岸本佐知子のレビュー一覧

  • 十二月の十日

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    久しぶりの海外文学、やっぱり日本のものと違って独特。状況把握が難しい部分もあったけど毒っ気のある不思議な世界を堪能できた。

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    2024年10月25日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    一人称での記述だから、突然一人称の人物が変わることがあるので、ストーリーラインを追うのが難しいと。油断するとわからなくなる。各編を超えて、名前が違うけど似たキャラクター、慣れない外国人の似た名前の登場人物が多いというのもあると思います。日本の小説とは勝手が違いますね。ストーリーはやはり日本の文化とは違うので、日本の小説だけ読んでいるのと狭い世界に閉じていすぎるんだと、文化的に閉じた読書の欠点に気づかせくれます。

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    2024年10月14日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    純文学作家の発想
     ひとつづつ評していく。

     川上弘美。未来SF。
     発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
     人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
     厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
     未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
     妙にSFが現実路線のわりには、ふはっとしてあいまいだ。雰囲気小説のたぐひか。さいきんの川上弘美には『大きな鳥にさらわれないよう』等、未来小説がある。

     多和田葉子。
     川上弘美より面白い。
     純文学らしく突っかかる表現が冒頭から続く。生花で花の首をちょんぎるだの、乱暴な表現は筒井康隆を想起した。独特で考へ抜かれた奇妙さを意識して、多和田自身も意図しない効果が出るやうな浮揺感を狙ってゐる。言語にこだはるナショナリストぶりもあらはれて、いつもの社会諷刺もある。
     全体としては普段の多和田の域をつかず離れず。

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    2024年10月10日
  • わからない

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    岸本佐知子さん、きちんと作品を読むのは初めてかも。
    エッセイ、書評、日記と分かれている中で、エッセイが一番面白かった。
    物事を捉える視点がさらっと自然なんだけど、とても個性的で新鮮に感じた。
    エッセイを読む時、自分との共通点を何かしら見つけて共感するパターンか多いけど、今回は発想が自分と違いすぎているところが面白いと思えた珍しいパターン。
    書評で取り上げられている本は未読のものが多かったので、また読んでみよう♪(読みたい本が増える一方…)

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    2024年10月03日
  • 気になる部分

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    翻訳者としての岸本さんしか知らないので、はじめて本書エッセイを読んで、へー、こんな人だったのかと思った。
    細かいこと、みんなが気にしないことがやたら気になるひとが言葉づくしで書いたエッセイである。
    テイストは、昨年読んだ三浦しをんの昔のエッセイにちょっと似ている。
    それは20年前のエッセイだったので、さすがに古いなと思った。
    本書も初出は20年ほど前のもの。
    三浦しをんほどの共時性ニーズはないものの、やはりこの手の本は出版されてから、5年以内に読まないと鮮度が落ちてしまう。
    今回は00年代以降の倫理観価値観の変化を大きく感じた。
    いまの岸本さんが同じ内容を書くなら、書き方がかなり変わるだろうと思った。

    岸本さんの会社員時代の話がちらちら出てくるが、洋酒メーカー、カオスで自由な社風のようだったので、サ◯トリーだろうなと思って調べたら本当にそうだった。だよね〜。


    それにしても子供の頃からずっと都会に住んできたひとの感覚だなあと思った。
    そういう意味では私はあまり共感しなかった。

    後半、吉田知子の話がでてきて嬉しくなった。
    そうだ、私は岸本さんが編んだ本で吉田知子を知ったんだった。おおいに感謝したい。

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    2024年09月29日
  • ねにもつタイプ

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    「さいきんのわたくし」オチ笑った!

