岸本佐知子のレビュー一覧
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未読座談会という、(立会人以外の)出席者全員が本を読まずに参加するという、『読んでない本について堂々と語る方法』をやってみたという記録本。
実際には、冒頭と結末を数ページずつ読んでからでありましたが、想像力が膨らんでどんどん空想の話が進んでいって面白い。小説家と自分の距離感を感じざるを得ませんでした。
ときどき、想像力に置いてけぼりにされながらも、実際に自分も本で読んだことがないので、こういう話なのかな、と何度か振り回されました。
読んでは忘れを繰り返しながら、新しい本を読み続ける自分にとっての、「読む」という行為は一体どんな意味があるのだろう。
忘れてしまうのでは、むしろ無駄なのでは -
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なんだかとてもタイムリーでとても考えさせられる、それでいてとてもとてもユーモラスなお話だった。
特定の誰かをモデルにしたわけでなく、独裁者の最大公約数として描かれる「フィル」。
だから、あの人にも見えるし、あの人にも見える。
いつの時代も、いや、誰の中にも存在する「フィル」の影。
巧妙な演説で人々を魅了し、ついには年老いて耄碌した王の座にとってかわる。
国と国との境目。
税金の徴収。
武力衝突。
親友隊の組成。
侵略者の処刑。
危険分子は芽が出たらすぐ。見せしめに。
それぞれの国の住人たち、親衛隊や市民軍やマスコミや隣国の人々の動き方も実にリアルでゾッとする。
民衆はいつだって影響され -
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すごくおもしろかったです!何やってんだこのひとたち…(もちろんいい意味です)といういとおしい呆れ、ところどころ鋭い考察というかちゃんと読んでいる。作家の人たちはこうやって本を読むのか、とふむふむした。わたしもカタカナ名前が覚えられないがちだけれど、こうやって楽しくあだ名をつけて読んでいくといいのだなという気づきもあり。スベ。
印象的だったのは吉田篤弘さんが言っていた、意味やつながりを持たせすぎると絵の印象が残らない、という言葉。読書の悦びはかならずしもあそこで説明していたのはこういうことだったんだ!という意味を理解することだけではなく、想像の余白というか像を結ぶ余白をたのしむことにあるのだな -
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ずっと気になってたミランダ・ジュライ。
U-NEXTのポイントは書籍に使ってくことにしたので、
初の長編小説という今作を読んで見ました。
いや〜マジでよくこんな話を思いつくなと。
もうひたすら面白かったのは2人が取っ組み合いを始め、
そしてビデオを模倣して絡み合うようになる展開。
結局、ここでクリーがふいに口にするセリフが
意味深なタイトルになってるとこも本当にイケてる。
シェリルは私の頭の中で完全にエイミー・アダムスだった。
たぶん「メッセージ」の印象かな。
シェリルが自己完結してて閉じてる故に
押しの強いクリーやフィリップスに対して受動的であることが
結果的に頭のおかしい展開を作り出 -
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予備知識なしで読んだ。自分が普段わりと静かな作品を読むので、最初は面食らった。少年漫画さながらのバトルシーン。途中一瞬任侠感のある言い回しも出てきて、海外小説で任侠って、と笑えた。
それにシェリルの妄想の産物、クベルコ・ボンティなる奇妙な赤ん坊。千と千尋の神隠しの坊みたいで、登場するたびに坊がしゃべってるように思えてならない。
シェリルの奮闘は滑稽でエキサイティングで勢いでどんどん読み進められる。怒涛の出産シーンにはハラハラした。
ジャックには深い愛情を注いでいるがほとんど自分の内で対話しており現実には話しかけていなかった、とシェリルが気づいたとき、読者である私も、シェリルの内側(ほとんど妄想 -
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三冊のうちで、一番好きかも知れない。ビザールな(奇妙な)本に挙げられているものが私も特に好きだ。
最近読もうとした(最後まで読んでないけど)藤枝静雄、昔から読んできた筒井康隆(特に虚人たち)それに吉田知子、村田喜代子、それに、それに、奥泉光が(嬉)怖さがドッペルゲンガーのそれだ、と書いてある。私が好きなのもそのあたりか、裸で書割の窓に向かってサックスを吹くカフカかぶれの男など。なんとも言えず奇妙で面白い。
後、笙野 頼子(残念ながら未読、Wikiでは緊密な文体で鬱屈した観念・心理表現と澄明な幻想描写の融和を試行した、とある、読まねば)そして、川上弘美さんと酒を飲む夢。
言葉に拘って想像があら -
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映画「君と僕の虹色の世界」「The Future」そして、短編集「いちばんここに似合う人」、ドキュメンタリー「あなたを選んでくれるもの」で、ちょっとイタイ・なんかズレてるこじらせアート女子による、抜群のセンスを見せてくれたミランダ・ジュライの待望の長編小説です。
や、もうこれ、文句なしの傑作で、そのこじらせと妄想が100倍にスケールアップしていて、私は女子ではないんですが、なんかおんなじようなこと考えてる人いるのか!と感情移入しすぎてページ進まないので困りました。松岡茉優の「勝手に震えてろ」も名作でしたがこじらせと妄想はミランダが圧倒的に上です。容赦なくこじらせてます。世界の40代女子のこじ -
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ネタバレAmazing! と言いたくなった。笑えて切なくてホロッと最後は泣きそうになるエンディング。ページターナーでした。43歳女性が66歳シングル男性に密かに恋してる所から始まるけど日本の恋愛市場ではオワコンの年齢だ。その主人公シェリルの人生がそこからあれよあれよと、ここどこ?私誰?な感じでスピーディーにモノクロからカラフル人生に変わっていく。一番印象に残ったのはやはりsexual fantsies性的妄想やその描写があからさまなんだけど、ちっとも下品ではないとこ。「おりもの」だなと分かるって新鮮だった。おっぱいが垂れてるとか陰毛に白髪とかウケるけどいくつになっても恋してるっていいなと思う。タイトル