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怨霊執事は天使なお嬢様を祟れない
久遠寺家の執事として働くことになった黒崎伊織は、百五十年前に当主に殺され、恨みを残した怨霊だ。地縛霊から一念発起、久遠寺家を末代まで祟るために肉体を得てやってきたのだ。困らせる相手は、父親の当主代行を担っている二十歳の小鳥お嬢様。怨念によって事件を引き起こしているつもりの伊織だが、祟りの結果の惨事のはずが、お嬢様の解釈は全く違っていて――!? -
どこよりも遠い場所にいる君へ 映画ノベライズ
2026年10月9日(金)劇場公開! 映画『どこよりも遠い場所にいる君へ』を最速ノベライズ!! さし絵がいっぱい! 映画の感動を完全ノベライズ!! 豊かな自然にあふれた離島・采岐島(ときしま)――。その島には、“神隠しの入り江”と呼ばれる場所があった。とある事情で都会を離れ、采岐島の高校に進学した少年・月ヶ瀬和希は、ある初夏の日、“神隠しの入り江”で一人の少女が倒れているのを発見する。少女の名前は秋鹿(あいか)七緒。1974年からきたという七緒は、和希とその場に居合わせた高津という男性に保護されることになる。七緒のことが気になり、それからたびたび放課後に彼女のもとを訪れるようになった和希。やがて和希は、七緒から驚きの言葉を聞かされるのだった――。過去と現在がまじわるとき、秘密を抱えた二人の未来が動きだす。 -
大ピンチ探偵 傑作ミステリ短編集
人気作家5人の豪華競演! 「万事休す」から始まる探偵たちの逆転劇。 絶体絶命のシチュエーションだけを厳選した、探偵小説の傑作選。 優雅なディナータイムを迷彩服のスナイパーたちが包囲!?(「体験の後」) 玄関開けたら即格闘?(「不穏な眠り」) 被疑者を追って崖からダイブ!(「雀の森の異常な夜」) 窮地に立たされた5人の名探偵が見せる、ハイリスク・ハイリターンな推理劇。 【収録作品】 「解錠の音が」/逸木裕 「体験の後」/西澤保彦 「不穏な眠り」/若竹七海 「ラストケース」/近藤史恵 「雀の森の異常な夜」/東川篤哉 解説/関根亨 カバーイラスト/飯田研人 カバーデザイン/坂野公一(welle design) -
おでんオデッセイ
心に沁みます。 この屋台は、おでんも客も変わりダネ? 満腹ハートフルストーリー! 山口恵以子さんも舌鼓! (作家・『婚活食堂』シリーズ著者) ちくわ、はんぺん、がんもどき… 今宵も屋台は大にぎわい――! 伊竹市銀座商店街の一角でおでん屋台「かいっちゃん」を営む静香。 東京の大手商社を退職して伊竹にUターン、母親が切り盛りする実家の「有野練物」の手伝いをしていたが、一念発起して町おこしプロジェクトに応募、屋台を開いたのだ。 経営は常にギリギリだが、店には今宵も個性と悩みあふれる(?)常連客、そして高校時代の初恋の相手も…? -
オペラティオ
真山仁が描く日本崩壊。政治とは約束か? 政治の腐敗、独裁者の台頭、SNSが生む憎悪の連鎖―-。真山仁の最新長編小説『オペラティオ』は、現代日本のリアルな病巣を鋭く抉り出すノンストップポリティカルフィクションだ。金融担当大臣が銀座で刺殺され、遺体に「ざまあ」と書かれたメモが残された一件を発端に、政治家、新聞記者、公安調査庁の調査官、過激な野党党首―-それぞれの思惑が複雑に絡み合いながら、日本社会が少しずつ崩壊していく様が描かれる。 「ざまあ系殺人」が暴く日本の病 物語の中心にあるのは、「ざまあ系殺人」と呼ばれる連続事件だ。腐敗した権力者が次々と刃に倒れ、犯人はその場で自殺、遺体には「ざまあ」のメモが残される。この一連の犯行に、SNS上の民衆は喝采を送り、模倣犯が続出する。 本書の語り手は三人。野党第一党「希道党」の党首特別補佐として政界に関わる政治学者・白石望、大手新聞社「暁光新聞」の記者・神林裕太、そして公安調査庁の分析官・長谷川晶だ。三者三様の視点が交差しながら、事件の背景にある政治の陰謀と、社会に広がる怒りの連鎖が浮かび上がる。 白石はSNSを駆使した新たな選挙戦略「ヘルメス」を胸に秘め、選挙に勝つために「手段を選ばない」覚悟を固めていく。神林は上司である伝説の記者・東條謙介に翻弄されながら、権力の腐敗を暴くスクープを追う。長谷川は職務の建前とルールの狭間で葛藤しながら、事件の黒幕を探り続ける。 政治とは「約束」か、それとも「インパクト」か 作中でたびたび問われるのが、「政治とは何か」という根本的な問いだ。白石は学生たちの前でこう語る。「政治とは、約束―-」と。しかしその一方で、「全てを守る必要はない。なぜなら、大半の人は、すぐに約束の中身を忘れてしまうからだ」という冷徹な本音も、ページの上に刻まれている。理想と現実の乖離、そして権力を手にするために人が払う代償―-そこに本書の核心がある。 物語が進むにつれ、石動という元総理の復活劇と、その背後に潜む真の黒幕の存在が明かされる。独裁者とも呼ぶべき政権が国民の熱狂的支持を集める様は、フィクションでありながらどこかリアルな恐怖を呼び起こす。「民衆は、恐怖に踊る」と作中人物は嘆く。そして、そのような状況を生み出したのは、政治家の失態だけでなく、「怒りをぶつけていい相手を見つけた瞬間、全員が一斉に攻撃的になる」国民の感情でもある。 企業買収や医療、原発など、社会の最前線をテーマに小説を書き続けてきた真山仁。時事的なテーマをエンターテインメントとして昇華しながら、読者に問いかける。「あなたは、欺されていないか」と。一気読み必至の力作だ。 -
ミレニアム
世界1億部突破の北欧ミステリシリーズ新章、文庫化。あの二人が帰ってくる! 娘の結婚式で北極圏の町を訪れたミカエル。そこには家族の因縁に導かれたリスベットの姿も。二人が遭遇する巨悪とは。新章開幕! -
月刊「潮」2026年11月号
月刊「潮」2026年11月号 主な内容 【特別企画】 AIと生きる時代の「人間力」 「身体性」と「共感力」が人間という存在の本質。 山極壽一 師弟関係こそが「学び」を起動させる。 内田 樹 AIはどこまでいっても“道具”にすぎない。 田口善弘 AIで医療は変わる? カギは「国民の意識」。 奥 真也 【特集】 自由・安心・平和を守る政治とは 法理解の欠如が生んだ「国旗損壊罪」の問題。 松宮孝明 「信頼」に基づく医療データ共有のために。 黒田知宏 「社会保障ゲーム」で学ぶセーフティネットの仕組み。 横山北斗 「非核三原則」見直しは、百害あって一利なし。 三山秀昭 【新連載小説】 赤じい七十五騎 今村翔吾 【連載ドキュメンタリー企画】 民衆こそ王者 池田大作とその時代 「第二の開学─通信教育」篇(1) 日中関係の未来と「中道」のこれから。 伊佐進一 徹底した現場主義で公明党は熊本の復興に尽くしていく。 秋野公造 【シリーズ】 ニッポンの問題点 日本の男女格差――その根深さと変化の兆し。 長野智子 VS 田原総一朗 【人間探訪】 茂木健一郎 【特別インタビュー】 西川美和 【好評連載】 シルクロード 仏の道をゆく 西域南道 安部龍太郎/中国「世界遺産」 塚本青史/他 その他 -
新訳シャーロックホームズ「点々の帯」
コナンドイルによるシャーロックホームズシリーズの各短編を現代風の柔らかな日本語に翻訳した『新訳シャーロックホームズ』、この書籍は「The Adventures of Sherlock Holmes」内に収録の短編「The Adventure of the Speckled Band」、一般に「まだらの紐」として知られる作品を翻訳したものです。 この版では後半に「The Red-Headed League」の翻訳を付属させてあります。 『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』など、現代の推理モノの源流とも言われるシリーズの本来のおもしろさがわかる翻訳本です。 -
