岸本佐知子のレビュー一覧

  • なんらかの事情

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    ★3.8
    岸本さんのものの着眼点がとにかくおもしろい。

    特に好きだったのは前半部分で、もう今の時代マスクしててよかったなっていうくらい電車の中で読みながらニマニマしてしまった。

    自分にとっては一見どうでもいい、どうでもよくないことが他の人の気持ちを楽しくさせてくれるんだなと、。
    こういうくだらないこと(本人にとってはそうでもないことかも)を人に伝えたり、お話するのっていいな、と思う。
    岸本さん、元気をありがとう。

    わたしも思ったこと、くだらなくても
    これからメモしとこ。誰かや自分を時々救ったり救わなかったりするかもしれないから。


    好きな章:
    才能 レジで遅い列並ぶ人優勝
    ダース考  

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    2022年05月07日
  • 『罪と罰』を読まない

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    『罪と罰』を読まずに読む。

    まず自分も『罪と罰』を読んだことがありません。確か主人公は若い男で老婆を殺す話だったはず。それくらいしか知りません。というわけで前半の推理合戦も、後半の読後感想も楽しく読み、『罪と罰』読みたい、と思いました。色々なキャラクターが気になります。これは読むしかないのでは?

    「読む」という行為は、読む前から始まっており、読んだ後も終わらない。読書は一人で完結しない、著者や他にその本を読んだ人、また読んでいない人とのつながりだと思いました。読書万歳。

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    2022年05月01日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    12編のアンソロジー。
    どの作品も変愛の名に相応しかった。この一冊に密度濃く詰め込まれたそれぞれの変愛。愛と一口に言っても当たり前ながら1つも同じものはない。
    その中でも特に好みだった2つについて書きたい。

    『藁の夫』
    2人の間に嫌な空気が流れる、その始まりはいつも些細なことなのだと思い出させる自然な流れだった。あんなに幸福そうだったのに、藁に火をつけることを想像させる経緯、鮮やかな紅葉にその火を連想させるところがたまらなく良かった。

    『逆毛のトメ』
    シニカルでリズムのいい言葉選びが癖になる。小説ってこんなに自由でいいんだと解放して楽しませてくれた。躊躇なく脳天にぶっ刺す様が爽快だし、愚か

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    2022年04月21日
  • いちばんここに似合う人

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    80歳を過ぎた老人に海もプールもない土地で泳ぎを教えた経験を語る女性の話とか、あり得ないようでいていや、あるのかもしれんな…と思わせるようなユーモアと魅力があって、息抜きに読むにはちょうどいい。比較するにはポップ過ぎるけど『ワインズバーグ・オハイオ』を思い出した。

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    2022年04月15日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    「小説のような人生、ではなく人生は小説」なのかなと思った。

    入り込むまでに時間がかかったけど、途中で↑に気づいて没頭して読めた。目まぐるしく変わる生活と荒々しい感情の揺れに眩暈がした。比喩表現の鬼だな、と(とてもいい意味で)。

    タイトルにもなった「掃除婦のための手引き書」もよかったけど、「ソー・ロング」「ママ」「沈黙」「さあ土曜日だ」の流れがとても好きだった。中毒性が高く、まんまと他の本も読みたくなった。

    【アメリカ】

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    2026年04月05日
  • 最初の悪い男

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    一番ここに似合う人、あなたを選んでくれたものに続いて。こんなに1人の人の著書を読むのは久々。人があえて文字にしたり口にしたりしないような人間のどろっとした事や世界の一部を冷静かつプッと笑っちゃうような表現でひとつの作品にしちゃうのがこの人のすごいところ。動物の鳴き声が「たすけて」に聴こえてもその動物にとっては全く違う意味かもしれないし、とか。しょーーもないんだけど確かに真理だと思わせられる面白い表現がいっぱい。端的に書こうと思えば全然書けそうなことを良い意味でダラダラ書いてて、でもそのどうでもよさに登場人物たちの生活を感じる。短編もドキュメンタリーも面白かったけど長編は読み終わってこのミランダ

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    2021年09月24日
  • 『罪と罰』を読まない

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    『罪と罰』は挑戦したことはあるけど、結局まだ読めていないです。
    なので、こんな有名な作家さんたちも読んでないんだ!と嬉しくなって手に取ったのですが、最終的に読んでる・・・!
    でも読まずに推理する座談会って画期的すぎる。
    そして言うこと言うことが面白い。登場人物に変なあだ名付けるし。
    でも『罪と罰』が堅苦しくない、エンタメ本だと分かったので、
    この本を傍らに置いて今度こそ読破してみたいです。
    欲を言えば『カラマーゾフの兄弟』とか他のドスト作品でも座談会して欲しい。

