小説作品一覧
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-失業した久世は、元上司の未亡人・治子が経営する連れ込み旅館に居候している。ひも生活の慰みにと、客室に集音機を仕込んで盗聴しているうちに、ある会社の労組絡みの無理心中事件に不審な点があることを知った。好奇心を覚えた久世は、私立探偵を名乗り、治子とともに関係者を調べ始めるが……。昭和30年代の東京を舞台にした長編ミステリー。
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3.0※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 どんな世界なんだろう……。考えすぎてませんか? あなたに贈る絵本です! ーー何かと考えすぎてはいませんか? 考えるべきこともあるでしょうが、考えなくてもいいことも、またあるのです。考えすぎるあなたに代わって、考える小説家・原田宗典が、考えに考え、考え抜いた末にたどり着いた、考えない世界とはいかなるものか? イメージ豊かなかとうゆめこの絵とのコラボレーション。
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-普通の人妻や主婦が書いた初めての不倫体験や年下男との性体験などの性体験告白手記など、女性の体験告白を集めた素人性体験告白手記集。たくましい男性の体に魅入られた女性の性欲が爆発する体験手記集です。!※この電子書籍は「官能私小説(10)」を電子化したものです。※収録作品:「母性より獣性」「バイブの感触」「欲情の匂い」「レイプごっこ」「女教師と教え子」「子宮が騒ぐ日」「◆主婦が描いた掌編官能小説 老人フェロモン、荒淫の日々、アダルトグッズ、背徳の剃毛戯、危険な女生徒」「異常な性遍歴」「SMドキュメント 優しい男しか知らぬ私が四十歳にして知った怖い男の性的魅力」「バイブの使用法」「愛しい変態男」「発情五十路」「おんな勝負師」 ◆熟年婦人の独り言「殿方の視線が心地よい露出ルックで大興奮!」「好奇心に駆られて触れた肛門の快楽に溺れて」「70歳でやっと週一性生活から解放されました」「剃毛で快感倍増!ハイレグ水着のおかげです」「初めてのパチンコ体験が私の欲望を刺激した」「助平爺が教えてくれた「目隠し淫戯」で大興奮」「セクシー下着を主人に褒められて大ハッスル」「子供達の心配顔を横目に70歳過ぎて恋する悦び」「強引にアヌスを弄られて得た初めてのアクメ」「私の人生を台無しにした夫に復讐をした夜!」「俳句会で紅一点。男の視線が私を若返らせる」「半分死んでいる夫を溌溂させた「ラブホ巡り」」「男根喰い放題」「高慢妻が泣く時」「夫の写真趣味」「年増女の怨念」「美味しい販売員」 ◆熟女乱倫手記集「私はベンツに乗ったパーキングエリア売春婦」「見知らぬ男との目隠し淫戯で初オルガスムス」「肛門調教で女に生まれた歓びを教えられた私」「毛深男を見かけると欲情する主婦の私の悪癖」「おしゃぶり大好き!勃起は少々臭い方が昂奮」「淫乱の性」「教授の共同便所」「レズ熟女との援助交際」「癒される不倫」
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-SDGsを掲げた世界は、達成目標1年前の2029年を迎えてもなお目標達成できないでいた。 人類も日本政府も努力したが、結局達成には間に合わないことが確実になり、人々は悲観しつつ、その責任を互いに醜く押し付けあった。 だが、そのとき、3隻の女性形女性サイズ移動要塞が進空した。 阿賀野と能代と矢矧。日本政府が一発逆転の目標達成のために建造した女性形女性サイズ巡洋艦三姉妹である。 その彼女たちが秘密裏に配属されたのは、なんと、阿賀北地域の実験都市。 今、人類の運命をかけたSDGs一発逆転達成計画が開始された! 今時困難な近未来SF小説、無理を承知でテイクオフ!
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-舞台は明治時代の新発田。日本を代表するとまで言われた陶芸家・津崎紅山の自宅(通称:椿屋敷)で「お手伝いさん」として働く五十嵐千代は、ある秘密を抱えていた。それは千代こそが津崎紅山の唯一の弟子と噂される人物「紅千」だということ。 明治の陶芸界は男社会。女性である千代は、紅山のもとで素性を隠しながら活動していた。そんなある日、かつて新発田の地を飛び出した陶芸嫌いの弟・清吾が帰郷。清吾にも陶芸をしていることを隠していた千代は内心穏やかではいられない。一方、「紅千」としては作品を展覧会に出すチャンスが訪れる。ただし、そのためには会場に顔を出し作家として在廊しなければならないと言われてしまう。悩んだ千代が選んだ方法とは…? すれ違う姉弟の愛情と、男社会の波に揉まれながらも、己の生き方を見出そうと葛藤する姿を描いた歴史小説。
