岸本佐知子のレビュー一覧
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決して心温まるとか感動的とかそんな話ではなく、どちらかというと悲惨な、途方に暮れる話が多いのだけれど、人生ってそんなものかもねと思わされる短編集。
お気に入りは「ブルーボネット」と「笑ってみせてよ」かなあ。
特にブルーボネットは「これまで長いこと手紙でしかやりとりをしてこなかった男のところに1週間くらい身を寄せることになり、会うなりやることやって喧嘩別れして帰ってきた。」だけの話なのに(ガチで)、穏やかな風景やそこに暮らす人々の日々の営み、情愛、高揚する気持ち、すべてがありありと瑞々しく描かれていて読んでいて私もウキウキするような心持ちだった。
なんにもなく終わるところも人生って感じがして好きだ。
原文は結構クセが強そうと読んでいて思ったけれど、さすが岸本さん。違和感なくルシアのパッション溢れる悲喜交々の文章が伝わってきて、翻訳ってすごい仕事だなとあらためて感じる。
他の短編もすべて岸本さんが翻訳されたと知ったので、機会を見つけて全部読みたい。 -
Posted by ブクログ
大好きな岸本佐知子さんのエッセイ
気づけば現実から別世界へ旅立っている、この読み心地が本当に最高!!癒しの時間でした。
疲れていてもさらりと読めてしまう、くすっと笑って元気になれる、そんなエッセイです。読んだことのない人はぜひ読んでみてほしい!!
じんかん、ゾンビ町の顛末、フェアリーランドの陰謀、生きる、むしゃくしゃして、十五光年、部屋のイド、アイ・スパイが特にお気に入り
「じんかん」のある日今まで普通に使っていた言葉が変に感じる時があるという話はめちゃくちゃ共感!急にゲシュタルト崩壊みたいになる時あるあると思って読んでいました!
「フェアリーランドの陰謀」も分かる!もう絶対確認したのに間違っているとか、絶対ここに置いたものがないとか妖精がいたずらをしたとしか思えない時ある!
岸本さんのエッセイは共感できるものが少ないですが(いい意味で独特で面白い、褒め言葉です)、上の2つは笑って頷きながら読みました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレセンスの良い家出文学。ニューヨークまでの大規模なアメリカ横断旅行に出かけたものの、億劫になり、近隣の街に潜伏してダラダラ過ごす。
またやってみたかった理想のお部屋改造で2万ドルかけてモーテルを買う改造。
クレアのセンスの良さ、リサイクルショップで手に入れたピンクのベットシーツやプロヴァンス様式の部屋の美しい、居心地の良い部屋の描写でくつろぎの気持ちになった。ダラダラいつもと違う場所で過ごす時間の素晴らしさを知ってる
ディービー15歳も年下の何となく好みの男、アホっぽくて無知でアーティストの主人公には釣り合うわない(お互い、どちらが優位とかではない)中、初めての散歩やくだらないことを話し合って過ごす時間は10代の学生の恋愛みたいだ。ただ、真剣になれない相手だからこそ。冷静を装って歩きながらも近くて腕が触れ合っていたことの記憶や、スムージー=モーテルの裏というローカル。バーで友達に合流されてがっかりしたこと、部屋に招き入れて綱渡りのような探り合い、彼にとっては退屈な街に現れた憧れの人で、恥を晒さないでほしいと、彼のダンスを見るのが怖いと感じたこと、日曜の息子との約束時間とフラッシュバック、感情の描き方が鮮やかで、自分の中にある古い記憶も呼び起こす。
田舎すぎる、母親からの干渉。
気持ちが切り替えられなくてネットストーキング
有名アーティストが自分への関心を失っていく様
オードラとの友情?45歳のプレ更年期が楽しみだし、その先には自由奔放なオードラというロールモデルがいる
友達をモーテルに招いて人生相談するの面白い
年上の女友達に閉経して良かったことを聞いたらたくさん出てきた
夫婦の精神レベルが高い。チープな不倫や浮気ではなくて建設的な話し合いがある。夫の愛人、最大の理解者
ディービーが序盤で退場したのが良かった。2人の恋愛じゃなくて、私の人生の話だから、通行人の1人でしかないこと。いろんな人が出てくるのがなかった -
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まず、ストーリーとして面白すぎた。岸本佐知子さんの翻訳のトーンも内容とすごく合っていて、原作を読めない歯痒さというよりも、オリジナルをちゃんと味わえている感を感じながら読めた(どこまでいっても結局オリジナルを読んでいることにはならないことは分かりつつも)。ちょっとした伏線回収がところどころに散らばっていて、日常にはなかなか起こらない類の偶然だけど、なくもなさそうな絶妙なライン。メッセージを書いた椅子を家族で散歩している公園で見つけてしまうとか。
でもこのストーリーの面白さはほんの序の口で、考えさせられるテーマは深海のように深い。私自身、40代に突入してまさに考えに考えて、考えすぎて膠着状態にあるドンピシャなテーマだった。女性としての自分、個人としての自分、これからの人生…あまりにもがむしゃらに走ってきたけれど、現実はご褒美をくれるどころか日に日に風当たりが厳しくなってきている感じとか。毎日一緒にいる、最も分かり合えるはずの身近な人との、どうにも埋まらない感覚のズレとか…
解決策なんてない。でも、もっと声をあげて叫んでも良いのかもしれない。きっと同士はいる。肩を抱き合って励まし合って、お互いの必死さを笑い合いながら背中を押したり撫でたりし合える同士を得て、もがき続けながら人生後半を進んでいくのかもしれない、なんてことを思った。
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めっちゃおもしろかった!!