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    2021年09月01日
  • なんらかの事情

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    いちばん早いと思ったレジが、最も遅くなる。

    買ったばかりの服のボタンが、初めて着ようとした時に、ぶらぶらになって垂れ下がってる(しかもそこそこ高いやつ)。

    家庭科の授業で配られた裁縫セットの中にあった、アルミの円盤部分に、なぜかローマ皇帝の横顔みたいな模様がある、針穴に糸を通すための道具のような、間がもたない気がしてついつい入れてしまった飾りが、心の琴線に触れる。

    上記について、すごい、私の心が読まれてるよ。
    なんか分かってくれる人がいる! 
    と、思わず心の中で快哉を叫んでしまった。

    ダースベイダーも夜は寝るのだろうかと考えることや、アロマを嗅ぐ時の「くんかくんか」って表現は私のツボに

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    2024年07月07日
  • いちばんここに似合う人

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    読書会の課題図書。
    ジャームッシュの初期の映画を見ているような。
    エイドリアン・トミネの「サマーブロンド」とか、映画で言うと「ゴーストワールド」を彷彿とさせる。
    一時期の村上春樹さんもちょっとこういう感じだった。
    レーモンド・カーヴァーを初めて村上さんの訳で読んだときと似た感覚。
    だが、それから21世紀になり、よりより閉鎖的な気分になってるんだなあ、と。
    その中でも泥の中の蓮、という気分にさせてくれるものもあれば、そうでもないものも…。

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    2021年02月28日
  • エドウィン・マルハウス

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    おもちゃ箱と宝箱をひっくり返したような物語。その、ひっくり返して出てきたもの一つ一つに、まんべんなく焦点が当たるような。全部読み終わって、どこからがフィクションなんだっけ?としばらく考えてしまった。

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    2020年12月04日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    タイトル通り変愛を集めた短編集。

    「お、おう、そんなところに」「そんなのと」「え、何この設定」とか本当にそれぞれ変な愛ばっかり笑

    吉田篤弘目当てだけど、電球交換士が出てきていたとは。

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    2020年04月16日
  • 最初の悪い男

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    同年代の独女には劇薬だ。
    こうも赤裸々に語られると、どうにもいたたまれない、それでも読むのを止められない。

    今の変わり映えしない生活は居心地良くはあるけど、少し窮屈で退屈。
    このまま老いていくのかと思うと、このままで良いのかと不安にもなってくる。
    そろそろ何か新しいことを始める時なのかもしれない。

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    2020年03月22日
  • 気になる部分

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    奇観のエッセイ三冊のうちで一番好きかも知れない。ビザールな(奇妙な)本に挙げられているようなものが私も特に好きだ。

    最近読もうとした(最後まで読んでないけど)藤枝静雄、昔から読んできた筒井康隆(特に虚人たち)それに吉田知子、村田喜代子、それに、それに、奥泉光の怖さがドッペルゲンガーのそれだ、と書いてある(嬉)。好きなのもそのあたりか、
    裸で書割の窓に向かってサックスを吹くカフカかぶれの男など。なんとも言えず奇妙で面白い。(そうそう私ファンの奥泉光さん作)

    後、笙野 頼子(私。残念ながら未読、Wikiでは緊密な文体で鬱屈した観念・心理表現と澄明な幻想描写の融和を試行した、とある、読まねば)そ

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    2020年01月05日
  • なんらかの事情

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    身近な出来事が多い、勘違い、行き違い、誤解、早合点、何もかも思い当たる、エッセイにするとこうなるのか。
    講談社のエッセイ賞を受賞した岸本さんに、今更だけれど。
    読んで暫くして、不意にぽかっと浮かんでくる、ほんと不思議だなぁと言う感じが好きだ。
    これからも何か見るたびに、あれ、これ何所かで読んだ感じだと思う。そんな身近な話題に思わずクスッと笑ってしまう話題が満載。



    * 物言う物 トイレが喋った「自動水洗です」。だからどうだって言うのだ。
    車が喋った「ガソリンがなくなりそうです」メーターを見れば分かる、それになぜみんな女なのか。
    状況次第で切羽詰まっていたり懇願するようだったり厳しくトガメダ

