検索結果

  • 羆嵐
    4.4
    1巻693円 (税込)
    北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現! 日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音……。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。

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  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯
    3.8
    三井物産に35年間在職し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった“ヤング・ソルジャー”──自らを山猿(マンキー)と称し、欧米流の経営手腕を発揮した高齢のビジネスマンは、誰もが敬遠した不遇のポストにあえて飛び込む。問題の山積する国鉄の改革を通し、明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から“卑ではない”ほんものの人間の堂々たる人生を、著者は克明な取材と温かな視線で描いた。ベストセラー作品を電子書籍化。
  • 破船
    4.3
    1巻693円 (税込)
    二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。けれども、中の者は皆死に絶えており、骸が着けていた揃いの赤い着物を分配後まもなく、恐ろしい出来事が起った……。嵐の夜、浜で火を焚いて、近づく船を座礁させ、積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に古くから伝わる、サバイバルのための過酷な風習“お船様”が招いた海辺の悲劇を描いて、著者の新境地を示す異色の長編小説。

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  • 男子の本懐
    4.5
    緊縮財政と行政整理による〈金解禁〉。それは近代日本の歴史のなかでもっとも鮮明な経済政策といわれている。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、多くの困難を克服して、昭和五年一月に断行された金解禁を遂行した浜口雄幸と井上準之助。性格も境遇も正反対の二人の男が、いかにして一つの政策に生命を賭けたか、人間の生きがいとは何かを静かに問いかけた長編経済小説。

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  • 破獄
    4.1
    1巻935円 (税込)
    昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和22年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の四度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。

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  • 新装版 北天の星(上)
    5.0
    鎖国令下、ロシア艦が蝦夷地に来襲。五郎治と左兵衛は、オホーツクへ連れ去られた。極寒の地で待ち受けていたのは、貧困と差別、そして言葉と文化の大きな壁であった。日本へ帰るため逃亡をくわだてるが、いまや故郷は遠い。容赦ない寒気と苦難の旅路が始まった 。大スケールの傑作歴史長編。
  • 落日燃ゆ
    4.5
    東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。

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  • 総会屋錦城
    3.7
    直木賞受賞の表題作は、株主総会の席上やその裏面で、命がけで暗躍する、財界の影武者ともいえる総会屋の老ボスを描く評判作。ほかに交通事故の時だけタクシー会社の重役の身代りで見舞いや弔問にゆく五十男の悲しみを描いた「事故専務」をはじめ、資本主義社会のからくり、陰謀などを、入念な考証に基づき、迫力あるスピード感と構成力で描く本格的な社会小説7編を収める。

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  • 素直な戦士たち
    -
    頭の良い男の子を生むには25、6歳、だから24歳の時に見合いをする。相手は知能指数さえ高ければ、むしろ自分の出世をあきらめたような男がいい。――これが千枝が、わが子を東大に合格させるために立てた遠大な計画の第一段階だった。あらゆるものを犠牲にして計画を実行する妻と、それに疑問を感じながらも従わされるサラリーマンの夫を通し、現代の教育と親子関係の断面を抉る。

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  • 帰艦セズ
    5.0
    徹底した取材から浮かび上がる「事実」の重み――必読の七短篇 昭和19年、巡洋艦「阿武隈」の帰還兵・成瀬時夫が、小樽郊外の山のなかで「飢餓ニ因ル心臓衰弱」で死んだ。 市役所を退職し、いまは北海道の民衆史研究会で活動をする橋爪は、自らの過去の経験から、成瀬は“逃亡”したのではないか、と直感。 遺族を探し、調査をするようになる――。 長篇小説『逃亡』と合わせ鏡のようになっている表題作をはじめ、大阪の篤志面接委員から聞いた話をもとにした「鋏」、ある寺の墓石をつくる石材店主がもらしたことがきっかけとなった「白足袋」、能登の岩海苔採りの遭難を報じた新聞記事がヒントになった「霰ふる」など、全7篇。 不可解な謎を秘めた人の生の、奇妙な一面を見事にすくい上げ、徹底した取材と想像力により文学作品に結実した短篇集。待望の新装版。 文庫解説:梯久美子(ノンフィクション作家) ※この電子書籍は1988年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 戦艦武蔵
    4.0
    日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」――厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か? 非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか? 本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の大作である。

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  • 熊撃ち
    4.0
    飢えに追いつめられて、つぎつぎと人を襲う熊。その熊をじっとねらう、村田銃をもった熊撃ちの名人。北海道千歳市では老婆や村娘が餌食となり、人々を震え上がらせていた。厳しい大自然を背景に、人間と熊が繰り広げる生きていくための闘い。大自然の中で生きる人々の緊迫感と、自らを厳しく律しながら深い山へと分け入って行く誇り高い猟師たちの個性あふれる姿、そして野性の猛獣と原生林の迫力を、乾いた筆致で生き生きと追う。実際におきた七つの事件と実在する八人の熊撃ちを題材に、孤独で忍耐強い彼らの生きざまを描く連作短編集。
  • 外食王の飢え
    3.8
    私大卒業まぎわ、倉原礼一は卒論を破り捨てた。自分は一流の人間でなければならぬ。私大卒の資格はいらない。野望は福岡に端を発した。レストラン「レオーネ」のチェーン化に奔走する倉原。一方、首都圏には沢兄弟の「サンセット」が進出。倉原は首都圏決戦を挑んだ。外食産業の覇者をめざした男の野望と情熱をえがいた傑作長篇小説。
  • 暁の旅人
    3.9
    幕末の長崎、オランダの医官ポンぺから実証的な西洋医学を、日本人として初めて学んだ松本良順。幕府の西洋医学所頭取を務め、新撰組に屯所の改築を勧め、会津藩で戦傷者の治療を指南、さらに榎本武揚に蝦夷行きを誘われる。幕末、そして維新の波にもまれながらも、信念を貫いた医家を描く感動の歴史長編。(講談社文庫)
  • 秋の街
    3.8
    1巻649円 (税込)
    16年ぶりに刑務所の外を歩いた無期刑の囚人。死を間近にして故郷への執念に憑かれた重病人など、人生の重大場面に直面した人々の心理をこまやかに描いた滋味溢れる短編集。
  • 鮮やかな男
    -
    男にとって企業とは何か? 自分の能力を発揮し、経済生活を支える場、いわば男の全生活は企業と結びついている。――大銀行にパワー・エリートとして勤める竹原のところに組合運動でクビになった友人が訪れた時から何かが狂いはじめた……! 有能で会社のため全能力を注いでいる男が、ある日、企業との関係を誤まり、その生活ばかりか、性格まで変わってしまうケースを描いた表題作他、企業で峻烈に生きる男達を見事にとらえた傑作作品群!
  • 味を追う旅
    4.7
    北は北海道から西は四国、長崎、南は沖縄まで、出合ったうまい物の思い出の数々。気のきいたものから、裏通りの何気ないうどんまで。取材の裏に食の影あり。旅先の朝は市場がよい。東京にも、旅はある。吉祥寺で鴨肉に舌つづみ、下町浅草にも訪う店は少なからず。口福、そして居心地。蘊蓄無用の紀行集。
  • アメリカ彦蔵
    4.0
    嘉永三年、十三歳の彦太郎(のちの彦蔵)は船乗りとして初航海で破船漂流する。アメリカ船に救助された彦蔵らは、鎖国政策により帰国を阻まれ、やむなく渡米する。多くの米国人の知己を得た彦蔵は、洗礼を受け米国に帰化。そして遂に通訳として九年ぶりに故国に帰還し、日米外交の前線に立つ──。ひとりの船乗りの数奇な運命から、幕末期の日米二国を照らし出す歴史小説の金字塔。

