無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
なぜ「格差社会」が生まれるのか。
なぜ自己啓発書を何冊読んでも救われないのか。
資本主義を内面化した人生から脱却するための思考法がわかる。
ベストセラー『永続敗戦論』『国体論』著者によるまったく新しい「資本論」入門!
経済危機が起こるたびに「マルクスの『資本論』を読もう!」という掛け声が上がる。でもどうやって読んだらいいのか。「資本論」の入門書は数多く刊行されている。しかし「資本論」を正確に理解することと、「資本論」を現代に生かすこととは同じなのか?
本書では「資本論」の中でも今日の資本制社会を考える上で最重要の概念に着目し、それが今生きていることをどれほど鮮やかに解明するかを見ていく。
【他の「資本論」入門書との違い】
◎マルクスの「資本論」そのものの解説ではなく、「資本論」の「キモ」の部分だけを紹介。
◎「資本論」の中でも最重要な「商品」「包摂」「剰余価値」「本源的蓄積」「階級闘争」を切り口に、なぜ今のような格差社会が生まれているのか、どうすれば「乱世」を生き延びられるのか、を考える。
【本文より一部抜粋】
実は私たちが気づかないうちに、金持ち階級、資本家階級はずっと階級闘争を、いわば黙って闘ってきたのです。
それに対して労働者階級の側は「階級闘争なんてもう古い。そんなものはもう終わった」という言辞に騙され、ボーッとしているうちに、一方的にやられっぱなしになってしまったというわけです。(第11講より)
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
マルクスの資本論に関して、噛み砕いて説明している。非常にわかりやすい。
冒頭の満員電車で30代サラリーマンが必死に資本論を読んでいたというエピソードが、どうも頭から離れない。資本論というのは、資本主義とはどういうものであるか?ということを示した本であり、別に革命を目指すようなものでもない。
どうして我々労働者は、働いても報われないのか?という強烈な課題意識があると、資本論はスッと入ってくることがある。そういうことを言いたかったんだろうなと思う。
資本論の解説としても有用であるものの、本書で面白かった箇所を引用する。
>新自由主義が変えたのは、社会の仕組みだけではなかった。新自由主義は人間の魂を、あるいは感性、センスを変えてしまったのであり、ひょっとするとこのことの方が社会的制度の変化よりも重要なことだったのではないか、と私は感じています。
社会にとって有用なスキルがなければ、低賃金に甘んじるしかなく、それは自己責任だよね?という考えそのものが浸透している現代は、すっかりその価値観に毒されてるなと。
最近まで高みの見物をしていたホワイトワーカーも、その例外ではなくなってきた。お前は生成AIよりも有用であることを証明できるのか?という命題を突きつけられるからである。
改めて人間にとっての価値とは?という根源的な問いに向き合う時、それが現代の階級闘争なのかもなと。
Posted by ブクログ
武器としての「資本論」
著:白井 聡
出版社:東洋経済新報社
政治学者である、白井氏が資本論のエッセンシャルを解説されている書です。
冒頭に、「生き延びるための『資本論』」とある。
資本論挫折組としては、この上もないありがたい書であるが、こんな内容が含まれていたなんておもいもよりませんでした。
また、3冊ぐらいかとおもっていましたが、岩波『資本論』は全9冊とあり、かなりの分量であったこと改めてびっくりしました。
なぜ、資本論がこれまで読み継がれているのか、それは、経済概念の何かしらの本質をつかんでいるからこそ、今もなお、読まれるだけの価値があるという。それが、生き延びるための資本論なのです
資本制社会とは、商品の生産と交換が行われている社会、商品の生産、流通、消費を通じて行う社会が資本主義社会である。
その原則のもとに、資本論は、唐突に商品で始まる。
次に商品に対して、労働。まるで簿記である
商品交換のよいところは、あとくされがないこと、それに対して、共同体内部でのやりとりは、あとくされあり
剰余価値を生み出すことが、資本主義のキモである。
教育の荒廃の最大の原因は教育の商品化である。教育の商品化をやめない限り、教育は立て直せない
資本はとにかく増えること、増えることで豊かになるということは資本の目的ではない。増えることこそ、資本の目的である
機械は人を楽にしない。機械が、AIが働いてくれるから、人はもう働かないでよい、とはならない
資本主義の下では絶対にそうならない。どんどん機械化が進んでいるのに、私たちの労働が時間の面では全然楽になっていないのが、その証拠です。
日本の労働者階級は過去30年間ずっと退却し続けている
資本のために、生産性をあげているのに、自分のために、生産性をあげているのだという錯覚がある
技術革新はなぜ人を幸福にしないのか
生産性が上がるということは、労働価値が下がるということ
生産性向上とは、労働のダンピングです。
国内の高い労働力から海外の安い労働力に置き換える
日本政府がやろうとしている外国人労働者受け入れも同様、安価な労働力の輸入
日本の高度成長が終わったのは、農村の過剰人口に基づく労働力を使い果たしから。要するに安い労働力がてにはいらなくなったから。
イノベーションによって生まれる剰余価値は、たかが知れている
