白井聡のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「まえがき」の内田樹の文章の衝撃たるや。
21世紀末には、総務省の中位推定で、日本の人口は4700万人に。7000万人も減るという。
そして、この事実を国は知ってはいるが、「このシナリオを国民に対して開示する気がない」にっちもさっちもいかなくなってから、我々に、さて、「日本は沈みつつありますが、生き延びる手立てはもうこれしかありませんと手の内を明かす」だろうと。
その時には「強者にすべての資源を集中し、弱者は見捨てる」というシナリオは出来上がっている…。
そうだろうと思う。そうなのだ。たぶんもう出来上がっているのだ。我々庶民はうかうかしてこれからだまされるのだ。
この「まえがき」と白井聡と -
-
Posted by ブクログ
ネタバレー資本主義とは。
富は資本主義以外の社会でも存在するが、その富が商品という形で発生するのが資本主義の特徴。商品は共同体間の交換。後腐れのない等価交換。
労働に関しても商品として扱われるようになっているのが近代。もともと労働ってのは共同体的な作業(富の生産作業)だったが、それが共同体外の活動(=商品の生産であり、労働自体も商品)になった。
労働の過程すらも資本に取り込まれた状態のことを実質的包摂と言ってる。(農業やってるときに買い取りをしてもらうとかは別に農業のアウトプットの仕方は固定されてない。労働者にやり方は任せてるときは包摂は低いということか。生産性を高めるということは自動化であって、機械 -
Posted by ブクログ
内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当た -
-
Posted by ブクログ
『資本論』とは何かというより、なぜ現代社会で『資本論』に触れるべきなのか、ということを考えさせてくれる一冊。内容も『資本論』そのものについて触れている部分よりも、現代社会を『資本論』の視点から捉えてリフレーミングして解説している部分が多い。
特に本書の「包摂」に関する記述には頷かされたし、しかもそれが殆ど不可逆的なものだという絶望感のようなものも感じた。一方で、以前テレビで見た「ポツンと一軒家」や「人生の楽園」に出てくる人達を思い出した。日本の少なくない場所にああして自分なりの感性を持ち、自分なりの生き方をしている人達がいるということは、社会がまだ完全には資本主義に包摂されていないことの証だと -
Posted by ブクログ
ネタバレVUCAの環境と長い閉塞感の日本の政治と経済。本書に記された戦後の歴史的背景は根深く、これからも道は険しいとものがあると感じた。
•戦後の国体とは、戦前の天皇制国家体制の構造が配線を機にその頂点を天皇から米国へと入れ替えながら生き延びてきたことを捉えるための概念。
•朝鮮戦争こそ戦後日本のかたちを決めた出来事であり、戦後の国体の歴史的起源。
•内外政ともに数々の困難が立ちはだかる今、私たちにかけているのはそれらを乗り越える知恵ではなく、それを自らに引き受けようとする精神態度である。人間が自己の運命を自らの掌中に握ろうとする決意と努力のみ。 -
-
-
-
-