岸本佐知子のレビュー一覧
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ネタバレ横からぽっと現れた口の達者な人物によってあっという間に国が乗っ取られ、逆らう者を手にかける様子が恐ろしかった。登場人物が人間ではなく、色んなパーツのより合わせで動いているため生々しさは少ないはずだけれど、ある日突然権力者の決定によって殺されてしまうことに変わりはないのだった。
言葉を利用して鼓舞し、揚げ足をとり、押し切り、隙をついて場を支配するフィル。ちょっとしたアイデアから始まったはずなのに、気付けば全員従わざるを得ない状況になっていて、日に日に力関係の変化していく様子が面白かったし同時に怖かった。
長い物に巻かれて自分可愛さに保身に走る者たちや、それとは逆に、おかしいことをおかしいと言える -
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狐に摘まれたようなとはこの読後感にピッタリの感想だろう。物語があるわけではないが、作品ごとに読者である私が受け取り紡ぐ、あるいは想起される出来事が不思議と湧き起こる。ここまで読者に意図的に委ねられている小説は初めて出会ったと思う。
特に今の自分に印象深いのは、「肉と夫」の夫への諦観と突き放し、「私たちの優しさ」の夫の矮小さ、甲斐性なさ、「グレン・グルード」の妻の焦燥感、輝かしい過去への憧憬といったところかな。自分の心情や状況にリンクしてしまう。
読む年代や置かれている状況によって一番刺さる作品は違ってくるに違いない、それほどまでに懐の広い作品群になっている。たった数ページで人間、社会の本質 -
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ネタバレ文庫化に伴い11編もエッセイが追加されたというので再読することに。
単行本は3年以上前に読んでいるが、細部まで覚えていない。
前回は急いで読んだので、今回は結局全編じっくりと読んでしまった。
何度読んでも面白さは変わらない。
エッセイごとにクラフト・エヴィング商會のイラストがあるのだが、これも全く覚えていなかった。
このイラストが実にいい味を出していて、眺めるのが楽しみになります。
「じゃむぱんの日」からさほど日数を空けず、岸本ワールドを満喫できてラッキー(^O^)
レビューは、単行本でしているので省略です m(_ _)m
追加分のエッセイはまとまっていなくて、バラバラに挟み込まれてい -
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半泣きのような、半笑いのような。一編を読むごとに、きっとヘンな顔になっている。
ゾクゾク、ゾワゾワして、しんとする。僕の中の埃が溜まったへこみを押し開けて、入り組んで届きにくいカーブに指をぴたっと添わせてグイグイ突いてくる。
なんともイタ気持ちいい読後感。しばらく動けない。
ギュッと腕を身体に巻き付けて、バラバラに解けてしまいそうな自分の形を保つのに必死なとき。一緒にベッドに潜り混んでいる人の寝顔が、見知らぬ他人だと思うとき。バスタブの中で息を止めて、「ねぇ、私は悪くないよね」って呟くとき。
そんな危うい瞬間を潜り抜けて、残念な今日とウンザリな明日を生きていく誰かさんに、奇妙な回線で、接続し -
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ネタバレ描写力がすごい。キャッチャー・イン・ザ・ライみたいな多くの人がぶち当たるある時期の感情のもつれとかとは違ってターニングポイントにすらならずに忘れ去られた子供時代をよくあそこまで表現できるなと思った。
----ここからネタバレ----
エドウィンが撃つフリして目を開けたことによって安堵するよりも伝記を書くためのプロットを完成させることを厭わなかったジェフかなりやばい
あと表向きには多くの人が忘れ去ってしまった子供時代の感性を忘れることなく保ち続けたエドウィンの人生と作品話なんだろうけど、ジェフがそこから外れることを許さなかったという感じがするんだよなぁ
ローズ・ドーンやアーノルドからの影響 -
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ネタバレ岸本佐知子さんが某洋酒メーカーを辞めて翻訳家となり何年か経った33~39歳の時のエッセイで、最初のエッセイ集がこの本です。
しょっぱなから、「リニアモーターカーは根性とか念力で動いている」と密かに感じているとのたまう岸本佐知子さん。
最初のエッセイを最後に読むことになってしまったが、この本も、岸本ワールドが期待できそう♪と確信。
とは言え、遠慮して抑えている感も伝わってきて、円熟した岸本ワールドをさらけ出すまでには至っていない。
一番面白かったのは、新書版で追加された最後のエッセイで、これだけが2006年(46歳)に書かれたものだから遠慮なく自由だ。
一度も会ったことのない川上弘美さんとの思 -
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ロシアものは自分に酔う
こんな本読んじゃってる自分を想像するだけで満足してるかもしれない。
何冊か読んで途中棄権してる本もあるが、罪と罰も上下巻で揃えて読むタイミングを逃している。
そこにこの本があると知り、こちらを読んだら読む気になるのか…?なんて
ちょっと遠回りしてみることに。
結果、四人の読書会がエッセイのようでもあり
とてもハマってしまった。
作家さん達であるから、書き方や持って行き方なんかも自分と比較したりする、そんな会話もめっちゃ楽しい。
罪と罰を普通に読んでいたらこうは思わなかったと思う。
ロシアものは難解だ
だって人の名前も日本人にはとっつきにくい発音(発声)
それでいて -
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未読座談会という、(立会人以外の)出席者全員が本を読まずに参加するという、『読んでない本について堂々と語る方法』をやってみたという記録本。
実際には、冒頭と結末を数ページずつ読んでからでありましたが、想像力が膨らんでどんどん空想の話が進んでいって面白い。小説家と自分の距離感を感じざるを得ませんでした。
ときどき、想像力に置いてけぼりにされながらも、実際に自分も本で読んだことがないので、こういう話なのかな、と何度か振り回されました。
読んでは忘れを繰り返しながら、新しい本を読み続ける自分にとっての、「読む」という行為は一体どんな意味があるのだろう。
忘れてしまうのでは、むしろ無駄なのでは -
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ずっと気になってたミランダ・ジュライ。
U-NEXTのポイントは書籍に使ってくことにしたので、
初の長編小説という今作を読んで見ました。
いや〜マジでよくこんな話を思いつくなと。
もうひたすら面白かったのは2人が取っ組み合いを始め、
そしてビデオを模倣して絡み合うようになる展開。
結局、ここでクリーがふいに口にするセリフが
意味深なタイトルになってるとこも本当にイケてる。
シェリルは私の頭の中で完全にエイミー・アダムスだった。
たぶん「メッセージ」の印象かな。
シェリルが自己完結してて閉じてる故に
押しの強いクリーやフィリップスに対して受動的であることが
結果的に頭のおかしい展開を作り出 -
Posted by ブクログ
予備知識なしで読んだ。自分が普段わりと静かな作品を読むので、最初は面食らった。少年漫画さながらのバトルシーン。途中一瞬任侠感のある言い回しも出てきて、海外小説で任侠って、と笑えた。
それにシェリルの妄想の産物、クベルコ・ボンティなる奇妙な赤ん坊。千と千尋の神隠しの坊みたいで、登場するたびに坊がしゃべってるように思えてならない。
シェリルの奮闘は滑稽でエキサイティングで勢いでどんどん読み進められる。怒涛の出産シーンにはハラハラした。
ジャックには深い愛情を注いでいるがほとんど自分の内で対話しており現実には話しかけていなかった、とシェリルが気づいたとき、読者である私も、シェリルの内側(ほとんど妄想