこない気がする。
    訳者あとがきを読んでようやく、各作品を見出しぐらいの短さでまとめてくれていて、ハチャメチャ感を知ることになり、星2つから星3つにした。
    しかしやはり、この作品には作者の女性らしい優しさを感じるので、他にはない特長が消えたと思う。それは訳者にもせきにんあるとおもう。

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    2024年12月25日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    3度の結婚と離婚を繰り返し、4人の子どもを育て、アルコール依存症にも陥った。そんな著者の壮絶な人生をベースにした「オートフィクション(自伝的虚構)」。とても評価の高い本だったけど、ついていけなかった…。いろんなエピソードが時系列でなくつづられていて、登場人物もそのたびに違うし…。楽しめてる人がなぜ楽しめているか知りたくてくらいついてみたのですが。コインランドリーで色とりどりの服がまわる描写など、端々にきらりと輝く表現がある感じはわかったけれど…。いつかもう一度チャレンジしてみたい。

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    2024年12月18日
  • ねにもつタイプ

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    妄想を思考する著者の脳内がドバーっと溢れ出たような作品。風変わりで理屈抜きのとりとめのなさが面白い。
    本書に何かを求めてはいけない。ひたすら五感で味わうのがよい。時折り共感すると何故かイラっとする、説明のできない気持ちに見舞われる。

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    2024年11月26日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    なるほどね。エドウィンの伝記という形をとった主人公ジェフリーの小説なのね。最後にそれがわかったから読んだ甲斐があったものの、ここにこれがあって、これがあって、、という情景描写が多すぎるのと、特別なところがそれほどない人物エドウィンの普通の日常を大量に読むのに疲れてしまい、何度も途中で離脱したくなった。翻訳が読みやすかったので何とか頑張れた。
    素直に感動する伝記小説を期待して読んだのがいけなかった。実験的な小説なのね。

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    2024年11月16日
  • 十二月の十日

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    不思議な読み応えの作品ばかりでした。

    特に印象的だったのは、著者の決して親切とは言えない文章でも、読んでいくと意味が繋がって感じられるところです。

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    2024年10月31日
  • 十二月の十日

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    久しぶりの海外文学、やっぱり日本のものと違って独特。状況把握が難しい部分もあったけど毒っ気のある不思議な世界を堪能できた。

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    2024年10月25日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    一人称での記述だから、突然一人称の人物が変わることがあるので、ストーリーラインを追うのが難しいと。油断するとわからなくなる。各編を超えて、名前が違うけど似たキャラクター、慣れない外国人の似た名前の登場人物が多いというのもあると思います。日本の小説とは勝手が違いますね。ストーリーはやはり日本の文化とは違うので、日本の小説だけ読んでいるのと狭い世界に閉じていすぎるんだと、文化的に閉じた読書の欠点に気づかせくれます。

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    2024年10月14日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    純文学作家の発想
     ひとつづつ評していく。

     川上弘美。未来SF。
     発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
     人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
     厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
     未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
     妙にSFが現実路線のわりには、ふはっとしてあいまいだ。雰囲気小説のたぐひか。さいきんの川上弘美には『大きな鳥にさらわれないよう』等、未来小説がある。

     多和田葉子。
     川上弘美より面白い。
     純文学らしく突っかかる表現が冒頭から続く。生花で花の首をちょんぎるだの、乱暴な表現は筒井康隆を想起した。独特で考へ抜かれた奇妙さを意識して、多和田自身も意図しない効果が出るやうな浮揺感を狙ってゐる。言語にこだはるナショナリストぶりもあらはれて、いつもの社会諷刺もある。
     全体としては普段の多和田の域をつかず離れず。

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    2024年10月10日
  • わからない

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    岸本佐知子さん、きちんと作品を読むのは初めてかも。
    エッセイ、書評、日記と分かれている中で、エッセイが一番面白かった。
    物事を捉える視点がさらっと自然なんだけど、とても個性的で新鮮に感じた。
    エッセイを読む時、自分との共通点を何かしら見つけて共感するパターンか多いけど、今回は発想が自分と違いすぎているところが面白いと思えた珍しいパターン。
    書評で取り上げられている本は未読のものが多かったので、また読んでみよう♪(読みたい本が増える一方…)