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3.0異様な風習を持つ村にやってきた安彦少年は次第と究極の快楽を求めるようになる。姉と慕う従姉・奈美子を愛し始めるのだが・・・・・・。 両親を喪い、叔父夫妻の住む村にやってきた羽仁安彦は同級生の神主の息子である大月昭吾とすぐに仲良くなる。安彦に誘われ、自宅に遊びに行くと座敷牢に入れられた姉・光子の姿があった。何度か家に行くうちに病的なまでの妖艶さを持った光子は目をぎらつかせ、自慰を始め、安彦に卑猥な限りを尽くす。衝撃を受けた安彦は異常ともいえる性に目覚め、安彦と同様両親を喪い東京から転校してきた同級生のめぐみを卑猥に虐める一方で、村に出戻ってきた23歳の元人妻・小夜子に誘惑される。しかし、安彦ははじめから村に帰省していた年上の従姉である奈美子に心を寄せていた。なんとか距離を束付けようとする安彦だったが、奈美子は安彦のことを弟としか見ていなかった。奈美子は全寮制の学校に通っていて、寮に戻る日に安彦に手伝いをして欲しいと懇願し、女子寮に連れて行かれる。そこで知り合ったのが奈美子の同級生の恵理子が学校案内を買って出てくれたのだが、テニス部の部室で安彦は恵理子に誘惑され、童貞を失うこととなる。その晩、恵理子の誘いで女性達が集まる謎のパーティーに連れて行かれ、磔にされる。そしてまだ処女である女生徒の貫通式の相手をさせられる。そこに光子が過激な自慰の結果、突然死んでしまう。村に戻った安彦と奈美子に魔の手が襲う。それは昭吾の仕業だった。最後の最後に驚くべき真実が明らかにされる。安彦と奈美子の運命はいかに・・・・・・。
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5.0父の仇討ちの旅に出た城下一の美人姉妹だったが、本懐を目前にこともあろうに仇に捕まってしまう。そして陵辱の限りを受けるのだが・・・・・・。 江戸から明治に世の中が変わっていくところ、伊豆・長岡の荒れ寺に坊主のふりをして住み込んだ半次郎が、有料の世相講釈で、村人や山賊の人気を博していた。会津出身で、若松城が落ちてから流れてきたのだが、実は官軍との戦の中で、指揮官と主を仲間の甚八と共謀して殺害していた。勝てぬ戦を前にしてふたりの首を官軍に差し出し、褒美を得ようとしたのだ。が、主を裏切ったふたりは武士の風上にもおけないと官軍からも追われる。ケンカ別れのあと三島の女郎屋に身を潜めていた甚八から、久しぶりの連絡が入る。殺した主の妻の志乃とその妹美雪、指揮官の息子の梅三郎が仇討ちのために、近くまで来ているというのだ。志乃は会津白菊隊の隊長だった。討ち死にしたと思っていたが、生き延びていた。白菊隊の隊員だった美雪ともども、腕がたつ。そこで甚八たちは山賊に助っ人を求め、三人を待ち構えるのだった。ところが、本懐を前に、志乃、美雪らは半次郎たちに捕まってしまう。そして陵辱の日々が始まる。心では嫌悪しているものの、次第に身体は正直に反応していく。甚八に犯されながらも、志乃は熱病に冒されたように全身をぶるぶると震わせる。そして、甚八が鋭くうめいて射精する。志乃は熱い男の体液が激しい勢いで自分の体内に放出されたことを知覚すると大きくうなじをのけぞらせるのであった。
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-小さな出版社で雑誌編集者をしている響子はとにかくクールだ。男と寝ることも平気だ。しかし、そこに至るまでにはある過去が隠されていた。 26歳の雑誌編集者・瀬尾響子はとにかくクールだ。数年間つきあっているている夏夫と激しい一夜を共にした翌日に彼から3年のニューヨーク赴任が決まったと告げられても、微動だにしないほどだ。実は響子には過去に激しい恋をして激しく傷ついた経験があった。女子高生時代に、父・洋一の会社で片腕だった妻子持ちで一回り年上の矢部俊介に心惹かれるも、母・亜似子から猛反対される。表向き「妻子持ち」が理由だったが、実は母親と矢部の間に何かがあったらしかったからだった。そのことを知った響子は怒り、母と矢部を軽蔑する。そして、その直後に亜似子が急死。自暴自棄になった響子は好きでもない大学の同級生に抱かれて処女を失う。それからは奔放な性に目覚め、夏夫と別れた後は取材で知り合った人気俳優の加納満と付き合うもスキャンダルに巻き込まれてしまう。自暴自棄になった響子は編集長の橋本とも一夜を共にしてしまう。そんな状況で響子に救いの手を差し伸べたのは偶然再会した、あの矢部俊介だった。父が引退した後に会社を引き継いだ矢部は事業を大きくし、敏腕経営者として各方面に人脈を持つ大物になっていた。そして私生活では離婚し、独身に戻っていた。そして、時間を重ね合ううちに、響子の心は次第に昔を思い出していき、最後は・・・・・・。性が愛の究極なのか、それとも愛が性の究極なのか。一人の「バリキャリ」レディーが性の遍歴を重ね、真実の愛を掴むまでを描いた、著者の長編デビュー作。
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-S商事の営業二課の課長代理をしている上杉は妻子持ちだ。職場の花だった部下の西原順子と時間を過ごすうちに深い仲へと発展していく。 行きつけのパブに立ち寄った上杉は、すぐ近くで部下の女性社員たちが猥談をしている場に出くわしてしまう。「(うしろの穴は)やっぱりナメナメしてあげたほうがいい。タマのほうにかけてそうすると、男性なんかもうー」。あまりのあけすけぶりに呆れる上杉だったが、その中に部下である西原順子がいるのには驚いた。順子は職場の花だったのだ。しかし、二人で話をしてみると猥談は先輩女性社員に無理矢理付き合わされただけで、実際は実家暮らしで両親からの束縛が激しく、会社で拘束され、盛り場へ出るときも同僚と一緒と、毎日息が詰まる生活を送っていた。そして、言葉巧みにホテルに誘うも上杉が妻子持ちであることを理由にセックスは拒む。その代わりに口で上杉の下半身に奉仕する。達者ではなかったものの、一心なその姿が何より刺激的だった。順子もいけないとわかっていながらも上杉に心を奪われていく。上杉が順子の実家まで送っていったある晩、両親の束縛にいよいよ耐えきれなくなった順子は自ら上杉を求め、実家近くの公園のベンチでついに結ばれるのであった。この「夜の暦」はじめ、オフィスを舞台にした珠玉の10作短編集。