老いぼれた猫から君へ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「生きていても、いいことなんて、これっぽっちも自分には巡ってきやしない。」 苦しみの森に迷い込み、自分自身を見つめながら、それでもその先へ進もうとする。 「私は、なんで生きているのだろう」 もうこれで終わりにしたいと願っているはずなのに… 本書は、「老いぼれた猫」「明日生まれる」「穏やかな雨の朝は」「心の中に棲みつく魚」「苦悩」「涙」「扉」「この世の恵み」など、三十三篇を収めた詩集です。 日々の中で感じる苦しみや哀しみ、心の揺れ、絶望、社会への怒り、諦め。 そしてそこから生まれる気づきや希望。 言葉になる前の感情をすくい上げるように、一篇一篇の詩が綴られています。 私はどこからやってきて、どのように作られ、これからどこへ向かうのか。 老いぼれた猫が「私」に教えてくれたものとは…。未来への希望とは…。 苦しみの森から抜け出すために、「君」の心が自分自身を見つめる一冊となれば幸いです。 -
迷彩色の男
都内某所、青光が充満する〈ファイト・クラブ〉で出会った「いぶき」がある日、血まみれの状態で発見される。事件の背後に浮かび上がる男たちを追った先で「私」が目にしたものとは。国際ゲイ小説賞受賞作 芥川賞作家・安堂ホセによる圧巻のクライムスリラー フランス発 国際ゲイ小説賞〈外国小説部門〉受賞! 小川洋子氏、激賞! 「暴力に理由がないことの不気味さをあぶり出した迫力は、受賞にふさわしいと今でも信じている」(第170回芥川賞選評) 都内某所、地下に張り巡らされ青い光が充満する〈ファイト・クラブ〉で出会った私と「いぶき」。彼はある日突然、何者かに襲われ血まみれの状態で発見される。事件の背後に浮かび上がる“迷彩色の男”を追った先で目にしたものとは──。 書き下ろしの短篇「体ごと連れていける天国」、英訳刊行記念エッセイを特別収録。 カバーデザイン=川名潤 安堂ホセ(あんどう・ほせ) 1994年、東京都生まれ。2022年『ジャクソンひとり』で第59回文藝賞を受賞しデビュー。23年『迷彩色の男』を発表。25年『DTOPIA』で第172回芥川龍之介賞受賞。同年、『迷彩色の男』のフランス語版(翻訳=レオノール・シイナ)が国際ゲイ小説賞外国小説部門を受賞。他の著書に『獣走』がある。 -
数字は噓をつかない 万能中国人ウィルスン・ウーシリーズ短篇集
マジメにデタラメ、万能数式SF あらゆる問題を数式で解決する男、ウィルスン・ウー! タイヤが無限に入る小屋、時間の逆行、待ち時間ゼロのニューヨーク。こんなSF的異常事態に対処するために必要なものはなんだと思う? 金(かね)? 権力? いいや、ちがう。ウィルスン・ウーのような、最高の友人だ。 ウィルスン・ウーをご紹介しよう。彼は、ブロンクス科学学校で物理学を学び、パリでパティシエの修業をし、プリンストンで数学を専攻し、台湾で漢方を修め、ハーヴァードもしくはイェール大学で法律を学び、ゴビ砂漠で隊商(キャラバン)の修業をした。対数計算機を使えば1分以内に十二弦ギターをチューニングできて、身長は1メートル86センチ。中国系アメリカ人だ。 ウーは、あらゆるものに数式を書きなぐる(封筒、チラシの裏、紙袋の切れ端などなど)。時には数式に漢字が混じっていることもある。数式が正しいのかどうかはわからないが、わからなくてもだいじょうぶ。彼は必ず事件を解決してくれるし、それを読むのはとても楽しいのだから。 短篇の名手ビッスンによる、ウー(「数字は嘘をつかない」が口癖)とアーヴ(数字はよくわからない)のコンビが活躍する、ユーモアと奇想に満ちた万能数式SFシリーズ短篇集をお届けする。 -
警察庁の女忍者
警察を陰から支え、悪を葬り去る女の忍び。 警察庁中央情報課(CIS)に所属していた特別捜査官・甲西博美が殺された。 厚労大臣の許可なく、臓器移植の斡旋をしていたNPOに潜入していたはずだった。 しかも、ほかの捜査官も全員殺されたか、行方不明になっているという。 CISが追っていた反社組織、宝島グループの仕業に違いない。 復讐を誓うCISの長・篠塚だったが、警察庁長官に隊の解散を命じられてしまう……。 一方、博美の妹・紬(つむぎ)は家伝の忍法を使い、超大型豪華客船「鳳凰」に潜入していた。 友達の冴羽ひまりが何者かに拉致、船内に監禁されたらしいのだ。 ひまりの父親は「鳳凰」を建造した冴羽造船の社長だったのに、なぜ? 「鳳凰」に隠された謎と、喪った姉との関係を知った紬は怒りに燃える! 世界に巣食う闇を壊滅させるため、陰に潜んでひとり闘う警察庁の最高秘密捜査官。 私がやらねば、誰がやる! -
京都衣笠 上田荘物語
・京都(あの街)でなら、それは起こる、きっと。――挫折と劣等感を抱えた青年の、ほろ苦く愛おしいモラトリアムを描いた物語。 ・本命の受験に失敗し、京都の私立大学へと流れ着いた時田海翔。講義にも出ず、雀荘に通い詰める無気力な日々を過ごす彼だが、人々との出会いが、止まっていた時間を少しずつ動かしていく。古都の街並みを舞台に、不器用な若者たちの彷徨と再生を鮮やかに描いた青春群像劇。 ・誰しもが一度は通り過ぎる「挫折」や「焦燥感」に深く寄り添い、読後には胸の奥がじんわりと温かくなるような余韻を味わえます。衣笠の空気感と人情味あふれる交わりを通じて、不器用でも自分らしく前を向いて歩き出す勇気をもらえる作品です。 【こんな方におすすめ】 ・人生のモラトリアム期や大学時代を懐かしく思い出したい方 ・古都京都の風情が色濃く漂う小説を読みたい方 ・劣等感や挫折を抱えながらも、一歩を踏み出したい方 ・鈍色の青春を駆け抜けるすべての人へ贈る、心揺さぶる青春彷徨譚です。 -
小説ハガーニャの風
南の島での熟年コンビの物語。 ケニー・カサオカ:笠岡健治、メイ:張梅花(ジャン・メイホア)、悪意と思いやりに富んだこの二人の熟年コンビの行く手に平穏な日々が待っているとは想像できない。彼らの心はいつもハガーニャの風に煽られる。その風は時に荒れた風と化すことだろう。それでも彼らは児戯にふけっている。それは純でもあり、計算された技でもあり、銭の絡んだ慾かもしれない。でもこのことは言えよう、二人は残された人生の最終章を無邪気なまでのいたずら心で生きている、と。彼ら二人の香港グルメ旅が食べ過ぎで没有銭(メイヨウチェン)にならないことを願おう。(本書より) -
『このミス』が選ぶ この乱歩がすごい! 偏愛の美学編
ミステリー作家が選ぶ この乱歩作品がすごい! BEST10(『このミス』2026年版) 第1位作品を中心とする江戸川乱歩アンソロジー 大正14年、貿易商に勤める男・簑浦は、恋人の木崎初代を何者かに殺された。事件の裏には、学生時代、簑浦に想いを寄せていた医学者・諸戸道雄の影がちらつく。そして更にその奥には、恐ろしい秘密を抱えた孤島の存在が……。 江戸川乱歩没後60周年企画「ミステリー作家が選ぶ この乱歩がすごい! BEST10」にて堂々の1位に輝いた「孤島の鬼」をはじめ、狂おしい愛を描いた5編を収録。 ○収録作品 「孤島の鬼」 「押絵と旅する男」 「芋虫」 「赤い部屋」 「人間椅子」 -
青い舌
