【感想・ネタバレ】わからないのレビュー

あらすじ

四半世紀分のキシモトワールド

リディア・デイヴィス、ルシア・ベルリンなど数々の名翻訳で知られる著者は、エッセイストとしても絶大な人気を誇る。本書はデビューエッセイ集『気になる部分』(白水社刊、2000年)以降に様々なメディアに寄稿した、単行本未収録の文章を集大成したものだ。
全三章で構成。第一章は、「前世が見える」という人に教わった著者の前世の物語「わからない」、一度も訪れたことのない場所を精緻な妄想で描写する「ここ行ったことない」等、ヴァラエティ豊かなエッセイを集める。
第二章は、書評の意味を崩壊させてしまった伝説の朝日新聞連載「ベストセラー快読」、子供のころ猿のように繰り返し読んでいた本を今読んだらどうなるのか実験した「もう一度読んでみた」等、本にまつわる文章でまとめた。
さらに第三章として、キシモトワールドのエッセンスを凝縮したようなウェブ日記「実録・気になる部分」等、2000年代の「日記」を収録。いずれの章も、抱腹絶倒、奇想天外、虚実の境をまたぎ越す著者の真骨頂が堪能できる。
危険防止のため、電車の中では読むことをお控えください。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

400ページ弱にエッセイ、書評、日記を収める。初出の年代はさまざま。
筒井康隆作品の「日本家屋もの」or「お座敷宇宙」についてのエッセイが秀逸。
三浦しをんのことも書いてある。「もしかしたら前世は武士だったのかもしれません。そういえば一度、最深度まで酔っぱらって、一人称が突然『拙者』になった三浦さんを見たことがあります。語尾は『ござる』でした。たぶん鎌倉時代の。まちがいありません。」てへっ。

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

『死ぬまでに行きたい海』で岸本さんのファンになったので読んだ。内容(登場するエピソード)は被っているものも少なくないが、友人と話している時の「それ以前にも聞いたことあるけどやっぱおもろい」話感があって嬉しかったです。
前述のエッセイよりもボリュームがあり、短編集ということで章が短く、読みやすかった。
日常のことをこんなに面白く、読者の共感や笑いや時に恐怖心(?)を誘う文章力が非常に羨ましかった。
最後の方に日記が掲載されているが、自分が知っている「日記」とは様子が異なり、こういったのもOKなんだな?! いや日記だからこそこんなに率直でいいんだ……!! という発見と驚きがありました。
手元に置いておきたい本です。

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2025年08月09日

Posted by ブクログ

初めての岸本佐知子さん。面白すぎた。
翻訳家で文筆家だから優等生的聡明な才女かと勝手に思っていたら、毒とユーモアに満ち溢れていた。そしてやはり表現の豊かさとビシッと決める言い回しのセンスというか技術というか、素晴らしくて虜になった。
日記は吹き出して笑った。

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2025年04月26日

Posted by ブクログ

翻訳家、岸本佐知子のエッセイ、本の書評、実録日記。




この方を存じ上げないまま、タイトルと表紙の絵が気になり、パラパラと流し読みして面白そうだと思い読みました。

どこでとははっきり分からないけれど、読んでいるうちにだんだんと、この人って魚座っぽいな〜と思っていたら魚座だというフレーズがあり、やはりと思いました。
取り上げる題材、書き方、時折り挟まれる夢の話や荒唐無稽な話、それに対する著者の感じ方とその描き方などから、畏れ多いながらシンパシーを感じました(私と同じ!というわけでは決してなく、捉え方に親近感がわくところに)。
実際はきっともっときちんとされている方なのでしょうが、いい加減さが良いさじ加減で出てくるあたり、魚座みを感じます。
そう感じたこともあり、とても読みやすく楽しいエッセイでした。書評されていた本はどれも(と言うと誤解を招きそうですが)興味をそそられて、ぜひ読んでみようと思いました。

本屋で見かけた女学生の話が好きです。
ストーカー風な振る舞い(笑、そこから怒濤のオススメ海外文学レファレンス (ただし心の中で)が面白くて、「○○の話してたよね、そんな貴女には△△!」という流れを全て読んだ後に、めっちゃ話聞いて様子を見ていたんやなぁ…これはギリアウトでは…?と微笑してしまいました。でもお勧めされた本どれも面白そうでした。

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2025年01月22日

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ネタバレ

「わからない」
書籍、映画の情報としてはフルフル!?
たまげるけれど目が離せなくなってそして、
星5つ付けてしまう私も岸本派の信者の一人としてのある意味、不治の病のような。
ビチの介(生き残りのメダカ≒アルワナ)と自分を評するのは申し訳無さ満載だけれども、どうにもひれ伏したい気持ちがやまない。
垢ちゃん、この表現も読まない方々には
『わからない』のでしょう。

本を閉じたあと、うっかり二度目ページをめくってしまう本。濃い!

