白井聡のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者が以前から主張していた「永続敗戦レジーム」を中心に戦後政治から現在の状況まで論評しています。
確かに戦争責任もまともに追及されなかったり、原発事故も誰も責任を問われることなくすでに「過去」に追いやらてきている状況で、社会は着実に新自由主義に染まるとともにその内在する問題点を否定するために右傾化しています。
現在の政権が一定の高支持率を獲得しているのは、とにもかくにも目の前の状況がなんとかなれば良い、という一時しのぎの流れなのでしょうか。「この道しかない」という単純なかけ声の下、さまざまな矛盾が次世代に先送りされている現状にはうんざりします。
痛みを伴わないオルタナティブはないのかもしれませ -
Posted by ブクログ
内田先生の舌鋒鋭いのには慣れているが、白井さんも「はじめに」から鋭く、ワクワクしながら読み始めた。
”上は内閣総理大臣から下はヘイトスピーチの市民活動家に至るまで、郷土への愛着は何ら感じられない一方、幼稚な戦争趣味と他国民への攻撃性だけが突出した悪性のナショナリストたちが、愛国主義の旗印を独占しています。” 7ページ
”シェイクスピアの『リヤ王』の中の台詞に「今は末世だ、キチガイが目くらの手を引く」(福田恒存訳)という言葉があります。” 9ページ
『リヤ王』にこんなセリフあったんだ。
『永続敗戦論』は衝撃的だった。白井さんの今後のお仕事、研究に注目していきたい。きっと、目を開か -
Posted by ブクログ
やっぱり面白い。内容もそうだが、内田さんも
白井聡さんの文書(文書ではなく発言だと思いますが)
がとてもひかれる言葉の組み合わせというか綴り方です。
内容的には、以前からの主張や書いてあった内容と
ほぼ一緒ですが。
自己破滅を望んでいるのではないかと思われる風潮。
もしかしたら本当に破滅を望む民意があるような気も
します。『敗戦の否認』の考え方に至るロジック。
フランスでの状況など。これらは内容的にも面白い
と思います。
ひとつだけ追加しておくと。現政権安部首相のこき
下ろし方がどんどんひどくなっていること。
内容や著者たちが主張していることについては
同意することが多いのですが。
そういう政 -
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現在の日本が事実上アメリカの属国であることは客観的な事実としてある。沖縄をはじめとする米軍基地や、領空内の空域支配、内政干渉とも言える年次改革要望書の存在など、他の同盟諸国と比べても圧倒的に服属させられている。本来、それこそが戦後レジームであり、安倍政権が真にそこからの脱却を望むのであれば、まず対米関係を見直す事が先決のはずである。しかし実際には中韓との敵愾心を煽ることで、ますます対米従属の必要性を強めている。こうした政治によって国民はなにか虚無感にとらわれて政治的無関心に陥るわけだ。
平和で豊かな時代が続くと、やはり政治は堕落するのだろうか。そうでない世界を切り拓いていきたいものだ。 -
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ー 発言撤回か、辞任か、経済制裁食らうか、の3択になりそうですね 白井聡のXでの発言
高市早苗は、歴代首相が慎重に避けてきた 「台湾有事は日本の存立危機事態に当たり得る」 という点に踏み込んだ。これが今回の騒動の核心である。質問した野党を責める声もあるが、外交技術の観点から言えば、今回の高市氏の発言は日本に利が少ない。いわゆる“戦略的曖昧さ”は、地域の緊張を高めず、同時に抑止を維持するための微妙な均衡だ。にもかかわらず、内向きの勇ましい言説の延長でこの曖昧さを破った点は、悪手といえる。
しかし同時に、もっと重大なのは 中国が日本の国会での発言に対し「撤回」を要求していることである。これは -
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たいへんコンパクトなマルクスの思想の入門書です。
もっとマルクスの思想の現代的な意義にかんする議論に振りきった内容を予想していたのですが、商品形態論や剰余価値論など、マルクス経済学の基礎にかんする説明に、思った以上に多くの紙幅をついやしているように感じました。
もちろん現代においてマルクスを読むことの意義にかんする著者自身の意見も、とりわけ最終章ではかなり踏み込んで語られています。資本主義における疎外が労働者の搾取だけでなく、人びとの考えかたにまでひろくおよんでいることを指摘し、そのことがもたらす閉塞感の正体をついて読者の考察をうながしています。ただそれでも、思いのほか正統派のスタイルの入 -
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Posted by ブクログ
本書は1977年生で、レーニンを専攻する気鋭の政治哲学者である白井聡氏が『週刊金曜日』などに掲載したものや、書き下ろしの論考を一冊にまとめたものです。白井氏が提唱する「永続敗戦レジーム」の発展形です。
本書は1977年生で、レーニンを専攻する気鋭の政治哲学者である白井聡氏が雑誌『週刊金曜日』に発表した時事評論を中心に、あらたに書き下ろした論考や白井氏が世に出るきっかけとなった、『永続敗戦論』(太田出版)で受賞した石橋湛山賞を受賞した際の記念講演を書き起しなども収録されており、白井氏が提言する「永続敗戦レジーム」の発展形といった内容に仕上がっております。
僕は白井氏の書いたものにはほぼ