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-悪夢か? 現実か? 「侍従」と称する中年男に、毎夜、誘(いざな)われて、平凡なOL・小金井依理子がさまよいこんだ、不可思議な性の世界……。そこで、謎の美女・徳乃本夫人に、女同志の愛を教えられた依理子は、突然姿を消してしまった夫人のあとを追って、徳乃本もと侯爵の宏大な邸に忍びこんだ。逞しい青年を愛撫する侯爵、犬を相手に孤独なセックスを楽しむ料理女、奇怪な蝋人形館に閉じこめられた少年……。悪魔の館に棲む人々を垣間みた依理子を最後に待ちうけていたものは、残酷な初夜の儀式だった……。女性の欲望を利用して巧妙に仕組まれた犯罪の罠を描く長編小説。
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-新幹線の車中で、美しい和服の女が発病した。医師と名乗る黒背広の男に治療をうけた彼女は、京都で下車した。が、その瞳はどこか虚ろだ。ルポライター・渋谷は、彼女を尾行する。それは、奇怪な体験であった。京都の有名な料亭の若夫人である彼女が、娼婦のように彼に身を任せたのだ。しかも彼女は、その悦楽の情事を一切記憶していない、という。この日から渋谷の周囲に「夢魔」にあやつられた女たちが、続々と登場する。女は鍵言葉(キー・ワード)で、やすやすとその白い肉体を開き、没我の欲望に狂うのだった……。深層催眠を利用して女体を弄ぶこの「夢魔」の正体を渋谷は追う……。
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4.0
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-夫を寝取られた妻の惨めさを、智子は、光子によって味わされた。その光子は、智子の親友だった。ダンスホールで知り合った住田という男と、官能をくすぐり合うゲームのような逢引きを繰返しているうちに、智子の心の中に、光子への殺意が高まっていった。その殺意は、夫への愛の証しでもあったのだが、やっかいなことに、光子を消す計画に、殺し屋の役を引き受けたのは、住田であった。……愛とセックスのメカニズムを、心理的なスリラー・ドラマのかたちで描き出し、孤独な現代人の荒涼たる心の風景をのぞきこんだ、ユニークな長篇小説である。
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-ユダヤ人の老貿易商であるミスター・ウィリアムから、世にも不思議な「悪魔の印鑑」を預かった公認会計士の本田俊一郎は、この10年、妻以外の女性とは交渉を持ったことのない生真面目な男であった。しかし、女性の体に押しつけると巨大な悪魔のセックスと化す象牙製の印鑑を手にしてから、本田の夜の生活は一変した。外人相手のコール・ガールを手始めに、喪服の似合う未亡人、美貌のダンス教師、女優の卵、沖縄海洋博外国館の女、と実験を重ねていくうちに、すっかりその魔力の虜となってしまったのだ。ついには、姪の奈奈子や妻の紀美子までをも渦中に巻込んでの女遍歴の果てに……。
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-肥前唐津藩の元御馬廻役・松村金太郎は、今では突っかけ草履の小粋な兄さん、人呼んで「わざくれ橋の金さん」だ。武士稼業はすっぱりやめてはいるけれど、実は、主君・小笠原長行の内命を受けて、ひそかに藩のため働いている……。ある春宵、将監橋の上、唐津藩の内紛で長行の反対派にまわり、藩侯の里方・信州松本藩と手を結んで、藩論を朝廷方に傾けようと企む奸人で、義兄の仇でもある周施方・長谷川番作をバッサリ。ーー粋でいなせな金さんが、同じ脱藩・小南敬助らと協力、小笠原長行を扶けて東奔西走の活躍。剣雲、侠気、哀恋が織りなす、子母澤寛会心の幕末傑作長編! <全3巻>
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-《私》は、大学病院の若い精神科医。患者の丹野明夫は、人妻殺しを《私》に告白し、フミコという名に激しい心理的な反応をみせた。が、被害者であるはずの大和田緋那子は、健在なのだ。彼女は、美貌のパイロット夫人だった……。《私》は、患者の告白の謎を追わねばならない。丹野の恩師・宮川教授を訪れると、教授はフミコの名に動揺をみせた。《何かがある?》……。一方、緋那子の夫・大和田は、失速・墜落の幻想に悩みつづけているという。冷えた夫婦の陰影が漂っていた。 やがて、丹野の水死、ジェット機の炎上と事件は続発する。《私》の前にも白い靄がかかった……。