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  • ある倒産
    -
    定年を二年後にひかえた調査部長原口は、下請会社へ専務として出向を命じられる。突然の辞令にとまどいながらもはりきる原口。だが、その会社はすでに再建不能の状態であった。倒産の裏面で展開される男たちの息づまる格闘を描いた表題作。ほかに、『絶叫の街』『魔の同伴』『楽天地へ』など、複雑なビジネスの世界に生きる人間の哀歓をリアルに描き出した作品八編を収録する。

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  • 硫黄島に死す
    3.7
    〈硫黄島玉砕〉のニュースが流れた四日後、ロサンゼルス・オリンピック馬術大障碍の優勝者・西中佐は、なお残存者を率いて戦い続けていた。馬術という最も貴族的で欧米的なスポーツを愛した軍人の栄光と、豪胆さゆえの悲劇を鮮烈に描いて文藝春秋読者賞を受賞した表題作。ほかに「基地はるかなり」「軍艦旗はためく丘に」など、著者の戦争体験と深くかかわった作品全7編を収める。

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  • 生き残りの条件 欧米対談旅行
    -
    世界的名士11人が語る不安の時代の生き方。世界的に活躍するビジネスマン、ジャ-ナリスト、学者、芸術家の成功の条件とは何か。各界の代表的人物が語る秘訣の数々。"不安の時代"の生き方を示唆する対談集。(講談社文庫)
  • イチかバチか
    -
    「男の勝負は一生に一度か二度、どんとやることだけや」―南海製鋼社長・島千蔵は、新入社員の北野真一にいった。茶はぬるいのが経済的という徹底的合理主義者千蔵の一大計画、それは200億円の資金を予定する大工場の建設である。その工場を東三河市に誘致しようと画策する変り者市長太田原恭平。イチかバチかの大仕事をめぐる虚々実々の駆け引きをユーモラスに描く、傑作小説。
  • 一家の主
    4.5
    夫と妻のこと、出産のこと、引越しのこと、勤務のこと、小説を書くこと……。この世のもろもろを引き受けながら、小説を書きつづける。それはなかなか楽ではない。生活と創作、両方にわたる喜び、悲しみ、ときに怒りもこみ上げる日々を、たくまざるユーモアとペーソスで綴る。作家・吉村昭のイマイチ時代を描く自伝的長編小説。
  • 一発屋大六
    3.0
    今田大六、37歳。私大を卒業、地方銀行に就職して12年、いまだにうだつの上がらぬ平社員であるが、ひそかに自身を名づけて「一発屋大六」。―いつの日か一発やって周囲を見返し、人生の生甲斐をつかみたいという熱烈な想いである。銀行の宿直のある夜、一千万円紛失事件が発生。疑惑は彼に向けられて、退職の破目となったが、資産数百億円を持つ、スーパーマン的相場師根岸剛造からさしのべられた、思いがけない救いの手。……。会社の機構に圧迫される現代サラリーマンの、脱サラへの夢を、豊かなユーモアと風刺の中に描く、傑作小説。
  • 一歩の距離 小説 予科練
    3.9
    航空隊指令から呼び出しがかかった。「特攻志願する者は一歩前へ」。生死の選択を賭けた練習生の心を通して、戦争の真実を見た、表題作、他一編。
  • イースト・リバーの蟹
    -
    日本屈指の総合商社で副社長にまで昇りながら、男は権力抗争を潔しとせず、マンハッタンをのぞむ高層住宅に「引退」した。十ヵ月後、日本から吹きこんできた一陣の風。ライバルだった現社長の急死。男を社長に、と色めきたつ元部下たち。その時、男は……。ほろ苦い諦めや悔みきれぬ過去、くすぶり続ける野心を胸に秘め、日本を遠く離れた男たちが異郷に織りなす、五つの人生模様。

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  • 打たれ強く生きる
    4.1
    自分だけの時計、歩け歩け、ぼちぼちが一番、配転は新しいはじまり、ふり回されるな、乱反射する友を――常にパーフェクトを求め、他人を押しのけることで、人生の真の強者となりうるのか? 企業の中にあって自分を見失わず、しかも企業に最高の寄与をなすことはどのようにして可能か? 著者が日々に接した事柄をもとに、ビジネスマンへの愛情をこめて静かに語りかける。

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  • 打出小槌町一番地
    -
    東京近郊の閑静な高級住宅地、〈正妻とベンツの町〉と呼ばれる打出小槌町には、社会的地位と財産を手中にした現代の〈上層階級〉が堂々たる邸宅を構えている。銀行頭取の椅子が約束された御曹子、〈海軍式経営〉で成長を続けるオートバイ・メーカーの社長。彼らの成功物語の裏側に秘められた夫婦、親子のすさまじい葛藤の劇を通じ、人間の生き甲斐と幸福の意味を静かに問いかける。昭和五十一年に「週刊新潮」に連載され、翌年のベストセラーとなった。

