【感想・ネタバレ】掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集のレビュー

あらすじ

2020年本屋大賞〔翻訳小説部門〕第2位。
第10回Twitter文学賞〔海外編〕第1位。

「アメリカ文学界最後の秘密」と呼ばれたルシア・ベルリン、初の邦訳作品集!


メディア、SNSで大反響!
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2013年にノーベル文学賞を受賞したアリス・マンローや、短篇の名手レイモンド・カーヴァー、日本で近年人気が高まっているリディア・デイヴィスなどの名だたる作家たちに影響を与えながら、寡作ゆえに一部のディープな文学ファンにのみその名を知られてきた作家、ルシア・ベルリン。

2004年の逝去から10年を経て、2015年、短篇集A Manual for Cleaning Womenが出版されると同書はたちまちベストセラーとなり、The New York Times Book Reviewはじめ、その年の多くのメディアのベスト本リストに選ばれました。
本書は、同書から岸本佐知子がよりすぐった24篇を収録。
この一冊を読めば、世界が「再発見」した、この注目の作家の世界がわかります!

このむきだしの言葉、魂から直接つかみとってきたような言葉を、
とにかく読んで、揺さぶられてください
――岸本佐知子「訳者あとがき」より

彼女の小説を読んでいると、自分がそれまで何をしていたかも、
どこにいるかも、自分が誰かさえ忘れてしまう。
――リディア・デイヴィスによる原書序文「物語こそがすべて」(本書収録)より

毎日バスに揺られて他人の家に通いながら、ひたすら死ぬことを思う掃除婦(「掃除婦のための手引き書」)。
夜明けにふるえる足で酒を買いに行くアルコール依存症のシングルマザー(「どうにもならない」)。
刑務所で囚人たちに創作を教える女性教師(「さあ土曜日だ」)。……
自身の人生に根ざして紡ぎ出された奇跡の文学。

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Posted by ブクログ

星新一ばりに短いお話しの数々
そのどれもが作者の実体験や生活を元にしたものらしい

とても短い話しなのにどれもこれもタフで強い
スパイス見本棚みたいな作品集
山椒の様なバニラのようなキャラウェイのようなアンモニアのような生理の生ぐさい臭気さえ… めくるめく色や形が鮮やかに短いはすっぱな言葉で表現されている

短いお話しが著者の人生とゆう塊となって立ち現れるもこざっぱりしているのがとっても不思議…
絶望も夢も毒も愛もなんも重たいことなくトイレにジャーって流しちゃってさっさと次に行く感じがする 軽いとも違うし…

不思議な読書体験だった…

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2025年10月17日

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いや、ちょっと。読み始めたのが失敗。一気読み
著者のベルリンは2004年に亡くなっているのだがこの短編集の原書は2015年、没後だ
現地米国ではさほどウケていなかったのにこの本の発行で話題になり2週間後に彼女の全ての本が売り切れたらしい。そう、この本で発見された私小説風の短編集(虚構もけっこうある)

重度のアルコール中毒で息子たちが眠るのを待ち
こっそり酒を買いに夜明けの開店に合わせてフラフラと外出し購入
これで酒が飲めると顔をあげた瞬間の街の朝日
この対比がすんばらしい、一発惚れ

壮絶な人生山あり谷あり

短編1つ1つ最後に特徴的なフレーズが来る
さすがの訳者、岸本さん

いやもうルシア・ベルリンという作者を知りたいと読後すぐさま他も買おうと思い調べると
76の短編を書いて生涯を終えているらしい
この本は24編
著作がす、すくない………
なんで今まで積んでたのだろう。はあ、良かった

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

いままで読んだことのないタイプの小説群だ。荒っぽく、むきだしで、パンク。しかも状況の把握がすぐにはできない。何度も行きつ戻りつして、読み進む。最後は、人生の理不尽さが出てくるものの、言いようのないふしぎな感動に襲われる。
鉱山技師の子としてアラスカに生まれ、子どもの頃はアメリカ各地やチリを転々とする。その後3度の結婚、4人の子ども。教師、掃除婦、電話交換手、看護助手、大学教員、そしてアルコール依存と慢性の肺疾患……作品の底流にあるのはこうしたキャリアと体験だ。
この本のラストの作品は「巣に帰る」。冒頭にカラス、終わりもカラスが登場。描かれているのは、人生と反実仮想。ルシア・ベルリンその人が少しわかったような気がする。
岸本佐知子さんの訳のうまさにも脱帽(文庫版では、スペイン語の発音ミスが修正されていた)。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

