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レベッカの青春
「少女レベッカ」の続編と言ってもよく、「少女レベッカ」の場合とおなじように、女性としての自覚にめざめてゆく一人の少女の心理過程が現実的なさまざまなエピソードとともに語られていく。ただ前作とちがい、それらの出来事は、レベッカ自身の手記や回想という形で描かれ、記述がいっそう内面的になっている。後半には、青春期を迎えた十八歳のレベッカが登場して、繊細な感受性をたたえた、静けさと内省を愛する一人の女性に生長していく。作者は、米国フィラデルフィアで生まれの作家で、英米の若い世代から熱狂的に迎えられ、やがてその名はひろく世界に知られるようになった。 -
竹取物語
「物語の原型」、誰もが知る、かぐや姫と5人の求婚者、帝が繰り広げる異世界譚を、「まるで僕が書いたような物語」と語る大人気作家が敬意をこめて抱腹絶倒・大胆不敵に新訳した画期的必読古典。 かぐや姫×森見登美彦! 1000年以上も読み継がれる「物語の原型」を 竹林をこよなく愛す当代の人気作家が現代語訳! 翁がある日、光る竹の中に見つけた可愛らしい小さな人。やがて絶世の美女に成長したかぐや姫は、言い寄る求婚者たちに無理難題を課す。恋に破れ去る男たち、そして、「その日」は近づく――千年以上も前に書かれ、読み継がれてきた異世界譚を、竹林に並々ならぬ思いを寄せる作家・森見登美彦が現代語訳した必読の一冊! 竹取物語とその現代語訳にまつわる舞台裏をたっぷり語った講義「作家と楽しむ古典 僕が書いたような物語」、竹林の中へ入り込んだ幼少期の原体験からはじまる文庫版のための書き下ろしあとがき「生きていることのふしぎ」も収録。 【もくじ】 竹取物語 全集版あとがき 千年の失恋 特別収録 講義「作家と楽しむ古典」 僕が書いたような物語 文庫版あとがき 生きていることのふしぎ 解題 大井田晴彦 -
おおあんごう
「僕のつま先を車で轢くという遊びをしていた父をモデルに書きました」 大好きな母、ふんわりしたおばあちゃん、無二の親友――。 守りたかった。離れないでいてほしかった。 これは、傷を抱えたぼくが「笑い」に出会い「夢」へと走り出す物語。 岡山県の小さな田舎街。小学生のぼくは、理不尽で自分勝手な父に振り回されてばかりだった。自分の心と大好きな母を守るため、勇気を出し父にある言葉をぶつける。純粋な願いを聞いた父は改心すると思っていたが……。苦しくて悔しいのにどこか笑える家族の日常を描いた、「かが屋」加賀翔の初小説! 「なぜか、涼やかな風が吹きとおった。 うつむくと胸もとに、 ビール缶みたいな穴がまんまるく空いていた」 いしいしんじ 「私もこの絶望を知っている。悔しくて恥ずかしくて、それでもまた期待してしまう。そして当然に裏切られる。 少年には憐れみも情けもいらなかった、笑いとなることだけが救いになった。 自然をかき分けて歩き続けた日々を、カエルのぬいぐるみと一緒に抱きしめたい」 吉澤嘉代子 「理不尽な父の言動に早く大人になるしかなかった少年が、生きる。 苦しくて、優しくて、悲しくて、笑えて。 岡山の鮮烈な言葉がざくざく刺さる、とてつもない小説です!」 東 直子 「読みだした時は、相方だからか照れ臭かったのですが、 気付いたらいつの間にか、悲しくなったり、思わず吹き出したり、ムカついたり。 皆、幸せになって欲しいです」 「かが屋」賀屋壮也 -
おいしいごはんが食べられますように
芥川賞受賞作&30万部のベストセラー 世界各地で翻訳続々! 最高に不穏な仕事×食べもの×恋愛小説! 解説:一穂ミチ 「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」 真面目で損する押尾は、か弱くて守られる存在の同僚・芦川が苦手。食に全く興味を持てない二谷は、芦川が職場で振る舞う手作りお菓子を無理やり頬張る。押尾は二谷に、芦川へ「いじわる」しようと持ちかけるが……。どこにでもある職場の微妙な人間関係を、「食べること」を通してえぐり出す芥川賞受賞作! 共感が止まらない! 「わかりすぎてえぐい」職場ホラーNo. 1 サイコホラー小説? ミステリー小説? それとも恋愛小説? 不思議な感覚で読めた小説です。(文教堂横須賀MORE’S店/矢部直利) 喉の奥に詰め込んだ言葉や感情を吐き出したくなるような気持になった。(くまざわ書店サンシャインシティアルパ店/河口茜) 表紙・タイトルのほっこり感と内容とのギャップを、ぜひもっともっと多くの方に感じてもらいたいです。(明屋書店喜田村店/高橋杏奈) -
魔法使い☆ヤクザ