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-あまり人のいかないハイキング・コースの途中で病気になった楠田は、一軒の草深い古別荘に犬と住む由緒ありげな女に、一夜介抱された。その妖しい魅力にひかれ再び訪ねた楠田と、女は「お茶でものむように」交わる。一方、楠田の恋人・順子は、片貝助教授を知り、その家柄や名声に酔わされる。片貝を取り巻く女性は多い。彼は、財界に名の通った湯浅社長の娘・治子を選び、結婚式を挙げるが、新婚初夜を待たずに、治子は伊豆の別荘から恋人・昭夫と脱走する。そのとき、片貝がそこで幽霊のように見たのは、教え子の楠田に付添われて立つ古別荘の女であった。俗物への諷刺をこめて、愛と真実を追求する長編小説。
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-夫の帰還を待ちわびながら、女代議士としてヒロポン絶滅を叫び、社会悪と闘う香川文江の姿を通し、人生の哀歓を訴える傑作。
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-暁子は、手術直後の苦痛に歪む秋山の唇に、しずかに自分の唇を重ねた。秋山の胃ガンが絶望的な状態になっていることを知った彼女は、そうすることだけが、友だちとしての祈りであり、励ましであると信じたからだ。彼女自身も、郷里の家の束縛を逃れた東京での彷徨によって、心に深い傷を負っていたのだが……。暁子の冒険にみちた経験をカメラ・アイとして青麦のように、あざやかな色とむんむんする匂いを持つ、折れやすい若者たちの愛と真実を捉えたこの作品は、人生の地層を流れる清冽なものを、多彩な手法で探った、青春文学の名篇である。
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-母の残した背徳の傷痕ゆえに、愛をも捨て、憎悪と怨念の石礫を浴びて、贖罪にのみ生きねばならぬ、哀しくも美しい女のさだめ――中桐晶子は、淡路島へ向う船に、傷心をゆだねていた。若い男と蒸発し、淡路島の小料理屋で働いていたらしい母の宮子が、ゆきずりの客を情交後に腰紐で絞殺、睡眠薬自殺を遂げた。客は、奈良の一刀彫り美術商・宗方春之と判り、ゆきずりの無理心中とみられた。宗方春之の妻・志津は激怒した。詫びる晶子に、ちぎった数珠を投げつけ、母親・宮子の罪をつぐなえと叫んだ。そして、晶子は、母の贖罪のために、宗方家の長男・知之の嫁として、志津の前にさらされることになった……。女の憎悪と怨念の石礫を浴びせる志津、女の愛も捨て贖罪にのみ生きる晶子の、哀しくも美しい日々を描く。
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4.5著者長年の実地調査を基に、幕末の風雲狂乱の渦中にあって誠心一徹の生涯を貫いた男たち。近藤勇、土方歳三、沖田総司らの人間像を描破、新選組の全容を史実の壁に彫り刻んだ子母澤寛の代表作ーー幕末、江戸幕府の浪人対策の一つとして結成された浪士組は、本拠を京都・壬生に置いて、禁門警護の任につき、市中見廻りの役に当たった。勤皇か佐幕か、開国か攘夷か、国論はまっ二つに割れ、世はまさに日本国あげての動乱の時代であった。この時期、幕府への至誠一徹、暗殺剣の名をほしいままにし、尊攘志士をふるえあがらせた「新選組」の隊士たちは、その青春をいかに生き、その命と魂をいかに燃焼させたのか……。著者みずから長期にわたって新選組所縁の地を訪ね、あるいは古老の談を聴取して得た記録を基に、新選組結成から最後までの真のすがたを史実の壁に彫り刻んだ会心の力作。
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-正確な株式銘柄情報に、自分の誇りを感じている佐川にとって、最近は、憂鬱の連続であった。勤め先である<週刊東京情報>に書いている彼の推奨銘柄が、外れ続けているのだ。失意の佐川は、しかしある日、耳寄りな情報を得た。河松製作所に中共から、大量のブルドーザーの発注があったという。佐川はこの情報に、情報屋としての誇りの全てを賭けた。推奨原稿を書く一方、借金して河松を20万株買い込んだのである。……兜町に生きる男の栄光と悲哀を描く標題作のほか、苛烈なビジネス戦争の実態を生々しく描く異色企業小説3篇を収録。
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-映画スター・千坂京子は、無名だった頃、お金のためにヌードを撮らせたことがあった。教育のない彼女は、人一倍知的なものに憧れたのに、世間はその1枚のヌード写真のために、彼女に肉体女優の烙印を押した。京子は、あるときは烙印の痛みから逃がれるために、あるときは自分が高められると信じて、つぎつぎに、男の胸の中に顔をうずめた。男たちは、それぞれに、彼女の中に光を放っている純粋さを知っていた。しかし、京子の魂は、どの男によっても、安らぐことができなかった。……幸福を空しく追い求める美貌の女の短い生涯を、乾いた叙情で歌いあげた名作!
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-大学の医学部教授・仁王慶一郎は、主治医として、国光家に行くことが多かった。彼は、国光夫人・安芸子の、憂いに耐えた姿に、惹かれることがあった。ある日、仁王は、その秘密に、かかわりを持つ。主治医としての立場に、とどまることができなかった彼が、その秘密の糸をたどって行くうちに、戦争の前後に起こった、幾つかの悲しいできごとが甦ってきた。しかも、それらは、彼自身の家庭とも、関係があった。八丈島、熱海、九州・飫肥という3つの火山地帯を結ぶ、愛と憎しみの歴史を描きながら、現代に失われた心の問題を、執拗にさぐった、清冽な美しいロマン!