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  • うまい話あり
    3.0
    出世コースから外された太平製鉄不動産の津秋に、うまい話がころがりこんだ。アメリカ系資本の石油会社がガソリン・スタンドの経営者を集めているというのだ。脱サラを目指す男の奮闘記。
  • 海の祭礼
    3.9
    日米の青年が見た「鎖国から開国へ」 ペリー来航五年前、鎖国中の日本に憧れたアメリカ人青年ラナルド・マクドナルドは、ボートで北海道の利尻島に単身上陸し、アイヌたちに発見される。不法入国者として長崎に収容されたマクドナルドから、若き長崎通詞・森山栄之助は活きた英語を学ぶ。オランダ語には通じていても英語を習得する者の少なかった通詞のなかにあって、森山はペリー一行の首席通詞を務めるなど、開国を迫る諸外国との交渉のほぼ全てに関わっていく。日本とアメリカ、森山とマクドナルド、鎖国と開国、交錯する運命は時代に翻弄されてゆく――。 彼らの交流を通し、開国に至る幕末期の日本の意外な史実が描かれた、傑作歴史長篇小説。 解説・曾根博義 ※この電子書籍は、2004年12月に刊行された文春文庫版を底本にしています。
  • 海の史劇
    4.3
    祖国の荒廃をこの一戦に賭けて、世界注視のうちに歴史が決定される。ロジェストヴェンスキー提督が、ロシアの大艦隊を率いて長征に向かう圧倒的な場面に始まり、連合艦隊司令長官東郷平八郎の死で終わる、名高い〈日本海海戦〉の劇的な全貌。ロシア側の秘匿資料を初めて採り入れ、七ヶ月に及ぶ大回航の苦心と、迎え撃つ日本側の態度、海戦の詳細等々を克明に描いた空前の記録文学。

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  • 梅は匂い 人はこころ
    4.0
    常務の彼を、多くの社員はまだ「英三さん」と呼んだ。経営者の一族でありながら、工場育ちで飾り気のない人柄がそう呼ばせた。戦後、退社を決意していた彼を会社に引き戻したのは、心情を一にしていた部下たちだった。しかし競争激化、新製品開発、流通改革の戦後史は熾烈だった。花王石鹸元社長・伊藤英三を描く傑作評伝小説。逞しくも爽やかな男の一生!
  • 運を天に任すなんて~素描・中山素平~
    -
    55歳で日本興業銀行頭取、戦後の日本経済の難問を解決し、「財界の鞍馬天狗」と呼ばれた男――中山素平。中山が好んで使う、「運を天に任すなんて」は、課題なり仕事なりに立ち向かうときの姿勢を指す。やはり中山が好む、レーニンの「問題は解決するために提出される」に通じる。40年に及ぶ親交をもつ著者が、男の“気概”を描ききった。
  • 黄金峡
    4.0
    東北の静かな山村に、日本最大のダム建設計画が持ち上がった。交渉のため村に乗り込む開発側と、先祖伝来の土地に愛着を抱く住人たち。多額の立ち退き補償を巡り、村は賛成派・反対派に分かれ騒然となる。ダム建設は、人々に何をもたらすのか。補償交渉に翻弄される人々の苦悩ーーダムが人を壊していく……。ダム問題をえぐる衝撃作。高度経済成長黎明期の1959年に、経済小説の先駆者が執筆した傑作社会派小説。
  • 黄金の日日
    4.5
    戦国の争乱期、南蛮貿易によって栄える堺は、今井宗久、千利休ら不羈奔放な人材によって自治が守られ、信長や秀吉たちもその豊かな富に手を出すことができなかった。今井家の小僧、助左衛門は危ない仕事を何でも引受けることで戦国武者たちの知遇を得、大船を仕立てて幾度かルソン(フィリピン)に渡り巨利をなす。――財力をもって為政者と対峙し、海外に雄飛していった男の気概と夢。

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  • 男たちの経営
    4.0
    石鹸は、「たかだか石鹸…」と軽視されがちだが、明治時代には「文明開化を象徴」するような工業製品の一つだった。“日本の夜明けをになう新しい人間像”のモデルとして、島崎藤村の未完の大作『東方の門』にも登場する花王石鹸の長瀬富郎。そのころ混乱の場にあったこの業界に〈高級新石鹸〉として、アイデアを駆使して挑戦した花王石鹸の創立と発展の歴史。一企業が単なる「職場」以上の意味をもって、そこで働いたことのある人たちの「心の故郷(ふるさと)」たり得るかを問いかけ、男たちの経営に賭けた人生を描いた、感動の長編小説!
  • 男たちの好日
    -
    外国製品に蹂躙されている昭和初年の日本に、電気化学工業を興すことで「国の柱」になろうと邁進する牧。しかし、苦心惨憺して開発した硫安やアルミ製造技術は、統制経済をとりはじめた国家によって公開を迫られ、牧は国策会社の社長に祭りあげられてしまう。国家を幸せにすることはあっても、国家によって幸せにされることのなかった男の生涯を通し、「男の好日」とは何かを問う。

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  • 海軍乙事件
    4.2
    昭和19年3月、パラオ島からフィリピンに向かった2機の大型飛行艇が、荒天のため洋上に墜落した。機内には古賀連合艦隊司令長官と福留参謀長が分乗していた。参謀長以下9名は漂流するも一命をとりとめたが、米匪軍とよばれるフィリピンゲリラの捕虜になる。果たして参謀長の所持する海軍の最重要機密書類は敵方に渡ってしまったのか……。戦史の大きな謎に緻密な取材で挑戦する、極上の記録文学。「海軍甲事件」「八人の戦犯」「シンデモラッパヲ」もあわせて収録。
  • 価格破壊
    -
    戦中派の矢口は激しい生命の燃焼を求めてサラリーマンを廃業、安売りの薬局を始めた。メーカーは安売りをやめさせようと執拗に圧力を加えるが……大手スーパー創業者をモデルに話題を呼んだ傑作長編。
  • 敵討
    4.3
    1巻440円 (税込)
    惨殺された父母の仇を討つ――しかし、ときは明治時代。美風として賞賛された敵討は、一転して殺人罪とされるようになっていた……新時代を迎えた日本人の複雑な心情を描く「最後の仇討」。父と伯父を殺した男は、権勢を誇る幕臣の手先として暗躍していた……幕末の政争が交錯する探索行を緊迫した筆致で綴る「敵討」。歴史の流れに翻弄された敵討の人間模様を丹念に描く二篇を収録。

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  • 勝つ経営
    3.0
    ソニー、ホンダ、富士フイルム――。なぜ、これら三社は異例の飛躍をつづけることができるのか。組織と人間の関わりを長年にわたり考察した著者が、該当企業のトップとじかに向き合い、彼らの本音を引き出し、経営の舵取りを問うた連続インタビュー。ほか文藝春秋読者賞を受賞した「本田宗一郎は泣いている」、「朝風を運ぶ人々――日本人が失ったもの」を収録。金融不祥事が長引くなど闇の深い日本経済界に、光明をもたらす企業人たちの言葉は世代を超えて心に響く力がある。
  • 仮釈放
    4.3
    1巻649円 (税込)
    浮気をした妻を刺殺し、相手の男を刺傷し、その母親を焼殺して無期刑の判決を受けた男が、16年後に刑法にしたがって仮釈放された。長い歳月の空白をへた元高校教師の目にこの社会はどう映るか? 己れの行為を必然のものと確信して悔いることのない男は、与えられた自由を享受することができるか? 罪と罰のテーマに挑み、人間の悲劇の原型に迫った書下ろし長編小説。