この世界には魔法使いが存在し、何人もの魔法使いが惨殺される事件が起こっていた。 日比野ヒカルは、母に捨てられ、アル中の父親と暮らす高校生だった。 ある日、ヒカルは父親に置き去りにされ、借金のカタとして、無邪気で残酷な魔法使いヤクザ・更夜さんの元で働くことになる。 女装をするヤンキーや編み物好きな寡黙な巨人、 更夜に異常に執着する警察キャリアや関西弁を喋る使い魔など、破天荒で厄介な人たちに振り回されつつも、ヒカルはヤクザの雑用係として働いていく。 だが、更に魔法使い連続殺人事件にも巻き込まれていき―― ※BLではありませんが、ブロマンス要素(男性→男性への激重感情)があります。 -
P+D BOOKS 地下水
自分の身の上と文学仲間の動静を綴る傑作。 ――庄太の一枚看板みたいな私小説は、いまだに彼の頭へこびりついており、忘れた時分に作品も発表している。今後共、世間にもて囃されるようなものは覚束ないにしろ、片隅でコツコツ書いて行きたい、あぶれ者の自慰行為に似た執念は、相当のようであった。―― プロレタリア文学が一世を風靡し、短い文芸復興期を挟んで、戦争文学が主流になっていく戦前・戦中期。どの波にも乗れず、講演の抄録や短い文芸批評、地方紙の埋め草原稿などで糊口をしのいでいる小川庄太は、東京でやっていけなくなると故郷の小田原に戻り、実家が持つ物置小屋で寝起きしていた。やがて、他人のものに手を出すまでに困窮し、軍隊に入るか、牢に入るか、というところまで追いつめられて……。 自分と家族の身の上を縦軸に、文学仲間の動静を横軸にして淡々と綴る見本のような私小説。宇野浩二、中山義秀、田畑修一郎、火野葦平らが変名で登場し、文壇の裏事情が垣間見える傑作。 -
0能者ミナト
科学が隆盛を極める現代。だが、その片隅にひっそりと息づく異形のものたちがいた。存在を知る一部の者たちは、それを 「怪異」 と呼んだ。 当然、怪異を相手にする生業もある。修験者、法力僧、呼ばれ方は様々だが、その中でひと際変わった青年がいた。九条湊── どこか斜に構えたクセのある青年だが、彼が同業者から疎まれているのはそこではない。霊力、法力、神通力、彼はそんな力を一切持っていない。それにもかかわらず怪異を倒すという。その手腕は驚くべきものだった──。 -
後宮の検屍女官
「死王が生まれた」大光帝国の後宮は大騒ぎになっていた。 謀殺されたと噂される妃嬪の棺の中で赤子の遺体が見つかったのだ。 皇后の命を受け、騒動の沈静化に乗り出した美貌の宦官・延明(えんめい)の目にとまったのは、 幽鬼騒ぎにも動じずに居眠りしてばかりの侍女・桃花(とうか)。 花のように愛らしい顔立ちでありながら、出世や野心とは無縁のぐうたら女官。 多くの女官を籠絡してきた延明にもなびきそうにない。 そんな桃花が唯一覚醒するのは、遺体を前にしたとき。彼女には、検屍術の心得があるのだ――。 後宮にうずまく数々の疑惑と謎を検屍術で解き明かす、中華後宮検屍ミステリ! -
星・空・雲
【障害があっても前向きに精一杯生きた人生】 著者の美智代は、小5の時にいじめにあいましたが、親に心配かけたくないと4年間通学を頑張り通しました。 しかし、中3の3月についに爆発、不登校に。 高校は何とか入学出来たが2学期から出席しなくなり、パソコンに夢中になりました。 毎日友人とメールのやり取りをしたり、いろいろなサイトに投稿をしたりしていました。 ある時は、大炎上、アカウントを剥奪されプロバイダから解約されてしまいました。 昼夜逆転、それでもバイトをして母親にアイロンをプレゼントする優しい心の面も見せていました。 本が好きだった彼女は、特に詩集に興味を持ち、自分でも詩を書き始めます。 知らないうちに数百篇と詩がたまっていきました。 苦しい事、悲しい事、嬉しい事、感謝の思いを素直に詩に託しました。 しかし、心の病は、深くなるばかり、遂に入院する事に。症状は改善するどころか悪くなっていきました。 そんな矢先、マンション5階のベランダから発作的に飛び降り、腰に18本のビスとボルトを入れる大手術を2回行いました。命は取り留めましたが、右足も複雑骨折でまともに歩くことが出来なくなりました。 心の病の入退院も7、8回続きました。 それでも希望を捨てずリハビリを繰り返すと、歩けるまでに回復し、精神的にも安定してきました。 10年かけて病院を卒業。 桐生のグループホームに入ることになりました。B型就労をするようになると生き生きとし始め、心も安定してきました。そんな矢先、生理が長く不正出血が止まらなくなり、何かおかしいと病院に駆け込みました。 精密検査をすると、主治医から子宮体癌の末期で手術、抗がん剤治療などは出来ないと言われ、緩和ケアの病院に転院、転院後わずか3週間で37歳の短い生涯を閉じました。 この詩集が、心の病で今、戦っている本人、御家族の皆様に勇気と希望を少しでも伝える事が出来たら、彼女にとって幸せです。 最後に、心の病は、家族の協力で必ず改善することを訴えて結びとします。 美智代ありがとう!! -
預言者の詩 ―哀しみの場所から―
