岸本佐知子のレビュー一覧
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かなり面白かった。エンデの『モモ』や太宰治の『トカトントン』がしれっと出てくるあたりも、個人的には妙に信頼できた。
岸本さんは、なんだか生きづらさを抱えやすいタイプな気がする。でも、その生きづらさを太宰みたいに重苦しく見つめるのではなく、ユーモアや想像力(妄想?)で遊びに変えてしまう。
「書くことなんて何もない。頭の中をひっかき回し、苦しまぎれに壺の蓋を開けてみたら、何十年にもわたって“なかったこと”にしてあったものがどろどろに発酵していた」
(あとがき)
まさにその言葉どおりのエッセイ集。
「なんかよくわからんけどこの人楽しそうでいいなw」と思わせてくれるのがすごい。 -
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面白かった。有名な古典小説「罪と罰」をネタにした対談集。
前半は、この小説を読んでいないメンバーが読まないままに語り合う座談会。最初はこれまで知っていた断片的な知識を元に内容をあれこれと内容を想像し、途中から各章ごとに数ページを抜き出して読み、それを元に内容を「推理」する。これらが面白い。断片から空想を広げていくわけだが、その過程がとてもファンタスティックである。新しい断片を読む度に、これまでの想像が更に飛躍していったり、ひっくり返されていったりするさまもスリリングである。
いったん座談会が終わってから各自が「罪と罰」を読み、そのあとで語り合うのが後半の座談会。読む前の座談会の答え合 -
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ネタバレ日本翻訳大賞の選考委員の岸本佐知子さんの訳書。
岸本さんはエッセイ集『ねにもつタイプ』は読んだものの、遅読の僕は訳書は本書が初めてかと思ったが、かろうじてショーン・タン『セミ』だけは読んだことがあった。
これは面白い!
小国〈内ホーナー国〉が、隣の大国〈外ホーナー国〉に侵略されるお話。
二十世紀に引き続き「戦争の世紀」となった二十一世紀では、いたるところで際限もなく繰り返されているお話ではある。
作者のソーンダーズは、二〇〇五年に四冊目の著作として本書を発表した。
当時のアメリカは「ブッシュ・ジュニア」大統領の時代で、同時多発テロからイラク戦争へという頃である。/
【国が小さい、という -
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目の前にゴツゴツした石塊がある。
なんだか殺風景に見えるが、それをハンマーで叩いて割ると、キラキラと輝く断面が現れる。宝石の原石だ。しかも割るたびに様々な色合いの光を放つ不思議な石。
この短編小説集を読み終わって頭に浮かんだのは上記のようなイメージだ。
本書には22の短編が収められている。
最初は、突然ざっくりと切り取られた日常の断片が目の前に無造作にボン、と放り投げられたような印象で、面食らった。
次の短編、またその次…と読むうちに気づく。
場所も時代も、語り手の職業も年齢も全然バラバラだが、なんとこれは同一人物の物語だ。
著者のルシア・ベルリンは、アラスカで鉱山技師の家庭の生まれ。鉱 -
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ネタバレジョージ・ソーンダーズ、またイカれた本である…面白かったです。
〈内ホーナー国〉〈外ホーナー国〉〈大ケラー国〉、どの国民も意味わからない形態をしているので寓話的になってますが、
フィルがこうなった原因がほとんど逆恨みみたいなものだということ、フィル以外は内も外も善悪ハッキリ付けられないくらいに流されてる人たちということ、引っ掻き回すマスコミと中途半端に介入し満足して去っていく第三者の国〈大ケラー国〉がいること…はやけに現実的でした。
悪い夢みたい。
元々全員が〈異形の者〉だったはずが、それはもう「フィルの体」に付けられた名前でしかなくなった。
でも、分断の気配が残り続けてるという終わり方なの -
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これは、どこかの世界の独裁政権者のおとぎ話。
……と考えられたら、どれだけよかっただろう。
2026年の今この本を読むと、
某国の大統領の顔がちらついてしまって、背筋が寒くなった。
『短くて恐ろしいフィルの時代』ジョージ・ソーンダーズ
独裁政権をコミカルに描いた寓話の代表格といえば
言わずもがな、ジョージ・オーウェルの『動物農場』。
登場人物は動物たち。
けれど、誰が権力を握ろうとも、
結局また次の独裁者が生まれる…
そんな痛烈な風刺を描いた作品だ。
そして本書『短くて恐ろしいフィルの時代』でも、
権力の座についた人物は独裁へと傾き、
やがてジェノサイドを始める。
まさに、この時 -
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短編集という形になっているが、作家自身がモデルと思われる主人公の人生が断片的に描かれている。
語られるのはなんとも不条理な人生。生まれ持った障害、虐待、アルコール依存症、貧困、差別。それを淡々と語る。ユーモアも淡々と。その淡々と語られる言葉がなぜだかとてもきらきらしていて、目の前にぱっと情景が現れる。そしていつの間にかどっぷり嵌っているのだ。ただ、どんどん読めるという作品ではない。ストーリーというよりは言葉を味わう作品のように思う。
訳者の岸本佐知子さんの力も当然あるとは思うが、ルシア・ベルリンが生前に見出されなかったのが信じられないくらい。 -
Posted by ブクログ
2026.20
本屋さんに行く度に表紙とタイトルに惹かれて
毎回買うか悩んで買わない
それを10回くらい繰り返したあたりで買った
読んで良かった
前半の「火星から来た男」「キッチンドア」が
ものすごく印象に残っている
とくにキッチンドアで感じる
恐ろしい戦争の足音のようなものが
今の不安な気持ちとリンクしてゾワゾワした
差別や蔑視について考え
じんわりとした痛みを感じる短編集だった
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P43 何年かが過ぎ、新聞や雑誌の紙面が戦争の記事で埋めつくされるようになって、クリスティーは初めて彼の来た国がアジアのどこにあるのかを知った。その国の名は知ってはいたが、気にも留めていなかった