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  • 華麗なる疾走
    -
    モンテリ24時間レース。轟く排気音、爆走する高性能車。オイルが焼け、タイヤがきしむ。夜を徹して熱狂する観衆。呼び屋稼業に失敗し、逃げるように海外へ出た牧は、久しぶりに胸の高鳴りを憶えた。このレースを日本に……。その瞬間から、自己の再起と男の意地を賭けた一匹狼の闘いが始まった。
  • 彼も人の子 ナポレオン
    3.0
    世界史の上で、最も強烈な光を放った男、ナポレオン。勇敢さと人並み外れた集中力で、仏皇帝の座に就いた彼もまた人の子であった。幼児性を残し、自己正当化の果てに破滅していく生涯。少年兵の体験を持つ著者が、矛盾する大号令を臆面もなくかけ続けた男の素顔に、現地取材して迫る。(講談社文庫)
  • 関東大震災
    4.2
    大正12年9月1日午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。直後に大規模火災が発生、首都圏一帯は一瞬にして地獄となった。絶叫し、逃げまどう人々──飛び交う流言が、自警団による陰惨な朝鮮人虐殺という悲劇をも引き起こす。本書は、地震予知を巡る抗争にはじまり、被害状況、死体処理、被災者のバラック街の様子から糞尿の処理にいたるまで、未曾有の大震災の真実を掘り起こす。20万の命を奪った“天災”と“人災”を浮き彫りにする、菊地寛賞受賞の名作。
  • 官僚たちの夏
    4.0
    日本人の誇りを取り戻すべく、固い信念で通産行政を強引、着実に推し進め、次官への最短コースを疾走する“ミスター・通産省”風越信吾。高度成長政策が開始された60年代初め、通産省という巨大複雑な官僚機構の内側における、政策をめぐる政府・財界との闘いと、人事をめぐる官僚間の熱い戦いをダイナミックに捉えた城山三郎の代表作!

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  • 学・経・年・不問
    4.3
    証券会社の辣腕営業マン・伊地岡と電機メーカーの窓際族・野呂は高校の同級生。伊地岡は痩せ型長身、人一倍せっかちで努力家な男。対して野呂は小太りで、何ごとも気にしないのんびり屋。正反対なのに気の合う二人が、学歴・経験・年齢ともに不問の、シビアなセールスマンに転職。それぞれ対照的な<オレ流>で、ベッドの訪問販売合戦を繰り広げる! 非情なビジネスの世界で生き残るために必要なものは何か? 経済小説の巨星がユーモラスに描く、愛すべき男たちの物語。
  • 危険な椅子
    4.0
    化繊会社社員の乗村は、ようやく渉外課長の椅子をつかむ。が、仕事は外国人バイヤーに女を抱かせ、闇ドルを扱うことだった。やがて彼は、外為法違反で逮捕されることに。ロッキード事件を彷彿させる話題作!
  • 今日は再び来らず
    5.0
    東大―大蔵省―総理大臣の夢をわが子にかける母。早朝、霜を踏んで寒中受験特訓に励む小学生の群れ……就職に失敗して進学塾を始めた津島には、それはあまりに異様な光景だった――。教師・学生・浪人そして親たちの人生に、このますます加熱する「受験戦争」はどのような意味をもつか? その内幕をえがき、最も切実で緊急なテーマに迫る意欲的長編。
  • 緊急重役会
    3.0
    戦前から続く紡績会社。次期社長の呼び声が高い専務・恩地は検査入院中に社長らが仕組んだ緊急重役会によって平取締役に降格される。社長の椅子へ執念を燃やす恩地がはまった、さらなる組織の罠とは――(表題作)。 高度成長期を舞台にしながら、現在に通じる日本の組織人の欲望を描いた傑作企業小説集を復刊。 【目次】 緊急重役会 ある倒産 形式の中の男 前々夜祭 解説・楠木建(一橋大学教授)
  • 逆境を生きる
    4.1
    〈自らのためには決して計らわない清廉潔白な巨人〉『落日燃ゆ』の広田弘毅。〈情熱と努力に裏打ちされた理想主義者〉『男子の本懐』の浜口雄幸。〈吸収と結合の天才〉『雄気堂々』の渋沢栄一など、逆境と必死に闘いながら、自らの信念を貫いた男たち。その生き様を通して人間の真の魅力、底力とは何かを問いかける。

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  • 魚影の群れ
    4.5
    津軽海峡を舞台に、老練なマグロ釣りの孤絶の姿を描く表題作。四国に異常発生した鼠と人間との凄絶な闘いの記録「海の鼠」。名人気質の長良川の鵜匠の苦渋を描く「鵜」など動物を仲立ちとして自然と対峙する人びとの姿を精密に描いた傑作小説四篇を収録した作品集。
  • 魚影の群れ
    5.0
    1巻495円 (税込)
    漁師・房次郎は娘の登喜子に懇願され、彼女の恋人・俊一を不承不承船に乗せるが……。津軽海峡を舞台に、老練なマグロ釣りの孤絶の姿を描く表題作。四国の小島に異常発生した鼠と人間の凄絶な闘いの記録『海の鼠』。他に、美味ゆえに養殖される新種のカタツムリをめぐる滑稽な顛末『蝸牛』、名人気質の長良川の鵜匠の苦渋を綴る『鵜』など、動物を仲立ちとした傑作小説四編を収録。

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  • 空白の戦記
    4.3
    闇に葬られた軍艦事故の恐るべき真相、「戦艦武蔵」の極秘設計図紛失事件の後日譚、悲しくも痛ましい沖縄決戦の秘話……。戦記文学に定評のある著者が、正史にのらない埋もれた戦争の真実を掘り起して、巨大な戦争の陰の部分に生きた人間たちのドラマを追求する戦争秘録小説集。「艦首切断」「顛覆」「敵前逃亡」「最後の特攻機」「太陽を見たい」「軍艦と少年」の六編を収録。

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  • 鯨の絵巻
    -
    1巻649円 (税込)
    紀州太地に三百年の歴史を持つ鯨組で、網とり漁法の最後の筆頭刃刺を務めた男の生涯をたどり、海の男たちの勇壮華麗な鯨との闘いと、滅びゆく古式捕鯨にしか生きる場を持たない者の悲哀を鮮やかに浮かび上がらせた「鯨の絵巻」。教職を剥奪され、奄美大島の夜の山地に青白い鱗の輝きを追うハブ捕獲人を描く「光る鱗」ほか、「紫色幻影」「おみくじ」「緑藻の匂い」を収録した、動物を相手に生活を営む人間たちの哀歓をさぐる短編集。

