岸本佐知子のレビュー一覧
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ごく個人的な、自分のためだけに書いた小説という雰囲気がある。それがとてもよい。そして、いい夢かな?と思ってたら悪夢だし、悪夢はやっぱり悪夢のまま。そして、悪夢なのにゲラゲラ声をあげて笑ってしまって、その自分の声に驚いて目覚めるみたいな感じ。あぁ夢でよかった、みたいな悪夢感。
訳者のインタビューを聞いて購入後、何度も開いて、読み始めてみるけど、全然頭に入ってこない。合わないのかな?と思ったけど、ひとつひとつは短いので、順不同に何度も読み返すうちに、物語というか、作者のことが好きになってきて、好きな人の話しは、聞こうとするというか、貴方を知りたい。という気持ちに変わった。そしたら、映像になって、夢 -
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序盤は慣れない言葉のリズム感を楽しみ、〜中盤までは慣れなさによる酔いと停滞感で気怠く読み進めていたが
中腹辺りの展開から急に、血肉を持ったような生々しい不規則さで飲み込まれ、そこからは一気に読み上げた。
視点としては全く変わらない軸があって、章を跨がない限りはシチュエーションが大きく移らないのに
徹底したディティールの描写によってこんなにも得られる没入感が変わるものかと驚いた。
その一貫性に嫌悪感を抱く場合もありそうだが、何故そう過ぎるのか理由を探すと
自分の感覚を、自分のフィルターだけを通して発しているようなその浮世離れ感で。
それはわがままでも物知らずな訳でもなくて、ただ「ひとりが暮ら -
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タイトルからして面白そうだけど、実際面白いのが凄い。クラフトエヴィングさんの著作は未体験だけど、いかにも面白そうなメンツだもんな。何よりも、エッセイが最高な岸本さんが、本座談会でも本領を遺憾なく発揮してるのも良い。物書きを仕事にしているとはいえ、殆ど情報ゼロの状態から、わずかな手掛かりを元に、よくぞここまで想像を広げられるものだな、と。そして、”カラマーゾフ”を読んだとき、名前の長さや難しさ、その圧倒的なボリューム感にかなりの根気を要したから、ドストの他の著作にはなかなか手が出せないと思ってたけど、本書を読んで、またちょっと読みたくなりました。
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Posted by ブクログ
エッセイであろう、ということ以外、前情報が全くない状態で読み始めてしまったら・・・見事にツボッた。
これは1人で電車などでは読んではいけないヤツです。どうしても笑ってしまう。
出だしは何てことはない、些細な話なのに、徐々にスピードを上げて壮大なスケールの妄想の世界へ放り込まれて、気がついたら、その渦の中でグルングルンに翻弄されている感じ。そして突然ポイッと現実世界に引き戻されているのだ。
本当に体感したのか、夢の世界での話なのか、思い出が膨らみすぎたのか、物事を掘り下げすぎて深みにはまってしまったのか、はたまた妄想なのか、境界線の曖昧さが不思議な世界観を醸し出していると思う。
肩を震わせて笑い -
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Posted by ブクログ
別れた12歳年下の彼から手紙が届き、返事をどうすればよいか考えあぐねてると、小説にしようと思い立った。記憶があいまいで思い出すのも順不同なのように、お話はとりとめもなく順不同に流れていく。
何も起こらないしどうなってるかよく分からない。でも、わからなくていいんだと思う小説だった。読んでいるうちに私自身も小説の中の彼を求める「私」になった気分だった。彼に会いたいのに、パーティに来て欲しいのに彼の言葉を聞くとめちゃくちゃ怒るという、なんと矛盾した行動とる私。彼の働くガソリンスタンドまで行っちゃう私。当初はお金を返さないダメ男の彼かと思ったけど、そうでもなさそうだと思った。
はっきり言ってこの小