岸本佐知子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「名文」「面白い」「他にはない」
これまで、この子がいろんな帯をまいて店頭に並んでいるのを見て来たけれど、なんとなく読まずにここまで来てしまった。
ようし・・・!
今疲れてるし、なんか元気出て頭使わないもの!
そう思って手を伸ばしたけれど、
読み始めてすぐに戸惑う。
これは・・・どこまでがホントでどこからが独り言で、どこからが妄想なの???笑
だれだって、顔には出さないけど、頭の中で自分と会話してること、結構あると思う。
自分との会話だから、とても雑。
順番なんて気にしないし。
結論なんてなくてもいいし。
脱線なんて当たり前だし。
外側で起こってる「今」とは全然関係ないことを、あっちへふらふらこっちへにょろにょろ考えたりする。
なんていうか、
それがそのままエッセイになってる!!!笑
人の頭の中の、しかもどうでもいい部分を、そっと覗き見させてもらってる気持ち。
これまで、いろんな方の面白いと言われるエッセイを読んできたし、笑い転げたり思い出し笑いするような思いもして来た。
でも、これはそういうのじゃなくて。
わたしが帯を描くならどうするだろう。
笑い転げる要素はないです。
共感・・・というのもちょっと微妙かな。
でも、これは確かに抜群に面白いです。
こんな感じ。 -
Posted by ブクログ
今までにあんまり経験したことないような文体で新鮮だった。
短編集だけど、まったくのバラバラな話の集まりという訳ではなく、作者の実体験に基づく話が時系列等はバラバラに載っている。
かなり波瀾万丈な人生を送った人のようで、途中まで同じ人の人生とは気づかなかったくらい。
あんまり綺麗じゃない描写も多いんだけど、その場面の情景や登場人物の感情が突き刺さるみたいに鋭く伝わってくる。あとユーモラスですごく面白い。
ハッピーな話の方が少ないから虚しさとか切なさを感じる読後感だけど、だからといって絶望的な雰囲気ということではなく、どこかさっぱりした終わり方な気がする。特に家族についての話でそう感じた。
お気に入りの話は『エンジェル・コインランドリー店』、『掃除婦のための手引き書』、『ファントム・ペイン』、『いいと悪い』、『苦しみの殿堂』、『ママ』、『さあ土曜日だ』、『巣に帰る』。 -
Posted by ブクログ
こんな不思議な文章は初めて読んだ。
現実と空想と妄想とがぐるぐると入り混じったような読書時間は、風邪の時に熱に魘されてみる夢の感覚に近い。
三浦しをん氏がご自身のエッセイで絶賛されていたので、興味を持って手に取った。
岸本氏の感性に底はかとない恐れを感じたり、害虫との戦記に深く共感したり。
これは本当にエッセイ?と首を傾げつつも、不思議と夢中になってあっという間に読み終えてしまう中毒性がある。
作品に没頭することは多々あれど、脳内が異空間にトリップしているような文章には初めて出会った。
この感覚は癖になる。著者の他のエッセイにも挑戦してみたい。 -
Posted by ブクログ
面白い短編集だった。ただどこがどう良いかと説明するのが難しくて好みは分かれそうな作品だなあと思いながら読んでいた。特に良かったと思ったのは表題作の「五月」。他は「普遍的な物語」「スコットランドのラブソング」「物語の温度」も良かった。好みで言うと「物語の温度」みたいなのはすごく好き。全編通して急に場面が変わったり、あなたとわたしが変わったり、今の話かと思ったら前の話だったり。その自由さ?みたいなものが物語の拡がりを作っているように思う。
「侵食」という短編では、ある日全てのものに対して愛が溢れ(アリやアブラムシでさえも)世界が輝いてるのに、その後突然アリやアブラムシを潰していくという意味のわからないお話なのだけど、よくよく考えてみれば、自分もすべてのものを肯定し、包み込むような聖人モードの日(あるいは数時間)もあれば、次の日(場合によって数時間後)人が変わったように不機嫌な日もあるなあとふと思い出して、こんなことも短編として描かれるんだ!面白い!となった。いや、そういう解釈であっているかは分かりませんけどね…。 -