舌だしてわらう子供を夕暮れに追いつかれないように隠した 第3回塚本邦雄賞受賞!! 子供との時間のなかに 前世のような記憶の翳がさす。 いつか、どこかで、わたしは立っていた 【自選5首】 君のべろが煙ったように白かったセブンティーンアイスクリーム前 西瓜食べ水瓜を食べわたくしが前世で濡らしてしまった床よ 蟻に水やさしくかけている秋の真顔がわたしに似ている子供 ヒメジョオンの汁でつくったマニキュアでにぶく光っていた爪の先 遮断機の向こうに立って生きてない人の顔して笑ってみせて 【目次】 一.ダイアナ忌 セブンティーンアイスクリーム前 赤い眼をして生きていて 温度計 手のひらの湿原 淋しくなる口 三沢駅前 プールサイド 彼女は泳げない ダイアナ忌 思春期 ドンジャラと初夏 秋の子供 犬に追われた日 聖火 Girls 二.生きなおす 三.前世のような記憶 さよなら平熱 雨と土 花粉航海 遮断機と鳥 青い胸 顔に当たる温度 パーカーの背中 眼底の川 三月の息子 ブローティガン あとがき 【著者】 山崎聡子 1982 年栃木県生まれ。 早稲田大学在学中に作歌を始め、2010 年「死と放埓なきみの目と」で 第53回短歌研究新人賞受賞。 2013年第1歌集『手のひらの花火』( 短歌研究社) で第14 回現代短歌新人賞受賞。 2022年『青い舌』で第3回塚本邦雄賞受賞。 pool、「未来」短歌会所属。 -
天国さよなら
東直子さんが「命の際の歌が胸を突く」と評した 『まばたきで消えていく』の藤宮若菜 生と死、そしてその間にあるすべてのものへ さみしさの先で光り輝く第二歌集 わたしが死ねばわたしはうまくいくだろう自販機煌々ひかる夜道に ***** この世もあの世も同じ朝焼け ひとりなのにあたたかいのは、わたしたちが「誰かの不在」でできているから。 ——雲居ハルカ(ハルカトミユキ) ***** 春はもう来ないとしても生きていてあなたは苺を洗ってくれた 最低な夜に回収されてゆく廃品みんなしあわせになれ 忘れ物みたいなからだ引きずって環七 みんな 生きているかな きみといた日々のすべてが比喩になりときどき月あかりで目をさます 暮れていく季節に置いていかれてもうつくしい誤字のように生きるよ 夢から目覚め、静けさにまどろみながらもう一度毛布をかぶるとき、傍にこの歌集があったら、「この世の天国も悪くない」そんな風に思える気がするのだ。——雲居ハルカ・解説より 【目次】 Ⅰ 晩夏、不在証明 永遠にして あした音楽が消えても Ⅱ 春だったわたしたちへ ひらがなになる まぼろしのたましい おやすみ、ずっと春の窓 きみがかわいい呪いだったかについて 八月は夢のなか てのひら ぬるいみなも わたしたちはうまく生きられたかな 還る レイ eureka Ⅲ 歯並び いないいない とうめいな暴力、ゆれる祈り Ⅳ ハルシオン lost summer 光に名前があるとして 解説 さみしければさみしいほど、光るもの 雲居ハルカ あとがき 【著者】 藤宮若菜 1995 年生まれ。2012年、福島遥(雲居ハルカ)の短歌に出会い本格的に作歌を始める。日本大学藝術学部卒業。2021年、『まばたきで消えていく』(書肆侃侃房)を刊行。 -
誰が彼女を魔女にしたのかと
※本作には、人食いに関する描写が含まれます。過激な表現はありませんが、苦手な方はご注意ください。 また、感情的なシーンが多い為、悲しい話・死人が出るような話が苦手な方も、ご注意くださいませ。 遠く離れた山間の村。薬師が消え、魔女に頼るしかないその地で、人々は噂する。 村外れに住むのは、かつて人を喰った魔女だと。 そして、彼女のそばには、迷い込んだ余所者が弟子として寄り添うのだと。 これは、過酷な運命に翻弄されながらも、互いを家族として支え合う二人の小さな物語。 静かな文体で綴られた、優しさと悲しみのセカイのカケラを貴方へ。 各話紹介 第一話「誰が彼女を魔女にしたのかと」 鎖に繋がれた魔女と、彼女を見守る弟子。 質素な食事と日常の中で育まれる絆は、やがて明かされる魔女の過去と魔法の真実によって揺らぐ。 彼女を魔女にしたのは誰か? その答えは、弟子の涙とともに訪れる。 第二話「誰が彼女を魔女と呼ぶのかと」 日記に綴られた、魔女になる前の少女の記憶と、弟子を心配する晩年の日記。 彼女は、なぜ人食いと呼ばれたのか? 家族を待ち続け、弟子を子のように愛した彼女の願いは、果たして届くのか。 ※本作はルシフェリスの個人誌作品の電子書籍版となります。【38ページ】 -
ポートレート
大学生の灰野辺千秋はシッターのアルバイトに明け暮れている。派手な見た目だが常連の利用者がつくほど人気はそこそこだ。学校が長い春休みに入る冬の終わりごろがシッターの繁忙期で、千秋はシフトを詰め込み忙しなく働いていた。そんな時の新規利用者の予約、風邪が流行っている時期だからだろうと思うがどうにも違和感がある。 新規利用の高坂の家に行った日、生活感のない部屋の中で、クローゼットの中にいる息子とふたりきりの時間が始まる。息子の深青は幼児ではなく中学生くらいの少年だった。コミニュケーションが拙く、意思疎通の難しさを感じながら千秋は手探りで保育をしていく。食事中の粗相でやや場は乱されたが、代わりに千秋は深青の素顔を垣間見られたような気がした。しかし、保育が終わってからの心境の変化に、千秋自身がついていけなくなる。 シッターのバイトを辞めて渋谷のバーで働き始めた千秋は、ある日店の外で爆発音を聞き、事態の確認のために道へ出る。悪ふざけをしていた少年たちの中に紛れていた深青を偶然発見した。バーを抜け出して家まで送ると申し出るが、そこにいた深青は全くの別人で、保育者の千秋と父親を嘲笑する少年だった。千秋は怒りと自己正当化のために深青をレイプしてしまう。そのままタクシーに乗せて誘拐しようとする時、高坂の家で見た深青のもうひとつの人格が顕在していった。千秋は自分がしてきたことの無意味を知る。 ※本作は丹路 槇の個人誌作品の電子書籍版となります。【54ページ】 -
世界の書店を旅する[増補新版]
すべての書店は羅針盤である 本と出会い、仲間と集い、ときに抵抗する場として……かつてあった/いまも続く書店と書店主、そこを訪れ、支えた人びと。幾多のエピソードに光を当て、書店の未来に寄りそう紀行エッセイ。 目次には「世界最古の書店」「政治的であるべく運命づけられた書店」「世界の果ての本と書店」など興味深いテーマが並び、読者を書店への旅にいざなう。書店の歴史をひもとき、図書館との違いを考察し、日々足を運ぶ本屋、あるいは旅先で訪れた書店での体験を通じて、書店が果たしてきた歴史的、社会的な役割について思いを馳せる。 本書のもうひとつのテーマは「旅」である。本書に登場する書店の数は三百軒を超え、著者が訪れた国は五大陸に渡る。 読書人口が減り、町の書店が消えていくという現象は日本だけの話ではない。「書店」という存在のみが果たしうる有機的な役割について、本書が訴えかけるものは大きい。スペインで2025年に刊行された増補新版に基づき、各章の前後にエピグラフを付し、新たなエピローグ、ロジェ・シャルチエによる解説、著者が訪れた世界各地の書店の写真を集めたページ(「パノラマ」)を追加。各章に図版多数。 [目次] はしがき――シュテファン・ツヴァイクの古い短編小説から出発して 1 旅はいつも 2 アテネ 最初の一歩 3 世界最古の書店 4 〈シェイクスピア・アンド・カンパニー〉 5 政治的であるべく運命づけられた書店 6 東方世界(オリエント)の書店 7 北米――東から西へ 8 中南米――北から南へ 9 脱神話化されたパリ 10 書店チェーン 11 世界の果ての本と書店 12 ショー・マスト・ゴー・オン 13 日々の本屋 14 バーチャル書店 エピローグ――すべての始まりの終わり 世界の書店を旅する――パノラマ 解説――旅へのいざない ロジェ・シャルチエ 訳者あとがき ウェブサイト一覧 映像作品一覧 参考文献 -