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  • 屈託なく生きる
    -
    長島茂雄、岡本綾子らスポーツ選手、武田豊、盛田昭夫氏ら経営者、加藤紘一、平松守彦、渡辺美智雄氏ら政治家と、各分野で爽やかに活躍している人たちに、生き方の秘訣をインタビュー。天性型、テーマ設定型、気合い一生型などタイプ別に分析して、超一流人間の知恵をあなたに伝授いたします。
  • 月下美人
    -
    生と死を見すえる冷徹な眼。傑作短編小説集。軍用機を爆破した元脱走兵を取材する「私」と、家族にも過去を語らず苦悩の歳月を過してきた男との関わりを、咲き散る月下美人に託して描く表題作等、8編を収録。(講談社文庫)
  • 高熱隧道
    4.1
    1巻693円 (税込)
    黒部第三発電所――昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であった。犠牲者は300余名を数えた。トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威とが対決する異様な時空を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描破した記録文学。

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  • 孤独な噴水
    -
    新人王をめざす若きプロ・ボクサーの孤独な戦い! 暗い家庭を逃れてボクシング・ジムに通う〈私〉は、連戦連勝、やがて新人王の有力候補にのし上がり、小さなジムの期待の星となった。だがある日、心の支えだった恋人が、何者かに暴行された。ボクシング界の内幕をえぐり、若者の愛と孤独を鮮烈に描く長編小説。
  • この命、何をあくせく
    3.8
    私は本が好き。旅も好き。本と旅を組み合わせれば、1プラス1が4にも5にもなり、そこに私だけの新しい世界が生まれる。1回かぎりの人生、少しでもあくせくせずに過ごそうではないか。生きることの奥深さを味わえる今こそ。作家生活約半世紀、人生の哀歓を知り尽くした著者が綴る36の練達のエッセイ。(講談社文庫)
  • 午前八時の男たち~トップが語る/強い企業の秘密~
    -
    京セラ・稲盛和夫、日本電気・関本忠弘、富士ゼロックス・小林陽太郎、ソニー・盛田昭夫、西武・堤義明、ダイエー・中内功……。作家・城山三郎が日本の優良企業11社のトップと対談。困難な時代に急成長する「強い企業」の秘密を引き出す。新しい企業を創り出す人間像、社員像とは……!? エリートビジネスマン必読の書。
  • 再婚
    3.0
    1巻462円 (税込)
    男が人生の階段を上っていく。どの段でなにが起こるのか、だれにもわからない――。なんとなく再婚してもいいかと思っている男が、昔あこがれていた女に会いながら、違和感を感じてしまう。男の複雑な気持ちを描いた表題作。定年退職した男の家出と死を綴った「男の家出」、ネオン製作会社が崩壊していく中での男たちの姿を描いた「夜の饗宴」など8編を収録した珠玉の短編小説集。
  • 桜田門外ノ変(上)
    4.0
    安政七年(1860)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷思想は、倒幕運動へと変わっていく。襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききった歴史小説の大作。
  • 桜田門外ノ変(上下)合本版(新潮文庫)
    5.0
    1巻1,276円 (税込)
    安政七年(1860)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷思想は、倒幕運動へと変わっていく。襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききった歴史小説の大作。 ※当電子版は新潮文庫版『桜田門外ノ変』上下巻をまとめた合本版です。
  • 三陸海岸大津波
    4.1
    その時、沖合から不気味な大轟音が鳴り響いた――「ヨダだ!」大海嘯ともヨダとも呼ばれる大津波は、明治29年、昭和8年、昭和35年の3度にわたって三陸沿岸を襲った。平成23年、東日本大震災で東北を襲った巨大津波は「未曾有」ではなかったのだ。津波の前兆、海面から50メートルの高さまで上り家々をなぎ倒す海水、家族を亡くした嘆き、地方自治体の必死の闘い…生き延びた人々の貴重なインタビューや子どもたちの作文が伝える、忘れてはいけない歴史の真実。
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―
    3.7
    神風特別攻撃隊第一号に選ばれ、レイテ沖に散った関行男大尉。敗戦を知らされないまま、玉音放送後に「最後」の特攻隊員として沖縄へ飛び立った中津留達雄大尉。すでに結婚をして家庭の幸せもつかんでいた青年指揮官たちは、その時をいかにして迎えたのか。海軍兵学校の同期生であった二人の人生を対比させながら、戦争と人間を描いた哀切のドキュメントノベル。城山文学の集大成。

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  • 静かに 健やかに 遠くまで
    4.3
    著者は若い頃から箴言の魅力に惹かれ、生きる指針としてきた。その著者の作品にも、心に染みる会話や、じっくり考えさせる文章が数多くある。出世でこり固まった男もおもしろくないが、出世をあきらめた男も魅力はない/妻が愛人であり、愛人が妻である――多忙な夫には、それがふさわしい/人間の能力とは努力のことでしかない……忙しいビジネスマンの琴線に触れる言葉を、集大成!

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  • 支店長の曲り角
    3.0
    「詩を書かぬ時期こそあったが、詩を読まぬ時期はなかった。詩はわたしに新鮮な衝撃を、あるいはやすらぎを与え続けてくれた。詩のない生活は考えられなかった……」。学生の頃から詩を書き続けてきた著者が、人生の折々に読んだ作品の数々。戦争体験、喜び、苦しみ、悲しみを綴った、城山三郎初めての人生詩集。(講談社文庫)
  • 死顔
    4.0
    1巻451円 (税込)
    生と死を見つめつづけた作家が、兄の死を題材にその死生観を凝縮させた遺作。それは自身の死の直前まで推敲が重ねられていた──「死顔」。明治時代の条約改正問題とロシア船の遭難事件を描きながら、原稿のまま残された未定稿──「クレイスロック号遭難」。さらに珠玉の三編を合わせて収録した遺作短編集。著者の闘病と最後の刻を夫人・津村節子がつづった「遺作について」を併録。

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  • 島抜け
    4.1
    読んだ講釈が幕府の逆鱗に触れ、種子島に流された大坂の講釈師瑞龍。島での余生に絶望した瑞龍は、流人仲間と脱島を決行する。丸木舟で大海を漂流すること十五日、瑞龍ら四人が流れついた先は何と中国だった。破船した漂流民と身分を偽り、四人は長崎に送り返される。苦難の果て、島抜けは見事に成功したかに思えたが……。表題中篇をはじめ、「欠けた椀」「梅の刺青」の三篇を収録。

