岸本佐知子のレビュー一覧

  • ねにもつタイプ

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    こんな不思議な文章は初めて読んだ。
    現実と空想と妄想とがぐるぐると入り混じったような読書時間は、風邪の時に熱に魘されてみる夢の感覚に近い。

    三浦しをん氏がご自身のエッセイで絶賛されていたので、興味を持って手に取った。
    岸本氏の感性に底はかとない恐れを感じたり、害虫との戦記に深く共感したり。
    これは本当にエッセイ?と首を傾げつつも、不思議と夢中になってあっという間に読み終えてしまう中毒性がある。

    作品に没頭することは多々あれど、脳内が異空間にトリップしているような文章には初めて出会った。
    この感覚は癖になる。著者の他のエッセイにも挑戦してみたい。

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    2026年08月05日
  • 五月 その他の短篇

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    面白い短編集だった。ただどこがどう良いかと説明するのが難しくて好みは分かれそうな作品だなあと思いながら読んでいた。特に良かったと思ったのは表題作の「五月」。他は「普遍的な物語」「スコットランドのラブソング」「物語の温度」も良かった。好みで言うと「物語の温度」みたいなのはすごく好き。全編通して急に場面が変わったり、あなたとわたしが変わったり、今の話かと思ったら前の話だったり。その自由さ?みたいなものが物語の拡がりを作っているように思う。

    「侵食」という短編では、ある日全てのものに対して愛が溢れ(アリやアブラムシでさえも)世界が輝いてるのに、その後突然アリやアブラムシを潰していくという意味のわか

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    2026年08月03日
  • 短くて恐ろしいフィルの時代

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    奇妙で寓話めいた話なのに、読み進めるほどにだんだん笑えなくなってくる感覚がありました。
    最初はどこか軽くて風変わりな世界観だと思っていたのに、気づけば人間の弱さや集団の怖さをかなり露骨に突きつけられています。
    このブラックユーモアの効かせ方は見事で、短い作品なのに妙に引っかかり続けます。
    ただ、語り口や設定の癖はかなり強く、素直に物語に没入したい人には少し距離を感じるかもしれません。
    それでも、その読みにくさすら作品の不穏さに繋がっていて、読み終えたあとにじわっと残る違和感と苦味が印象的でした。
    軽い読み心地の割に、意外と深く刺さる一冊です。

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    2026年07月30日
  • ひみつのしつもん

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    ずっと行きたかった書店で、直感的に選んだ1冊でした!人生で初めてエッセイを読みました。
    最初から最後まで岸本さんの感性が好きでわくわくしながら読めました。でも、ただ面白かったで終わるのではなく、このマインドは明日から使えるなと実は役に立つ?と思いました。他のものも読んでみたいです。

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    2026年07月27日
  • あれは何だったんだろう

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    ネタバレ

    エッセイというよりは、妄想が羽ばたきすぎて空想小説のようになっているエッセイ集。この人のエッセイは前にも読んだが、前の本より面白かった。
    ちょっとしたきっかけからめくるめく岸本ワールドが始まり、干支は総とっかえされ、心臓は休みを取り、からざを捨て続けた人間がからざ地獄に落ち、ニシンは人生相談をする。読んでいると浮遊感があり、いちいちくすっと笑ってしまう。一番好きなのは、「でも地獄をうろついている仏ってなんなのだろう。どう考えてもまともな仏ではない。詐欺の可能性が高い」のくだり。確かにそう。そうだけど、考えたこともなかった(笑)。著者は若干不便そうにしているが、これくらい空想が暴れている脳みそで

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    2026年07月25日
  • 五月 その他の短篇

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    素晴らしい。フシギだけど温かみのある文体。
    イメージは交錯して視点が自在に動く。
    言葉って、小説って本当に自由なのだ。他のも読みたい!

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    2026年07月22日
  • なんらかの事情

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    目の付け所が人とは少し違う。
    自分も似たような部分があるので、共感しながら読めるのも楽しかった。
    もっとも、同じような感性でも、その鋭さと文章のうまさには到底かなわない。
    妄想の世界に入り込んで止まらなくなる部分もあった。悪ノリが過ぎて、やや滑っている箇所もあったかな。

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    2026年07月13日
  • 五月 その他の短篇

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    アリ・スミス2作目。
    前回は難しさを感じたので、今回も身構えながら読んだ。
    「普遍的な物語」
    古本屋の話だったので、スラスラ読めた。
    情景に浮かぶ話だった。
    クスッと笑えるところもあり、楽しめた。本を感じるような読書体験だった。

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    2026年07月11日
  • あれは何だったんだろう

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    なぜこうも岸本佐知子本に惹かれるのか。何が可笑しくて声をあげて笑ってしまうのか。
    このシリーズ4作目にしてようやく分かった。
    このキレのいい文章のリズムが、自分の内なる言葉とマッチしてるからだ。
    「声に出して読みたい日本語」のように何度も繰り返し音読したくなるのだ。そしてその可笑しみを身体の隅々まで行き渡らせたくなる。
    今回も身体いっぱいに味わってまんぷく、まんぷく!