資本家が安価な労働力で商品を生み出すと、いずれ、商品を買う人がいなくなってしまいます。
そこで、労働者=消費者戦略、そのためには、労働者にある程度厚遇しないと、資本家も共倒れになってしまいます。
労働者と、資本家との格差の拡大を解消する方法
マルクスは、階級闘争といっている、いわば戦争です
そして、国家の介入で平等化を図ること、社会保障政策です
富は次第に少数の資本家に集約されていく、それによって資本主義は進んでいく
その先にあるのは、窮乏、抑圧、隷従、堕落、搾取といっています。
さらにその先にあるのが、その状況を是正する出来事になります。
資本家に人格はいらない。資本が人格化されているだけだ。
つまり、資本論には、二面性がある。階級闘争VS構造主義である
労働者階級を破壊してしまうこと、産業化が、大衆文化を破壊してしまうことにつながる
そして一度破壊されてしまうと、そのダメージからは、容易に立ち直ることはできない
つまり、生産力を爆発的に上昇させ、かつての人類には想像すらできなかったような物質的な豊かさをもたらしながら、そのただ中に、貧しさを作りだしてしまっている。
目次
はじめに 生き延びるための「武器」としての『資本論』
第1講 本書はどのような「資本論」入門なのか
第2講 資本主義社会とは? ――万物の「商品化」
第3講 後腐れのない共同体外の原理「無縁」 ――商品の起源
第4講 新自由主義が変えた人間の「魂・感性・センス」 ――「包摂」とは何か
第5講 失われた「後ろめたさ」「誇り」「階級意識」――魂の「包摂」
第6講「人生がつまらない」のはなぜか ――商品化の果ての「消費者」化
第7講 すべては資本の増殖のために ――「剰余価値」
第8講 イノベーションはなぜ人を幸せにしないのか ―― 二種類の「剰余価値」
第9講 現代資本主義はどう変化してきたのか ――ポスト・フォーディズムという悪夢
第10講 資本主義はどのようにして始まったのか ――「本源的蓄積」
第11講 引きはがされる私たち ――歴史上の「本源的蓄積」
第12講 「みんなで豊かに」はなれない時代 ――階級闘争の理論と現実
第13講 はじまったものは必ず終わる ――マルクスの階級闘争の理論
第14講 「こんなものが食えるか!」と言えますか? ――階級闘争のアリーナ
ISBN:9784492212417
判型:4-6
ページ数:292ページ
定価:1600円(本体)
2020年04月23日第1刷発行
2020年07月17日第7刷発行
Posted by ブクログ
ー 新自由主義が変えたのは、社会の仕組みだけではなかった。新自由主義は人間の魂を、あるいは感性、センスを変えてしまったのであり、ひょっとするとこのことの方が社会的制度の変化よりも重要なことだったのではないか、と私は感じています。制度のネオリベ化が人間ネオリベ化し、ネオリベ化した人間が制度のネオリベ化をますます推進し、受け入れるようになる、という循環です。
ですから、新自由主義とはいまや、特定の傾向を持った政治経済的政策であるというより、トータルな世界観を与えるもの、すなわち一つの文明になりつつある。新自由主義、ネオリベラリズムの価値観とは、「人は資本にとって役に立つスキルや力を身につけて、はじめて価値が出てくる」という考え方です。人間のベーシックな価値、存在しているだけで持っている価値や必ずしもカネにならない価値というものをまったく認めない。だから、人間を資本に奉仕する道具としか見ていない。
資本の側は新自由主義の価値観に立って、「何もスキルがなくて、他の人と違いがないんじゃ、賃金を引き下げられて当たり前でしょ。もっと頑張らなきゃ」と言ってきます。それを聞いて「そうか。そうだよな」と納得してしまう人は、ネオリベラリズムの価値観に支配されています。人間は資本に奉仕する存在ではない。それは話が逆なはずだ。けれども多くの人がその倒錯した価値観に納得してしまう。それはすなわち資本による労働者の魂の「包摂」が広がっているということです。 ー
僕たち自由な労働者は、身分制から解放されて、自由に職業選択を行い、自由に幸せを追求することができる。とは言え、僕たちは、生産手段を持たないので、生産手段を手に入れられない限りは、資本家の雇用化に入らなければならない。僕たちはそれで一定の幸福を感じられる世界にいると信じているし、努力すればより幸福になれる世界にいると信じている。階級闘争なんて、おどろおどろしい時代錯誤なものだと、どういうわけか感じてしまう。「危ない奴」と警戒してしまうのは何故だろう?それは、僕たちが階級闘争に慣れていないから。資本家たちが必死にひた隠しにしてきた、階級闘争なんてあたかも無いかのような世界で育ってきたから。学校にも会社にもテレビにも広告にも階級闘争は見当たらない。階級闘争まがいはあるが、それが僕たちの世界の話であるようには描かれていない。資本家たちは、階級闘争を続けてきた。搾取を資本家たちの手に取り戻すために、彼らは彼らの階級闘争をずっと続けてきたんだ。僕たち労働者がのんびりしている間にも、資本家たちは、より効率的により多くの搾取が可能となるように階級闘争を続けてきたんだ。ネオリベというのがそうだったとしても、僕たちは政治を語らないし、階級闘争からも疎外されてしまっている。闘う手段を奪われた僕たちは、このまま微睡んで搾取され続けなければならないのだろうか。それでいいはずがない!