目次
・エンジェル・コインランドリー店
・ドクターH.A.モイニハン
・星と聖人
・掃除婦のための手引き書
・私の騎手(ジョッキ―)
・最初のデトックス
・ファントム・ペイン
・今を楽しめ(カルぺ・ディエム)
・いいと悪い
・どうにもならない
・エルパソの電気自動車
・セックス・アピール
・ティーンエイジ・パンク
・ステップ
・バラ色の人生(ラ・ヴィ・アン・ローズ)
・マカダム
・喪の仕事
・苦しみ(ドロレス)の殿堂
・ソー・ロング
・ママ
・沈黙
・さあ土曜日だ
・あとちょっとだけ
・巣に帰る

・物語(ストーリー)こそがすべて リディア・デイヴィス

初読みの作家でしたが、思った以上に楽しめました。
ほぼ作者の体験に根ざした作品らしいが、その経歴がまた想像以上。
貧困家庭で家族に顧みられないまま育ち、学校ではいじめに遭い…からの地理の上流階級へと跳ね上がり、女手一つで4人の息子を育てながらアル中になり、刑務所で創作を教え、最終的にはコロラド大学の准教授から、闘病生活へ。

家族を顧みない父、二人の娘を見守ることのないアル中の母、妹だけを可愛がる祖母、作者を可愛がるが性的虐待をも与えるアル中の祖父、家族の中で唯一作者の理解者であったアル中のジョン叔父。
悲惨ともいえる家庭生活以外では、学友たちにいじめられ、先生からは疎まれて、それでも親友ができた。

死期の近い妹の世話をするために仕事をやめてメキシコに立ち、クローゼットのように狭い小部屋に住んで、最後のひと時を家族の思い出話で過ごす。
妹は妹で、彼女のことを羨んでいた、と。

悲惨も絶望も残酷もあるのに、決して湿っぽくはない。
何ならクスッと笑えるところもある。
それは作者が、そうやって生きてきたからだろう。

日本の私小説は、自分の奥深くへ潜っていくような息苦しさがあるが、彼女の書く小説は世の中や時代に即して、ある。
どんなにつらいときでも目を、耳を、閉ざすことなく世の中とつながっている。
だから読者は、作者から拒絶されたと思わないで読み進めることができる。

最近読んだばかりのせいか、こうの史代みたいな読み心地に感じられた。

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2025年05月02日

Posted by ブクログ

はじめは、フーンこれがなんか色んな人が大絶賛の本か。なるほどなかなか読ませますなという感じで読んでいたのに、一編読み終えるごとに夢中になっていった。
あれ?あの話の彼女はこの人?この体験はあの体験のこと?というか、これ全部繋がってる……?
短編集というよりは自由な章立ての長編のような……作家自身の体験と深く結びついた物語が、ひとつ、またひとつ自分の中で繋がるほどに引き込まれていく。印象的なメロディーを繰り返しながら盛り上がっていく音楽みたいに。

読み終えた時には、一人の女性の人生――痛みと喜び、幸と不幸、激しさと静けさ、深い傷と赦し――が、確かな色と、音と、匂いを持って立ち上がってきた。
その迫力。
それでいて読み心地には常に達観したような軽みがあるのだ。素晴らしい体験だった。

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2024年12月13日

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著者の小説を書く心意気を強く感じました。フィクションのはずなのに、著者の心がむき出しに感じられます。私は感電して、重傷を負いました。

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2024年07月08日

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アメリカに芥川賞あったら獲れてたのではないかと思ふ。強烈、そして生き生きとした文章であった。

日本にはAAと断酒会、二つの組織があるからAAをいちがいに断酒会と訳すのはもしかしたら微妙かもしれない。でもなんて訳すの?と聞かれたらぶっちゃけAAとしか訳せない(訳せてない笑)

機能不全家族に育ち、アルコール依存となった作者の苦しみはもはや理解できない領域。でも、この文章を読んでしまうと、、、苦しみも悪いことじゃないのかも。さらけ出せる勇気と書くことの魔力に魅せられてしまった。

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2024年01月09日

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深いどん底のさらに底深くその奥にいても光の方へと顔を向け言葉を綴った人なのだと思う。1番上品なのは自分の過去を笑い話にできる人。ずっと手元に置いていたい一冊。