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    2026年07月01日
  • 『罪と罰』を読まない

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    「罪と罰」を読んだことのない作家4人が、最初と最後のページ、間の数ページ、登場人物表など数少ないヒントを参考に物語を考察していく。もう超面白かった。笑った。

    登場人物名がおぼえられないといい勝手に省略したり、松岡修造だと呼んでみたり。
    元々同人誌でのみ出版予定だったということで、かなり自由に好き勝手やっており、それが最高だった。

    けどやっぱり作家を生業としてる人達はすごい。数少ないヒントから当たらずも遠からずな考察したり、文脈を整理し読み取る能力に長けすぎている。
    こんなにこの企画が面白くなるのも個々の能力がしっかりある人達が集まったからこそなんだろうなと思った。

    私は「罪と罰」本編を読

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    2026年07月01日
  • なんらかの事情

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    ネタバレ

    読みたいなーと思っていながら忘れていたら、人から薦められて読むことに。
    さくさく読める上に面白くて、岸本さんの他の本も読みたくなった。
    陽か陰で言ったら、陰で、割と後ろ向きな思想なようで前向きでそこのバランス感覚が面白かった。
    不必要書類の章が特に好きで、不要なものを捨てないといけないならまず私を捨てないといけなくなるから、と言った言葉が印象的だった。

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    2026年06月27日
  • あれは何だったんだろう

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     『ねにもつタイプ』面白っ!と思ったのに、なぜか第2・3を飛び越し第4弾を手にしました。本エッセイの『ちくま』連載は現在も(20年以上)続き、挿画・装幀が変わらずクラフト・エヴィング商會なのもうれしい限りです。

     岸本佐知子さんは、「私の頭の中には種々雑多な考えが詰まっている」と述べ、日々の生活で何かがきっかけとなって疑問や気付きがもたげ…。そこからの連想が連想を呼び、どこまでも飛躍します。

     妄想のスイッチがすぐに入るのは、感性の網目が細かいというかアンテナが高いので、他の人がスルーするようなことも引っかかるのでしょうね。
     目を閉じて瞑想し、頭の中の虚無のスクリーンを無心に見つめても…

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    2026年06月26日
  • 話の終わり

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    作中の作家であり翻訳者でもある(私)が、歳下の若い男性との恋を、その恋の終わりから思い出すように描く手法で作中作の妙と小説メイキングの語りを交えながら描かれていく小説。
    最初は、この書き方で長編になるのかなと疑問でしたが、凄い表現力と文章力におされて最後までよみきりました。後半は読んでいて辛いものがありましたが、訳者が、自分が書いたことにしたい小説No.1といっているのも頷けました。

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    2026年06月23日
  • 気になる部分

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    かなり面白かった。エンデの『モモ』や太宰治の『トカトントン』がしれっと出てくるあたりも、個人的には妙に信頼できた。

    岸本さんは、なんだか生きづらさを抱えやすいタイプな気がする。でも、その生きづらさを太宰みたいに重苦しく見つめるのではなく、ユーモアや想像力(妄想?)で遊びに変えてしまう。

    「書くことなんて何もない。頭の中をひっかき回し、苦しまぎれに壺の蓋を開けてみたら、何十年にもわたって“なかったこと”にしてあったものがどろどろに発酵していた」
    (あとがき)

    まさにその言葉どおりのエッセイ集。
    「なんかよくわからんけどこの人楽しそうでいいなw」と思わせてくれるのがすごい。

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    2026年06月23日
  • 『罪と罰』を読まない

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     面白かった。有名な古典小説「罪と罰」をネタにした対談集。

     前半は、この小説を読んでいないメンバーが読まないままに語り合う座談会。最初はこれまで知っていた断片的な知識を元に内容をあれこれと内容を想像し、途中から各章ごとに数ページを抜き出して読み、それを元に内容を「推理」する。これらが面白い。断片から空想を広げていくわけだが、その過程がとてもファンタスティックである。新しい断片を読む度に、これまでの想像が更に飛躍していったり、ひっくり返されていったりするさまもスリリングである。

     いったん座談会が終わってから各自が「罪と罰」を読み、そのあとで語り合うのが後半の座談会。読む前の座談会の答え合

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    2026年06月22日
  • あれは何だったんだろう

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    今回も天才岸本佐知子のワザが冴え渡る。
    いーとー、まきまき、のまさかの新解釈に愕然!考えてもみなかったわ。
    「こびとさんのおくつ」は「こびとさんのためのおくつ」ではなく「こびとさんで作ったおくつ」なのかもしれない。オーコワ!

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    2026年06月15日
  • あれは何だったんだろう

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    安定のおもしろさ。
    妄想の境目がだんだんなくなって、異次元へといざなう。

    クラフト・エヴィング商會の挿絵がピッタリ、ワープした世界観が広がります。

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    2026年05月28日
  • いちばんここに似合う人

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    16編からなる短編集。
    様々なキャラクターの内面に触れることができ、ちょっと自分と似てるかも、と共感できるキャラクターや考えもしなかった不思議な感情に出会える作品。

    誰にも理解してもらえないような性格や感情って、結局自分一人で抱え込んでしまう。
    そんなものを「はい。これちがう」と切り捨てず、一時だけでも受け入れてくれ、孤独の殻に小さな穴を開けてくれるようなストーリ。
    そんなあなたを肯定してくれ、あからさまでない優しさを感じる作品でちょっと好きかもしれない。
    著者の他の作品も読んでみようと思う。

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    2026年05月27日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    あとがきにあるように「突き放しながら温かい、にぎやかなのに孤独」。人生に訪れる相反する瞬間を書き留めた短編集だった。
    ただ愉快なだけでは終わらず、悲劇のなかにもユーモアのスパイスが効いている。
    場所も背景も文化も様々で、バラエティに富んでいて読んでいて楽しかった。どれも似ていないのがすごい。
    比喩や詩のように凛とした表現がとても良かった。
    長くて手元に置いておきたい作品。

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    2026年05月10日
  • 楽園の夕べ ルシア・ベルリン作品集

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    感じながら考えながら生きる、を思い起こさせてくれるルシア・ベルリン。ここのお気に入りは「聖夜 一九七四年」

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    2026年05月03日