古書店経営者3代目・本郷瞬は、訪れた顧客の相談事を一緒に解決をめざす。 「預言者の詩 ―哀しみの場所から―」 本郷の知己で女性占い師の村上里絵は占い師の出店ブースを訪れた老紳士に迷宮入りした行方不明事件について相談された。本郷に連絡する理由ができたのがうれしくて、恐怖が待つことも知らずに里絵は調査を引き受けてしまう。 「夜更けの蜀」 本郷は台湾の雑貨店で三国時代の言行録を見つけた。そこには呉侵攻派と和平派で揺れる成都で蜀の官吏が遭遇した鶏舌香に関わる怪死事件が記されていた。 「Purple season」 本郷は「不思議の国のアリス(キャロルによる挿絵版)」オークションに出席するウオッツ石油の久喜会長に同行予定で札幌市を訪れた。だが出発日、邸のエレベーター事故で会長は負傷して取りやめになった。秘書の早川純と背後調査を依頼された本郷は人間の裏面に直面していく事になる。 -
グラビアアイドルが万引きで捕まり身体検査をされて…
現役女子校生モデルとして有名になりつつあった持田あずさ。彼女の芸能活動は順調だった。読者モデルとして雑誌の表紙を飾るようになり、ついにはテレビに出るように。しかし、鮮やかな芸能生活の裏で彼女は静かにストレスをためていく……。良くも悪くも彼女には「普通の女の子」らしいところがあり、精神的には年齢相応に未熟だったのだ。それはほんの出来心だった――。あずさはある大型ショッピング施設に立ち寄った際に自分でもほとんど意識しないまま万引きを犯してしまう。そしてそのまま女性店員二人にバックヤードに連行されていやらしい身体検査が始まる。股間をまさぐられ、気持ちよくなっていくあずさに追い打ちをかけるように女たちは囁く。「ねえ、クリちゃんとナカどっちがいい?どっちが好き…?」ちょっとした出来心のせいで妖しく危ない世界に堕ちていくあずさの運命は――。巻末にカラーイラストノベル全24ページを特別収録! 人気漫画家クリムゾンが贈る傑作官能ノベル。 -
地下鉄サム
1910年から20年代のニューヨークの地下鉄を舞台に、あわてんぼうで純情のスリの名人サムと、サムをつけまわす刑事クラドックの対決! クラドックは、サムを現行犯で捕えて「河上の別荘」へ送り込もうとつけねらっているが、いつも巧みに逃げられ、さんざんな目に合わされる。ところがこの二人は奇妙な友情で結ばれ、毎日顔をつきあわせて憎まれ口を叩かないと、お互いに何か物足りない気分に襲われるほどになっているのだ。他に退役強盗の下宿屋のオヤジ「鼻のムーア」や、女たらしの「めかし屋ノエル」、「高架線のエルマ」や「ノッポ」に「チビ」など、一癖も二癖もある連中がからみあってかもし出す、微笑、哄笑、爆笑をよぶユーモア探偵小説集。 -
くるくるコンパス
中学将棋部の男子三人、カズト、シンヤ、ユーイチは、京都行きの修学旅行について、危険な計画を立てた。それは、転校してしまった部活仲間の佳織に会いに、自由行動時に抜け出して大阪へ行くというもの。恐ろしい体育教師や非協力的な班の女子、迷路のような大阪の街……三人は無事に佳織の家にたどり着いて、戻ってこられるのか? 人生に一度きり、熱くて特別な、長い長い修学旅行。ラストに感動が訪れる爽やかな青春小説! -
カミサマはそういない
目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持ったピエロが現れ……(「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」)。僕らはこの見張り塔から敵を撃つ。戦争が終わるまで。しかし、人員は減らされ、任務は過酷なものになっていく。そしてある日、味方の民間人への狙撃命令が下され……(「見張り塔」)。現代日本、近未来、異世界――様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな全7編の短編集。 -
快挙
白石一文史上、最も!?ハッピーエンドな物語。「とにかく、今日は人生で一番嬉しい日だ。やったぞって気分なんだ。」邂逅、結婚、転身、流産、裏切り……夫婦の実相を描いた快作。 カメラマン志望の俊彦はある日、撮影のために訪れた東京・月島の路地で「小料理すま」を営むみすみと出会う。二人はほどなく結婚。やがて俊彦は小説家へと転身を図るが、作家デビューはままならず、みすみは二度の流産で悲嘆に暮れる。そんな折、阪神淡路大震災が発生し、みすみの実家が被災して……。時々に吹き荒れる逆風、荒波に翻弄されながらも懸命に生きる二人。だが、いよいよ追い詰められた俊彦が、命を投げ捨てるほどの覚悟で決断し、掴み取った「快挙」とは。 ●鉄筆文庫のための書き下ろし 特別寄稿「こんな恋がしたかった」山田憲和 あとがき「夫婦の醍醐味とは」白石一文 -
博多豚骨ラーメンズ
「あなたには、どうしても殺したい人がいます。どうやって殺しますか?」 福岡は一見平和な町だが、裏では犯罪が蔓延っている。今や殺し屋業の激戦区で、殺し屋専門の殺し屋がいるという都市伝説まであった。 福岡市長のお抱え殺し屋、崖っぷちの新人社員、博多を愛する私立探偵、天才ハッカーの情報屋、美しすぎる復讐屋、闇組織に囚われた殺し屋。そんなアクの強い彼らが巻き込まれ、縺れ合い紡がれていく市長選。その背後に潜む政治的な対立と黒い陰謀が蠢く事件の真相とは──。 そして悪行が過ぎた時、『殺し屋殺し』は現れる──。 -
