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いまだ敗戦を否認し続けているために「対米従属」を続けざるを得ない日本。『永続敗戦論』で一躍注目を浴びた著書が、占領下から55年体制の成立、冷戦後の混沌から現在まで、日本政治の70年を鋭利に考察、近代資本制社会の行き詰まり、排外主義、反知性主義の横行などの世界的な潮流をふまえながら、真の「戦後レジームからの脱却」の道筋を描く。戦後政治を乗り越えるための羅針盤!
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Posted by ブクログ
政治の世界では、日本がアメリカに従属することは、半ば公然となっているらしい。日本の政治のカラクリを単刀直入に明らかにしている。 アメリカの衰退は、1971年のニクソン・ショックあたりから表面化し、それを食い止めるために、一番言うことを聞きそうなところに、そのツケを回しはじめた。冷戦構造が終わった時...続きを読む点で、アメリカにとって日本はアジアのパートナーではなくなり、庇護する対象から収奪する対象になった。 日本は無条件的な対米従属をしている合理的な理由がなくなったにも関わらず、それまでの依存と自立の志向が絡み合った対米従属構造が盲目的従属に深まっていくという摩訶不思議なことが起こった。日本には、アメリカの収奪攻勢に抵抗せず、迎合することで権益を得る人々が政界、官界、財界、学会、メディアに多数存在している。日本の永続敗戦レジームの担い手たちは、自らを守ってきた権力構造を維持するためならば、あらゆる富を売り払うということに全く躊躇しない。 アメリカの差し金と言えるものには、郵政民営化、普天間基地移設問題などたくさんある。安倍政権が進めた特定秘密保護法、武器輸出三原則撤廃、原発再稼働、集団的自衛権行使容認、TPPなどの一連の政策は、アメリカのシンクタンクが発表した第三次アーミテージ・ナイ・レポートの完全コピーだった。戦後の日本は、憲法の制約を盾にすることによって、アメリカの軍事戦略に100%付き従うことを避けてきた。安倍政権は憲法解釈を変えて集団的自衛権を行使できることにして、対米追従に対する歯止めを自ら捨ててしまった。 永続敗戦レジームは存在根拠を失っているので、崩壊するのは時間の問題である。日本国民が自らの手で必要な改革を成し遂げ、社会と政治を変化させ、ソフトランディングさせなければ、戦争や経済崩壊の形でハードランディングすることになる。 新自由主義は、右傾化、反知性主義、ポピュリズム、排外主義などの発生に深く関係している。新自由主義によって再び階級社会化が進むと、国民統合は危機に陥るため、国家の側がナショナリズムのイデオロギーを利用して再統合を図ろうとする。それが目くらましにであることに気付かせないように、反知性主義の雰囲気を蔓延させ、小難しい意見は端から間違っていると決めつける。
『永続敗戦論』の、その先へとあるが、まさに『永続敗戦論』の要素をふまえているので、著者の主張の総まとめがコンパクトにまとめられていて、1冊目コレでもいいのではと思う。 『戦後レジームからの脱却』をとなえた安倍晋三は、実際には「戦後レジームの死守」とも呼ぶべき政策を強行してきた。本当の意味での「戦後レ...続きを読むジーム」とは? 「脱却」とは、と本書は問う。 本書に寄れば、「戦後レジーム」とは「永続敗戦レジーム」そのものである。日本はアメリカに対してのみ敗戦を認め、アジア方面に対しては認めていないという二重性のなかに生き続けている。しかし、アメリカにとって日本の重要性は決定的に低下した。アメリカに従属することで平和と安定と経済発展を享受してきた前提は崩れた。ここから旅立たなくてはいけないが、「利権共同体」にとっては、これまでの体制を存続させていくことが自己目的化していて、「永続敗戦レジーム」を強化して言ってしまう。 2016年発行の本だが、現状においても有効な総括であるし、ここから一歩も出ていないというのが日本の病だと思う。
永続敗戦論の”その先”とあるが、”永続敗戦論”からの展開としては一冊の本にするには少し寂しい感じもするが、非常に鋭い現状分析にはやはり唸らされる
著者が以前から主張していた「永続敗戦レジーム」を中心に戦後政治から現在の状況まで論評しています。 確かに戦争責任もまともに追及されなかったり、原発事故も誰も責任を問われることなくすでに「過去」に追いやらてきている状況で、社会は着実に新自由主義に染まるとともにその内在する問題点を否定するために右傾化し...続きを読むています。 現在の政権が一定の高支持率を獲得しているのは、とにもかくにも目の前の状況がなんとかなれば良い、という一時しのぎの流れなのでしょうか。「この道しかない」という単純なかけ声の下、さまざまな矛盾が次世代に先送りされている現状にはうんざりします。 痛みを伴わないオルタナティブはないのかもしれませんが、新たな道に向けて積極的に正面から取り組む政治勢力が出てきてほしいものです。
包摂→排除→再包摂の政治を取り戻すために、排除された側の憤りに共感を示していかなければならないと思いました。
前作の「永続敗戦論」読んだ時には、こんなに話題になるとは思っていませんでした。この本は、前書きにも書かれていましたが「永続敗戦論」の続編という位置づけになります。 本当だったら、選挙前に読んだほうが良かった本なのかもしれない。今思うと。 でも、今からでも遅くはないです。本当にもう、自分の頭で考えな...続きを読むいと酷いことに遭遇するという焦りを、ひしひしと感じている人は手にとって見ると良いかもしれません。 戦後日本の政党の流れをざっとまとめてあるので、政治が良く分からない。と思ってる人にも読みやすい構成になっています。 米国は自国の国益の為にしか動かないよ。という事実を改めて確認する作業=この本で言う所の「温情主義の妄想」から目を覚まさせる作業というのは一度するべきかなと思っていたのでこの本はその一助になると思います。
メモ P150 ナチスの高官、へルマン・ゲーリングの格言ー国民を戦争に引きずり込むのは実に簡単だ、外国に攻撃されつつあると言えばよいー ➡脚注30「国民は常に指導者たちの意のままになるものだ。簡単なことだ。自分達が外国から攻撃されていると説明するだけでいい。そして、平和主義者については、彼らは愛国心...続きを読むがなく国家を危険に晒す人々だと公然と非難すればいいだけのことだ。この方法はどの国でも同じように通用するものだ」
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戦後政治を終わらせる 永続敗戦の、その先へ
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白井聡
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