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-主婦が書いた性体験告白手記集など、女性の体験告白を集めた素人性体験告白手記集。アナル姦、SMプレイ、不倫、近親相姦など、普通の主婦がはまってしまった過激な性体験のエピソードが満載です!※この電子書籍は「官能私小説(9)」電子化したものです。※収録作品:「老人の性欲」「十年ぶりの性交」「熟女マニア」「性癖の覚醒」「夫婦交換の夜」「黒い欲望」「◆主婦が描いた掌編官能小説 淫溺の人生、同性への片想い、美少年の股間、甦った女の悦び、おしゃぶり奴隷」「不倫女の暗黒面」「初不倫で縛られて…主婦の私の人生を変えたたった一本の紐!」「熟女の淫乱開花」「可愛い淫魔」「変態亭主」「離婚の準備」◆熟年婦人の独り言「ショーツを盗まれ何故かドキドキする私です」「性感倍増!目隠しエッチで充実した夫婦生活」「私も夫も大興奮!ラブホテル初体験で大悶絶」「憧れの義兄と一夜を共にした亡き姉の一周忌」「念願のバイブを入手した五十五歳の私の狂乱」「ダンス教室で久しぶりのスキンシップに興奮」「私をよろめかせた冴えない男の優しいひと言」「気分が一新!派手な下着を着けることの効能」「役者の追っかけをして見えた己の馬鹿さ加減」「夫が逝ってから私の真の女の人生が始まった」「還暦過ぎて初めて彼氏と呼べる人に逢えた私」「浴室で夫と戯れるローションのヌルヌル刺激」「美しき悪女」「人妻転落図」「離婚女の渇き」「失禁記念日」「女を狂わす男」◆熟女乱倫手記集「覗き少年を捕まえて包茎ペニスを玩弄した私」「酔わせた私をレズ愛戯で絶頂に導いた幼馴染」「覗きで知り合った青年との不倫に狂う私です」「相性は最高!いとこ同士でセックスフレンド」「不倫の弱みを握られてレズ奉仕人にされた私」「お尻でイカせて」「アナル開眼」「“レズ”フェロモン」「素晴らしい不倫」
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-贋札造り、偽装化石師、偽真珠造りという3人の前に、突然姿を現し、そして消える可愛い魔婦。秘密の島に逃れる3人に、死の影が迫る! ゴジラ原作者による傑作サスペンス。
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-青年宰相の名で知られ、戦後、謎の自殺を遂げ悲劇の主人公となった、ある公爵の死因の秘密を描く、ミステリー・タッチの表題作など、全9編の傑作短編集。
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-小ぎれいで素人くさく、何となく御しやすい感じを男に与えるトキは、39歳の未亡人である。村の男たちは、トキの女を意識して蝟集する。彼女の噂は消えることがないが、噂の実体を掴んだものはいない。村人は、未亡人という名に拘束を与えることに、満足があるようだった。しかし、トキは、女であることを十二分に生かして生き泳いでゆく。愛欲のむなしい絆を描いた、巨匠の珠玉長編小説。
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-熱海の温泉旅館に勤める聖子を自活させようとする勝又の愛と、勝又にすがる聖子の愛。相克を繰り返す愛、巨匠円熟の筆。傑作恋愛小説。
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-清純で穢れを知らぬ娘・マリ子は、母の友人の一人息子で、現在は家を飛び出して麻薬密売業者の手先になっている青年・多賀一郎に会って、深い愛着を覚え、彼に自首をすすめて、更生の道へ導こうとするが、ふとした行き違いから、麻薬をもっていたマリ子だけが疑われて、留置されてしまい、一郎は逆に、密売業者の手で大阪へつれさられる。警察を出たマリ子は、家に戻らず、ストリッパーになってまで一郎を救おうとするが、麻薬業者たちの泥沼は、いよいよ深く一郎を引きこんでいく....…。清純な愛で愛する男を救わんとする乙女を襲う、激しい運命の起伏を描く、炎のロマン。
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-堂堀不動産の独身社長・堂堀進六は、男盛りの36歳。生まれは群馬県の貧農の六男坊だが、中学卒後、すぐ上京。兜町の証券会社の小僧をふりだしに、たちまち株で2億円のボロ儲けをして独立した。金には強いが滅法女にヨワイ進六は、自ら「風俗研究科」と称して、女の拓本蒐集を男子一生の悲願とする。東名高速をぶっとばす車の中でのホステスとのカーセックス、全共斗女子大生との同志的「結合」、さては、ガラスの床に座って用をたす女を見上げる猟奇的女研究など……。一盗二卑に徹することを色道修行の信条として、進六は今日も変った女めざして夜の街に出陣する……。
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-夫の面前で何人もの男を転々とする妻、それでも平然と微笑する夫、そんな異常な環境の中で幸福をつかむ妹……。異色の愛欲文学。
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-裕福な家庭の子女が多く通う、一貫校の名門大学の中にあって、田辺信男は、大学から入った上京組だった。大原陽子は、学内でも有名な才色兼備の人だが、彼女が付き合い始めた有坂淳は、どこか陰のあるプレーボーイでよくない噂がある。ある日、陽子の落としたイアリングを信男が拾ったところから、3人の愛が絡みはじめる……。日本が高度成長期に入る時代の、ハイソサエティーな学生生活を活写した傑作。
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-神保羊子は、雑誌の編集の仕事をしている。取材で知り合った作曲家・郷雪生の、芸術家ぶらないナイーヴであたたかな人柄に魅かれ、病気で寝込んだ郷を放っておけずに、徹夜で看病する。その夜以来、郷の胸のなかにも、羊子の姿が強く灼きついて、お互いに愛しあうようになる。そして、結婚の約束をしたふたりの前に、郷が貧乏な留学生であった昔の恋人の密石麗華が、今は実業家の国分夫人となって出現する……。虚偽を許さない若い娘の心に写った「傷ついた世代」の苦悩を通じて、つねに裏切り合いながら救いを求めている、人間の魂の深部とさまざまな愛の想いを、鮮やかに、綿密画のように描きあげた長編小説。
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-関東大震災の翌々年に入隊した、飛田二等兵。2日目にはもう、二年兵たちを相手に大立ち回りをやらかした。除隊後は、宿無しとなったところから這い上がり、あらくれ者を束ね、労働者として教育し、やがて、国家事業を請け負うようになる。昭和のフィクサーで、任侠映画「唐獅子牡丹」シリーズのモデルとなった人物、飛田勝造(東山)の波乱万丈の半生を描く! 高倉健主演の同題映画の原作小説。
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-大学生の卓也は左翼運動崩れ、女子大生を相手に怪しげな闇斡旋をしている。一方、財閥の御曹司・道彦は、怠惰な生活を送っている。汚職の責任を取らされる自殺した父を持つ葉子は、世の中を見返すために、女優として成功するも、道彦が運転する自動車で事故死してしまう……。卓也が相手をする女たち、ゲイ・バーのジャニー、クラブのマダム・文枝など、多彩な人物が登場する、長篇風俗小説。
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-柿本精器の社長夫人・羊子は生来、その美貌に加え、奔放な性格の女性だった。結婚前からすでに男関係があり、結婚後もやまなかった。夫の礼介はこれを知ると激怒し、以来、妻に復讐するかのように隠れて放蕩する。そして、10余年が過ぎた。だが、羊子の乱行はやまなかった。息子の章は、自然にうとんじられた。章にとって心の結びつきは、家庭教師である22歳の青年だけになる。青年と秘かに愛し合っていた女中の喜久乃が、主人の欲望によって犯され、動顛し泣き喚く姿を、少年の章は不安そうに眺めていた……。愛欲の中に潜む人間の業を捉えた、力作長編。
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-高校の仲良し3人の女性がたどる、それぞれの波乱の人生と恋と、そして株をめぐる復讐の物語。なにか重苦しい情念に突き動かされる!