一鬼夜行
江戸幕府が瓦解して五年。 強面で人間嫌い、周囲からも恐れられている若商人・喜蔵の家の庭に、ある夜、不思議な力を持つ小生意気な少年・小春が落ちてきた。 自らを「百鬼夜行からはぐれた鬼だ」と主張する小春といやいや同居する羽目になった喜蔵は、次々と起こる妖怪沙汰に悩まされることに―――。 めっぽう愉快でじんわり泣ける人情妖怪譚! -
P+D BOOKS 浮草
食えない作家志望の青年との同棲生活を描く。 「こう世間が不景気じや、あなたの勤口もあぶないもんだし、筆の方でちやんとやつて行ける自信だつて、ないんでしよう。――ね、家を持てないなら私と死んで頂戴! 家を持つか、心中するか、どつちかにして頂戴よう!」 いつまでたってもうだつの上がらない作家志望の青年・捨六と、浮気癖のある若い女給・時子。食い扶持を求めて小田原、名古屋、東京と転々とするものの、なかなかお金をお稼げない捨六に、業を煮やした時子は心中してくれと懇願するが――。 時子の独白で綴られる表題作に、久しぶりに再会した二人の一夜を描く後日談「別れた女」を併録。 -
小説 ゲゲゲの鬼太郎
アニメに登場していない妖怪たちが大暴れ。テレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の豪華脚本陣が中心となっておくる、オリジナル小説集です。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の脚本家チームが中心となって、オリジナル短編を書き下ろした小説集です。大野木寛、井上亜樹子、山田瑞季とプロデューサー・永富大地という豪華アニメ制作陣が集結しました。 -
お帰り キネマの神様
原作者・原田マハが、山田洋次の映画を自らノベライズ! 奇跡のコラボ 「一晩で読んでしまった。 魔術にかかったみたいだ。 脱帽するしかない。」 ―-山田洋次監督 「人生で分からないことがあったら、映画を観ろ。答えはぜんぶ映画の中にある」 この映画には、人間や人生への愛が溢れている。 原作者・原田マハが、映画「キネマの神様」に感銘を受けて、みずからノベライズ! 壊れかけた小さな家族をつなぎとめたものは、映画だった――映画人の熱い想いと挑戦をを描いたヒューマンドラマ「キネマの神様」は、山田洋次監督の手で原作小説に大幅に手を加えられ、コロナ禍下で製作された渾身の名作。その映画に感銘を受けた原作者の原田マハが、映画を自らノベライズ。映画を愛する全ての人に捧げる物語。 ※この電子書籍は2021年10月に文藝春秋より刊行された単行本 「キネマの神様 ディレクターズ・カット」の文庫版を底本としています。 -
ニーベルンゲンの指環
ライン川の川底にひそかに眠る黄金。これから指環を作れば、その持主は絶大な権力を握るといわれる。それを守る乙女たちをだまし、こびと族のアルベリッヒは黄金を奪う。一方ワルハラ城を神々のために建造した巨人族二人は、主神ヴォータンに謝礼を迫り、黄金を要求する。ヴォータンは地下の国を訪ね、アルベリッヒから黄金と指環を奪い、これを二人に与える…だが、指環には呪いが。二人の巨人ファーゾルトとファーフナーは争い、指環は後者の手に移る。「たった一つの指環をめぐってくりひろげられる数奇な物語は、非現実の陶酔にさそいこんでくれる。ページを繰って耳をすますと、壮厳にして官能的なワーグナーの楽劇がきこえてくることだろう」これは寺山修司の言葉だ。 -
ミステリと言う勿れ
月9ドラマ、完全ノベライズ! 天然パーマが印象的な久能整は、友だちなし恋人なし、そしてカレーを愛する大学生。晴れ渡った秋のある日、アパートの自室で気分よくカレーを煮込んでいたところ、突然、玄関のチャイムが鳴った。やって来た男は、大隣署の刑事・薮。整はそのまま任意同行を求められ、身に覚えのない疑いをかけられて事情聴取を受けることになる。 事件の被害者は、整とは高校・大学の同級生で、薮によると犯行の目撃者もいるらしい。二日、三日…と取調べが続き、刑事たちと言葉を交わすうちに、整は事件の裏側に隠された「事実」に気づくことに!? よどみなく次々と繰り出される整の鋭い言葉が、真相を浮かび上がらせ、人々の心も解き明かす――。人気漫画家・田村由美による大ヒットコミックを原作とした、主演菅田将暉のTVドラマを完全ノベライズ! (底本 2022年2月発行作品) -
官能文学電子選集 阿部牧郎『金曜日の寝室』
