岸本佐知子のレビュー一覧

  • 短くて恐ろしいフィルの時代

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    独裁者が誕生する様子や、同調圧力に流される集団心理などが、ブラックユーモアで語られる寓意に満ちたディストピア小説。

    国民が、一度に一人しか住めない極小国と、その周囲を取り囲む大国の物語。ある日、大国の国境警備員が巡回中に、小国からの侵犯を発見。騒動を大国の論理を押し付けて収めたのは、たまたま近くのカフェにいた中年男のフィル。この男、脳がはずれて地面に転がるたびに熱狂的な演説を繰り返し、次第に民衆を魅了していきます。対して、この男が独善的な要求を小国に突き付けるたびに、小国は疲弊していき……という話。

    脳がはずれると書くと、面喰らいますが、そもそも登場人物たちが荒唐無稽・奇妙奇天烈な容姿なた

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    2024年09月07日
  • ねにもつタイプ

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    岸本さんの本は初めて読みましたが、一つ一つのコラムでユーモアがあってとても楽しませてもらいました。言葉の選び方、並べ方、発想の角度、表現の仕方、オチの一文。岸本さんのユーモラスな人間性が垣間見えました。岸本作品をもっと読んでみたくなること間違いなし!

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    2024年08月21日
  • ひみつのしつもん

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    岸本さんと私はちょっと似ているというか
    種類が同じような気がする。
    ハズレを引きやすいところとか
    運動が全くできないところとか
    (する気もないし五輪嫌い)
    負のエネルギーをまとっているような感じ。
    おこがましいけれど勝手に仲間だと思っている。
    今回1番の衝撃は、にゃんまげが登場したこと。
    地元も地元、4歳まで生まれ育ったあの地の
    キャラクターが出てくるとは思わず、笑った。
    子どもの頃、にゃんまげのシャーペン持ってたなぁ。

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    2024年08月11日
  • 気になる部分

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    おそろしいことに気がついた。岸本佐知子さんのエッセイ集で未読のがなくなってしまった。これから何を楽しみに生きていけばいいのでしょう。…あ、『わからない』って新刊が出てるみたい。

    ■簡単なメモ

    【意識的にオフにする】耳と脳をつなぐ回線を意識的にオフにする。おお、それはやったことがなかった。いろんなものをオフにして楽しんできたけど。今度試してみよう。戻れなくなったらどうしよう。
    【一週間】一週間の歌はたぶんみんなへんやと思ってると思う。
    【ガミネタ】「ガミネタ」って何?
    【気になる部分】そこだけが気になり全体が見えなくなるというのはけっこうあったりします。「それ」が本体のように思えてきます。

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    2024年07月31日
  • ひみつのしつもん

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    翻訳者でありオモシロ幻視者でもある岸本佐知子のエッセイ集。


    先月小川洋子の『原稿零枚日記』みたいなのが読みたいと思ったとき、なんで岸本さんのエッセイじゃなくてリディア・デイヴィスを選んだんだっけ。『サミュエル・ジョンソンが怒っている』も面白かったので全然いいのだが、謎の遠回りをした気もする。
    「ねにもつタイプ」のシリーズに表れでる妄想癖は、思いっきりパラノイアックに描けばサイコホラーにもなると思う。そういう日常が歪みだす異次元に繋がる穴を、ドロップを舐めながら木の棒でツンツン突いて遊び続けてるのが岸本さんって感じがする。老いを感じるエピソードも多いのに、全部がボンヤリと"そういう

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    2024年06月27日
  • ひみつのしつもん

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    このところ忙しくて、隙間時間にさっと読めるものを……と選んだエッセイ集、面白かったです

    連載エッセイの文庫第三弾、ということですが、私はこの本が初めまして

    サラッと淡々とした語り口なんですけど、連続で読むと想像以上にどっしりと重いというか、脳を使うような濃厚さがあります
    本当に数話読んでちょうどいいような読後感