0秒前の彼女 【無料お試し版】
「勇一君、助けて」津倉勇一の元にかかってきた一本の電話。一年前に起きた爆破テロ事件で最愛の恋人を亡くし、自身も怪我を負うとともに事件の関与を疑われ、日本を離れた津倉。絶望の底にいた彼に届いたのは、死んだはずの恋人からのSOSだった。彼女は生きているのか。一縷の希望を胸に、真相を探るため極秘で日本へ帰国した津倉だったが、新たな事件に巻き込まれ、警察から追われる立場となり……。果たして、電話をかけてきた相手は「誰」なのか!? 『屍人荘の殺人』の著者が仕掛ける、一気読み必至の超ド級ミステリ! ※この【無料お試し版】では、第一章を読むことが出来ます。是非お試し下さい。 -
もう1通のサンクスレター
「もう1通」のサンクスレターは、人生に希望、喜び、感動を与えてくれた、人、出来事、体験への感謝を綴る 「サンクスレター」を書いたこと、もらったことはありますか? 誰かあげたい人はいますか? 「もう1通」のサンクスレターは、少し特別です。それは、心に深く刻まれた人との出会い、忘れることのできない出来事、人生を変えた体験が綴られています。 それぞれの人生に希望を、喜びを、そして感動を与えてくれた物語を、あなたに――。 【目次】 「祈る涙」の御礼…佐藤 毅 イタリアに恋して…藤﨑 萌 ドレッシング王子と呼ばれて…阿波宏典 お腹の傷跡は…荻野泰弘 ジョンQ…高橋美加 太田先生…高橋美加 父との普通の毎日…野村祐香クリスティジョンソン 捨てられないもの…横山由宇人 悪くないじゃん、私…相馬萌花 ミセスと、コーラと、ドナーカードと…中里妙奈 まだ履けていないスパイク…向笠哲司 ぐるぐる…ハンセン陽子 オーストラリアの地で…才川須美 人と人のつながりで〝走る〟…高木光嗣 それぞれの人生を…村田里美・仮名 妻が教えてくれたこと…倉岡一樹 20年目のありがとう…鳥越裕美子 【著者】 はる書房編集部 YOUHEI 1994年生まれ 2000年「YAMATE美術セミナー」に通いはじめる2008年初個展。その後は3年ごとに開催 2012年 絵本『鯖和(さばわ)急便』を出版(はる書房) 2022年「横浜ラポール美術展」出品。以来毎年参加 現在、就労支援施設に通いながら週1回美術セミナー、月1回ラポール上大岡絵画の広場で絵を描いている -
月刊 ココア共和国 2026年10月号
皆さんからの投稿詩がメインディッシュ。詩壇の最前線にいるゲストも登場。素敵な詩をたっぷり楽しめます。 毎月読者から詩作品を募り、新鮮な抒情や、理論と方法論の実験に満ちた素敵な作品たちをていねいに編んでいます。その投稿詩は、秋吉久美子賞、いがらしみきお賞、YS賞への応募作とみなされ、3月に受賞者を発表します。 今月のゲストは、岩佐なを、渡辺めぐみの2名。秋吉久美子、いがらしみきお、齋藤貢、編集部が選ぶ今月の詩 全69選、佳作集には50名の詩人が登場。毎号、投稿詩を中心に編集していく予定です。詩は楽しくて、深いものだと感じてもらえる編集に努めます。 【目次】 今月の1行 - 星花 ★月刊ココア共和国目次 岩佐なを - 前途 秋亜綺羅 - 文化とAI論 齋藤貢 - 齋藤貢が選ぶ今月のベスト10篇 大野美波 - 平等 森林みどり - それから、それから 高平 九 - 少年は見ている 乃木ひかり - 閾 まだらめ三保 - 幻貝村 田村全子 - 雨 きむさん - 言えばよかった 三刀月ユキ - 追跡 百野虎子 - 読書感想文 工藤哲椰 - 見付けてほしい! 渡辺めぐみ - 自然に真向かって 三刀月ユキ - 私と詩 秋吉久美子 - 秋吉久美子が選ぶ今月のベスト10篇 箭田儀一 - 万華鏡 源川ほたる - オレンジ頭のぼく 山羊アキミチ - 闘い 才木イチロウ - 帰り道 木崎善夫 - おまわりさんと埋め立てチスト 滝本政博 - クレオパトラの夢 リレーエッセイ 小笠原快 - 改札口 いがらしみきお - いがらしみきおが選んだ10篇 中野目崇真 - 音の宿 刹那由他 - 引力 楸 眞弥 - 名作 幻ノ月音 - 朝靄 前田雪彦 - 頭のなかの暗い部屋 眞夜中眞央 - 姪 モリタトシヤ - 風立ちぬ風立たぬ 【著者】 秋亜綺羅 1951年生。詩人。宮城県仙台市在住。詩集『海!ひっくり返れ!おきあがりこぼし!』『透明海岸から鳥の島まで』『ひよこの空想力飛行ゲーム』『十二歳の少年は十七歳になった』。詩の絵本『ひらめきと、ときめきと。』(柏木美奈子共著)。エッセイ集『言葉で世界を裏返せ!』。第22回丸山豊記念現代詩賞受賞。「ココア共和国」 主宰。YS賞選考委員。 秋吉久美子 1954年生。俳優、歌手、詩人。静岡県富士宮市出身。徳島県日和佐町(現・美波町)、福島県いわき市育ち。『十六歳の戦争』『赤ちょうちん』『妹』など主演多数。アジア映画祭主演女優賞、日本アカデミー賞優秀主演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞、モナコ国際映画祭主演女優賞など受賞多数。映画、TVで活躍中。詩集に『いない いない ばあ』『C・U next tuesday』など。秋吉久美子賞選考委員。 いがらしみきお 1955年生。漫画家。宮城県出身。1979年に雑誌『エロジェニカ』に投稿した「80,その状況」で漫画家デビュー。その後、4コマ漫画『ネ暗トピア』が大ブレイク。『あんたが悪いっ』で日本漫画家協会優秀賞、『ぼのぼの』で講談社漫画賞、『忍ペンまん丸』で小学館漫画賞など受賞多数。『BUGが出る』『かむろば村へ』『I』など人気作多数。いがらしみきお賞選考委員。 齋藤 貢 1954年生。詩人。福島県在住。 詩集に『奇妙な容器』(詩学社・1987)、『夕焼け売り』(思潮社・2018)、『遠い春』(思潮社・2024)など多数。 第40回福島県文学賞、第37回現代詩人賞など受賞。 -
愛しの走馬灯
主人公は真の恋愛を探す長い旅のなかで、様々な澱んだ恋愛を体験する。そして、主人公は一つの恋愛の結論にたどり着く。 恋愛は『人の顔が様々違う様に、恋愛も人によって様々な形がある事を知った。恋愛は互いが作るもので、互いが満足をしているなら他人が批判や干渉などする事はできない。恋愛には正解などなく、本人の満足感が全てである』 そして、主人公が探し求めていた女性とめぐり逢い、一緒に生きて行くなかで数多くの喜びと残酷な試練を経験する。 『人生は時の流れの中、幸と厄が訪れ、人は幸を収得して厄を避け修正する。でも運命には従わなければなら』事を、主人公と女性は痛感した。そして、主人公はその後を親族に託す… 昭和・平成・令和と主人公の恋愛を通して一生を描いた心温まる純愛小説です。 読み終わった後、きっと心に残る一冊になるはずです。 -
世界が終わるわけではなく
嵐の夜に出会った子猫を連れ帰り、育てていたら、気がつくとソファの隣で背もたれに寄りかかりアイスクリームの容器を抱え、脚を組んでテレビを観ているではないか!(「猫の愛人」)、真面目な青年と、悪さをしながら面白おかしく暮らす彼のドッペルゲンガーの物語(「ドッペルゲンガー」)、事故死した女性が、死後もこの世にとどまり家族を見守ることになる(「時空の亀裂」)等々、12篇のゆるやかに連関した物語集。千夜一夜物語のようでいて、現実世界の不確実性を見せつけてくれる、ウイットブレッド賞受賞作家による、奇妙で魅力的な短篇集。/【目次】1 シャーリーンとトゥルーディのお買い物/2 魚のトンネル/3 テロメア/4 不協和音/5 大いなる無駄/6 予期せぬ旅/7 ドッペルゲンガー/8 猫の愛人/9 忘れ形見/10 時空の亀裂/11 結婚記念品/12 プレジャーランド/訳者あとがき/解説=佐久間文子 -