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2024年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

単行本未収録の文章を集大成したもの、ということでその雑多な感じが楽しかった。小さなメディアに寄稿したものまで網羅されていて、ファンには堪らない。

ヤクルトの池山似だったというかつての飼い猫ちゃんの話。あのギプスだ!と前作のエッセイを引っ張り出して確認。同じ題材で他にも書いていらしたのね。滑稽な語り口なのにご本人やご家族、獣医師の暖かさが伝わってくる。その次の話と合わせて、しみじみと愛に溢れた良い話だった。収録に感謝。

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2024年09月15日

Posted by ブクログ

「技能の未熟な者がうかつに手を出せば、よくて空振り、悪くすればデッドボールとなり、手指の骨折や皿の破損、寿司ネタおよび酢飯の店内への飛散といった事態を招く結果となる。」
p.110 ここ行ったことない①回転寿司 から引用

行ったことのない回転寿司を勝手に想像してここまで書けるのがすごい。寿司のデッドボールって何なんだよ。おかげでカフェで1人で吹き出す羽目になった。好きだ、岸本佐知子。

過去刊行されているエッセイ集はたぶんほぼ全部読んでいる。今回は20年以上前に寄稿されたもの、日記、書評などなどバラエティに富み様々な角度から岸本さんの文章が読めてお得。
日記を読むと本当にたくさん映画や舞台、書籍、食事に日々触れていることがわかり、それがこの岸本ワールドを作っているのか…と思うなどした。

「意味がわからなくて怖い」と「面白い」って同時に成立するんだ。まあ、大抵は怖いです。

怖いのに、ときどき急にふわっと投げられる岸本さんの温かい文章がこれまた大好きで。

「ドラえもんは、べつに何もしてくれなくていい。四次元ポケットから便利なものをだして、私たちを助けてくれるんでなくていい。ただ未来から来てくれるだけでいい。そうすれば、私たちに未来があるとわかるから。」
p.44 オバQ、あるいはドラえもん より引用

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

・相変わらず面白い。
・そう言えば一番最初に岸本さんの本を読んだのは、翻訳の方ではなくエッセイの方だったかも。
・過去の未収録のエッセイを集めた本なのだけど、図らずも?今作は読書のルーツにまつわる話や、より細かい(しょうもない?)日常が書かれている日記も含まれる事で、他の本よりご自身が剥き出しになっている気がする。
・でも特に意外性があった訳でもなく、通常運転です。(そんな風に聞こえないかもしれませんが、褒め、のつもりです)

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

翻訳家による、単行本になっていない2000年からのエッセイ、書評等、日記

感性も文章力も素敵で、今までこの著者を知らなかったのが勿体無いと感じた。
気になるフレーズや本や映画がたくさん。
面白かった!みんなも読むといいよ!

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2025年04月12日

Posted by ブクログ

翻訳家でエッセイストでもある著者の読書感想文 + 翻訳小説食わず嫌いへの読書案内(初心者向け、上級者向け)+ 業界日記&メモ。視点や発想が日本人としてはユニークなので、分厚い本でも飽きずに読めた。
 谷川俊太郎の『ことばあそびうた』に関する部分で、「言葉を発するということは、それ自体が音楽を奏でるようなもので、意味なんかなくたって、ただもう楽しいということだってある」とあり、著者の訳書もきっとリズム感にあふれているに違いないと確信した。
 AIアシスタントに著者の翻訳本を何から読めばよいか尋ねると、ルシア・ベルリン作品集かミランダ・ジュライ作品集のどちらかの短編集から入るのがよいとのこと。それならば『掃除婦のための手引き書』あたりから読んでみたい。
 ちなみに、著者の幼少期の環境を知りたいなら、坪内祐三著『玉電松原物語』を読むとよさそうだ。

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2025年04月11日

Posted by ブクログ

表紙が良すぎて手にとらないわけにはいかなかった。
内容は著者のエッセイや書評や日記。あっけらかんに虫を確実に殺す。、本の軽口、ふかい洞察、友人の結婚で腰が抜ける、近くで見てる気持ちになれてめっちゃおもしろいーー
ウテナ観よう日記書こう