一流商社に勤める伊藤一郎は、ひょんなことから赤坂のホテルでクラブの美人ママと密会する社長を目撃する。そして伊藤は社内に社長の隠し子である娘がいることを知る。伊藤の令嬢探しの旅がはじまった。 交通ゼネストの前夜、赤坂のホテルで一夜を過ごす相手を物色していた万国商事のエリートサラリーマン・伊藤一郎は、そこでクラブのママ風の女性に目をつける。だが、彼女には先約があった。その相手とは万国商事の社長だった。驚いた伊藤は様子を見守ったが、2人は食事をしただけで別れてしまう。興味を抱いた彼は、ある策略を使って、ママの部屋へ侵入に成功、半ば強引に関係を持ってしまう。その時、彼はママからある秘密を聞きこんでしまう。それは伊藤も勤める万国商事に社長の“隠し子”である娘が働いているというものだった。そのことは社長以外、誰にも知らされてはおらず、ママも名前だけは死んでも言えないと突っぱねる。野心に燃えた伊藤は、名前も顔も知らないが、どこかにいるはずの社長令嬢を探して結婚しようと決意する。情報は4年前に短大を卒業した気立ての良い美人ということだけ。年齢にして23~24歳となるのだが、大企業である万国商事でその年齢に該当する女子社員は200人をくだらない。そして、彼の令嬢探しが始まるのである。社長室から総務課・・・・・・ほかの部署に至るまで自らの肉体を駆使して情報を得ていく女性の総数は16人。いずれ劣らぬ美貌の持ち主ながら処女から遊び慣れている娘までそれぞれだ。だが、最後の最後に登場した女子社員・・・・・・それは伊藤の旧知の間柄で唯一結婚を意識した女性だった。果たして、伊藤の運命は・・・・・・!? -
官能文学電子選集 団鬼六『狼の痴戯』
絶世の美人女優・田村景子が二匹の飢えた獣たちに誘拐され、人里離れた山荘に監禁される。景子は輪姦された上に緊縛、淫具、浣腸責めといたぶりぬかれるのだが・・・・・・。 プロカメラマンの沢村和雄は、かつてのアシスタントだった吉田昌作に抜き去られ、SM雑誌の専属カメラマンに成り下がっていた。さらに吉田は今をときめく絶世の美人女優・田村景子との結婚まで発表していた。すべてを吉田の陰謀だと信じて疑わない沢村は、腐りきっていた。そんな時、一人の若い緊縛師・木原を紹介されて意気投合。そして木原の友人の妹である女子校生を拉致し、凌辱の限りを尽くすことに協力してしまう。「凌辱写真を撮ってあるから大丈夫」という木原の目論見は外れ、2人は警察から追われる身となっていることを知る。そこで破れかぶれになった沢村は吉田への復讐として婚約者である景子を拉致・監禁して凌辱の限りを尽くし、その一部始終を吉田に送り付けてやることで復讐を果たすことを思いつく。作戦はまんまと成功し、2人は景子を人里離れた山荘へと監禁した。嫌がる景子に無理やり口唇奉仕をさせた挙句、代わる代わるレイプ。それだけでは飽き足らずに、緊縛、剃毛、淫具責め、浣腸責めと続けていくうちに、景子も断続的な悲鳴を上げながらも、酔いしれていくようだった。「許して・・・・・・」と昂った声を張り上げながらも体から衝き上げて来るものに耐えられなくなったように、景子は狂おしい身悶えを示しだすようになっていくのだった。表題作をはじめ、全三篇を収録! -
官能文学電子選集 清水一行『会社の女』
食品会社の課長・宮地は妻子持ちの地味な44歳。ひょんなことから20歳以上年の離れた社内の部下と関係を持ってしまったことから心は千々に乱れていく・・・・・・。 食品会社の調査課長である宮地孝雄は44歳、妻と2人の子どもを持つごく平凡なサラリーマンだ。身長も162センチの痩せ型で最近は頭に白いものが目立つようになってきた。真面目さが取り柄のような宮地だが、唯一の楽しみは月に1~2度行きつけのバーで若い女性客を眺めることだった。その日もビールの小瓶を2本空けて、店を出ようとしたところ入れ違いに入ってきた若い女に声をかけられた。赤っぽいセミロングな髪の毛、色白で丸顔、はっとするほど目が大きい。短いスカートから、半ばむき出しにした形のいい太腿がのぞいている。気を取られていると彼女が言った。「課長さん・・・・・・」 彼女は同じ会社の文書課に勤める岡本汐美だった。年は20歳以上も離れている。バーで杯を交わして店を出ると汐美は積極的になり、宮地をラブホテルに誘う。そして宮地も夢中になって若い汐美の体を貪った。宮地は、この数年来、味わったことがないくらいの、まさに目のくらむような快感だった。その日から、すっかり宮地は汐美の虜となってしまう。暇さえあれば、汐美を誘うようになるが、あれほど積極的だった汐美はつれなく断り続ける。宮地は責任を取って、妻子を捨ててもいいとまで考え込んでしまうが、一方の汐美は迷惑そうな顔をするばかり・・・・・・。真面目過ぎる中年男と遊び慣れた若い女の考え方はどんどんすれ違っていく。表題作含め6作の短編集。 -
官能文学電子選集 川上宗薫『肌狩り 好色のカレンダー』