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2023年09月28日

無料版購入済み

読んでから何日もたっているのに、ふとした瞬間にこの小説が頭をよぎる。読み終えた瞬間よりも、時間が経過するごとに好きになっていく作品だ。

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2022年09月30日

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目の前にゴツゴツした石塊がある。
なんだか殺風景に見えるが、それをハンマーで叩いて割ると、キラキラと輝く断面が現れる。宝石の原石だ。しかも割るたびに様々な色合いの光を放つ不思議な石。

この短編小説集を読み終わって頭に浮かんだのは上記のようなイメージだ。

本書には22の短編が収められている。
最初は、突然ざっくりと切り取られた日常の断片が目の前に無造作にボン、と放り投げられたような印象で、面食らった。
次の短編、またその次…と読むうちに気づく。
場所も時代も、語り手の職業も年齢も全然バラバラだが、なんとこれは同一人物の物語だ。

著者のルシア・ベルリンは、アラスカで鉱山技師の家庭の生まれ。鉱山町を転々とし、戦時中はエルパソに転居し母方のアル中親族に囲まれ孤独で過酷な日々を送り、二度の退学を経験。その後チリに移住。打って変わってそこでは上流階級の仲間入りをし、ミッションスクールに通う。メキシコの大学進学後は、3度の結婚を経験し、四人の子供をもうけ、カリフォルニアやバークレー等に移り住みながら、掃除婦、教師、電話交換手、看護助手などをしながら、自らもアル中に苦しむ。その後は…

ともう、この時点で一人の人生としてはお腹いっぱいというくらいに千変万化で、落差も大きい。

どの短編も、基本的には著者の体験に基づく、言ってしまえば「ちょっと話を盛った思い出話」なのである。
しかし、それなのにまるでプリズムのように様々な光を放つ作品集ができあがっているのである。

さて、「光」や「輝き」という喩えを用いてきたが、実は内容を見ると、親族からの虐待、学校でのいじめ、生まれついての病気、3度の離婚、重度のアル中、妹の逝去……と明るい話なんて殆ど無い。
本人がそんな境涯だから、彼女の周りに現れる人々や世界もはみ出しものや落伍者ばかりであり、モチーフとしているものはどちらかと言えば暗い。

「どんな悲惨なことでも、笑い話にしてしむえるのなら平気で話す」
と語り手は言う。
本作の語り口は、テーマに関わらずどこか穏やかで、時に軽妙でリズミカル。トントントン、と繰り出される言葉にするっと読まされてしまう。

はっきり言うと、本書を2/3くらいまで読んだ時点ではまだ本書には全然ハマっておらず、実話の羅列ではないか…くらいに思っており、著者と相性良くないな。と思っていたのだが、段々と魅せられてしまったのか慣れたのか、『さあ土曜日だ』から先の3編はとても良かった。

一つ残念に思うのは、巻末のリディア・デイヴィスが寄せた文章によると、ルシアの文章の真髄を味わうには英語の原書を読むのがどうやらベターだと言うことだ。
私が英語が読めたなら、本書の評価はもっと変わるのかもしれない。

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2026年04月09日

Posted by ブクログ

短編集という形になっているが、作家自身がモデルと思われる主人公の人生が断片的に描かれている。
語られるのはなんとも不条理な人生。生まれ持った障害、虐待、アルコール依存症、貧困、差別。それを淡々と語る。ユーモアも淡々と。その淡々と語られる言葉がなぜだかとてもきらきらしていて、目の前にぱっと情景が現れる。そしていつの間にかどっぷり嵌っているのだ。ただ、どんどん読めるという作品ではない。ストーリーというよりは言葉を味わう作品のように思う。
訳者の岸本佐知子さんの力も当然あるとは思うが、ルシア・ベルリンが生前に見出されなかったのが信じられないくらい。

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2026年03月28日

Posted by ブクログ

岸本佐知子さんの翻訳している作品が読みたくて買いました。
著者のルシア・ベルリンは、アメリカ出身の作家なのだが、申し訳ないが、全然知りませんでした。
亡くなって20年以上経っているのだが、本屋大賞の翻訳部門で再評価されている。
私小説のような、著者自身の生い立ちや、経験が
小説に色濃く反映されています。
作中に何度もアル中という言葉が出てるのだが、これは著者自身が、アルコール依存症に罹っていたことが強く影響している。
1950年代のアメリカの文化を強く感じさせることができる短編集でした。