    でも、一話一話を読んだ限りではそんな風には感じないんですよね
    なんでしょうこの感覚、不思議です

    自身をぐうたらのダメ人間として描いてらっしゃるのですけど、それが営業的なビジネスぐうたらでなくて、本当に自然なノリのナチュラルぐうたらとして描かれているので、嫌悪感なく親近感と共に読

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    2024年03月10日
  • 『罪と罰』を読まない

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    「罪と罰」を読んだ後に読んだ。
    4人の推理が面白い。既読者として、この座談会に参加したかった‼︎ 笑
    すでに「罪と罰」を読んだ人にも、まだ読んでないひとにもオススメ。

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    2024年03月03日
  • 『罪と罰』を読まない

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    罪と罰を読みたい、と思っているが中々手をつけられない人に読んでほしい。
    この本は罪と罰を読んだことがない4人でその内容を推理するという前半と、読んだあとの感想会の後半で構成されているのだが、前半の推理会が面白い。自分も一緒になって推理しているような気分になれるし、また作家ならではの推理があって成程と思える。それぞれの作家が何を考えて物語を書いているのかが垣間見えて楽しい。
    読まないまま後半に入るのもありだと思うが、是非罪と罰を読んでから感想会に加わるのがいい。本の感想を共有することはリアルタイムでなくとも楽しいのだ。

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    2024年02月17日
  • 十二月の十日

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    どの短編も、登場人物が(設定も)常軌を逸しています。心情的に寄り添うのがとても難しくて、戸惑いながら読み続けました。が、最後まで読んで、なぜか晴れやかな気持ちになっています。私みたいなポンコツも、生きてていいんだ…的な。まだ頑張れそうです、私。

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    2024年01月12日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    ごく個人的な、自分のためだけに書いた小説という雰囲気がある。それがとてもよい。そして、いい夢かな?と思ってたら悪夢だし、悪夢はやっぱり悪夢のまま。そして、悪夢なのにゲラゲラ声をあげて笑ってしまって、その自分の声に驚いて目覚めるみたいな感じ。あぁ夢でよかった、みたいな悪夢感。
    訳者のインタビューを聞いて購入後、何度も開いて、読み始めてみるけど、全然頭に入ってこない。合わないのかな?と思ったけど、ひとつひとつは短いので、順不同に何度も読み返すうちに、物語というか、作者のことが好きになってきて、好きな人の話しは、聞こうとするというか、貴方を知りたい。という気持ちに変わった。そしたら、映像になって、夢

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    2023年12月23日
  • 分解する

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    ネタバレ

    生活の断片を覗き込んでいるような細かな描写が魅力的だった。知らない人物だけれど、その不安や恐れなどを直に知ることで身近に感じるというか。文章でなければ得られない楽しさがあった。
    特に後半に好きな話が多く「昔、とても愚かな男が」「メイド」「コテージ」「年寄り女の着るもの」が良かった。言葉の流れも美しく、繰り返して目で追いたくなる。泣き喚いたり必死に訴えかけてきたりしない、静かな絶望を一人で受け止めているような描写が好みだった。また他の作品も読みたい。

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    2023年12月04日
  • 『罪と罰』を読まない

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    声を出して笑いました。ドストとかラスコとか 、そもそも読んでいないのに読書会って?! 4人の推理や想像力が楽しかったです。漫画でザックリと済ませていましたが 自分でも突っ込みながら読んでみたくなりました。

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    2023年11月27日
  • 話の終わり

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    序盤は慣れない言葉のリズム感を楽しみ、〜中盤までは慣れなさによる酔いと停滞感で気怠く読み進めていたが
    中腹辺りの展開から急に、血肉を持ったような生々しい不規則さで飲み込まれ、そこからは一気に読み上げた。

    視点としては全く変わらない軸があって、章を跨がない限りはシチュエーションが大きく移らないのに
    徹底したディティールの描写によってこんなにも得られる没入感が変わるものかと驚いた。

    その一貫性に嫌悪感を抱く場合もありそうだが、何故そう過ぎるのか理由を探すと
    自分の感覚を、自分のフィルターだけを通して発しているようなその浮世離れ感で。
    それはわがままでも物知らずな訳でもなくて、ただ「ひとりが暮ら

