白井聡のレビュー一覧
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マルクスの資本論に関して、噛み砕いて説明している。非常にわかりやすい。
冒頭の満員電車で30代サラリーマンが必死に資本論を読んでいたというエピソードが、どうも頭から離れない。資本論というのは、資本主義とはどういうものであるか?ということを示した本であり、別に革命を目指すようなものでもない。
どうして我々労働者は、働いても報われないのか?という強烈な課題意識があると、資本論はスッと入ってくることがある。そういうことを言いたかったんだろうなと思う。
資本論の解説としても有用であるものの、本書で面白かった箇所を引用する。
>新自由主義が変えたのは、社会の仕組みだけではなかった。新自由主 -
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武器としての「資本論」
著:白井 聡
出版社:東洋経済新報社
政治学者である、白井氏が資本論のエッセンシャルを解説されている書です。
冒頭に、「生き延びるための『資本論』」とある。
資本論挫折組としては、この上もないありがたい書であるが、こんな内容が含まれていたなんておもいもよりませんでした。
また、3冊ぐらいかとおもっていましたが、岩波『資本論』は全9冊とあり、かなりの分量であったこと改めてびっくりしました。
なぜ、資本論がこれまで読み継がれているのか、それは、経済概念の何かしらの本質をつかんでいるからこそ、今もなお、読まれるだけの価値があるという。それが、生き延びるための資本論な -
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「朝まで生テレビ」などにも出演していた独特の雰囲気の論客で右派活動家の鈴木邦男氏の気骨ある文章が詰まった遺言とも言える一冊。
晩年は左右を超えるふしぎな立ち位置となった氏の思想に触れるには絶好の書とも言えましょう。
本書を読んで思ったのは、鈴木氏は「気骨ある人」に対しては左右の思想を問わず尊敬の念を抱くことができる懐の深さを持ち合わせた人だと言うことだ。氏のことを面と向かって罵倒する無頼漢に対しても「骨がある人だ」と称賛を惜しまず、格の違いを感じる。第一、本書自体左派メディアに寄稿された原稿であり、いわゆる右翼と呼ばれていた鈴木氏がいかに柔軟な考え方を持っていたかをうかがい知ることができる。ゴ -
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政治の世界では、日本がアメリカに従属することは、半ば公然となっているらしい。日本の政治のカラクリを単刀直入に明らかにしている。
アメリカの衰退は、1971年のニクソン・ショックあたりから表面化し、それを食い止めるために、一番言うことを聞きそうなところに、そのツケを回しはじめた。冷戦構造が終わった時点で、アメリカにとって日本はアジアのパートナーではなくなり、庇護する対象から収奪する対象になった。
日本は無条件的な対米従属をしている合理的な理由がなくなったにも関わらず、それまでの依存と自立の志向が絡み合った対米従属構造が盲目的従属に深まっていくという摩訶不思議なことが起こった。日本には、アメリ -
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(2016/10/15)
中高生に、とあるが、我々大人が読んでも十分学べる内容。
物事の考え方を、平易なことばでみごとに説明してくれている。
小田嶋さんの成功者村上龍への食いつきは面白い。「会社員」という仕事がないと。
村上龍は成功しているから会社員をはずしていると。
確かに、13歳のハローワークに上がっている仕事で食っていける人はごくわずか。
みな「会社員」として何とか生きている。
白井さんの「意味」には際限はない、というのはなるほど。
本能的欲求は限度があるが、誰も持っていないものを持つ、という欲求には切りがない。
そこにはまったら最後だな。
戦争中における「国」とは、国民でなく国体 -
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(2016/1/10)
最近内田さん、白井さんの本をよく読ませていただいているが、
この対談で新たな発見をしたのが
「破局願望」、「自己破壊衝動」。
アメリカの属国ということは何度も読んできたが、この概念は新しかった。
坂の上の雲を追いかけて上ってきた明治日本がなぜ大東亜戦争で破滅の道を歩んだか。
幕末に賊軍とされた東北勢などが薩長を追いやって権力の座に就き、それまでの明治維新日本を
壊した、という。
また、今の日本。戦前の天皇をアメリカにおきかえ、アメリカに褒められること、ご褒美をいただくことに
期待して一所懸命やってきたが、なかなか認められない。
そりゃそうだ。天皇と違って、アメリカは自 -
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人新世の「資本論」の斎藤幸平、「永続敗戦論」の白井聡、岸本聡子杉並区長ら
そうそうたるメンバーが自治を語る、コモンを語る、自律を語る。
正直難易度が高く、頭に入らないものもあった。
一番理解しやすかったのは藤原辰史さんの農業の自治。
古来人間は集って狩猟、農業を営んでいた。そこに自治があった。
種の保管、水の確保、料理。
最小単位の集団で、自分たちで取り決めをし、少しでも全体の収穫を大きくしようとした。
ここに国が絡むと、年貢を納めることになるが、これを金銭で納めるようにすれば
商売の考えが生まれ、余剰金で新しいものが買える。そこにも自治ができる。
などなど、人類の歴史に根付いた自治の話は -
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(2022/1/8)
2020年、まだコロナ第2波くらい、オリンピック延期、という段階で書かれたアンソロジー。
日本の知性が集結している。多くの方が参加している。
読み始めたとき、それぞれのお名前の横に簡単な肩書しか書かれておらず、
もう少し人物紹介すればいいのに、、、と思ったのだが、巻末にまとめて紹介されていた。
この本は中高生向きなので、それぞれの著者を知らない可能性が高く、人物紹介が長いとかえって予断を持って読み始めてしまうので、避けたのかな、と推察。
私は彼らの著作を結構読んでいるので、背景を知って読むとより立体的に読めた気がする。
一つ一つのコラムにコメントをするのは野暮 -
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2023年、つい一年前に逝去した鈴木邦夫氏が残したコラム集。
残念ながら生前の活躍はあまり把握しておらず、
せいぜい右翼から左翼に転向したとか、彼こそ本当の右翼だ、
程度しか聞いたことがなかった。
彼の文章を読んでまず感じたのは、何とも愛すべき人物であった、
ということ。「右翼」のイメージからか、こわもてを想像していた。
そして、こちらは本質だが、いまの「右翼」が、いかにえせ右翼か、
真に日本を愛する、ということはどういうことか、彼の文章からその本質を
読み取ることができた。
そもそも右左の定義もあいまい。
自称右翼、自称愛国者もそのあたりは分かっていないのだろう。
馬鹿の一つ覚えのように、日 -