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  • 彰義隊
    3.5
    皇族でありながら、戊辰戦争で朝敵となった人物がいた──上野寛永寺山主・輪王寺宮能久親王は、鳥羽伏見での敗戦後、寛永寺で謹慎する徳川慶喜の恭順の意を朝廷に伝えるために奔走する。しかし、彰義隊に守護された宮は朝敵となり、さらには会津、米沢、仙台と諸国を落ちのびる。その数奇な人生を通して描かれる江戸時代の終焉。吉村文学が描いてきた幕末史の掉尾を飾る畢生の長篇。

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  • 少女架刑・透明標本 吉村昭自選初期短篇集(全)
    -
    1巻1,848円 (税込)
    『戦艦武蔵』以前の吉村文学の中核をなす自選短篇集。太宰治賞受賞作「星への旅」、 三島由紀夫が激賞した「死体」、芥川賞候補作「鉄橋」「透明標本」など、一九五二年から六六年までの十四編を収める。〈巻末エッセイ〉「遠い道程」。〈解説〉荒川洋治 ■目次 死体/青い骨/さよと僕たち/鉄橋/服喪の夏/少女架刑/星と葬礼/墓地の賑い/透明標本/電気機関車/背中の鉄道/煉瓦塀/キトク/星への旅/〈巻末エッセイ〉遠い道程
  • 少女架刑 吉村昭自選初期短篇集I
    4.1
    1巻924円 (税込)
    徹底した取材と綿密な調査に基づく重厚な歴史小説で知られる作家・吉村昭。その文学的出発点を示す自選短篇集(全二巻)。第Ⅰ巻には表題作のほか、三島由紀夫が激賞した「死体」、初の芥川賞候補作「鉄橋」など、一九五二年から六〇年までの七編を収める。巻末にエッセイ「遠い道程」を付す。 【収録作品】 死体/青い骨/さよと僕たち/鉄橋/服喪の夏/少女架刑/星と葬礼
  • 小説日本銀行
    2.0
    政界と財界にまたがって、絶大な権力をふるう〈法王庁〉日本銀行。終戦直後の激動する時代を背景に、大蔵省との対立関係の中で、狂乱化したインフレを終息させようという理想に燃えた新入日銀マンが、その一途さ故にエリート・コースから蹴落されてゆく姿を、さまざまな視角から捉えて、巨大な機構の内実を浮彫りにする。経済小説の第一人者が、日本の聖域に体当りした意欲長編。