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2026年02月13日

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オートフィクション(自伝的小説)の連作短編または掌編小説集(一番短い「わたしの騎手」は2ページと4行)。
どれも、自身の家族のことや、職業遍歴や、アルコール依存や、肺がんで死期の迫る妹を看取った経験など、重苦しい実体験をベースにしながらも、文章は軽妙な印象。
また、話の終わらせ方がどれも秀逸。p.34の「大っきらいよ」とか、p.147の「コリント!」とか…これだけを読んでも何のことやら判らないけれど、良い。

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2025年12月31日

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最初はなんだかよくわからず、途中で読むのをやめてしまった。
ルシア・ベルリンについて調べてから、あらためて最初から読み直すと急に色鮮やかに情景が浮かんで驚いた。
時系列もバラバラの人生のカケラを拾い集め、彼女の人生をおもいながら読む。

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2025年12月24日

Posted by ブクログ

260頁に24編の作品があるため、短いモノは2、3頁で終わる。長くても10頁程度。何より、描写がきわめてクールでスタイリッシュ(体現止めが多い)。描かれている内容は極めて悲惨、残酷、無情な場合が多いのだが、なんてことのないわ、これが日常よ、という感じでサラっと美しく流して書かれているので読み手は暗鬱とした気分にならない。
これは、限りなく詩ち近い小説だと思う。

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2025年12月16日

Posted by ブクログ

とあるブログで激賞されていたので読んでみた。読み始めてみて,正直そこまでではないなと思ったが,途中から引き込まれることになった。
著者の波瀾万丈な人生と,観察眼が凄い。ドライな諦念が通底している。文体にも魅力があるようだが,これは原著で読まないと分からないなぁ。。。
短編だけ書いてて評価されるってのが,テッド・チャンと通じるものがある。日本にはあんまりいない気がする。星新一くらいか?

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

ルシア・ベルリンの24の短篇。
私は「すべての月・すべての年」に続いて2作目。
とりわけ変わった設定ではなく、1900年代半ばの普通の生活がベースになっている短篇。
一度に全部読んだらすぐに忘れちゃうかなと思いきや、随分とずっしりとした読後感。
軽くて面白い短編集はたくさんある。
しかしこれはずっしりと面白い短編集。
これは何に因るものなのかなあと考えてみたのだけれども、まずは空気の重さまで感じられるようなリアリティ。
実体験をベースにしているものが多いと聞いてなるほどと思うと同時に、実体験を扱えばすべてこのようなリアリティが出るかと言ったらそうはいかない。
場面、表情、行動の切り取り方が素晴らしいのだ。文章のひとつひとつ、そして文章の組み合わせによって意識的にこの雰囲気を作り出しているのだから、唸らされる。
私もメキシコにいて、当時を生活しているかのような気持ちにさせられる。楽しい。

そしてもう一点は、語り手の現在の行動に説得力を持たせる過去。
ほとんどすべての作品の語り手には、過去がある。そしてその過去が間違いなく現在に影響を与えている。
その過去があっての今なのだなという納得感は、物語を楽しむ上で重要なのだが、これが絶妙である。
短篇のなかで、限られた枠のなかで、端的に、かつ印象的に過去を記述する。
それが台詞だったり、行為だったり、景色だったり。とにかく過去を印象づける。絶妙に。

とにかく高い技術によって、日常の話が大勢の人間に絶賛される物語に昇華されているのは見物。
そしてそんな難しく考えなくても、楽しく読める。
「なんかよくわからないけど、おしゃれっぽいし楽しい」っていうのでも良い。手に取ってみて欲しい。

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

初読
坂口文庫。
坂口さん曰くまったく読み進められない本シリーズの2。
これはわたしもかなり難儀しました。なかなか手強い。最初いくつかサラっと読んだとき 全然サラっと行かなくてこれは困ったと思った。
短編集のうち いくつかは まぁまぁ読めるのがあって もうそれでいいかなと思ったケド 別の日にまたちょっと読んだら もういくつかホォと思うのもあり。その時思いついて解説先に読んでみたのがよかったのかも。でも解説のおかげで最初の時には気がつかなかった重いツライ感じもわかってきた。
フィクションとしたら 全然面白くないけど これがノンフィクションに近いとしたら それはちょっと興味あるというか ちょっと惹かれるなと。
多分に怖い物見たさの要素もあるけどね。
なんとかひと通りは読めた。
それにしても坂口さん これよく買ったなぁ。
全く坂口さんチョイスっぽくない。
星1.5
2回目以降 直近で数回読み返す 星4 ハマる
最初は無理だと思ったのに 読み返すつど惹かれていく この本にというより こんな人生を生きた人に惹かれるのかも。
表紙の人が作者みたいだ。すごいキレイな人だ