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    2023年09月21日
  • なんらかの事情

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    ドスト本を読んで、久しぶりに著者のエッセイ集が読んでみたくなったもの。相変わらずの突拍子もなさで、いと面白き。

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    2023年07月21日
  • 『罪と罰』を読まない

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    タイトルからして面白そうだけど、実際面白いのが凄い。クラフトエヴィングさんの著作は未体験だけど、いかにも面白そうなメンツだもんな。何よりも、エッセイが最高な岸本さんが、本座談会でも本領を遺憾なく発揮してるのも良い。物書きを仕事にしているとはいえ、殆ど情報ゼロの状態から、わずかな手掛かりを元に、よくぞここまで想像を広げられるものだな、と。そして、”カラマーゾフ”を読んだとき、名前の長さや難しさ、その圧倒的なボリューム感にかなりの根気を要したから、ドストの他の著作にはなかなか手が出せないと思ってたけど、本書を読んで、またちょっと読みたくなりました。

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    2023年07月18日
  • 最初の悪い男

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    ネタバレ

    すごストーリーだ…

    いろんな人間のいろんな面に笑わないで向き合うことが得意なのか…?

    フィクションだからアレなんだけど、みんな外面普通でも案外己の「システム」を大事にしながらズレながらヒステリー球かかえて生きてるんだろうな~というちょっとした救いみたいなものをかんじたり

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    2023年07月13日
  • 気になる部分

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    翻訳家の岸本佐知子さんによる、エッセイ集。90年代に書かれたもの。
    著者はクセが強く変わり者という印象だが、普遍的にみんなが感じているだろうこともたくさん言葉にしており、共感できる部分もある。翻訳の苦労話のようなものはほとんど書いていない。子ども時代に不思議に思っていたことや、会社勤めをしていたころの話などが中心である。
    かなりたくさんの本を訳しているようだが、彼女の翻訳書は読んだことがない。売れているのだろうか。

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    2023年05月12日
  • 『罪と罰』を読まない

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    因業ばばあ? 急に宝塚? そうなの? まじか!…
    ああだこうだと一般読者と変わらぬざっくばらんな話っぷり。
    漠然とした極少ない知識と、ところどころで提示されるわずかなヒントを手がかりに推理する。
    なんと面白い企画なんだか。
    小難しそうで、ただただ敷居が高いだけだった「罪と罰」をぐっと身近に引き寄せてもらったような気がする。
    読まずに読む座談会、またぜひ開催してもらいたい。

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    2023年04月26日
  • なんらかの事情

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    エッセイであろう、ということ以外、前情報が全くない状態で読み始めてしまったら・・・見事にツボッた。
    これは1人で電車などでは読んではいけないヤツです。どうしても笑ってしまう。
    出だしは何てことはない、些細な話なのに、徐々にスピードを上げて壮大なスケールの妄想の世界へ放り込まれて、気がついたら、その渦の中でグルングルンに翻弄されている感じ。そして突然ポイッと現実世界に引き戻されているのだ。
    本当に体感したのか、夢の世界での話なのか、思い出が膨らみすぎたのか、物事を掘り下げすぎて深みにはまってしまったのか、はたまた妄想なのか、境界線の曖昧さが不思議な世界観を醸し出していると思う。
    肩を震わせて笑い

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    2023年04月23日
  • エドウィン・マルハウス

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    ネタバレ

    子どもが子どもの伝記を書く。生まれた時から観察される者であるエドウィンと6カ月年長の観察する者であるジェフリー。純粋な子どもらしい興味や不思議や無邪気な残酷さに満ちた幼年期、悪魔に魅入られたような恋や友情の壮年期、そして作家としての苦悩と言っても9才から10才の事象だ。次第に伝記作家としてのジェフリーの存在が不気味に全体を侵食してくるかのようで怖かった。
    リアリティーのある描写が目に見えるようでした。

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    2023年04月14日