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  • 昭和歳時記
    -
    戦前・戦中の東京下町を、昭和2年生まれの著者が体験を通して振り返る。 綿密な考証と巧みな描写にもとづく歴史小説・ノンフィクションに定評のある著者による、昭和事物回顧。 「歴史」「昭和史」という括りからは見落とされた、庶民の暮らし・風俗、東京下町の情景が、生き生きと甦る。 単なるノスタルジーではない、冷静な視線で、自らの記憶を掘り起こす。 「『古き良き』とは浅薄な過去を美化する言葉でしかない。決して『良き』ばかりとは言えず、簡単にそんなことを口にしてもらいたくはないのだ」(本文より) 【本書に出てくる事物】 物干台/毛糸/焼芋屋/羅宇屋/お化け煙突/自転車泥棒/電柱掘り/焼け金庫屋/ソフト帽/下駄・雪駄/銀流し/朴歯の高下駄/ハダシ足袋/ソロバン/エジソン・バンド/大学芋/電球/提灯/リヤカー/山手線/地下鉄/汽車/チッキ/花柳病/肺病/肝油/脚気/浣腸/ヒマシ油/蚊帳/火の見櫓/湯タンポ/長火鉢/焚火/映画館/ポスター貼り/ラジオ体操/仏法僧/ベルリン・オリンピック/二・二六事件/喫茶店/お定事件/浪曲・講談/徳川夢声/玉音放送/ラジオ/ツェッペリン号/説教強盗/下駄スケート/大八車/オート三輪/木炭自動車/輪タク/都電・市電/谷中墓地の桜/アメ横のサクラ/井の頭のひき蛙/食用蛙/夏服/カンカン帽/パナマ帽/アッパッパー/南京虫/蚤/虱/DDT/銭湯/行水/朝顔/石榴/金魚/山の湯宿/赤トンボ/柿木金助/B29/夜の闇/双葉山/男女ノ川/夜行列車/蒸気機関車/煤煙 〈解説〉森まゆみ
  • 昭和二年生まれの流儀
    5.0
    1巻1,650円 (税込)
    昭和二年生まれは、少年時代を戦争の中で過ごし、青年時代の入口で敗戦を迎えた――。昭和三十年代にデビュー、ともに自分の道を見つけ書き続けてきた城山三郎と吉村昭。気心の知れた二人が、戦争観から酒飲みの流儀まで心おきなく語り合う全対話四篇と、関連作品を一冊に収める。 【目次】 昭和二年生れの眼差し   吉村昭  Ⅰ あの戦争とこの半世紀の日本人  対談:城山三郎×吉村昭 語りつぐべきもの        対談:城山三郎×吉村昭 ぼくの流儀・きみの流儀     対談:城山三郎×吉村昭 私たちが生きた時代       座談:城山三郎×吉村昭×佐野洋  Ⅱ 名門・背広・軍服     城山三郎 昭和・戦争・人間     吉村昭 昭和二年生まれの戦友へ  城山三郎
  • 嵐山光三郎の徒然草・三木卓の方丈記 シリーズ古典(2)
    -
    2~8巻1,100~1,155円 (税込)
    嵐山・三木、両氏の手による随筆の名品。鎌倉時代に書かれた随筆文学の名品2作。嵐山光三郎・三木卓の名手ふたりが、それぞれの持ち味をいかして料理した現代語訳。この一冊でその魅力を堪能。
  • 白い遠景
    5.0
    終戦を境にして戦時中から著しく変化した人間の不可解さを見きわめることを出発点とした吉村文学。現地に足を運び、戦争の生存者の声に耳を傾けた記録。また、大切な古本を庭に埋めて空襲から守った思い出や、文学とはなにかを学んだ「暗夜行路」の舞台を巡る旅など、作家の原点を浮彫りにした初期随筆集。
  • 深海の使者
    3.8
    インド洋を横切り、アフリカ大陸を回りこんで大西洋を北上する3万キロの隠密行! 第二次大戦中、五回に渡って行われた遣独潜水艦作戦の全貌を描いた著者最後の戦史小説 太平洋戦争勃発後、連合国側に陸路・海路を封鎖され、日本と同盟国ドイツとの連絡は途絶した。この苦境を打破するため、海軍は潜水艦を単独でドイツに派遣する“遣独潜水艦作戦”を敢行した。 マラッカ海峡を抜けてインド洋を横断し、アフリカ大陸を南下、喜望峰を回りドイツ占領下フランスの大西洋岸の港まで、はるか3万キロを連合国側の厳重な対潜哨戒網をかいくぐって往復するという、過酷極まりない作戦。 伊30、伊8、伊34、伊29、伊52。五次に渡る作戦の中で、無事に日本に帰還したのは第二次の伊8一隻に過ぎなかった。 「文藝春秋」連載中から大きな反響を呼び文藝春秋読者賞を受賞。そして本作が著者最後の戦史小説となった。 解説・半藤一利
  • 辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版
    4.0
    足尾銅山の鉱毒で甚大な被害を受け、反対運動の急先鋒となっていた谷中村は、絶体絶命の危機にあった。 銅山の資本家と結託した政府が、村の土地を買収し、遊水地として沈めようとしていたのだ。 反対運動の指導者、田中正造は、村を守るため、政治権力に法廷での対決を挑む。 だが、それは果てしなく、苦難に満ちた闘いだった。 日本最初の公害闘争を巡り、権力の横暴に不撓不屈の精神で立ち向かった人々を描いた伝記文学の傑作。 解説・魚住昭
  • 新装版 赤い人
    4.1
    囚人たちの北海道開拓裏面史。明治十四年、赤い獄衣の男たちが石狩川上流へ押送された。無報酬の労働力を利用し北海道の原野を開墾するという国策に沿って、極寒の地で足袋も支給されず重労働を課せられる囚人たち。「苦役ニタヘズ斃死(へいし)」すれば国の支出が軽減されるという提言のもと、囚人と看守の敵意にみちた極限のドラマが展開する。(講談社文庫)
  • 新装版 海も暮れきる
    4.2
    「咳をしてもひとり」「いれものがない 両手でうける」――自由律の作風で知られる漂泊の俳人・尾崎放哉は帝大を卒業し一流会社の要職にあったが、酒に溺れ職を辞し、美しい妻にも別れを告げ流浪の歳月を重ねた。最晩年、小豆島の土を踏んだ放哉が、ついに死を迎えるまでの激しく揺れる八ヵ月の日々を鮮烈に描く。(講談社文庫)
  • 新装版 消えた鼓動 ――心臓移植を追って
    4.0
    医療だったのか、殺人だったのか――深い疑惑につつまれる「和田心臓移植事件」の全貌。札幌を基点とし、南アフリカ、アメリカでの綿密な取材を背景に、犀利な作家の眼によって「事件」を克明に描きつつ、医師のモラルを告発し、人間性の所在を証言する迫真のドキュメント。
  • 新装版 白い航跡(上)
    4.1
    薩摩藩の軍医として戊辰戦役に従軍した高木兼寛は、西洋医術を学んだ医師たちが傷病兵たちの肉を切り開き弾丸を取り出す姿を見聞し、自らの無力さを痛感すると同時に、まばゆい別世界にあこがれる。やがて海軍に入った兼寛は海外留学生としてイギリスに派遣され、抜群の成績で最新の医学を修め帰国した。(講談社文庫)
  • 新装版 日本医家伝
    -
    シーボルトと遊女・其扇(そのおうぎ)の間に生まれ、女でありながら医学の道を志した楠本いね、「解体新書」翻訳の偉業を成し遂げた前野良沢、ロシヤ抑留中に種痘法を習得した中川五郎治など、後に著者によって長編として描かれた人物を含む、わが国近代医学の先駆者である12人の医家たちの苦難の生涯を描きだす傑作短編集。
  • 新装版 間宮林蔵
    4.1
    19世紀初頭、世界地図の中で樺太は唯一謎の地域だった。樺太は島なのか、大陸の一部なのか。樺太調査に挑んだ間宮林蔵は、苛酷な探検行の末、樺太が島であることを確認する。その後、シーボルト事件に絡んで思いがけない悪評にさらされ、さらには幕府隠密として各地を巡った、知られざる栄光と不運の生涯を克明に描く。(講談社文庫)
  • 新装版 落日の宴 勘定奉行川路聖謨(上)
    4.4
    江戸幕府に交易と北辺の国境画定を迫るロシア使節のプチャーチンに一歩も譲らず、国境画定にあたっても誠実な粘り強さで主張を貫いて欧米列強の植民地支配から日本を守り抜いた川路聖謨。軽輩の身ながら勘定奉行に登りつめて国の行く末を占う折衝を任された川路に、幕吏の高い見識と豊かな人間味が光る。
  • 事物はじまりの物語
    4.0
    「解剖」「スキー」「石鹸」「洋食」「アイスクリーム」「傘」「国旗」「幼稚園」「マッチ」「電話」「蚊帳・蚊取り線香」「胃カメラ」「万年筆」の十三編のはじまりの物語。そのひとつひとつに歴史があり、人の営みがある。江戸から明治にかけて、人々は苦労して新しいものを取り入れ、初めてのものを作りだした。三十年以上歴史小説を書きつづけてきた著者が豊富な史料を駆使して書いた新鮮な驚きが溢れる物語。
  • 重役養成計画
    1.0
    1巻1,012円 (税込)
    平凡な一社員の大木泰三は、ある日重役候補生の一人に選ばれた。派閥に属さず立身出世とは無関係の彼に、虚々実々の毎日が始まる――。現代のサラリーマンへの痛烈な批判を含みながらユーモラスに描く快作。
  • 殉国 陸軍二等兵比嘉真一
    4.6
    14歳の少年は、何を見たのか。 少年の体験を通して、すさまじい沖縄戦の実相をつぶさに描いた長篇小説。 「郷土を渡すな。全員死ぬのだ」 太平洋戦争末期、沖縄戦の直前、中学生にガリ版ずりの招集令状が出された。小柄な14歳の比嘉真一は、だぶだぶの軍服の袖口を折って、ズボンの裾にゲートルを巻き付け、陸軍二等兵として絶望的な祖国の防衛線に参加する。 実在の人物の体験を、ことこまかに聞きとり、特異な事実をそっくりそのまま写し取った外面的リアリズムが、読む者の胸を強く打つ。 1991年に刊行された文庫本の新装版。元本は、累計102000部のロングセラー。 解説・森史朗 ※この電子書籍は、1911年11月に文春文庫より刊行された文庫の新装版を底本としています。単行本は1982年6月に筑摩書房より「陸軍二等兵 比嘉真一」として刊行されました。
  • 人生の流儀 ビジネスマンに贈る珠玉の言葉
    3.5
    戦後日本に新しい“経済小説”のジャンルを開拓した城山三郎――。時代を一歩先んずる眼と緻密な取材で、企業と人間を克明に捉えた作品を世に問い続けた。本書は、氏の著作から「上司の仕事、部下の仕事」「リーダーの資質」など8つのテーマごとに、ビジネス社会に生きるすべての人々の糧となる“珠玉の言葉”を抜粋した箴言集。人生の節目で、自分を見つめ直す時に開いて欲しい指針の書である。