45歳の主人公に、何度「わかるー!」と思ったことか。
夫がいて子どもがいて、仕事もあり、家庭もあり。
年下の男の子にときめき。
女友達と長電話。
自分のお尻が垂れていることに気づいて、愕然として、ジムで猛烈に筋トレに励む。
エストロゲンがガクッと低下して、からだが一気に変化していく。
「このまま私は女じゃなくなるんじゃないか」という焦り。
主人公のそういう気持ちが、めちゃくちゃ生々しく描かれている。
しかも、主人公だけでなく、同世代の女性たちが何人も登場するし、最後の方には、実際に行われたアンケートから、中年期の女性たちの声まで出てくる。
だから、ひとりの女性の特殊な物語というより、現代を生きる中年期、更年期の女性たちの、心とからだの変化に翻弄される姿そのものが描かれている。
それが、もう、とにかくリアルすぎる!
主人公の「わたし」は、なんかもう必死すぎて痛々しくて、目を背けたくなるほどなのに、なぜか愛おしい!
「もう若くない」とわかっていても、まだ女でいたい。
誰かにときめきたい。欲望もなくしたくない。
そんなドタバタを全部描いている。
そこがすごくよかった。
もうやめてー!私たちの内面を暴露しないでーー!
と思いながら読んだ。
既婚女性は、これ、パートナーには読ませない方がいいと思う。笑
痛くて、笑えて、愛おしい。
ものすごい小説だった。 -
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3日連続で部屋に蜘蛛が出て、掃除機で吸った。
3日目、
もしかして同じ奴が、掃除機の口から這い出てきてるのでは?
と思い、口をテープで塞いだ。
あれ?蜘蛛って、肺呼吸するんだっけ?
内臓あるのか?脳みそは?
意外と大きかったりするのかな…
掃除機の口をテープで塞いだこと、許さない。と復讐の機会を、息を殺して狙ってたりする?
わたしは、ソッと掃除機のテープを外した。
そんな感じのエッセイ。
常に、どうでもいいことで頭の中が溢れ返っているのは、ワタシだけじゃないんだ。と
あれ?ワタシ以上の人いるよ?と
深い安心を与えてくれる。
安心、安定の、岸本佐知子センセイ。
センセイに、幸あらんことを。 -
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ミランダ・ジュライの作品にはいつも笑いながら泣いてしまう。あまりにも切実にストラグルしているから。新作は主人公が自分と同い年ということもあって、いつも以上に身につまされるものがあった。
どうして人はこんなにみっともないのか、どうして夫婦はこんな最果てまでたどりつかずにはいられないのか、どうして人生はこんなにもままならないのかー。「十五年間ずっと水の中で手足をでたらめに動かしつづけて、やっと水面の上に顔が出た」ら、「それは思っていたのとは全然べつの場所だった。」!
ミランダ・ジュライのプライベートを鑑みてもあまりにも勇猛果敢な表現。わたしもエクセルシオール321号室で彼女に会いたい。あらゆる場所に、黄金色の光。 -
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4人の会話が面白くて楽しくて、ほかの作品でもまたこの4人でやってほしいです!
作家さんならではの、「この先はこう進むのでは?」「いや、まだこれだけページがあるから私ならこういう展開にしますね」などの予想を聞けたのも面白かったです。
それだけでなく、みなさん結構ふざけていて「名前が覚えられない!」とあだ名をつけたりツッコミを入れたりしながら話しているのがすごく良かったです。
作家さんたちの対談というと、もっと堅苦しいものを想像していたけど、そんなことはなくて友達同士で本についてあれこれ話しているような楽しさがありました。
「罪と罰」はハードルが高い作品というイメージがあって今まで読もうと思ったこともなかったけど、4人の話を聞いているうちにどんな作品なのか気になって読んでみたくなりました。
読まないのにみんなであれこれ想像して語ることで、こんなに「読む」ことを楽しめるんだなと思いました。
読書って、実際に本を読み終わることだけじゃなくて、読んでいる途中に考えたり、人と語り合ったり、読み終わったあとにまた思い出したりすることまで含めて「読む」なのかもしれないな、と感じました。
岸本佐知子さんが、4年越しにみんなでまた罪と罰の話になったとき、みんなだいぶ記憶が薄れてるところも、私もあんなに感銘を受けたのにほとんど内容覚えてない!ということがあるので、私の記憶力と頭の悪さかと思ってたけど、作家さんたちもあるんや!と安心しました。
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Posted by ブクログ
時々、そんなこと普通考えないですよ、と言われることがある。例えば、普通のレベルを超えて出会うと卒倒する勢いでハトやカエルが嫌いな友人を見た時、自分が死んでハトやカエルに生まれ変わり、たまたまその友人を見かけても、あんなにも楽しく前世では一緒に過ごした人たちなのに、死ねばいいのにと言われんばかりに毛嫌いされる様子を想像し、非常に寂しくなるのだと。とそんなくだらないことをよく考えるのだが、本作品はその10倍は様々なことを考え、面白くおかしく推察、時には知識をも与えてくれる、何というか変な意味でほっとするというか、心が柔らかくなる本である。以前拝見した小指さんとのトークショーでのコメントもその一面は垣間見えたが、こんな素敵な人だったのだなと改めて岸本さんのファンになりました!