卯月の雪のレター・レター
読書好きだが八歳年上の姉へのコンプレックスを抱える、おとなしい高校生・小袖。母方の祖母の七回忌で、祖父のもとを訪ねた際に、今春から同じ高校に通うことになる従妹から奇妙な質問をされる。「死んだ人から、手紙って来ると思う?」祖父宛に最近届いたという手紙は不可解な内容だったが、亡くなった祖母が昔に書いたもののようだ。それがなぜ今頃になって? 誰かの悪戯なの? 思い悩んだ小袖は、その手紙の謎をある人物に話すことに……。美しい情景描写が魅力の表題作をはじめ、揺れ動く少女たちの心理を巧みに描いた五編を収録する短編集。/【目次】小生意気リゲット/こそどろストレイ/チョコレートに、躍る指/狼少女の帰還/卯月の雪のレター・レター/解説=紅玉いづき/*本電子書籍は『卯月の雪のレター・レター』(創元推理文庫 新装版 2026年9月30日初版発行)を底本としています。 -
帝都一の下宿屋
時は明治──銀座は南紺屋町に、「静修館」という古いけれど居心地のいい下宿屋がある。大家の梨木桃介はまだ若いが無類の世話好きで、料理をはじめ家事万端を見事にこなす界隈の名物男だった。その働きぶりの前では、下宿人のひとりである小説家の仙道湧水も我が儘を封印し、規則正しく生活するほどだ。そんな静修館には、なにかと謎が持ち込まれる。桃介も愛用する醤油にかけられた偽装疑惑、好条件にもかかわらず借り手が決まらない貸家。「先生なら助けてあげられるかもしれないね」という桃介の一言に促され、湧水は謎解きに奔走するが……。/【目次】永遠の市/障子張り替えの名手/怪しの家/妖怪白湯気 -
文化人類学者の違和感だらけの日常
肉食文化が生んだ「ヘルシー」の概念、モンゴルのゲル居住区から生まれるラップ、博物館に寄贈された「アフリカの床屋」の謎……。 国立民族学博物館で働き、モンゴルを中心にフィールドワークを行う文化人類学者が、自身の違和感と感動に満ちた日々を綴る。 「フィールドワークは、そんな感動と違和感の間で揺れ動きながら、他者を理解していく仕事だといっていい。本書は、そんなフィールドワークを通じて私が体感した「感動と違和感」をもとに考えたエッセイを集めたものだ。(中略)文化人類学は、フィールドワークという旅と偶然性に支えられた学問である。フィールドワークを通じてさまざまな人と出で逢あう。出逢いの中で事件が起こり、感動したり違和感を覚えたりする。そんな中で他者の価値観と自分の価値観がぶつかりあい、精神が攪拌されていく。そうした経験が、考察につながっていく。」(「はじめに」より) -
ラブ・ハイポセシス
世界中が悶絶! TikTokから火がついたメガヒット作。 いま最も愛されている「じれキュン」ロマンチック・コメディ、ついに日本上陸! 世界30ヶ国で出版&(累計売上部数)300万部超えの大ヒットラブロマンス NYタイムズ・ベストセラー 40週以上連続ランクインの超ヒット&ロングセラー! 「嘘の恋人」から始まった、理系女子(リケジョ)と天才教授のじれったすぎる恋愛実験! 世界中で話題沸騰! TikTokで爆発的な人気を誇る、新時代のロマンチック・コメディが遂に邦訳! 博士課程で生物学を研究するオリーブは、恋愛よりもキャリア第一の理系女子。 ある「とっさの嘘」から、学内で最も恐れられている若き天才教授・アダムと周囲を欺くための「偽装恋愛」をスタートさせることに。 冷徹で気難しいはずのアダムが見せる嘘の恋人への予期せぬ優しさ、そして完璧なサポート。 徐々に狂い始める2人の「恋の計算式」の行方は――? 研究も恋も諦めない! 極上の「じれキュン」小説。 映画の主演──リリ・ラインハートの序文付き! ◉映画化! 2026年9月23日よりAmazon Prime Videoにて独占配信! 出演:リリ・ラインハート(オリーブ)、トム・ベイトマン(アダム・カールセン)、レイチェル・マーシュ、ニコラス・デュヴァネイ、ジャブーキー・ヤング=ホワイト、アーティ・フルーシャン 監督:クレア・スキャンロン/脚本:サラ・ロスチャイルド/製作:Amazon MGM Studios & MRC 〈あらすじ〉 スタンフォード大学に通うオリーブが、親友についた嘘を押し通すためとっさにキスをした相手。それは学内一恐れられる冷酷な天才教授、アダム・カールセンだった! 最悪の出会いから一転、二人はそれぞれの事情のために偽りの恋人を演じることになる。 期限は次の学会まで。利害一致の疑似恋愛のはずが、冷たい仮面の下にあるアダムの素顔を知るたび、オリーブの胸に想定外の感情が溢れ出してゆく。 いま最も愛されるロマンチック・コメディ、ついに日本上陸! -
訃。 雨のさつき町では大人だけが軍艦マーチを唄ってはいけない
その町は、地図にはある。誰の記憶にもない。 2013年春。 西川梨恵は、妹の娘・花菜を預かることになった。 震災で父を失い、避難先を転々とするうちに口を閉ざしてしまった小学生の姪。 ふたりが移り住んだのは、新今宮から西成へ向かう途中にある府営住宅「さつき町」だった。 住人は老人と子供しかいない。 市内でここだけが、いつも雨に濡れている。 転校初日、花菜は同級生から二つの約束を告げられる。 ひとりでトイレに行かないこと。 雨の日は外に出ないこと。 破れば「あおむし」が来る——。 その日、花菜はひとりでトイレへ行った。 姪は見えない友達と話しはじめ、 芋虫の絵を描き、どこで覚えたのか『軍艦マーチ』を口ずさむようになる。 そしてもう一つ、この町には大人にだけ課された禁忌があった。 あの歌を、歌ってはならない。 つられて口ずさんだ恋人が消えた。後輩が消えた。 町の元住人・アンジーは、十数年前に息子を失ったまま探し続けていた。 手がかりを追ううち、梨恵は理解する。 この町で起きていることには、はるかに古い出処がある——。 知れば、戻れない。 戦慄のホラー長編『訃。』 -
アゴのいる海
昭和の長崎――。大学進学を機に故郷を離れた弘明は、野母の海で一人の女性と出会う。年上の倫子との出会いは、まだ何者でもなかった青年を、恋と別れ、友情、そして社会へと導いていく。 学生運動の余燼、夜の街、キャバレーの灯――。青春のただ中を生きながら、弘明はやがて、長崎という街が背負う過去の記憶と向き合うことになる。 そして海には、季節が来ればアゴ(飛魚)が飛ぶ。海面を離れ、懸命に翼を広げ、それでも再び海へ還ってゆく魚たち。人は何のために生き、どこへ向かうのか。 昭和という時代を背景に、一人の青年の青春と、長崎に刻まれた記憶、そして「生きること」を描いた物語。 -
ブラックトリック
GACKTフジドラマ初出演&主演で話題沸騰!!フジテレビ系月曜よる9時放送ドラマ「ブラックトリック~裁きを操る弁護人~」 嘘で歪められた真実を、嘘で取り戻す──痛快リーガルドラマを完全小説化! 「正義が嘘につぶされるなら、嘘で正義を勝たせる」――。敏腕弁護士かつ一級建築士としても働く浦真鷲直人は、「嘘を武器に真実を暴く」戦術で、業界では異色の存在だ。しかし、ある出来事から弁護士資格の停止処分を受けてしまう。弁護士会は、浦真鷲が再び暴走することを恐れ、正義感にあふれた真っすぐなエリート弁護士・麻生縁を監視役として送り込む。縁は浦真鷲のやり口に反発しながらも、少しずつその不思議な魅力に惹かれていく。 「嘘を武器に真実を暴く」痛快リーガルドラマが誕生! -
青い怪談