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2025年01月25日

Posted by ブクログ

短編集とわかってはいても、一見バラバラな気がした。
それがいつしか作者の生い立ちとも重なって、太い束のようなまとまりに感じられてゆく。
若い無邪気さ、苦い経験、切羽詰まった状況、そしてごく日常の風景。
どれも書き手がそこにいて、「これがあたし」といっているよう。
けれどそこに押しつけがましさはなくて、静かに目の前に差し出す。
謙虚で辛辣でちょっとクール、そして皮肉とユーモアを忘れない。
フィクションのようにもノンフィクションのようにも見えたこの作品群。振れ幅の大きな彼女の人生の、ある意味伝記のように思えた。
また読みたい。

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

ハードな人生、タフな登場人物。軽やかに乾いた文章。ユーモアや余裕も絶妙に漂っていて。とてもカッコ良い短編小説たち。
何度目かに読んだときから、これは彼女の人生で体験してきた「あきらめ」の上で物語られているのではないか、というような気がしてきている。
不条理な世界、ままならない人生、過去のやり直せない過ちや消えない傷を受け入れる。「悔いるのをやめる。」一度あきらめる。そのうえで、それでも、ハードな人生をタフに生きていく、生きてきた。その人生から慎重に切り取られ、誇張を加え作り話混ぜ合わせ紡いでいく。そうやって書かれる短編小説は、きっと彼女と同じようにとても強い。そんな印象を受けた。
あきらめることで手に入れられるもの、そうすることでしか手に入れることが出来ない強さやしなやかさ、余裕が、ものにできない短編小説があるのだ。そんな風にも思った。「あきらめ」以外にも相応しい言葉があるかもしれないし、的外れかもしれないけれど、幾つものことをあきらめてしまった後にはそんな風に読んでいた。ああ、まだ大丈夫なのかもしれない、と思えた。わたしもこの強さや余裕を手に入れられるだろうか、手に入れたいと思った。

どの短編小説も素晴らしかったのだけれど、冒頭の初めて読んだ彼女の小説で、すぐに大好きだ、と思えた「エンジェル・コインランドリー店」。
これもJAZZだった。JAZZみたいにロマンチックだ、と思った「ソー・ロング」。オーネット・コールマンのファイブスポットでの初演奏の一文にビックリしつつ嬉しくなった。
刑務所での文章教室を舞台にした大好きな短編小説があるのだけれど、同じように文章教室を舞台にした「さあ土曜日だ」も素晴らしくて、同じように大好きになった。ここでは珍しく作家を思わせる登場人物は語られる側で、文章教室で習ったのか綺麗に哀しいオチもつくのだけれど、それでもやっぱり彼女の人生から物語られた素晴らしい短編小説だと思えた。が、特に好きでした。
「全ての月、全ての年」も近いうちに再読したい。

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2024年11月16日

Posted by ブクログ

ごく個人的な、自分のためだけに書いた小説という雰囲気がある。それがとてもよい。そして、いい夢かな?と思ってたら悪夢だし、悪夢はやっぱり悪夢のまま。そして、悪夢なのにゲラゲラ声をあげて笑ってしまって、その自分の声に驚いて目覚めるみたいな感じ。あぁ夢でよかった、みたいな悪夢感。
訳者のインタビューを聞いて購入後、何度も開いて、読み始めてみるけど、全然頭に入ってこない。合わないのかな?と思ったけど、ひとつひとつは短いので、順不同に何度も読み返すうちに、物語というか、作者のことが好きになってきて、好きな人の話しは、聞こうとするというか、貴方を知りたい。という気持ちに変わった。そしたら、映像になって、夢みてるみたいになった。またいける。

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2023年12月23日

Posted by ブクログ

すごい、すごいと聞いてはいたけど、やっぱりすごかった。歯切れのいいテンポと強烈な映像喚起力。短編それぞれがまるで映画を一本見たように世界にどっぷり浸り切ったような読後感を残す。最初数編読んで、すごいけど長編が無いのが残念だなと思ったけど、全て読み終えるとまるでルシア・ベルリンその人を主人公とした長編を読んだような気分になった。