画家の卵である栗橋は、1週間毎日のように、違う女を抱いている。微妙に変化する女の体に、栗橋は日々、新鮮な経験を重ねていく。明日はどんな女が現れるのだろうか。 画家の卵である栗橋は暇を持て余しているが、その時間すべてをガールハントに充てているほどの女好きだ。街に出れば、好みの女子大生に声をかけてホテルに連れ込み、処女を頂戴してしまう。電車で出会ったOLの定期券を盗み見ては偶然を装い、同じ駅で降りて近づく。人妻であろうがフィアンセ持ちであろうが、お構いなし。豊満な体を持つ色っぽい女とうまく事を運んだまではよかったが、これがなんと美人局。怖いおじさんから這う這うの体で逃げ出すことになるのだが、ナンパをやめる気など微塵もない。それどころか、はては高名な画家の娘から母親がかわいがっている学生時代の後輩、それに実の妹の親友にまで手を出してしまう。栗橋の尋常ならない女体への執念の凄まじさには驚かされるばかりだが、それ以上に女性の気をひかせるナンパテクニックの数々は著者の実体験に基づくものというのが定説だ。流行作家になってからは妻子と別れ、中野新橋の芸者と所帯を持ち、銀座の複数ホステスと同棲し、最後は30歳下の音大生と結ばれたという逸話も持つ、官能小説の第一人者である著者の面目躍如の1冊。 -
官能文学電子選集 宇能鴻一郎『女医も濡れるの
女医を目指す「あたし」は医学生だけど、まだ処女。けれども、アルバイト先の病院で数々の変な先生や患者たちにイケナイことを教えられて・・・・・・もう普通には戻れない!? あたしは女医の卵。人間の体に接するチャンスが多いから、アレにも関心が強いの。同僚の女子たちもみんなそう。でも、勉強は忙しいし、意外にチャンスが少ないの。欲求不満をため込んだあたしたち処女軍団は遊び人の男たちに「卒業」させてもらおうと思ったんだけど、あたしは不覚にも失敗。悶々とするあたしに病院でのアルバイトが舞い込んだの。でも、そこは男性器増大や包茎手術専門の病院で、しかも院長が大のスケベ。あっという間にあたしの純潔は奪われちゃったわ。ううん、それだけじゃないの。包茎の童貞くんに頼まれて、「オトコ」にする手伝いをやらされたり、増大しすぎて、勃起したままの暴力団員らに「責任をとれ」と言われて代わる代わるお相手をさせられたりと散々。新しいバイト先の病院は処女膜再生手術専門で、そこの院長先生もとんでもないの。麻酔で眠らせた大勢の処女を奪いながらも処女膜を再生するから大丈夫だ、なんてほざくのよ。同僚のミツ子さんと組んでこの悪徳医師を懲らしめようとしたんだけど、逆に快感に目覚めちゃって・・・・・・もう変態ばっかり。ほんとうに女医になれるのかしら。 -
養生おむすび「&」 初めましての具材は、シャモロックの梅しぐれ煮
青森の長閑で美しい景色のなか、キッチンカー「&」は今日もまた店を開ける。無愛想な店主の柴田は、悩める客一人ひとりのために選んだ具材で、できたてのおむすびをそっと差しだす。その味は、お客の背中を後押ししてくれるような不思議な優しさに満ちている。市川茉奈もまた、仕事の行き詰まりが元来の小食に拍車をかけるなか、キッチンカーに出会う。一見ぶっきらぼうな店主に面喰らいながらも、おむすびを握る姿は穏やかそのもの、しかも味はとびきり美味しい! その丁寧な仕事ぶりに感動すら覚える茉奈に突然、店主は「お前、市川だろ」と言い放つ。すでに茉奈のことを知っているようで!? -
現代語訳 平家物語
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の書き出しで知られ、現代までの日本文学、芸術に大きな影響を与え続ける古典中の古典『平家物語』。人情小説、大衆小説の名手・尾崎士郎による現代語訳を新字新仮名遣いで読みやすく完全電子書籍化。 ■目次 第一巻 序詞(祇園精舎) 殿上の闇討 鱸 禿童 一門の栄華 妓王 二代の后 額打論 清水炎上 東宮立 殿下の乗合 鹿ヶ谷 鵜川の軍 願立 御輿振 内裏炎上 第二巻 座主流し 西光被斬 小松教訓 少将乞請 教訓 烽火 新大納言流罪 阿古屋の松 大納言死去 徳大寺の沙汰 山門滅亡 善光寺炎上 康頼祝詞 卒都婆流し 蘇武 第三巻 赦文 足摺 御産 公卿揃 大塔建立 頼豪 少将都帰り 有王 辻風 医師問答 無文の太刀 灯籠 金渡し 法印問答 大臣流罪 行隆の沙汰 法皇被流 城南離宮 第四巻 厳島御幸 還御 源氏そろえ 鼬の沙汰 信連合戦 高倉宮園城寺へ入御 競 山門への牒状 南都への牒状 南都返牒 大衆そろえ 橋合戦 宮の御最後 若宮御出家 通乗の沙汰 鵺 三井寺炎上 第五巻 都うつり 新都 月見 物怪 大庭が早馬 文覚の荒行 勧進帳 文覚被流 伊豆院宣 富士川 五節の沙汰 都がえり 奈良炎上 第六巻 新院崩御 葵前 小督 廻文 飛脚到来 入道死去 経の島 慈心房 祇園の女御 洲股合戦 嗄声 横田河原合戦 第七巻 北国下向 竹生島詣 火打合戦 願書 倶利迦羅落し 篠原合戦 実盛の最後 牒状 主上都落 維盛都落 忠度の都落 経正都落 一門都落 福原落 第八巻 山門御幸 宇佐行幸 緒環 太宰府落ち 征夷将軍の院宣 猫間 水島合戦 瀬尾の最後 室山合戦 鼓判官 法住寺合戦 第九巻 小朝拝 宇治川 河原合戦 木曽の最後 樋口被斬 六箇度合戦 三草勢揃え 三草合戦 老馬 一二の懸 二度の懸 坂落し 盛俊の最後 忠度の最後 重衡いけどり 敦盛の最後 浜軍 落足 小宰相 第十巻 首渡し 内裏の女房 院宣請文 戒文 海道下り 千手の前 横笛 高野 維盛の出家 熊野参詣 維盛入水 三日平氏 藤戸 第十一巻 逆櫓 勝浦合戦 大坂越 嗣信の最後 那須与一 弓流し 志度浦合戦 壇の浦合戦 先帝御入水 能登殿の最後 内侍所の都入 一門大路渡され 文の沙汰 副将被斬 腰越 大臣殿被斬 第十二巻 重衡被斬 大地震 平大納言被流 土佐房被斬 判官都落 六代 六代被斬 灌頂の巻 大原入 大原入御 大原御幸 解説 -