青かったあの頃、怪異はいつもすぐ傍にあった。 文化祭で突如開いた異界 焼却炉にくべたノートの声 下駄箱の中の不気味な手紙 秘密基地に棲みついた魔 村の井戸の恐ろしい秘密 学校から、田舎の夏祭りまで 狂おしいほどにノスタルジックな十代の怖い話 憂鬱と衝動と焦燥と。 大人になる前の青い季節に体験した「怪」の記憶。 校庭から掘り出された木箱の恐ろしき中身…「タイムカプセル」 文化祭で貼った立入禁止の鳥居の絵。すると鳥居の向こうで金魚すくいをしたという子供たちが…「縁日」 病床の姉と向き合えずにいる妹。ある日左目に不思議な光が差し始める…「光」 焼却炉にいじめの言葉が書かれたノートをくべた時、聞こえた声…「文字を焼く」、 の屋上に隠された開かずの社と青い筒の正体…「ある怪談」 亡き母のメモ帳に記されていた未来の日付…「母のメモ帳」 存在しない架空のクラスメートをいじめる遊びを作り上げた生徒たちが視た終焉……「わたしたちの怪談」 他、二度と戻らぬ季節の中で起きた37の青春怪談。 恐怖の先で、私たちは少しだけ大人になった――。 -
介護士の怖い話
「これ、人形の中に生身の血肉が詰まっている…」 ――収録作「フランス推し」より 高級老人ホームに現れた 曰くつきビスクドールは、 目鼻や関節の節々から 赤黒い液体が漏れ出ていて… 介護従事者が語る いま現場で起きている リアルな怪異! かつて介護業界に身を置いた経験のある内藤駆が蒐集した、生と死が隣り合う世界で起こった最恐の怪異譚と奇妙な話。 夜の施設送迎バスに響き渡る狂い笑い…「リハビリ型デイサービスその一反AI」、介護研修所のトイレで遭遇した強烈怪異の数々…「情報量多すぎトイレ」、当たり前のように幽霊の現れる病院で、ある夜恐怖の限界が…「病院内奇祭」、ホーム入居中の男性が過去に経験した陰惨な儀式は今も…「ハイビキ」、施設倉庫での作業中に現れた謎のおじさんとの不思議な会話…「私のガラケーおじさん」等、介護・福祉関係にまつわる怪談一挙39話を収録! -
量子少女(クォーク・ガール)
藤川コスモ。うちの高校でトップクラスの美少女だ。彼女に関してはいくつも都市伝説が生まれていた。中でも極めつきなのが、別名『量子少女』……彼女は“観察不可能”だという。クラスメイトだったはずが、次の日には隣のクラスにいる。ただ、そんな気がするだけで、誰も不思議には思わない。なぜなら、世界が変わると同時に、みんなの記憶も入れ替わってしまうのだから。だけどある日、ぼくは気づいてしまった。コスモが変えた世界を「縫う」ことで修復している少女・斉藤真綾に出会ったことがきっかけだった。 長篇SF小説。電子オリジナル作品。 ●町井登志夫(まちい・としお) 作家。1964年生。日本SF作家クラブ会員。1997年、『電脳のイヴ』で第3回ホワイトハート大賞〈最優秀賞〉を受賞し、デビュー。2001年に『今池電波聖ゴミマリア』で第2回小松左京賞を受賞。他の作品に『爆撃聖徳太子』『諸葛孔明対卑弥呼』『倭国本土決戦』などがある。最新作は『改革者蘇我入鹿』。 -
結婚ってなんのため?「念のため」
28歳の女子三人組。恋愛から結婚へと向かうのだが 同級生の28歳仲良し三人組女子。一人が結婚へと。そこから始まった二人の婚活。なのだが、だんだんと結婚の意味が不明に。 【目次】 表紙 結婚ってなんのため?「念のため」 奥付 【著者】 村上浩志 1962年生。実名は上田浩良。東京都渋谷区広尾在住。 1980年代から音楽業界の仕事を始める。 その後、音楽以外に広告や舞台制作の事業も。1990年代に、音楽プロダクション「株式会社アーティマージュ」を設立し、会長として本格的に音楽事業へ。「m-flo」など、CDアルバム販売累計100万を越すアーティストを輩出。 数年前に音楽業界を引退し、10代の頃からの作品100作ほどの小説をまとめ始める。 2022年、長編小説「最終小節のダルセーニョ」を出版発売。 -
妖精令嬢のふたつめの恋
かつてこの王国に攻め入り支配しようとし、人間に敗れ去った悪しき妖精。 その特徴である赤い目と髪を持って生まれた伯爵令嬢のリコリスは、《妖精の取り替え子》として、家族にも領民にも忌み嫌われ生きてきた。 だが、第2王子であるシルヴァだけは違った。 彼に侍女として仕える中で、リコリスは彼に恋心を抱きながらも、叶わぬ願いと思い、そっと彼の幸せを願っていた。 しかし建国にまつわる祝祭の夜、シルヴァが何者からか襲撃を受け、彼をかばおうとしたリコリスも重傷を負ってしまう。 彼だけでも助かって欲しいと切に祈り、リコリスは命を落とした――はずが、時は彼と初めて出逢った1年前に巻き戻っていた。 シルヴァの死の運命を変えるため、リコリスは1年後の祝祭の夜までに真実を解き明かそうと決意する。 だが、初対面のはずのシルヴァから、「一目惚れした」となぜかいきなり求婚されてしまい……!? 「十番様の縁結び」シリーズの著者が贈る、死に戻り×西洋風ロマンス! -
「特殊捜査班カルテット 新装版」シリーズ【全3冊合本版】
警察にはできないやり方で犯罪を暴く、異端者四人組の潜入捜査!子供の頃、家族を何者かに惨殺され、怒りに衝き動かされるタケル。中国残留孤児三世に生まれたことで日本人を憎むホウ。出自から目的まで、すべてが謎に包まれたカスミ。そして、3人を特殊捜査チームに仕立てようと目論む、警視庁の異端者クチナワ。それぞれの想いを秘めた4人が犯罪に立ち向かう――。孤独な潜入捜査班の葛藤と成長を描く、スピーディーでバイオレンスなエンタテインメント巨編。※本電子書籍は下記3冊を1冊にまとめた合本版です。『生贄のマチ 特殊捜査班カルテット 新装版』『解放者 特殊捜査班カルテット2 新装版』『十字架の王女 特殊捜査班カルテット3 新装版』 -
視えないけど当たります
オカルト系配信を生業とする榊カナは、霊能者として伝説的な存在の祖母を持ち、自身も占いや除霊、霊視配信などを行う美人霊能者として人気が出始めている。 だが本当は霊感ゼロで、持ち前の勘と演技力で視聴者を騙しているインチキ霊能者。 それを元詐欺師の山本ヤマト(通称ヤマ)という男に見抜かれてしまい、なし崩し的に組んでインチキ心霊相談を行っている。 悩みがあったり気が弱ったりしている人、心霊現象と思い込んでいる人をターゲットに、インチキ霊視や除霊、祈祷を行い、解決料として金を稼いでいるのだ。 骨董品店の呪物のいわく付きの蓄音機、有名霊能者との心霊生配信対決、地域の祭りに現われる狐火騒動など、カナとヤマは霊能力“以外”で事件に隠された真実を次々と解き明かしていく。 だがそれぞれの心霊事件の裏には、陰で糸を引くある存在、そして2人の過去とも関わりが……? 「意味が分かると怖い話」シリーズで人気の著者が放つ、異色のオカルト×お仕事(!?)物語! -
死に戻り令嬢と宿命の鬼
没落華族の令嬢・月宮桔梗は、家のために名門藤山家の次男で心優しい誠二と結婚し穏やかな日々を送っていた。 しかし、その7年後に誠二の兄である鷹彦に一家を惨殺されてしまう。 鷹彦の正体は「鬼」だった。 1人生き残った桔梗は絶望のあまり崖から身を投げるが、気が付くとなぜか7年前に時が巻き戻っていた。 この日から桔梗は同じ人生を繰り返し、平穏だった日常を取り戻そうと足掻くが、最後には必ず鷹彦にすべてを奪われてしまう。 そんな3度目の人生の最後、桔梗は美しいが慇懃無礼な鬼・清影と出会う。 自身が類稀なる“支配の奇術”の持ち主であることを知った桔梗は、清影とともに、この悪夢のような人生の繰り返しに終止符を打つため奔走するが……。 第11回 角川文庫キャラクター小説大賞 〈読者賞〉&〈カクヨムテーマ賞〉W受賞作! -
私労働小説シリーズ【2冊合本版】