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    2024年10月03日
  • 気になる部分

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    翻訳者としての岸本さんしか知らないので、はじめて本書エッセイを読んで、へー、こんな人だったのかと思った。
    細かいこと、みんなが気にしないことがやたら気になるひとが言葉づくしで書いたエッセイである。
    テイストは、昨年読んだ三浦しをんの昔のエッセイにちょっと似ている。
    それは20年前のエッセイだったので、さすがに古いなと思った。
    本書も初出は20年ほど前のもの。
    三浦しをんほどの共時性ニーズはないものの、やはりこの手の本は出版されてから、5年以内に読まないと鮮度が落ちてしまう。
    今回は00年代以降の倫理観価値観の変化を大きく感じた。
    いまの岸本さんが同じ内容を書くなら、書き方がかなり変わるだろうと思った。

    岸本さんの会社員時代の話がちらちら出てくるが、洋酒メーカー、カオスで自由な社風のようだったので、サ◯トリーだろうなと思って調べたら本当にそうだった。だよね〜。


    それにしても子供の頃からずっと都会に住んできたひとの感覚だなあと思った。
    そういう意味では私はあまり共感しなかった。

    後半、吉田知子の話がでてきて嬉しくなった。
    そうだ、私は岸本さんが編んだ本で吉田知子を知ったんだった。おおいに感謝したい。

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    2024年09月29日
  • ねにもつタイプ

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    「さいきんのわたくし」オチ笑った!

    ひとつひとつ短く読みやすかった
    頭の中で思う事を書き出してみたくなった

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    2024年09月27日
  • 短くて恐ろしいフィルの時代

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    問題作。
    あとがきにもあるが、ジョージ・オーウェルの「動物農場」を引き合い出されて書評が多く語られているそう。
    家畜を擬人化して、独裁体制的な政治を批判しているが、こちらの擬人化されているものは、もっと過激で何が何だか分からない奇妙な物となっている。
    ちなみに登場する大統領の姿は「小柄で貫録たっぷり、たくさんの腹、白い口髭、二重顎が小山のように積み重なり、細く頼りない三本脚で支えてる」だそうだ。
    どんな生き物だか想像が出来ない。他の登場人物はもっと分からない。
    何となく気が付かない内に、どんどん恐怖政治が実行されて行き、気が付くと理不尽な理由で自由が奪われ、ちょっとした事で殺される(物語では解体される)。
    ともかく、とても恐い話。大人の寓話。

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    2024年09月26日
  • わからない

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    ネタバレ

    本の感想で『銀座ママが教える「できる男」「できない男」の見分け方』の書評が特に面白かった。
    書評の項はところどころ岸本さんの優しさみたいなものが見え隠れしてほのぼのさせられた。
    「あなたを危機から救う 一分間謝罪法」では、謝ることについて日米の違いを鋭く指摘。私も岸本さんの考えに近いので最後の方は笑いながら共感。

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    2024年09月19日
  • 分解する

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    岸本さんのエッセイで薦めていたので。
    もちろん、岸本訳。

    不思議な盛りだくさんの短編集といった印象。
    良くわからないけれど、なぜか止められない中毒性のあるお話ばかり。

    あとがき解説を読んで、なるほどと更に読み返すものもあり(骨、フランス語講座その1・・・)。

    また、著者の作品を読んでみたくなる。

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    2024年08月27日
  • ねにもつタイプ

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    ネタバレ

    雑誌に連載していた文章をまとめた一冊。エッセイだけれど、時々違うものが混ざる。エッセイの顔をして居座っているのは、創作というよりも空想と言ったほうが感覚的に近くて、枠にとらわれずこの上なく自由なところがこの本の魅力のひとつだ。当人が感じていることなら現実なんじゃないかとすら思えてくる。
    思わず吹き出してしまったのは、プリティ・ウーマンのズンドコ。仕事の実況も面白かった。
    おしゃれな挿画はクラフト・エディング商會。ウィットに富んでいてよかった。