    ひとつひとつ短く読みやすかった
    頭の中で思う事を書き出してみたくなった

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    2024年09月27日
  • 短くて恐ろしいフィルの時代

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    問題作。
    あとがきにもあるが、ジョージ・オーウェルの「動物農場」を引き合い出されて書評が多く語られているそう。
    家畜を擬人化して、独裁体制的な政治を批判しているが、こちらの擬人化されているものは、もっと過激で何が何だか分からない奇妙な物となっている。
    ちなみに登場する大統領の姿は「小柄で貫録たっぷり、たくさんの腹、白い口髭、二重顎が小山のように積み重なり、細く頼りない三本脚で支えてる」だそうだ。
    どんな生き物だか想像が出来ない。他の登場人物はもっと分からない。
    何となく気が付かない内に、どんどん恐怖政治が実行されて行き、気が付くと理不尽な理由で自由が奪われ、ちょっとした事で殺される(物語では解体される)。
    ともかく、とても恐い話。大人の寓話。

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    2024年09月26日
  • わからない

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    ネタバレ

    本の感想で『銀座ママが教える「できる男」「できない男」の見分け方』の書評が特に面白かった。
    書評の項はところどころ岸本さんの優しさみたいなものが見え隠れしてほのぼのさせられた。
    「あなたを危機から救う 一分間謝罪法」では、謝ることについて日米の違いを鋭く指摘。私も岸本さんの考えに近いので最後の方は笑いながら共感。

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    2024年09月19日
  • 分解する

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    岸本さんのエッセイで薦めていたので。
    もちろん、岸本訳。

    不思議な盛りだくさんの短編集といった印象。
    良くわからないけれど、なぜか止められない中毒性のあるお話ばかり。

    あとがき解説を読んで、なるほどと更に読み返すものもあり(骨、フランス語講座その1・・・)。

    また、著者の作品を読んでみたくなる。

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    2024年08月27日
  • 気になる部分

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    ネタバレ

    不思議な言葉のセンスが炸裂していて、妙な臨場感もあり、愉快な気持ちで読める本だった。少し時代を感じる箇所もあったが、やはり翻訳について書いてあるエッセイは興味があった。こういう話をもっと読んでみたい。
    どこまでもひとりで飛んでいってしまいそうな自由な発想と想像力の豊かさが眩しかった。
    会ったこともないらしい川上弘美さんの思い出が綴ってあるのが怖い。ここに書かれているのはとてもミステリアスな魅力溢れた「カワカミさん」だ。ここだけ短編小説を読んでいるような味わいがある。

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    2024年08月10日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    人の歴史が駆け巡っていく。そして時々逆戻りして跳ね回る。短編ひとつひとつのエネルギーが凄くって読み終わるたびにどっと疲れる!きっと読んでいる間力が入っているんだと思う。それくらい力を入れないと読みきれない。
    バス通り、人々の流れ、コインランドリー、etc
    中古の本から時々タバコの匂いがした。本そのものかもしれないが、きっと話しのエネルギーがそうさせたのかもしれないと思わせた。

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    2024年08月01日
  • なんらかの事情

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    飛びすぎててついていけないところ多し。
    「ねにもつタイプ」のほうがいい。
    挿絵はやはりとてもハマってる。

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    2024年07月21日
  • ひみつのしつもん

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    ネタバレ

    著者の名前は存じ上げていたが、今回はじめて文章を読んだ。
    きっかけはSNSで有名な人が好きだと言っていたから。

    最初はよくある(?)自分の生活や老いを面白おかしく書くタイプのエッセイだ、と思ったら「羊羹」あたりからおや?となった。
    短いテーマの文章を読み終えるたび、いろんな種類の不思議な気持ちになった。
    エッセイというより創作の短編集を読んでいる気持ちになった。
    小さい頃、今よりもっと世界が狭くて面白いものも少なかったとき、身の回りにあるものともっと距離が近くて、いろいろ考えていたことを思い出した。
    著者はずっとずーっとその感覚を持って大人の頭で考えて唯一無二の感覚を磨いてきたんだな、と思った。
    以下印象に残った話。

    「エクストリーム物件」
    「鼎」「凹」の文字の魅力的な間取り。「Q」「乙」の曲線に寄りかかって、ゆったり足を伸ばしてみたい。
    →なんかわかる!!小学生くらいのときは文字そのものと距離が近くて、文字に対して好印象と悪印象あったよな〜と思い出した。

    「羊羹」
    夜が怖い。宇宙がダイレクトに感じられる。宇宙は何もないのではなく、まだ解明されていない物質で満たされている。それは羊羹のようなものかもしれず、夜はその羊羹が口や鼻や目からなだれこんでくる。
    →夜からここまで感情と想像を広げられるものなのか。