『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』「あたしのシットはあたしが決める」ベビーシッター、工場の夜間作業員にホステス、社食のまかない、HIV病棟のボランティア等。「底辺託児所」の保育士となるまでに経た数々の「他者のケアをする仕事」を軸に描く、著者初の自伝的小説にして労働文学の新境地。「自分を愛するってことは、絶えざる闘いなんだよ」シット・ジョブ(くそみたいに報われない仕事)。店員、作業員、配達員にケアワーカーなどの「当事者」が自分たちの仕事を自虐的に指す言葉だ。他者のケアを担う者ほど低く扱われる現代社会。自分自身が人間として低い者になっていく感覚があると、人は自分を愛せなくなってしまう。人はパンだけで生きるものではない。だが、薔薇よりもパンなのだ。『私労働小説 負債の重力にあらがって』Don‘t Blame Yourself!セクハラ、パワハラ、カスハラ、人種差別に事なかれ主義やポジティブ教の上司まで。ジョブには最低なものとの戦い(ワーク)がつきまとう。「あたしたちは負債の重力に引きずられて生きている。」だが、負債を返済するために生き続けたら人間は正気を失ってしまう。他者のケアを担う者ほど低く扱われ、「自己肯定感を持とう」と責任転嫁までされる社会。自らを罰する必要などないのに。働き、相手に触れ、繋がる。その掌から知恵は芽吹き、人は生まれ直し、灰色の世界は色づく。数多のシット・ジョブを経た著者が自分を発見し、取り戻していった「私労働」の日々を時に熱く、時に切なく綴る連作短編集。 ※本電子書籍は、2023年10月刊『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』と25年10月刊『私労働小説 負債の重力にあらがって』の2冊を収録した合本形式での配信となります。 -
十津川警部 悪女
[著者のことば] 「犯罪の陰に女あり」という言葉がある。小説の世界だけでなく、女性の存在が招いた事件は、実際に多い。 色紙には、「人生は愛と友情と裏切りで成り立っている」と、書くことがある。男の側からすれば、「愛」と「裏切り」から連想されるのは、「悪女」ではないだろうか。 「悪女」といっても、さまざまなタイプがある。男を惑わす小悪魔のような女性や、氷のようなハートを持つ女性も、悪女と言えるかもしれない。 本書は、「悪女」をテーマとして短編を集めてみた。十津川の前に現れるのは、どんな悪女だろうか。 十津川vs魔性の女たち――。 銀座クラブママ、流行作家の妻、社長夫人……。 立ちはだかる美しくも恐ろしい罠! 人材派遣会社の社長・山際卓郎には殺したい女がいた。銀座クラブママの結城あやだ。彼女の人脈と資金面の協力で山際は成功したのだが、それを恩に着せた言動が目立ってきたのだ。山際は殺害計画を練った。六本木のあやの自宅に青酸カリ入りワインを置き、自分はアリバイ工作のため東京を離れるというものだった。あや死亡の吉報を出張先の大阪で待つ山際。だが、入った連絡は、あやが若いタレントの愛人を毒殺したというものだった……。意外な展開の結末は?(「だまし合い」)。 十津川が「悪女」に挑む傑作短編集! 【収録作品】「だまし合い」「阿蘇幻死行」「白い罠」「鬼怒川心中事件」 ※「十津川警部」シリーズと作品の楽しみ方がさらに広がる解説も収録![解説:小梛治宣] -
十津川警部 怪しい証言
[著者のことば] 十津川警部が、初めて登場したのは、『赤い帆船(クルーザー)』だった。1973年に刊行された作品で、最初は、海を舞台にした事件で、活躍することが多かった。あれから40年、十津川はさまざまな事件を、手がけるようになっている。 単独での秘密捜査もあれば、妻の直子に協力を頼むこともあり、拳銃を構える犯人に、体を張って、立ち向かうこともある。 この作品集には、そうしたさまざまな捜査のやり方が描かれている。出来れば、犯人のトリックを暴く推理力だけでなく、十津川の別の魅力も発見してもらえたらうれしい。 彦根城で消えた女が、東京・月島で他殺体に! 容疑者のアリバイを崩すための証人は―― その記憶は、確かなのか――!? ついに自分にも認知症が出たのか……。彦根城で観光ガイドを務める今泉明子(71)は、不安を抱いた。 男女5人を案内したはずが、女性の1人が行方不明に。しかし、グループは最初から4人だったと言うのだ。 翌日、明子の前に消えた女性が現れ、あれは悪戯だったと言う。1週間後、東京月島の冷凍倉庫でその女性の他殺体が発見。捜査に当たった十津川警部が絞り込んだ容疑者には完璧なアリバイが! 犯人逮捕に必要な明子の記憶は、信頼できるのか?(「一期一会の証言」) 十津川警部の活躍が満喫できる傑作集! 【収録作品】「一期一会の証言」「絵の中の殺人」「処刑のメッセージ」「事件の裏側」 ※「十津川警部」シリーズと作品の楽しみ方がさらに広がる解説も収録![解説:小梛治宣] -
十津川警部 裏切りの駅
[著者のことば] 『東京駅殺人事件』という作品を書いてから、30年が経った。 「駅」は、交通の拠点としての役割だけでなく、いまは別の面で注目を集めている。有名建築家が設計した駅、犬や猫が駅長の駅、秘境駅や無人駅、廃線の駅など、さまざまなかたちで話題になった。 それでも、変わらないのは、「駅」は出会いと別れの場所であるということである。去っていく人がいれば、残される人がいる。「駅」は、旅の出発点であり、終着点でもある。希望にあふれた人がいれば、失意に沈む人がいる。 だから、そこには、多くのドラマがあり、愛と裏切りが隠されている。取材で全国の駅を見てきた。本書は、「駅」が事件のカギとなる作品集である。 十津川警部、“ミスキャンパス殺人事件”に挑む! 無人駅で目撃された奇妙な人物 誤認逮捕か、アリバイ工作か!? 鉄道ファンに人気の無人駅、信州・姨捨駅を休暇で訪れた警視庁捜査一課の亀井刑事は、奇妙な服装の男を目撃して驚愕する。その姿は、東京麹町で起こったミスキャンパス殺人事件の容疑者・中西昭准教授がアリバイを証明する存在として挙げた男と瓜二つだったのだ。 だが、捜査本部は男の実在を確認できず、中西はすでに送検されていた。男は同一人物で、中西の無罪は証明されるのか? 誤認逮捕の可能性が浮上する中、十津川警部は大々的な男捜しを開始した…(「姨捨駅の証人」)。 「駅」が事件のカギとなる推理短編集! 【収録作品】「姨捨駅の証人」「下呂温泉で死んだ女」「謎と憎悪の陸羽東線」「新幹線個室の客」 ※「十津川警部」シリーズと作品の楽しみ方がさらに広がる解説も収録![解説:小梛治宣] -
十津川班捜査行 宮古行「快速リアス」殺人事件
[著者のことば] 時刻表を見ていると、飽きるということがない。オヤッと思うことや、これは何だろうという疑問が浮かび、小説を書く意欲がわいてくる。空想、妄想も膨らんでくる。 取材には、取材の楽しみがある。地方に行ったり、列車に乗ったりするのも好きだ。同じ土地に、2度目、3度目という場合もあるが、必ずといっていいほど、思いがけない、新しい発見や出会いが、待っている。 この2つが、私の、創作の源泉、といっても過言ではない。 この短編集は、ローカル線にまつわるミステリーを集めたものである。 山田線、指宿枕崎(いぶすきまくらざき)線、函館本線、箱根登山鉄道――― ローカル線が“事件”を呼ぶ! ルート、ダイヤ、駅舎…… 地方鉄道を利用した殺人 十津川警部は巧妙なトリックを見破れるか!? 前科2犯の荒木圭介が盛岡発・宮古行「快速リアス」の車中で毒殺された。直後、東京で起きたクラブママ殺しの容疑者として、10日以上前に検挙された男が、突然、事件当夜は荒木と飲んでいたと言い出した。 証言者はすでにこの世にいない。なぜこのタイミングでアリバイを主張したのか? 捜査を開始した十津川警部は、荒木がインターネットで列車を使う怪しげな仕事を引き受けていたことを知る。事件の鍵は岩手のローカル線にあるのか。 十津川は、荒木が乗車した13時51分発「快速リアス」に乗り込んだ……。 【収録作品】「宮古行「快速リアス」殺人事件」「小さな駅の大きな事件」「殺意の「函館本線」」「殺意を運ぶあじさい電車」 ※「十津川警部」シリーズと作品の楽しみ方がさらに広がる解説も収録![解説:小梛治宣] -