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-赤石定造は、香港で人を買った。定価1円。彼はその男に500ポンドの保険をかけ、阿片を吸わせ女を抱かせることによって彼の精力を涸らし、1週間めに殺すことに成功した。保険金で定造は教会を建て、カトリック信者を装いながら、教会を阿片と売春の巣窟に作りあげた。こうして手始めの「銭」を掴んだ定造は、貿易商社を設立して帰朝し、KK赤石を造りあげ、悪の公式、つまり殺人・脱税・不正輸出などなどによって、あくなき「銭」への欲望を果していく。しかし「悪の公式」は、やはり万能の公式ではない……。「銭」を得るために手段を選ばぬ資本主義の公式を鋭くあばく、長編悪漢小説。
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-期待とおそれに充ちた新婚の宿で、千江子は夫の庄一郎から、彼が戦傷のため男性の機能を喪失していることを打ちあけられた。しかし千江子は、肉体の結びつきよりも精神の交流にこそ真の愛があると信じ、結婚生活をつづけることを誓う。だが、庄一郎の肉体の欠陥は、精神の歪みをも招いていて、夫のいわれのない嫉妬に彼女は苦しめられる。そして、みたされない不自然な夫婦生活の渇きから、千江子は、彼女に言い寄る夫の下僚のプレイボーイ・石川に次第にひかれてゆく……。結婚生活における肉体の占める意味を抉り、奔放な現代愛欲図を描いた長編小説。
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-戦後10年、夏のモードに選ばれ、ドレスに身をまとい、ステージを歩く美女たち……。新時代の職業=ファッション・モデルを中心に、現代社会風俗を著者独特の犀利な筆で描いた興味深い力作。
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5.0孤独なオフィス・ガールの懐に、ふと飛び込んできた1通の手紙が巻き起こす、若い男女の運命を描く。藤澤氏特有の青春文学。
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-はるかゴビ砂漠の発掘現場から、ひとりの男が古生物学者・曾根の館を訪れた。男はいわくありげに巨大で薄汚れた1匹の瀕死の蝶を差し出すが、曾根はすぐに打ち捨ててしまう。しかし蝶は、館の温室に隠れ棲み、やがて美しい少女に姿を変えて、曾根の前に姿を現した。化身の妖しい魅力の虜となった曾根だが、少女の目的はただ一つだった……。映画「ゴジラ」の原作者として知られる小説家が、異形と異能のものたちの蠱惑的な姿を流麗な筆致で描く、4編の幻想譚集。
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-川口と有賀は、予科練上りの米軍通訳という経歴も同じだったし、年齢・性格も似かよっていた。粗暴な米軍人に対する共通した反感が惹き起したある事件を契機に芽生えた友情は、お互いの体内に欝積していく若さと可能性の残滓を確認しあうことで、さらに強固なものとなっていった。二人の若者にとって、未知の可能性はアメリカにしかないもののようであった。綿密な計画がたてられ豪華船に忍び込んだ二人は、満月のハワイ沖で、デッキから相次いで海中に身を躍らせた……。既成社会のモラルの中で、なお若者のエネルギーの純粋性を主張する、著者の野心作5篇を収録。
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-町医者を営む瓢庵先生が大活躍! 人情あり、喧嘩あり、殺しありの時代小説。横溝正史が生んだ人形佐七も登場し、本格探偵小説としての読み応えも充分!