    「分岐点」
    お店に忘れ物をとりに行った友達が帰ってこなかったので、おかしいなと思って帰ったら、友達の方は店から出たら著者がいなかったから帰ったという。そのときから世界線が分岐してしまったんじゃないか?
    →決定的ではなくても、説明がつかないささないな不思議なことから世界の分岐は始まってるかもしれない…小さい頃はよくゲームの中のように自分の行動で世界線が変わると信じていたことを思い出した。そしてこれはある程度本当…

    「夏」
    夏にやりたいことを列挙。子供時代にしかできないようなこともあれば、これからできそうなこともある。
    →エモくて印象に残った。

    「ぬの力」
    ヌテラという食べ物があり、口に入れた時の粘り気で上顎と舌がくっつく感じが見事に表現されている名前がすごい。これは「ぬ」の力ではないか。
    →わたしは小学生の頃「ぬ」はなんか嫌いということにしていたけど、「ぬ」のなんともいえぬ力を感じ取っていたのかもしれない。



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    2024年07月17日
  • エドウィン・マルハウス

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    #河出文庫 #ミルハウザー 著 「 #エドウィンマルハウス 」

    ジェフリー著 の伝記「エドウィンマルハウス」を まるごと入れてしまう入れ子構造。「復刻版によせて」や「初版へのまえがき」も入れた遊び心のある構成

    芸術家の人生が終わらなければ、芸術に結びつく 中間点や始点が定まらず、伝記作家は伝記が書けない一方で、芸術家を見出す伝記作家がいないと、芸術家が誕生しないという、芸術家と伝記作家の表裏一体性は なるほどと思う

    著者は、子供の執着心に芸術性の萌芽を見出している
    「何かに執着できる能力を天才と呼ぶ〜誰もかっては天才だった」

    ジェフリー著の伝記は、予定調和的に出来事をプロットしていく狂気性がテーマであるように思う。エドウィンの死すらプロットとして捉えている

    「この世の初めには沈黙があった。沈黙は あらゆる言葉の生みの母」









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    2024年06月10日
  • 『罪と罰』を読まない

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    読書会の発言に4人の作家それぞれの性格が現れていて面白かった。
    読書会に参加するなら違う性格のタイプの人達とすると面白そうだと勝手に妄想してました。

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    2024年05月11日
  • ほとんど記憶のない女

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    内容とは関係ないのだが、作者とポール・オースターとのご子息のダニエル・オースターに関するNYTの記事が悲しくて。本書を読みかけで記事を読んで、まだ本に戻ると、見る目が変わってしまう。

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    2024年05月05日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    表紙の写真の影響もあると思いますが、どの短編もモノクロの映像が思い浮かぶような文だと感じました。

    またどの物語もあらゆる形の疵(「傷」ではない字のきず)を描いているような印象を受けました。でも、暗さの中にも不思議な明るさも見え隠れして、独特な文体だと思います。

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    2024年04月20日
  • ほとんど記憶のない女

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    ネタバレ

    物事を突き詰めて考える話が多かった。
    言葉の意味について、感情について、ひとつひとつ解明していくような文章が多く、こういう視点で内側を見つめていくことで整理されていくのが興味深かった。
    感情的ではなく淡々とつづられていて、その手触りはまるで実験のようでもあり独特な雰囲気を醸し出している。
    表題作の「ほとんど記憶のない女」は共感する点が多い。そのほか「大学教師」「話の中心」「エレイン牧師の会報」などが好みだった。

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    2024年04月14日
  • ひみつのしつもん

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    翻訳家のエッセイ。たまたま手に取り1編読んでみて面白そうだったので読んでみた。面白いといっても爆笑というのではなく、クスッと微笑するような感じ。著者がどれだけ自分を滑稽に無様にドジに描いても、描いても知的な感じがそこはかとなく漂う。

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    2024年04月03日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    母からメルカリで売って欲しいと預かった本の一冊で、ずっと家事のマニュアル本かと思っていた。
    なかなか売れないので、読んでみたら、めちゃ面白い。
    小説なんだ!と思ったら、ほぼ事実の小説とのこと。
    どこでも読んだことがないような刺激的な文章だった。

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    2024年04月01日