Posted by ブクログ
奇妙で寓話めいた話なのに、読み進めるほどにだんだん笑えなくなってくる感覚がありました。
最初はどこか軽くて風変わりな世界観だと思っていたのに、気づけば人間の弱さや集団の怖さをかなり露骨に突きつけられています。
このブラックユーモアの効かせ方は見事で、短い作品なのに妙に引っかかり続けます。
ただ、語り口や設定の癖はかなり強く、素直に物語に没入したい人には少し距離を感じるかもしれません。
それでも、その読みにくさすら作品の不穏さに繋がっていて、読み終えたあとにじわっと残る違和感と苦味が印象的でした。
軽い読み心地の割に、意外と深く刺さる一冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレエッセイというよりは、妄想が羽ばたきすぎて空想小説のようになっているエッセイ集。この人のエッセイは前にも読んだが、前の本より面白かった。
ちょっとしたきっかけからめくるめく岸本ワールドが始まり、干支は総とっかえされ、心臓は休みを取り、からざを捨て続けた人間がからざ地獄に落ち、ニシンは人生相談をする。読んでいると浮遊感があり、いちいちくすっと笑ってしまう。一番好きなのは、「でも地獄をうろついている仏ってなんなのだろう。どう考えてもまともな仏ではない。詐欺の可能性が高い」のくだり。確かにそう。そうだけど、考えたこともなかった(笑)。著者は若干不便そうにしているが、これくらい空想が暴れている脳みそで生きていたら楽しいだろうなあと思わずにいられない。 -
Posted by ブクログ
「罪と罰」を読んだことのない作家4人が、最初と最後のページ、間の数ページ、登場人物表など数少ないヒントを参考に物語を考察していく。もう超面白かった。笑った。
登場人物名がおぼえられないといい勝手に省略したり、松岡修造だと呼んでみたり。
元々同人誌でのみ出版予定だったということで、かなり自由に好き勝手やっており、それが最高だった。
けどやっぱり作家を生業としてる人達はすごい。数少ないヒントから当たらずも遠からずな考察したり、文脈を整理し読み取る能力に長けすぎている。
こんなにこの企画が面白くなるのも個々の能力がしっかりある人達が集まったからこそなんだろうなと思った。
私は「罪と罰」本編を読んだ後にこちらを読んだけれども、「罪と罰」を読んだことがない人にももちろんおすすめで、絶対に本編を読みたくなるはず!!
「罪と罰」を読んだ人にも、長すぎてちょっと読む気にならないわという人にも、おすすめの1冊。 -
Posted by ブクログ
『ねにもつタイプ』面白っ!と思ったのに、なぜか第2・3を飛び越し第4弾を手にしました。本エッセイの『ちくま』連載は現在も(20年以上)続き、挿画・装幀が変わらずクラフト・エヴィング商會なのもうれしい限りです。
岸本佐知子さんは、「私の頭の中には種々雑多な考えが詰まっている」と述べ、日々の生活で何かがきっかけとなって疑問や気付きがもたげ…。そこからの連想が連想を呼び、どこまでも飛躍します。
妄想のスイッチがすぐに入るのは、感性の網目が細かいというかアンテナが高いので、他の人がスルーするようなことも引っかかるのでしょうね。
目を閉じて瞑想し、頭の中の虚無のスクリーンを無心に見つめても…やっぱり連想が連想を呼んで瞑想どころではなくなるようです。
エッセイとも短編小説ともつかない話の奇想天外さは、根っこに日々の生活と言葉があります。それらを追究した先に、視点の豊かさと新鮮さがあり、クセになる心地よささえ感じられます。
本書を"くだらない"と断じるか否かは人によるでしょうが、自己啓発とか実用系書物しか読まない御仁にほどお勧めしたい気がします。岸本ワールドをぜひ堪能してみてください。