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-生物化学研究所の若き学究・宮原は、街の暗がりで焦っていた。手に持つスーツケースには、たとえようもない邪悪なものの幼生が収まっていたから。追っ手をかわし、早くこれを処分しなければ、人類に明日という日はなくなる。しかし、それはあまりに巨大な力へのはかない抵抗にすぎなかった……。映画「ゴジラ」の原案を担い、怪獣という存在を生み落とした怪奇小説家が、遊星から来た圧倒的な恐怖にあらがう人々を、ミステリータッチで描き出す。
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4.0運は気まぐれなものである。8回表、中屋投手の乱れから、海城高校の1点のリードが危うくなったとき、早崎監督の頭に閃いたのは、度胸のいい刀根英一郎一塁手をリリーフに使うことだった。作戦は当たった。以来、刀根は大型の速球投手として腕をあげ、別所投手の再来とまで注目されるようになった。尊敬するプロの尾上捕手とも口をきく機会をえたが、これは高校野球にあるまじき卑劣な陥穽からだった。プロのスカウトが美辞をつらねて寄ってくる。巧妙なスカウト、刀根家の困惑……。英一郎の心の窓は、いつか同級生の清子に開かれていた……。文壇随一の野球通たる著者の力作。
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5.0一代で堀江酒造株式会社を築き、大阪の財界でも女傑でとおっている堀江ギンは、孫娘の晴子に早くも結婚の相手をみつけるのに、夢中だった。当の晴子は、まだ学生だから、将来の夢と考えている。しかし、堀江家は、代々、女が家を継いで発展してきたから、晴子にもいい養子を、というギンの持論で、ともかく、晴子は見合いをした。相手は、汽船会社の重役のぼんぼん。奇妙なことに、その青年よりも、ちょっと変わっていて口の悪い脇村のほうが、晴子には好ましく印象づけられた。そして、だましうちの見合いよりも、晴子に瓜二つの美しい弓子の登場が、彼女の心を強くゆさぶった……。
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-禁男の館に集った世代の違う女性たちが、封建社会に抗して奔放に生き、様々の人生劇を展開する、現代恋愛白書。読売新聞に連載され、三國連太郎・北原三枝で映画化もされた傑作長編。
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-情痴と愛欲の渦の中に、絢爛と咲き誇るあだ花にも似た女性の姿を、心憎いばかりに描破した、巨匠快心の力作長編――美貌で男を狂わせる女・虹子は一代で成り上がった醜い顔形の実業家・百武達郎の世話になりながら、菓子会社の宣伝マン・薬王寺温と交際、温の二度目の妻を追い出して,憧れの結婚にまで持ち込み、子まで成すが、まったく妻としてのことができず、薬王寺家では浮いた存在になる。浮き上がった虹子は、旧知の小村雪が経営する銀座の「クラブ雪」で働き出し……。普通の価値観で生きることができない魔性の女と、その周辺で悪戦苦闘する男たちを描く。<上下巻>
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-下田・葉山間のヨットレースで3隻のヨットが遭難し、一瞬のうちに、津田は弟と古い友人の秋吉を失った。彼は、1年前、秋吉の妻・昌子と背徳の関係にあった。複雑な感情を胸に秘めて遺体を捜索する津田と昌子……。そして、一周忌を過ぎた大潮の夜、海で死んだ人々の姿が現われるという白浜の漁村の伝説をたよりに、秋吉の母親と津田と昌子は邂逅する。しかし、微妙な愛憎の襞も、喪われたものを悼む感傷も、灰色の海は呑みこんでいく。――男性的叙情の世界を描いて他に比類ない、石原文学の傑作「還らぬ海」のほかに、「貧しい海」「獅子の倒れた夜」「白い小さな焔」「灰波」を収録。
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-晶子は、啓介と、若く物憂い逸楽の夏を、海浜で過していた。ある夕方、残照の中を、喪の半旗を掲げたヨットが、入江に入った。渚へおりた晶子は、初老の船長・外村に出会い、なぜか全身に戦慄を感じた。やがて晶子は、父と外村が、今は亡き母をそれぞれ愛し、叔母もまた外村を愛していた、という隠された過去を知る。ある日、ヨットで沖へ出た啓介と晶子は、突然の嵐で遭難し、偶然、外村のヨットに救われる。外村は、かつて愛した女の遺児との邂逅に運命の手を感じ、晶子もますます、外村に魅かれていった。二人はかたく唇を交すのだが・・・・・・。長編ロマン小説。
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-雨の井ノ頭公園の池に車が落ち、その中で女が死んでいた。残された男もののライターから、婚約者の秋月という男が浮かびあがったが、彼にはアリバイがあった。罠のにおいがした。そのにおいを頼りに、ひとりの刑事が動き始めた。すると、秋月のシロを証明した女が殺され、つづいてその女の部屋で、もうひとり中年の男の屍体が発見された。行方をくらました秋月は、いったい被害者なのか、加害者なのか? ……手さぐりで事件の核心に迫ろうとする刑事の行動の軌跡によって、戦争の傷痕と政治の腐臭とを、生き生きと描き出した、本格的な社会推理小説である。
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-人工授精に使用する精子を提供するアルバイトをする神立晋の精子で、性交なしに妊娠する、看護師のレン。自分の産んだ子が神立晋の子と分かった、名門家庭の妻・三鈴。そして、レンを愛するようになる晋の友人で路上でヤドカリを売る佐治、三鈴の夫・加瀬、医師・四宮……。彼ら彼女らが織りなす愛憎のドラマと、それを横目で見ている小説家・信夫倫太郎は……。力作感あふれる長篇小説。
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-健哉、三和子、十郎の3人の大きな子供たちを抱えてやもめ暮しの西條健吾は、秀れた才能を持つ建築家だが、純粋さの故に世に容れられない。子供たちは、ふとしたことから三島家の美しい2姉妹と知り合い、姉妹の母で未亡人の建築雑誌社社長・房子と父親との恋愛を嗅ぎつける。しかし、房子に横恋慕する評論家・江見は、スポーツランド設計に情熱を燃やす健吾を卑劣に中傷する……。それに対して、両家の子供たちは、その友人たちと協力して陰謀に立ち向い、親たちの婚約を実現させようと活躍する……。恋と夢にあふれたエネルギッシュな若者と理解ある親たちとの、明るいパンチのきいた長篇。