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2025年03月12日

Posted by ブクログ

真面目にこの人の書くことと対峙してはいけない、ダメだ、この人死ぬまで面白いんだろう、悔しい。
風呂ん中で後半の日記を読むと急にまぶたが重くなり眠くなる、が、寝床で読むと急に目が冴えてしまう。不思議な本。この細切れの備忘録みたいなのが逆に気になってほっておけない。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

もうファンなので、何を読んでも面白いと言う感じ。日記がかなり前のもので、びっくり。
想定と厚さからは、エッセイとはおもえない。そこもまた好き。

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2025年03月04日

Posted by ブクログ

なんか好き。あぁ、それ読んだことないという本をメモったりした。機会があれば、読んだり観たりしておいて損はないなと思えたり。

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2025年02月06日

Posted by ブクログ

ルシア・ベルリンなどの翻訳家岸本佐知子さんの、エッセイや書評、日記などを集めた本。いままで本に収録されていないものを集めたとのことで、初めて読む岸本さんのエッセイにはちょっともったいなかったかもしれない。
思考も言葉もコロコロと転がっていくような文章が面白い。思考は浮かび上がって飛躍して妄想に突入するし、言葉遊びも抜群に冴えている。
ビジネスや自己啓発系のベストセラーを読んだ感想を率直に書き、挫折を語り、ツッコミをいれ……と自由すぎる書評(勧める気がなさすぎる)もすごかった。
「わからない」「イエス脳」がお気に入りで、エッセイの部分が一番面白かったのでもっとたくさん読みたくなる。他の本も読んでみようかと思う。

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2025年01月05日

Posted by ブクログ

なぜこんな展開なの?思考回路どうなってるのか
一人ほくそ笑み、ツッコミ入れてる
若いころ井上ひさしに遭遇して以来の衝撃!

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2024年12月18日

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エッセイ集。
これはね、ほんとに公共交通機関で読まない方がいいです。
油断してるといきなりぶっ込んでくる。

♫Lifetime Respect/三木道三(2001)

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2024年12月08日

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何度も笑いが吹き出すのと、大丈夫かどうなるんだとヒヤヒヤするのと、終始落ち着かない読書だった。まともなことがたまに挟まれると逆に心配になる。それが岸本佐知子さん。安心・ゆったりしてはいけない、落ち着いてはいけない読書。堪能した。

「日記」、怒濤だった。悪夢見た。

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2024年11月20日

Posted by ブクログ

翻訳家でエッセイも人気の著者。
まずタイトルと表紙に惹きつけられる。
エッセイ、書評、日記の3部構成。
外出は苦手と言うが海外含め相当出ている。
止まらない妄想も読み応えがある。
そして共感してしまう。
海外文学の楽しみ方も知ることができ充実。

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2024年11月08日

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日記のところが人間味に溢れていてすごく面白かったです。3日分で1回はケラケラ笑っていました。オススメされていた翻訳本、他のエッセイや翻訳本も読んでみたくなりました。

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2024年10月27日

Posted by ブクログ

実話なのか妄想なのかよくわからないんですよねこの人の話は。面白過ぎる。
岸本佐知子が語る旧約聖書の話って何であんなに面白いのだろうか。

書評では読んでみたい本がたくさん増えたのでゆっくり全部読んでいけたらいいな。
ちなみに文庫化されてる彼女のエッセイは多分全部読んでるんだけど、翻訳書は「居心地の悪い部屋」しか読んだことがなかったりする。

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2024年10月22日

Posted by ブクログ

文章を自由に書けるってすごいな、と思った。エッセイなので特に重要なことは書かれていない。だけど、読んでいて得した気分になる。
本書の中でおすすめの本や著者が仕事をした本が書かれていた。魅力的。手を伸ばしてみようかしら。

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2025年08月10日

Posted by ブクログ

翻訳家岸本佐和子さんのエッセイ本。
これまで読んだ岸本さんのエッセイ本の中で一番面白かったような。
特に最初の方の旧約聖書の話とかすごい。まじか~。
途中で言及されていた片岡義男さんの本が読んでみたくなった。
25年ほどの時間軸で書かれているので同時代の雰囲気がわかる人は特に興味深いかも。
後半の日記は岸本さんファンの方向けかな。