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2023年10月23日

Posted by ブクログ

「小説のような人生、ではなく人生は小説」なのかなと思った。

入り込むまでに時間がかかったけど、途中で↑に気づいて没頭して読めた。目まぐるしく変わる生活と荒々しい感情の揺れに眩暈がした。比喩表現の鬼だな、と(とてもいい意味で)。

タイトルにもなった「掃除婦のための手引き書」もよかったけど、「ソー・ロング」「ママ」「沈黙」「さあ土曜日だ」の流れがとても好きだった。中毒性が高く、まんまと他の本も読みたくなった。

【アメリカ】

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2026年04月05日

Posted by ブクログ

正直、読み始めは状況を把握しづらく、入り込めなかった。
でも、読み進めるうちに、一つの人生が立ち上がってきた。
孤独な幼少期、虐待、アルコール依存、妹の病気、3回の離婚と結婚。
これら、すべて彼女の実人生から生まれたもの。
波乱万丈ではあるけれど、悲壮感がなく、カラリとした印象すらある。
ラストの「巣に返る」という話に、「私がここまで生きてきたのは、過去を全部捨ててきたからだ」という一文がある。
ルシアは、書くことで、昇華してきた人なのかもしれないな、って思った。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

オシャレな雰囲気の表紙とは逆でオシャレ感はなく、只々現実があるのみ。おそらく1人の女性(作者?)の人生が時系列バラバラに短編集としてまとめられているのかなと思うんだけど、幼少期の虐待、学生時代のいじめやアル中の描写などがリアルすぎて未来にいい事があると思えず、子育て真っ只中の自分には読み進めるのがキツかった。人生積み重ねて50代ぐらいに読み返したら感じ方も変わっているかもしれない。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

最初は読み慣れず休み休み読んでいたが、途中から一気に進み読み終わった。
劇的な展開があったわけではなくて、著者の文体のリズムに自分が合ってきたようだった。
犯罪、依存症と共存して酷く辛い生活なのかと同情を誘うのではなくて、それも含めてユーモアに変えて、すました顔でたばこを吸う著者の姿が浮かぶ。

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2025年02月07日

Posted by ブクログ

3度の結婚と離婚を繰り返し、4人の子どもを育て、アルコール依存症にも陥った。そんな著者の壮絶な人生をベースにした「オートフィクション(自伝的虚構)」。とても評価の高い本だったけど、ついていけなかった…。いろんなエピソードが時系列でなくつづられていて、登場人物もそのたびに違うし…。楽しめてる人がなぜ楽しめているか知りたくてくらいついてみたのですが。コインランドリーで色とりどりの服がまわる描写など、端々にきらりと輝く表現がある感じはわかったけれど…。いつかもう一度チャレンジしてみたい。

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2024年12月18日

Posted by ブクログ

人の歴史が駆け巡っていく。そして時々逆戻りして跳ね回る。短編ひとつひとつのエネルギーが凄くって読み終わるたびにどっと疲れる!きっと読んでいる間力が入っているんだと思う。それくらい力を入れないと読みきれない。
バス通り、人々の流れ、コインランドリー、etc
中古の本から時々タバコの匂いがした。本そのものかもしれないが、きっと話しのエネルギーがそうさせたのかもしれないと思わせた。

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2024年08月01日

Posted by ブクログ

表紙の写真の影響もあると思いますが、どの短編もモノクロの映像が思い浮かぶような文だと感じました。

またどの物語もあらゆる形の疵(「傷」ではない字のきず)を描いているような印象を受けました。でも、暗さの中にも不思議な明るさも見え隠れして、独特な文体だと思います。

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

母からメルカリで売って欲しいと預かった本の一冊で、ずっと家事のマニュアル本かと思っていた。
なかなか売れないので、読んでみたら、めちゃ面白い。
小説なんだ!と思ったら、ほぼ事実の小説とのこと。
どこでも読んだことがないような刺激的な文章だった。

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2024年04月01日

Posted by ブクログ

お嬢様学校に通う女学生と共産党員の先生とで貧民街にボランティアに行く話と、表題にもなっている掃除婦の話が好き♡
自分が資本主義の奴隷だから共産主義的動きを見ると唾吐きそうになる

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2024年01月19日

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