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-サラリーマン生活20数年、国鉄本社の厚生局に勤務する一級課員三十六号俸の目白三平。その日常のおかしみと淡い悲哀、ときとして起こる突拍子もない出来事を描く人気シリーズの7作目。妻に買い物を言いつかった洋装店で目撃した中年男の苦境に同情したために、目白三平は都内を走り回る羽目になるが……という表題作はじめ、11編を収録。
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-昭和30年頃の国鉄に勤めている目白三平は、シマリ家でやり繰り上手の奥さんと素直な2人の男の子と暮らしている。当時の安月給でつつましくも明るく暮らすサラリーマンの生活が、ユーモラスなタッチで描かれている。
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-東都学園大学部Jクラスに新入学した若者たちは、夢と希望にあふれていた。保守党政治家を父とする空手の名人・勝見明、元華族の娘で皇太子妃候補と騒がれたこともある美貌の冴子、日本復帰を叫ぶ沖繩青年・当麻、社長と呼ばれる謎の男・加納、なぜか彼の姿に脅える葉子、ラグビー部の乱暴者・片桐一派……。だが、明るく甘美であるはずの青年たちの、前途は困難である。当麻と冴子は許されぬ恋に苦しみ、勝見と葉子の燃えるような愛も、葉子の暗い秘密のゆえに、苛酷な運命の波に翻弄されていく……。短く華麗に花火のごとく生きて燃え尽きる若い命を、アクションドラマ・タッチで描いた青春長篇。
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-次々と驚異的に記録更新をする天才テスト・ドライバーの邦光良二は、16歳で浅間の二輪レースで優勝して以来、スピードに憑かれていた。自分の運命を賭け、「何かを、この手で捉える」ために危険なレースに挑み、愛する女にも、信頼する助手にも裏切られながら、彼はヨーロッパのレースに参加する。そして、チャンピオンに挑戦する2度目の機会が、ザールで訪れた……。――先を走るチャンピオンを追う。何周目か、赤いフェンダーが後方にすっとんだ。が、その瞬間……。栄光と死を賭けて生きる孤独のレーサーを描く表題作のほか、「虚無と貞節」「鉛の部屋」「リキとタクとルリ」「悪い娘」を収録。
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-山協証券営業部長の美川道三は、熱海の旅館業者・大林、山県たちと組んで、北千住に工場をもつ東部ゴムの株の買い集めに狂奔した――。減配をうわさされるような業績のふるわない不良会社の株を、なぜ、美川たち一派は買いまくっていったのであろうか……。地下鉄工事にからむ工場買収で、33億円という大金が手に入るという情報をひそかににぎった大林たちが、東部ゴム乗っ取りのための株集めの先鋒として、美川をもひきこんだのであったが……。資本主義の裏側に仕組まれた巨大企業の利潤追求のカラクリに敢然と挑戦する、一匹狼の物語を巧みに描く野心的長編。
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-南海の孤島に戦死した父の遺書が、戦後の混乱のなかで異なる人生を歩んでいた兄弟を再会させた。伯父に引き取られた兄の洋一は、大学生活を送っていたが、弟の寛二は、街のチンピラの群に身を投じていた。しかし、寛二には、この世の不正を許せぬ正義の血がたぎっていた。彼の意気を買う人々や兄の支持のなかで、寛二は、街のダニどもに果敢な挑戦を決意した。戦うからには勝たねばならぬ。巨大な圧力に抗し、執拗な妨害にめげず、寛二は、無謀ともいえる闘いをつづけていく……。悪に対する純粋な怒りと人間の不屈の闘志を、一人の若者に托して謳い上げた、長篇小説。
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4.0病院勤めの若い外科医・梅原と、彼の友人でドンファン型の演出家・五十嵐。その二人をめぐって展開する愛の葛藤。恋と野望にゆがむ青春を描く、長編大ロマン。
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5.0仲のいい二人の若い女性が、赤い糸で結ばれていたそれぞれの伴侶、つまり赤い糸で結ばれている「誰か」を見つけるまでを描いた、傑作恋愛小説。
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5.0医学部学生の康子が素人探偵役で事件を解いていく! 新聞記者と老刑事というワトソン役も用意してある、短篇連作ミステリー集。サラッと読ませる職人技が見事!
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-初めて男女共学という、かつてない革新的教育が生まれた時代の、青年男女の哀歓を健康的に描いた家庭小説ーー船乗りの新庄啓作には2人の子供、快活な女学生の翠と中学生の誠がいる。啓作の妹の節子が結婚に失敗し、新庄家の居候になっていたこともあり、翠は周囲の大人たちの恋愛事情に巻き込まれていくことに……。美空ひばり主演で映画化もされた群像劇。
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-正義派で八方破れの高校教師。アメリカ帰りと6尺豊かな巨体にものをいわせて、学校改革に獅子奮迅。文壇の鬼才・石原慎太郎氏が、スーパーマン教師を描き、テレビ化・映画化で大評判の痛快青春小説ーー早春のある日、山々に囲まれた小さな町の高校に、若い英語教師が、赴任してきた。病気で休職している親友の後がまに推されて、やってきた野々村健介だ。田舎町には、さまざまな青春があった。侠気から友人の不良行為の罪をかぶって退校になった少年もあれば、ロメオとジュリエットのように、親に許されない恋人たちもいた。そして学校には、おきまりの派閥争い。野々村は、それらの渦の中で、青春の姿を、自分のからだで逞しく描いて行った。……現代に見失われた、純粋な生き方を、スピーディな筆致で、明るく彫り上げた、石原文学の記念碑的な作品。
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4.0イギリス人の青年が、いまだ開発が始まったばかりのにオーストラリアに渡り、不思議な縁と運に導かれて、釣り上げた鮫の腹の中から見つけた小箱の中にあった、ひと月前のロンドン・タイムスの記事から、オーストラリアの羊毛の高騰を予見し、大富豪になった。そして最後に、日本人の鮫釣り男と大航海に出る計画を語り合う、という綺譚。描写が的確で重層的で読み応えのある傑作。
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