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  • 人生余熱あり
    3.0
    老いることは悲しむべきことではない。老後には自由が満ちている。会社からも、家族からも、時間からも自由、世評からの自由もあれば、他人の目からの自由もある。自分を偽らずに、好きなことをするために、ボランティアに、発展途上国に、小さな会社に身を投ずる人々。著者自ら足を運び取材した、“熱情いまだ冷めやらぬ男たち”の雄姿。

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  • 成算あり
    -
    家の前にマンションが建つことになった老田は、日当りの悪い家で暮らす生活を考え、怒りが突き上げてきた。そのマンションを建てる洋々不動産の社長桐山に抗議を申し込むが、桐山は慇懃に受け流すだけであった。そんな桐山の態度に逆に魅力を感じた老田は洋々不動産に入社した……。複雑怪奇な不動産業界に暗躍する詐欺師や業者の苛酷な戦いと“金こそ力である”と信じ自分の道を切り拓こうとする男の運命を描いた力作長編!
  • 生命なき街
    -
    焦熱と砂漠の街、外国人たちから“ライフレス・シティ”と呼ばれるワジバにただ一人で駐在する商社員の、同胞をも敵とした孤独で苛烈な日々を描いた表題作。ほかに『神武崩れ』『挑戦』『老人の眼』『鍵守り男』『白い闇』など、日本経済の高度成長の本当の担い手でありながら、組織や金に裏切られ、むくわれることなく追われてゆく男たちに光をあてた、初期の力作6編を収録する。

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  • 背中の勲章
    4.0
    1巻506円 (税込)
    昭和17年4月18日――太平洋上の哨戒線で敵機動艦隊を発見した特設監視艇・長渡丸の乗員は、玉砕を覚悟で配置につき、死の瞬間を待った。けれども中村一等水兵以下五名は、米軍の捕虜となり、背中にPWの文字のついた服を着せられて、アメリカ本土を転々としながら抑留生活をおくった――。運命のいたずらに哭く海の勇士の悲しい境涯を通して描く、小説太平洋戦争裏面史。

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  • 戦史の証言者たち
    4.0
    数多の証言者たちを訪ねて描いた、太平洋戦争の真実 太平洋戦争では、様々な極限のドラマが生まれた。その中から、山本五十六の戦死にからむ秘話などを証言者を得て追究した戦争の真実。 ※この電子書籍は1995年8月に文藝春秋より刊行された旧版文庫を底本とし、新田次郎氏との対談を特別収録したものです。
  • 零からの栄光
    4.0
    〈グラマン・ヘルキャット〉に太刀打ちできる戦闘機がほしい! 緒戦以来、「零(ゼロ)戦」が日本の戦闘機の花形であったが、敵にヘルキャットが出現すると形勢逆転、「零戦」は餌食にされるばかりだった。だが、おそまきながら、この日本戦闘機部隊の悲願にようやく新型機の「紫電改」が応えようとしていた。「川西航空機」は、戦闘機メーカーとしては通りが悪い田舎会社であった。社長の川西竜三も、さしたる飛行機好きでもなかった。それがなぜ、当時としては、最高性能の戦闘機がつくれたのだろうか。軍部のいわれのない圧力をはねのけ、血の滲みでるような苦闘と熱意で新型機をつくりだした“飛行機にとり憑かれた男たち”の不屈のドラマ!
  • 創意に生きる 中京財界史
    3.2
    「豊田織機」、「トヨタ自動車」の豊田佐吉、喜一郎父子。 「ノリタケ」、「TOTO」、「INAX」、「日本ガイシ」など世界的セラミックス企業集団の源流となった日本陶器の森村市左衛門。 日本のバイオリンを世界品質に高めた「鈴木バイオリン」の鈴木政吉。 呉服業から「松坂屋」で知られる百貨店へと発展させた織田信長の小姓、蘭丸の子孫・伊藤家の伊藤守松。 味噌・醤油製造から財を築き、紡績、鉄道車両、電気、ガスと次々と事業を拡げた、「名古屋の渋沢栄一」こと奥田正香。 木曽川に日本初のダム式発電所「大井発電所」を建設し、大規模な水力発電開発を進めて「電力王」となった福沢桃介……。 江戸期以来の豪商と外来の商人が混ざり、特異な経済発展を遂げてきた名古屋を中心とする中京圏を舞台に、幕末から昭和初期にかけて、日本の実業界を創った男たちの物語。 本名の杉浦英一名義で1956年に刊行された幻のデビュー作新装版 目次 序  ●第一章 慶応年間 ●第二章 明治初年代  ●第三章 明治十年代前半  ●第四章 明治十年代後半  ●第五章 明治二十年代前半 ●第六章 明治二十年代後半  ●第七章 明治三十年代前半  ●第八章 明治三十年代後半 ●第九章 明治四十年代 ●第十章 大正元年―三年間 ●第十一章 大正四年―八年間 ●第十二章 大正九年―十五年間  ●第十三章 昭和二年―七年間  ●第十四章 結びに代えて その後の発展/中京財界の特色 あとがき/文庫版のためのあとがき/解説 楠木 建
  • 総員起シ
    4.3
    太平洋戦争時、日本領土内で起こった劇的な出来事を発掘! 当事者に綿密な取材を行って書き上げられた衝撃の戦史小説 北海道の海辺の寒村に次々と流れ着く死体の群れ。沖合で潜水艦に撃沈された輸送船では、上陸用舟艇に載れたのは将校ばかりだった(「海の棺」) ソ連軍の侵攻にさらされた樺太の炭鉱町で、看護婦たちが集団自決を図った。記者の取材に生き残った元看護婦たちは固く口を閉ざすが……(「手首の記憶」)。 昭和20年8月22日。戦争は終わったはずの北の海で、ソ連籍と思しき潜水艦の攻撃で沈没した「小笠原丸」の悲劇(「烏の浜」)。 沖縄戦で軍司令部の散発要員として軍に帯同した理髪師が見た、軍司令官自決の真実(「剃刀」)。 訓練中に不幸な事故で沈没した潜水艦・伊三十三。9年の歳月を経て引き上げられた艦内の一室からは、生けるが如き13名の遺体が発見された(「総員起シ」)。 全5篇を収録。
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)
    4.3
    彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる――。気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴っていたのは、亡き妻とのふかい絆の記録だった。終戦から間もない若き日の出会い、大学講師をしながら作家を志す夫とそれを見守る妻がともに家庭を築く日々、そして病いによる別れ……。没後に発見された感動、感涙の手記。(解説・児玉清)

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