【感想・ネタバレ】ほとんど記憶のない女のレビュー

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Posted by ブクログ

狐に摘まれたようなとはこの読後感にピッタリの感想だろう。物語があるわけではないが、作品ごとに読者である私が受け取り紡ぐ、あるいは想起される出来事が不思議と湧き起こる。ここまで読者に意図的に委ねられている小説は初めて出会ったと思う。

特に今の自分に印象深いのは、「肉と夫」の夫への諦観と突き放し、「私たちの優しさ」の夫の矮小さ、甲斐性なさ、「グレン・グルード」の妻の焦燥感、輝かしい過去への憧憬といったところかな。自分の心情や状況にリンクしてしまう。

読む年代や置かれている状況によって一番刺さる作品は違ってくるに違いない、それほどまでに懐の広い作品群になっている。たった数ページで人間、社会の本質をつくを一文に出会ったらかと思ったら、幻想のように脳裏を掠めていく。去年他の短編小説も白水Uブックスで刊行されているとな。手に取るしかないとな。

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2024年02月13日

Posted by ブクログ

なんとかっこよく、へんてこで、小気味がよいのか。
世界の切り取り方、唐突な出だし、とてもいい。
一番好きなのは、フーコーとエンピツでした。

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2023年05月21日

Posted by ブクログ

超面白い!
フランス文学の感覚だろうと思う
短編集で、好みは分かれるかと?
歳を重ねるごとに、心に留まるストーリーが変わるような
そんな面白さ

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2019年10月29日

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普段、心の奥底に潜んでいる悲しい事忘れてしまったはずの傷ついた出来事いつもはりついているような不安。大人になったら自信を持って生きていけると思ったのに、何処かに子供の頃と変わらない臆病な柔らかい部分をひらりと描いてくれた。その高い知性と明晰な言葉でひらりとすくいあげてくれた。大切な作家、大切な一冊になりました。

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2013年12月14日

Posted by ブクログ

そっけなかったり、非常に客観的なのだけれど、静かに揺さぶってくる感じ。1ページだけの非常に短いエッセイも多いのだけれど、わたしはそれが特に好きです。

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2013年06月16日

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リズム、ユーモア、奇妙な感触、イタチゴッコの様な可笑しな文章…。
ほぉと唸ってクスッと笑って、時折フワリと感覚に訴えかけてくる、
そんな著書にすっかりヤラレてしまいました。

『私が興味をもつのは、つねに出来事よりも、
その裏で人間が何を考え、どう意識が動くか、そのプロセスなのです。
出来事は、それを見せるための方便でしかない』
こうキッパリと言い切る著者の他作品に興味津々。
今後、未訳作品の翻訳予定もありとの事なので、今からワクワクムズムズとしています。

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2013年03月10日

Posted by ブクログ

ほんの数行、数ページの短編や旅行記のようなものが51編詰まった本。

リズムがすごく心地よい。アフォリズムも好み。

小説は、伝わるならばなるべく短いほうが良いと思っているので、すごく気持ちよく読めた。

ポールオースターと過ごした日々についての短編も入ってます。
ポールオースターも同じエピソードを作品として残しているらしい。

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2011年06月21日

Posted by ブクログ

 数行のお話から数十ページのお話まであり、内容も寓話あり紀行文あり何でもありの、とても幅広い一冊。主観的な描写があまりないうえに世界観も抽象的で、どう感想を言えばいいのか分からないほどの掴み所のなさだけど、それだけに引き込まれた。

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2015年11月29日

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こんな人がいたらこわい…
でも、いそうだし、私にもその片鱗があるかも…

するすると情景の浮かぶ、読んでいてたっぷりその世界にいける本。

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2014年08月21日

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ネタバレ

ち、ちょっと手に余るって言うか…手に負えません。
リディア・デイヴィスの頭の中を覗き見ようと、気合いを入れようと、逆に流して読んでみようと、やっぱり理解できないんだから。いや、理解しようなんて考えるほうが間違いだったのかも!センス・オブ・ワンダーの範疇なのかも、ちょっと分からない。でも、分かりづらい世界があるのも、楽しいことなのかも?って思える不思議な短編集でした。