と、いうのがよく分かる作品。
分かるからといって、この暖かく居心地のいい緩やかな世界から、階級闘争の革命闘士になれるわけでもない。なぜなら、僕たちは生産手段を持たず、階級闘争からは疎外されているのだから。
とは言え、まずは“知”という“武器”を手にする必要がある。これが、この作品のメッセージである。
Posted by ブクログ
「資本論」の解説本の中では一番わかりやすいと感じた。資本主義は、ひたすらに生産性を向上させることを追求するものであり、その結果として労働の価値が低下するとの指摘が一番の学んだ点。
共同体の中では、富や労働の貸し借りが頻繁に行われ、人間的な付き合いもする。商品は共同体の間の交換によって発生していた(p.54-55)。近代資本主義が始まると、生産的労働が商品交換を介して行われるようになり、労働力が売り買いされるようになって、共同体の外の原理が共同体を飲み込んでいった(包摂)(p.60)。
マルクスは、生産の目的が商品を売ることによる貨幣の獲得になること(形式的包摂)と、生産過程の全体が資本によって組織化されること(実質的包摂)を論じた。さらに著者は、人間の思考や感性までもが資本によって包摂されると論じる(p.89-90)。
マルクスは、労働力と土地が商品化されたときに、その社会は資本制社会になったとみなした。生産手段を持たないため労働力を売るしか生活手段がなく、身分的束縛がない自由な労働者が存在し、土地の売買が自由化されることで資本主義が成り立つ(p.95-96)。
労働によって形成される価値が労働力の価値よりも大きいときに、剰余価値が生産される。デヴィッド・リカードは、労働者の賃金が労働者が生きて再生産されるのに必要な費用に落ち着くと考えた(賃金の生存費説)(p.120-122)。労働時間を長くすることによって剰余価値(絶対的剰余価値)は増えるが、社会全体で労働者を確保するために、法による労働者の救済措置がとられるため、限界がある。同じ生産をより短時間で行い、生産性を上げることによって剰余価値(相対的剰余価値)を増やすことができ、これが資本主義以降に追及されてきた(p.133-138)。
フォードは20世紀後半、労働者を絞り上げるだけの対象ではなく、比較的高い賃金を払うことによって消費者に変えようとした(フォーディズム)。この動きの背景には、資本主義vs.社会主義のイデオロギー対立の時代の中で、平等と福祉を喧伝する社会主義を前にして、資本主義体制も階級格差を緩和しなければならない動機があった。また、戦前の帝国主義政策の背景に、国内の労働大衆の購買力が小さく、市場を国外に求めていたことがあったため、労働者階級を富裕化して中流階級化することが課題だった(p.146-149)。
生産性の向上とは、労働の価値低下を意味する。資本はひたすらに増えていく運動であり、そのために生産力の向上が要請される。人々の物質的に豊かになったのは、その副次的効果に過ぎない(p.168)。
イギリスにおける囲い込みは、15世紀末から16世紀にかけて毛織物産業が発展して羊毛の需要が高まった第一次と、18世紀後半から19世紀初頭にかけて農業の資本主義化が進行した第二次がある。このプロセスは、大土地所有者やブルジョワジー、資本家が政治に圧力をかけて囲い込みを可能にする法律を作らせることによって行われた(p.183-184)。
日本では、明治政府の廃藩置県によって領主が廃止され、土地売買が解禁された。1873年の地租改正によって、地価に応じて税金が決められたため、地租を納められず土地を譲り渡す農民が続出した。1876(明治9)年の秩禄廃止によって特権階級を失った武士が反乱を起こし、その最大の西南戦争では明治政府が不換紙幣を乱発したため、インフレーションが起きた。大蔵卿の松方正義は、増税と歳出抑制を組み合わせた緊縮財政を行ったためにデフレが進行した。生糸や米などの農産物の価格も下落したため、農民は土地を売って自作農から小作農へ転落し、土地は地主に集中して資本家となった。これが日本における本源的蓄積の時代となった(p.189-194)。1929年の世界大恐慌によって、農村における現金収入を支えていた養蚕業が崩壊したため、農村の過剰人口を解消するために起こしたのが満州事変だった(p.196)。現代においても、脱正規化やアウトソーシング、外国人労働者の受け入れ拡大の形で労働価値のダンピングが行われている(p.207)。
戦争は、土地を更地にして開発することで有効需要を生み出す特効薬になる。アメリカには、第二次世界大戦によって恐慌を脱し、世界経済を支配する大国になれたという成功体験がある。イラク戦争では、既存の権力を消滅させ、企業が自由に活動できる空間をつくり出そうとした(ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」)(p.217-218)。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
試し読み