官能文学電子選集 高竜也『女囚・圭子』
渇いた欲望が渦巻く女子刑務所。看守の淫らな命令にも従わざるをえない。殺人罪で服役中の圭子は脱走に成功するが、逃げる圭子に淫獣たちの魔の手が迫る。 女子刑務所に服役中の圭子の罪は殺人罪だ。当分の間、男の肌とは触れ合えない。愛する淳三としたい。思いはそれだけだったが体は正直だ。自ら看守長の三村を誘惑し、三村の大きいモノを迎え入れて絶頂に達する。しかし、その一部始終を女看守に見られており、今度は女看守の命令で女同士のプレイを強いられる。ところが別の刑務所に移されることが決まり、乗った移送車が土砂崩れで横転、その隙に圭子は脱走することに成功する。飢えた圭子は若いカップルを襲い、女を縛りつけて目の前で男の肉棒を堪能する。トラック運転手も誘惑し、獣のようなセックスを貪った。もっともカネなどない。食べるためには稼がなくてはならない。圭子がもぐりこんだのは売春宿だった。初めての客はヤクザも恐れるという悪徳刑事の黒田だった。さんざんおもちゃにされた挙句、黒田の情婦にされた圭子に試練が訪れる。不良少年たちに代わる代わるレイプされたかと思えば、黒田の企みで4人のヤクザに輪姦された。黒田は最初から圭子を海外に売り飛ばすつもりだったのだ。自ら脱走囚であることを黒田に告白した圭子だったが、黒田はすでにお見通しだった。このままでは異国の地で一生を終えることになる・・・・・・黒田におもちゃにされながら圭子は黒田の拳銃に手を伸ばしていた。 -
官能文学電子選集 睦月影郎『麗嬢 熟れ肌の匂い』
田舎の学校に巨乳の美人教師・友美子が赴任してきた。学校内で唯一の男子である耕太はすっかり友美子に魅せられてしまうが、幼なじみの先輩・咲子も悩ましい。 都会から離れた学校に、美人教師が赴任してきた。23歳の友美子先生だ。しかも、はち切れんばかりの巨乳の持ち主だけに、耕太は一目見てすっかり友美子に魅せられてしまう。一方で耕太の幼なじみで先輩でもある咲子にも友美子とは違う魅力があるため、捨てがたい。とはいえ、女性をまったく知らない童貞の耕太は猛る股間を持て余し、自慰行為で発散するしかなかった。あるとき、授業中に友美子が倒れてしまう。友美子の下宿先に見舞いに行った耕太は寝ている友美子に興奮して、巨乳にむしゃぶりついてしまう。意識朦朧となりながらも、友美子はキスしてくれた上に手で耕太のモノをしごいてくれたのだ。そして秋祭り。大粒の雨に降られ、耕太は秘密部屋としている納屋に友美子を連れて雨宿りすることに。そして感激の初体験を済ませることに成功するのだが、それを機に友美子の下宿に夜這いをかけても拒まれることもなく、校内で耕太がいたずらをすると潤んだような目でどんなことでも応じるようになっていく。また、初体験を済ませたことで自信をつけた耕太は咲子にも果敢に迫っていく。咲子の両親がいない間に咲子の部屋に上がり込み、拝み通してからの口内射精、そして初合体。当初年下の耕太をバカにするような口調で罵っていた咲子に変化が見られるようになっていく。体を重ねていくうちに咲子は耕太に好意を抱くようになっていたのだ。美女二人の芳香を求めてやまない耕太の顛末は・・・・・・。 -
官能文学電子選集 川上宗薫『色狩り』
神谷はサラリーマンで大のつく女好き。口八丁手八丁でホステスから女子大生、未亡人、看護師、女教師、美容師らを篭絡、快楽の海に溺れていく。 神谷は30歳のサラリーマンである。1か月のうち女が欲情している日を当てるのが特技だと自負している。道を歩いていても、会社の中ですれ違っただけでも、欲情していると目を付けた女を見つければ、片っ端から声をかけてベッドに誘い出すのが癖だ。今宵のターゲットは上司に誘われた新宿のバーでホステスをしていた友恵だ。発情していると確信した神谷だが、その日は思いかけず、かわされてしまう。それでも目を付けた女は必ず落とすと決めている神谷は翌日、電話で友恵を誘い出すことに成功する。深夜の鉄板焼き屋でいいムードになったが「排卵日だから」と固辞する友恵。「携帯用のビデを持っているから」と返す神谷。神谷の熱意についに股を開く友恵だったが、客と寝るのは初めてだという。聞けば、同棲している男がいるのだが、嫉妬深く浮気がばれようものなら暴力を振られるうえにインポテンツでもあるというのだ。「一度寝た女とは二度と寝ない」ポリシーの神谷が次に目を付けたのは同じアパートに住む女子大生の尾崎伸子だった。女子大生が好みそうなイタリアンレストランに誘うとホイホイとついてきた。