白井聡のレビュー一覧
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本書は、この10年近く日本政治の低迷·転落を概括的に論じたもので、その間の政治の中心には自民党が鎮座しており、うち7年は安倍政権が施政を行った。そしてその結果、内外政は大きく劣化したと述べている。
凶弾に倒れたが、安倍元首相が言っていた「あの悪夢(民主党の)のような時代に戻って良いのですか?」には、ずっと引っ掛かっていた。
この何十年も基本的に自民党が政権を握っていて、政治も経済等自民党がそのシステムを構築·運用してきた結果、バブル崩壊から全く浮上出来ず、技術立国や経済大国等恥ずかしくて言えない国になってしまっているのが実体だ。
彼の合言葉となっていた、アベノミクスやその手法である「3本の -
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資本主義ってそもそもなんだ?今どういう問題を抱えているんだ?ということが分かってよかった
特に資本主義が人間の魂までをも包摂しつつあるというのは納得。
ここから私の考えですが、資本主義による魂の包摂に個人のレベルで対抗するには
•まず資本主義が我々の幸せのためにあるものではないと認識すること。
•その上で効率をもとめすぎることや、誰かと競争して勝つ、人と比べて優劣をつけると言った、いわゆる資本主義的な価値観から脱出すること。
•効率化によって切り落とされた手間暇と、それに伴う感情や愛着を取り戻すこと。(例えば料理をする、サブスクばかりでなくレコードを聞いてみる、コーヒーを入れる)
=効率を -
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属国というのはもちろんアメリカの属国である。
尊皇攘夷ならぬ,尊米攘夷化する日本の現状を,二人が鋭く語っている。
日本を大切にするはずの右翼が,我が日本の国土を放射能で汚染し,住めないようにした原発の再稼働に賛成したり,日本のあちこちにある米軍基地に賛成したりしている。これを持って右翼というのならば,右翼とは,我が祖国日本を,大企業やアメリカに売り渡すことを主張している団体ではないか。そんな気もしてくる。
アレックス・カーさんが,「日本人は自分たちは伝統と自然を愛する民族だと言っているけれど,本当はまったく愛していないですよね,それは街並みを見ればわかる」という趣旨のことを書いておられ -
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以前、立ち止まって交通整理することが必要ではないか、+はわかりやすいけど-が評価されにくくて敬遠されるというようなブログを書いていたので非常に興味深い題材でした。
いろんな人が寄稿しているので中には読みにくいものがあったり、何を言ってるのか、何が言いたいのかがよくわからない人もいたけど、いろんな考え方があって面白く、中でも青木さんや想田監督、平川さんなどは近い考えで興味を持ちました。
障害とは、健常とは、健全とは?頭が悪い、コミュ障、ノンデリ、自我の喪失、倫理観の欠落などと障害の差は?ふだん考えていたことが青木さんによって明文化されていました。
常日頃、「誰が」という点に注目が置かれ、その中身 -
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ネタバレ白井聡さんの新書。
深堀TVの番組見て手に取った本。戦後からの日本政治の流れを大枠で把握する意味でもすごくわかりやすかった。
インデックスは以下
序章 すべての道は統治崩壊に通ず - 私たちはどこに立っているのか?
第1章 2012年体制とは何か? - 腐敗はかくして加速した
第2章 2012年体制の経済政策 - アベノミクスからアベノリベラリズムへ
第3章 2012年体制の外交・安保保障Ⅰ - 戦後史から位置付ける
第4章 2012年体制の外交・安保保障Ⅱ - 「冷戦秩序」幻想は崩壊した
第5章 2012年体制と市民社会 - 命令拒絶は倫理的行為である
あとがき
著者は、2012年から -
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資本主義の度合いが高まることは、共同体的世界の領域が狭まっていくこと
共同体の外の権利が共同体を包み込み内部に浸透していくプロセス=包摂
ネオリベラリズムでは、相対的剰余価値の追求がより加速した。
人間を資本に奉仕する道具としか見ていない。という見方。
資本主義=物質代謝の大半が商品によって媒介される。
資本主義ではこの大半が際限なく高まってゆく性格を持つ。
資本主義では原則が等価交換。
労働の対価が労働力の所持者の維持のために必要な生活手段の価値。
→賃金の生存費説
だが、デフレマインドで必要の水準が下がっている。
供給が増えても消費者=労働者が貧しいと買い手がいないため、国外に -
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平成元年は1989年、「ベルリンの壁」の撤去が始まった年であり、その後の東西ドイツ統一、ソ連を含めた東側陣営の崩壊、東西冷戦の終結へと向かっていく最初の年であった。また、この年の12月29日には、日経平均株価が38,915円の最高値をつけ、バブル経済の絶頂を迎えている。この年が絶頂であったということは、平成の時代を通じて、日本の経済は停滞あるいは衰退を続けていったということだ。
平成が終わったのは、平成31年、2019年のことだ。昭和が終わり平成が始まったのは、昭和天皇のご崩御によったわけであるが、平成が終わり、令和が始まったのは、平成天皇・明仁天皇が自ら退位の意思を示されたからであった。
平 -
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資本はひたすら増殖を目指す。
まるで癌細胞のようじゃない?
増え続けること自体が目的。
昔読んだダイエーの本、
売上1兆円達成の記念イベントを
催したとき、
会長がバチで大太鼓を叩くと
太鼓の皮が破れ、
中に仕込んであったのが
新しい大太鼓。そこに書かれていた
スローガンが、
次の目標は売上2兆円 だったという
演出が、描かれていました。
また、京セラが売上1兆円を達成した後の
創立何十周年かの記念行事の際、
今後の新しい目標を
「世界から
「ザ カンパニー」と呼ばれるグループを目指す」
と掲げ、それだけでは
社員の共通な理解が形成できないから、
具体的な実現目標として
「売上3兆円、利益 -
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最初から2/3ほどは資本論で定義された重要な概念についての解説、最後の1/3で資本論の視点からこれまでの歴史を見直して、現代社会を分析する
最初はとにかく読みづらい 書かれている日本語も分かりづらい 新出の概念は別の資料にあたって調べないと理解できない
少し進んでは戻って読み直して、やっと理解できた気持ちになれる(本当に理解できているかどうかはおぼつかない)
それでも、頑張って読んだ価値はあったと思う
物事を見る視点が一つ増えた気がする
バブル期の経済活動が異常だった、という意識があり、意識的無意識的に節約節制を心がけていたが、それが新自由主義的な文化を前提とした意識活動だったという視点 -
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新自由主義がもらたす、人間の骨抜き化。
以下メモ
・剰余価値の生産方法の変革(=新自由主義/ネオリベラリズム)で、包摂の度合いが高まり魂の包摂も広がる
・新自由主義改革によって資本家は肥え太り、労働者は戦後獲得してきた権利(終身雇用、企業における共同体主義「社員は家族だ!」)を次々と失った
・新自由主義は、人間の魂を、感性、センスを変えた。←新自由主義自体が文化になっているから。
❌「わたしはスキルがないから価値が低いです」
→魂までもが資本に包摂された状態
・人間の基礎価値を信じることが大切。
「私たちはもっと贅沢(=豊かさ)を享受していいのだ」