伊豆箱根殺人回廊
二年半ぶりに出所した男がめぐる 西伊豆、修善寺、箱根には死体が待ち受けていた……。 はめたのは、元首相父子か、政治家夫婦か? 十津川が陰謀を暴く、異色ミステリ・アクション! 出資法違反で二年半ぶりに出所した元大手地銀支店長の管野は、伊豆下田から修善寺、箱根強羅をめぐる。だが、コロナで一変した名勝地には、不審なトラブルが待ち受けていた。 管野を追跡する若者が交通事故死、再会した修善寺の旅館若女将多恵は、芦ノ湖に水死体で浮かぶ。そしてついに殺人が発生、警視庁十津川警部が出動した! 欲まみれのマネーゲームに隠れた真相とは? -
十津川直子の事件簿
奥様は名探偵! 鉄道トリック、動物ミステリ、意外な真相―― 十津川警部も顔負けの推理と活躍、そして夫婦の絆! 全国の郵便局で百円ずつ貯金する“局メグ”が趣味の金子真由美が湯河原で殺され、姿を消した同居女性に容疑が向けられた。十津川警部の愛妻・直子は事件に注目する。友人家族が営む郵便局を、被害者が死の直前に訪れていたのだ……(「百円貯金で殺人を」)。 名作鉄道ミステリ「夜行列車『日本海』の謎」など、十津川顔負けの推理で謎に挑む直子の活躍を描いた傑作集! 【収録作品】「百円貯金で殺人を」「特急あいづ殺人事件」「愛犬殺人事件」「夜行列車『日本海』の謎」 ※「十津川警部」シリーズと作品の楽しみ方がさらに広がる解説も収録![解説:小梛治宣] -
現代ユウモア全集 23巻 『戀を吹く喇叭』 佐々木味津三
『右門捕物帖』や『旗本退屈男』で、日本の時代小説・捕物帖の基礎を築き、昭和初期に活躍した人気大衆作家の貴重な24篇を収録。 佐々木味津三は、大正中期から作家活動をはじめ、菊池寛に認められて雑誌「文芸春秋」の創刊に関わり、横光利一や川端康成らと雑誌「文芸時代」も立ち上げ、純文学方面の新進作家として嘱望された。しかし、実家が抱える多額の負債と、弟妹三人と長兄の遺児五人の養育義務を負ったことから、金にならない純文学から、大きな収入の見込める大衆文学方面に舵を切る決断をする。 本巻には、そんな彼が純文学から大衆小説路線に移る前後の1923年~1929年の間に、文芸誌から大衆娯楽雑誌まで様々な媒体に発表された24篇を収録。一番新しい「大江山仙介の見合」が巻頭で、一番古い作品「新東京繁昌記」が巻末という構成は意図的なものを感じる。同時代のスポーツネタを入口に、読者を次第に作品世界へと呼び込み、最後にすでに過去となりつつある関東大震災直後の戯作的ルポルタージュで余韻を残す形となっている。作品傾向も社会風俗や時事的話題を取り入れた話が多い。人気絶頂の大学野球をネタにした「大江山仙介の見合」、新興映画の発信地として勢いのあった蒲田撮影所を舞台にした「忘笑症患者」、大家さんとの小競り合いを「階級闘争」という流行語で呼ぶ「お犬様」、 田山花袋「蒲団」をパロディ化した「女性軽蔑家」などなど。特に巻末の「新東京繁昌記」は、大震災の数ヶ月後に発表された作品で、混乱の中で強かに生きる東京人の姿を活写した一つの風俗史料ともなっている。なお、佐々木味津三は本巻刊行から約4年後の1934年、急性肺炎を起こして僅か37歳で亡くなった。 発刊当時の旧字体総ルビに加えて、より読みやすくした新字体バージョンも新たに追加収録している。解説文は日本のユーモア文学研究者で追手門学院大学准教授・佐藤貴之。付録には、表紙や裏表紙など、当時の貴重な資料も収録する。 (電子版 2026年9月25日配信開始) ※この作品は一部カラーが含まれます。 -
辻邦生電子全集 13巻 未完小説『フーシェ革命暦』ほか
激動のフランス革命の中を生き抜いた謀略政治家、ジョゼフ・フーシェの生涯を題材にした長篇歴史小説と関連エッセイ6篇を収録。 フランス革命~ナポレオン時代にかけて暗躍し、「カメレオン」「変節漢」とも評された稀代の謀略政治家ジョゼフ・フーシェ(1759 -1820年)の一代記として、「文學界」1978年1月号から「別冊文藝春秋」1993年夏号まで、断続的に連載された作品『フーシェ革命暦』 。 革命前夜~1789年7月14日のバスティーユ襲撃に至る過程を中心として、バスティーユ襲撃後の「女たちの行進」までで終わり、その後のフーシェが本格的な政治家として活躍する時代は描かれず、未完小説として単行本化された。 流謫の地トリエステで晩年のフーシェが自らの生涯を手記として回想する形式で描かれた本作は、修道院付属学校の田舎教師から革命の権力闘争の渦中へ身を投じ、冷徹な現実主義をもって激動の時代を生き抜いていく姿を通して、革命期の社会の底流と人間心理を重厚かつ緻密に描き出している。つまり、「フランス革命を背景に、後に権力の裏側を操る政治家となるフーシェが、どのように形成されていったのかを描いた歴史小説」として、「革命そのもの」よりも、革命を観察し、人間の心理や権力の動きを読み取っていく若きフーシェにかなり重点が置かれているのである。本作以外には、「間奏曲『フーシェ革命暦』」等の関連エッセイ6篇も収録。解説は、歴史学者で学習院大学名誉教授・福井憲彦氏が担当。 ※この作品はカラーが含まれます。 -
別冊GUNZOU
1946年に創刊した講談社がほこる文芸誌――「群像」。 2026年10月号をもって創刊80周年を迎えることを記念し、「別冊GUNZOU」をお届けします! 日本の文学が世界でも脚光を浴びるようになった今、これから先必ずや「世界」でも注目されること必至の実力作家6名が、同一テーマのもとに書き下ろした作品で豪華共演&英訳も同時収録!! 6名の作家と6名の翻訳家が一堂に会したことで生み出された最前線の言葉たち。 創刊80周年を彩る「世界」文学をぜひ、お楽しみください! ~~~豪華収録作!~~~ 彩瀬まる 「私たちは星」 井戸川射子 「もっと大きな鳥がいたはずなんだけど」 今村夏子 「今日で最後」 柴崎友香 「なにもしていない」 豊永浩平 「ETCカードが挿入されていません。」 宮内悠介 「七つの性をもつ男」 Maru Ayase 「We Are Stars」 Translated by Haydn Trowell Iko Idogawa 「Wasn’t There a Bigger Bird?」 Translated by Jesse Kirkwood Natsuko Imamura 「After Today, That’s It」 Translated by Lucy North Tomoka Shibasaki 「Nothing to Do With It」 Translated by Eriko Ikeda Kay Kohei Toyonaga 「ETC Card Is Not Inserted.」 Translated by Kalau Almony Yusuke Miyauchi 「The Man with Seven Genders」 Translated by Matt Treyvaud
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