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2013年09月25日

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いろいろな感情や状況や設定を煮詰めて書いている作品。
とても短い話(三行のものもある)ばかりだけれど、おもしろい。短い言葉だけれど、的確に伝えてきてくる。

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2011年09月17日

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確かに禅問答のような、詩のような。不思議な感覚になる。
今のところ中でも、「大学教師」という話は意外に!うなずけた。

女がカウボーイと結婚したいと思い込む。ほぼ話はカウボーイと結婚したらという妄想で続く。カウボーイと結婚して暮らしたらきっと馬具に油を塗ったり、素朴な料理を作るのだろう・・・・と。でも女は思う。もしカウボーイと結婚することになったら夫も連れて行こうと。
たぶんこれが夫婦なんだと思う。お互いが一部になって自分でもあり伴侶でもあり一対にいつしかなっているんだと思う。
村上春樹的にいえば「100%の女の子に出会う」というのに近いのではないかと強く思った話。

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2011年06月11日

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内容とは関係ないのだが、作者とポール・オースターとのご子息のダニエル・オースターに関するNYTの記事が悲しくて。本書を読みかけで記事を読んで、まだ本に戻ると、見る目が変わってしまう。

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2024年05月05日

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ネタバレ

物事を突き詰めて考える話が多かった。
言葉の意味について、感情について、ひとつひとつ解明していくような文章が多く、こういう視点で内側を見つめていくことで整理されていくのが興味深かった。
感情的ではなく淡々とつづられていて、その手触りはまるで実験のようでもあり独特な雰囲気を醸し出している。
表題作の「ほとんど記憶のない女」は共感する点が多い。そのほか「大学教師」「話の中心」「エレイン牧師の会報」などが好みだった。

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2024年04月14日

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暫く前から、マグリットの≪マック・セネットの想い出に≫が表紙になっているこの本が気になっていた。

51篇の短編が詰め込まれているこの本の最初の物語の冒頭はこうだ。

---十二人の女が住む街に、十三人目の女がいた。---『十三人めの女』より

この不可思議な矛盾はルネ・マグリットが何枚も描いた≪光の帝国≫にみられる 昼間の晴天の真下の夜と似ている。

51篇の作品の中には、30ページ近くの長いものからたったニ行のものもある。
寓話的なものやマグリットのような一見自然にみえるがよく読むと矛盾を孕んでいるというような文章や順番をふられたもの同じ名詞や動詞を多用するもの さまざまなパターンの散文が散りばめられている。

作者のリディア・デイヴィスは1947年生まれのアメリカ人。
大学卒業後はアイルランドやフランスで暮らし、現在はニューヨークで教鞭をとっている。

プルーストの『失われた時を求めて』の第一巻の『スワン家の方へ』の英訳は高い評価を受けたらしい。

本国では彼女の本は5冊出版されているが、日本でははじめての刊行となる。

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2021年12月01日

Posted by ブクログ

岸本佐知子翻訳ということで手を出してみました。
数行から十数ページの、さまざまな長さ、テーマの文章がまとめられています。

琴線に触れる、ようなものもあったものの、全体としてなかなか私の脳みそが追いついてくれませんでした。

ある意味、もっとも理解するのが難しい種類の難解さでできた一冊。

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2013年02月26日

Posted by ブクログ

昔読んだ本で、話の中身は忘れてしまったのだけど、特定のシーンだけが心に残っていることありますよね。この本はそんな断片がたくさん詰まった感じ。

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2011年11月10日

Posted by ブクログ

数行で終わる作品もあれば、「ロイストン卿の旅」のように30ページの長い作品もある。30ページで長いと思うくらいだから、ほとんどの作品が数ページで終わるもの。
何かうまいオチとかそういうものを求める人には向いていない。訳わからんなあと思って読んでいると時折、ハっとさせられる一文が出てきたり、でもそういうものを求めるのも違うような気がする。いやとにかくこの人は相当変わっているひとだな。
長いものも読んでみたい。

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2011年04月10日

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