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

(Ⅰ)今回は書評メインでどっか行く(Ⅱ)地球人のふりをしている宇宙人の気持ちp.8/ずっと男だったんならしょうがないなあ。p.12/アメリカの町名の謎p.19/オカルトという「窓」/私の垢ちゃんp.26/『ノリーのおわらない物語』/私にとって生きることとは「何かわからないことが襲ってきて右往左往すること」の連続p.37/G殲滅/KISSを世襲制に/「オー! マイキー」と「カラー・オブ・ライフ」/「少女革命ウテナ」/トルシエ/『HAIKU Generator』/ブータンとブースカ/わかってしまうことは、どこか怖い。p.173/実用書は偉人伝ないしはおとぎ話/パワーミッドナイター/『海のおばけオーリー』/『にんじん』『小僧の神様』『銀の匙』/『最驚! ガッツ伝説』/リディア・デイヴィス/わからないことの面白さと不安p.240/異形の魔力を秘めた文章p.244/『ことばあそびうた』/『小生物語』『真実真正日記』『原稿零枚日記』/おでんの大根本(Ⅲ)今回の岸本佐知子さんは妄想度が低いと思っていたら最後の日記の部分が日記なだけにそこはかとなく怖かったりする。

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2025年03月15日

Posted by ブクログ

面白かったけど紹介文に「危険防止のため電車の中で読むことはお控えください」と書かれていた様な感じの面白い感じとはまた違っていました。
しきりにご自身のことを「出来が悪い」、「他の人と同じようにできない」というような意味のことを書かれていたけれどご職業が翻訳家だけに文章はとても面白いし、とても知的で気さくでくだけた雰囲気、とても親しくしている友達や仕事関係者も多そうな、どちらかと言えばご自身を評するそれとは真逆な人の印象。
大爆笑エッセイとかでは無いけど分厚さの割にさくっと読めるしこれから読みたいと思える本がたくさん増えた。
三木道三のくだりが一番笑った。

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

「気になる部分」「ねにもつタイプ」「ひみつのしつもん」とおかしすぎて電車で読めない系エッセイスト、もとい翻訳家の最新刊。とは言え併載の日記は2000年からのもので、筆者はトルシエに夢中!この破天荒な私生活こそが、数々の名作を生む(翻訳ではなく、エッセイです)秘訣かと。

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2025年02月01日

Posted by ブクログ

アンソロジーという分野で異彩を放つひとなんだと思いました。
初めは、なんで手に取ったか「わからない」感じでしたが、アンソロジストとして見たら、興味深い部分の多い本かな。

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2025年01月15日

Posted by ブクログ

岸本佐知子さん、きちんと作品を読むのは初めてかも。
エッセイ、書評、日記と分かれている中で、エッセイが一番面白かった。
物事を捉える視点がさらっと自然なんだけど、とても個性的で新鮮に感じた。
エッセイを読む時、自分との共通点を何かしら見つけて共感するパターンか多いけど、今回は発想が自分と違いすぎているところが面白いと思えた珍しいパターン。
書評で取り上げられている本は未読のものが多かったので、また読んでみよう♪(読みたい本が増える一方…)

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2024年10月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本の感想で『銀座ママが教える「できる男」「できない男」の見分け方』の書評が特に面白かった。
書評の項はところどころ岸本さんの優しさみたいなものが見え隠れしてほのぼのさせられた。
「あなたを危機から救う 一分間謝罪法」では、謝ることについて日米の違いを鋭く指摘。私も岸本さんの考えに近いので最後の方は笑いながら共感。

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2024年09月19日

Posted by ブクログ

一回も著者の本を読んでいないくせに手に取ったこの本。想像以上に著者は変な人だという印象を受けた。特に最後の日記はカオス。しかし、日記なんて人に見せる前提のものではないからカオスで何が悪いと言われそうだ。

さて、エッセイで好きだったのは、テロップについて書かれていたところ。最近テレビ番組を観ていると、必ずテロップが出てくるとのこと。著者はこれをあまり快く思っていない。確かに聞く力はどんどん衰えてしまうかもしれないが、私はテロップ結構ありがたいと思っている。耳が悪いのか聞きとれないことが割とあり、イライラするからだ。でも著者もテロップを場合によっては認めている。心が広い。

また、ゴキブリに対する著者の心境には酷く共感。なぜ自分よりあんなに小さい物体にビビらなくてはいけないのか、ビビっていることを認めたくないから殺すのか。ゴキブリに踊らされたくないのに、踊らずを得ない自分が悲しい。

著者は翻訳小説家。書店で「海外モノは読まない」女子高校生たちの会話を盗み聞きして、面白い翻訳小説を紹介する(直接ではなくエッセイを通して)など書への愛に溢れている。
ゴキブリを見ると殺戮マシーンと化す、小説愛溢れる著者のことが気になってきた。

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2024年09月11日

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