ピザと赤ワインで酔わせてダンスホールで踊っていくうちに抱きついてくる。簡単にものにできると踏んで旅館に誘うも「それは嫌!」という。なんと彼女の好みは外ですることだった。芝生の上で貪りあう二人。金網のフェンス越しにはカップルが多数いるだろう。警察官に見つかれば声を掛けられるかもしれない。そんなスリル感が二人を燃えさせるのだった。神谷の次のターゲットは同じ会社に勤める大崎幸子だった。右瞼は常に二重なのに、左瞼は一重。その一重瞼が時折二重になることに気付いた。見るとどことなくふっくらと色っぽく、桜色に染まっているではないか。その時こそが欲情のサインだと見抜いた神谷は外線で会社にいる幸子に連絡を取り、近くの喫茶店で落ち合い、あっけなくベッドインに成功する。しかし、グラマラスな肢体を持つ幸子だったがテクニックはいわゆる“マグロ”だった。いきり立っていた神谷のモノが急速に萎んでいくのが自分でも分かった。幸子の左瞼は一重に戻っていた。 7つの物語をまとめた短編集。 -
官能文学電子選集 岩井志麻子『トロピカルな淫猥』
東南アジアを舞台に元AV女優や風俗嬢など過去にわけありの女たちが、“女の性”に葛藤しながらも痴態の限りを尽くし、快楽に溺れ続ける。 シンガポールの代表的なホテルといえばラッフルズホテルだ。この名門ホテルのバーが元AV女優・福岡まりんのお気に入りの場所だ。時折、日本人観光客にうっすらと素性がばれることがあっても気にしない。AV女優とは気が付かないまでも、華奢なのに乳房だけ盛り上がったまりんは男たちの視線を引き付けるほど目立っていた。現地の中華系の大金持ちの息子であるリーが現在の恋人だ。しかし、リーとの出会いは最悪のものだった。同じ語学学校に通っていた派手で遊び好きな女が、まりんを元AV女優と気付いて中華系の金持ちの男たちに売ったのだ。日本のAVはシンガポールでも人気があるからだ。だまされて、彼らの待ち構えるチャイナタウンの豪華マンションに連れて行かれる。そこにはリーのほかに二人の男がいた。マリンをだました女は吐き捨てる。「好きにしていいよ、この女」。AVでは複数プレーもSMもレズも経験済みだったが、それらはあくまで仕事。報酬をもらって合意の上だ。しかし、異国で拉致監禁みたいな真似された上で輪姦など、完全な犯罪である。 しかし、まりんは開き直った。怒りに燃えた。自ら裸になって彼らを一人ずつ相手にしてやった。やられたのではない。こちらから、やってやった、のだ。あまりのテクニックに彼らは降参してしまった。特にリー。なんとまりんを恋人にしてしまうのである。そんなあるとき、まりんが世の中でもっとも憎んでいた、自分を捨てた実母が所用でシンガポールにやってくるという。運命の再会を果たしたまりんの心に去来したものとは・・・・・・。 この「熱帯性熱情的寝室」を含めた7編のオリジナル短編集。 -
官能文学電子選集 阿部牧郎『情事の脅迫者』
大手化粧品会社を舞台にモデルとの情事というスキャンダルを握られた杉山専務。部下の竹内啓一郎が自らの体を武器に犯人を追い詰めていくのだが・・・・・・。 銀座化粧品の宣伝制作主任である竹内啓一郎は、スタジオでイメージガール候補の江崎まゆみと甘美な情事を楽しんでいた。そこに青山勇吉と名乗る謎の男から電話が入る。竹内の強力な後ろ盾である杉山専務が元イメージガールで現在はモデルとして活躍している水谷アリサとのセックスシーンを撮ったという。ネガを返してほしければ5000万円支払え、拒絶すればマスコミに写真をばらまくとの脅しだった。次期社長の椅子を目前にした杉山の窮地を救うため、竹内はさまざまな女性たちと関係を持ちながら情報を集め、青山の行方を追うのだが、その竹内にも罠が仕掛けられていた。竹内が水谷ありさと関係を持った翌日にアリサの死体が発見され、さらには竹内とアリサのセックスシーンも撮られていたのだ。追い詰められる竹内だったが、ようやく青山の正体を暴くことに成功。青山と対峙するのだが、そこで思わぬ出来事が起きたのだった。そして、アリサを殺害した意外な犯人とその動機も明らかになる・・・・・・。 -
ローエングリン
ドイツ西部のブラバント公爵領では、先代の公爵が、娘エルザと息子ゴットフリートを残して死んでまもなく騒動が。エルザと散歩に出たゴットフリートが森の中で行方不明になる。これは魔法使いオルトルートが彼を白鳥に変えてしまったためである。が、オルトルートの夫で、公爵領を手に入れる野望を抱いていたフリードリヒ伯爵は、これを好機とばかり、エルザを訴える。エルザが弟を殺して領主の地位を手に入れ、秘密の恋人を宮廷に引き入れようとたくらんだのだ、というのである。たまたま来訪したドイツ国王ハインリヒが決闘でその決着をつけることになった。フリードリヒの相手はエルザの祈りに白鳥に曳かれた小舟に乗って現われた騎士「ローエングリン」だった……。
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