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    2026年02月10日
  • いちばんここに似合う人

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    面白かったです。
    ミランダ・ジュライは初めて読みました。岸本佐知子さんの訳も読んでみたかったです。
    人々の関わりが濃く描かれていますが、ひどく孤独を感じました。濃密であればあるほど、独りで立っていました。
    この感覚は親しく思います。楽しく会話してても、ひとり、ということをまざまざと突き付けられることはよくあります。
    「何も必要としない何か」がすごく好きでした。
    これからも読んでいきたい作家さんです。
    岸本さんはエッセイを面白く読んでいたばかりでしたが、訳書も文章が生き生きとしていて好きです。

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    2019年10月25日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    「恋愛」ではなく「変愛」…変わった形の愛が描かれたアンソロジーです。
    面白かったです。
    ディストピア文学が大好きなので、「形見」が好きでした。工場で作られる動物由来の子ども、も気になりますが、主人公の子どもがもう50人くらいいるのも気になりました。色々と考えてしまいます。
    「藁の夫」「逆毛のトメ」「クエルボ」も良かったです。藁の夫を燃やす妄想をしたり。クエルボはラストは本当に名の通りにカラスになったのだろうか。。
    多和田葉子、村田沙耶香、吉田篤弘は再読でしたがやっぱり良いです。
    岸本佐知子さんのセンス好きです。単行本から、木下古栗さんの作品だけ再録されなかったようですが。
    表紙の感じに既視感が

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    2019年08月30日
  • 最初の悪い男

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    ある種妄想の世界に生きる43歳の女シェリルと、その前に現れる最強最悪の「現実」クリー。よくある女性2人の分かり合いの物語ではなくて、変化、変化、変化。2人の関係はひたすらに変化し続ける。避ける、闘う、愛し合う、あらゆる剥き出しの感情の表出だ。そして見えていないものが見える。職場の人物。セラピスト。恋愛。あまりにも入り組んでいて話の流れとして読みやすいとはいえないけれど、最初に感じたあまりの嘘くささ(現実との乖離)から、最後には滅茶苦茶な現実が輝く。エピローグの輝かしさ。
    主人公にどことなく共感してしまう。ぜんぜん違う性格だし考え方も違うけれど、その人生回避の姿勢に。しかし彼女はぐちゃぐちゃでは

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    2019年06月14日
  • 最初の悪い男

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    netflixのドラマのようにゴクゴクと読んでいけちゃう喉ごしでありながら、しっかりと人間のアブない深淵を覗かせてもくれる一冊。笑い、泣き、慄きました。

    個人的に一番キてるな〜と思ったのは、シェリルが玄関でカタツムリ百匹ぶちまけながら自慰にふけってしまうシーン。その後人間同士の関係は驚くべき変化を遂げていくのに、カタツムリは後半に至ってもまだ屋内を這っていたりする。また、クリーが去った後もしばらく彼女の搾乳したミルクがジャックに与えられ続ける描写などもあって、一瞬で変化する物事とマイペースに連続性を保った物事との対比が面白く、もの悲しい。

    奇妙な筋立てにリアリティーを与える細かな描写もいち

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    2019年05月28日
  • 最初の悪い男

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    43歳独身妄想女シェリルの家に、上司の娘クリーが転がりこんできたことで起きた人生の奇跡。
    精神的に余裕がないと辛い。人間ってどうしてこうも残酷で単純な生き物で、また美しいのだろう。
    シェリルの妄想はリアルだ。欲求や理想をこれでもかと見せつけ、私の脳内にまで踏み込んでくる。
    サプライズでシェリルと読者を困惑させる。守るべきもののおかげで、なんとか前へ進むのだが。

    幸福とは変化なのか?理想の追求なのか?
    この結末は正しい。そう納得するしかないのは私の器の問題。

    タイトルの意味を理解した時、やはり正しいと再認識するだろう。

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    2019年05月04日
  • 最初の悪い男

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    ミランダ・ジュライは、「人生はビギナーズ」の監督マイクイルズの妻。彼女の初長編であるこの作品は、中年女性シェリルの元に飛び込んできた、上司の娘、20歳のクリーとの物語。傍若無人なクリーとの関係は、二転三転して予測がつかない。かなりファンキーな展開かつ、シェリルの空想話が混ざってくるので、かなり独特な読後感。何が言いたいんだか、よくわからないが、気の利いたエピローグでなんとなくすっきりする。

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    2019年03月16日