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    2024年08月26日
  • 気になる部分

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    ネタバレ

    不思議な言葉のセンスが炸裂していて、妙な臨場感もあり、愉快な気持ちで読める本だった。少し時代を感じる箇所もあったが、やはり翻訳について書いてあるエッセイは興味があった。こういう話をもっと読んでみたい。
    どこまでもひとりで飛んでいってしまいそうな自由な発想と想像力の豊かさが眩しかった。
    会ったこともないらしい川上弘美さんの思い出が綴ってあるのが怖い。ここに書かれているのはとてもミステリアスな魅力溢れた「カワカミさん」だ。ここだけ短編小説を読んでいるような味わいがある。

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    2024年08月10日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    人の歴史が駆け巡っていく。そして時々逆戻りして跳ね回る。短編ひとつひとつのエネルギーが凄くって読み終わるたびにどっと疲れる!きっと読んでいる間力が入っているんだと思う。それくらい力を入れないと読みきれない。
    バス通り、人々の流れ、コインランドリー、etc
    中古の本から時々タバコの匂いがした。本そのものかもしれないが、きっと話しのエネルギーがそうさせたのかもしれないと思わせた。

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    2024年08月01日
  • なんらかの事情

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    飛びすぎててついていけないところ多し。
    「ねにもつタイプ」のほうがいい。
    挿絵はやはりとてもハマってる。

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    2024年07月21日
  • ひみつのしつもん

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    ネタバレ

    著者の名前は存じ上げていたが、今回はじめて文章を読んだ。
    きっかけはSNSで有名な人が好きだと言っていたから。

    最初はよくある(?)自分の生活や老いを面白おかしく書くタイプのエッセイだ、と思ったら「羊羹」あたりからおや?となった。
    短いテーマの文章を読み終えるたび、いろんな種類の不思議な気持ちになった。
    エッセイというより創作の短編集を読んでいる気持ちになった。
    小さい頃、今よりもっと世界が狭くて面白いものも少なかったとき、身の回りにあるものともっと距離が近くて、いろいろ考えていたことを思い出した。
    著者はずっとずーっとその感覚を持って大人の頭で考えて唯一無二の感覚を磨いてきたんだな、と思った。
    以下印象に残った話。

    「エクストリーム物件」
    「鼎」「凹」の文字の魅力的な間取り。「Q」「乙」の曲線に寄りかかって、ゆったり足を伸ばしてみたい。
    →なんかわかる!!小学生くらいのときは文字そのものと距離が近くて、文字に対して好印象と悪印象あったよな〜と思い出した。

    「羊羹」
    夜が怖い。宇宙がダイレクトに感じられる。宇宙は何もないのではなく、まだ解明されていない物質で満たされている。それは羊羹のようなものかもしれず、夜はその羊羹が口や鼻や目からなだれこんでくる。
    →夜からここまで感情と想像を広げられるものなのか。

    「分岐点」
    お店に忘れ物をとりに行った友達が帰ってこなかったので、おかしいなと思って帰ったら、友達の方は店から出たら著者がいなかったから帰ったという。そのときから世界線が分岐してしまったんじゃないか?
    →決定的ではなくても、説明がつかないささないな不思議なことから世界の分岐は始まってるかもしれない…小さい頃はよくゲームの中のように自分の行動で世界線が変わると信じていたことを思い出した。そしてこれはある程度本当…

    「夏」
    夏にやりたいことを列挙。子供時代にしかできないようなこともあれば、これからできそうなこともある。
    →エモくて印象に残った。

    「ぬの力」
    ヌテラという食べ物があり、口に入れた時の粘り気で上顎と舌がくっつく感じが見事に表現されている名前がすごい。これは「ぬ」の力ではないか。
    →わたしは小学生の頃「ぬ」はなんか嫌いということにしていたけど、「ぬ」のなんともいえぬ力を感じ取っていたのかもしれない。



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    2024年07月17日