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彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる――。気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴っていたのは、亡き妻とのふかい絆の記録だった。終戦から間もない若き日の出会い、大学講師をしながら作家を志す夫とそれを見守る妻がともに家庭を築く日々、そして病いによる別れ……。没後に発見された感動、感涙の手記。(解説・児玉清)
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Posted by ブクログ
とてつもない夫婦愛。世の中にこのような夫婦が果たして他に居るのであろうか。 私もこういう夫婦になりたい。と、思う。 何回も読んでる大切な本。
最愛の妻への純粋で強い愛情が伝わって来る作品でした。 容子さんの朗らかな性格と、頼もしい城山さんのご夫婦像が素敵でした。 死の描写があるので、引っ張られて落ちるかなと思いましたが、不思議と読後感が爽やかだったのが救いでした。 愛する伴侶との何気ない生活を、私も大切にしたいです。
城山さんの作品は魅力的なタイトルが多い。『男子の本懐』、『雄気堂々』、『粗にして野だが卑ではない』、『少しだけ、無理をして生きる』など。本書もそう。 また、城山さんの作品は高確率で感涙する。本書の存在はかなり前から知っていたが、内容が想像でき、なんとなく避けてきた。 思い切って読んでみると、案の定、...続きを読む泣けた。笑いもした。最愛の妻、容子さんとの運命的な出会い、ペンネーム「城山三郎」の由来、取材旅行での思い出の数々。二編の詩、闘病中のお二人。 「ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする(p134)」 想像以上の感動。寂寥感。巻末の次女、紀子さんの「父が遺してくれたもの」と児玉清さんの解説も良かった。 最後に、オレより長生きしてね、かみさん…。
夫婦っていいなと思える小説を探していたところ、おすすめしていただいたのがこちらでした。 城山三郎氏の名著は読んだことがないのに、タイトルが魅力的で手に取りました。 奥様との幸せな人生が可愛らしく描かれています。とても素敵なご夫婦です。 次女・井上紀子さんの手記では奥様がいなくなったあとの城山三郎...続きを読む氏が描かれており、とても切ないです。 しかし愛する奥様との子どもたちに愛され人生を終える様子は、家族っていいなと胸が熱くなりました。
城山三郎の著書を手に取ったのは本作が初めて。 とても穏やかな方で、素朴かつ優しい言葉遣いをされる方なんだなと。 容子さんはとっても純粋でひょうきんな方。 微笑ましい二人の生活に少しお邪魔させていただいた。 自分の伴侶が寝ている横で本作を読み切った。 この当たり前の時間を大切に。 50億の人の中で...続きを読む唯1人、おいと呼べるおまえ。 律儀に寝息を続けてくれなくては困る。 静かに行くものは健やかに行く。健やかに行くものは遠くまで行く
素敵な小説。 夫婦の在り方を教えられた。深い愛情が豊かな人生を作るんだと、本書を読みながら学ばせて頂きました。 読み終わった瞬間、爽やかな感動に包まれます。城山さん、素敵です。
経済小説という1ジャンルを確立した城山三郎さん。亡くなった奥様との関わりを中心に描いた自伝的小説。 小説で描かれた主人公(落日燃ゆ、黄金の日々、男子の本懐など豪胆な人物が多い)の描き方と余りの違いに脱力します。奥様と最初に会った時の印象は「突然現れた妖精」。 小説のお固い感じとは180度違う内容や語...続きを読むり口でした。 本物の男はやはり「愛妻家」で有るべきだと再確認しました。
『容子がいなくなってしまった状態に、私はうまく慣れることができない。 ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする』【作中20章より】 生前、直木賞をはじめとする様々な賞を受賞した名作家の遺稿から生まれたのが本著でした。 本著では、...続きを読むこれまで日本経済を舞台とした社会経済小説等を中心に執筆してきた城山三郎氏が、今までの執筆スタイルとはまるで違う、『妻=容子さん』との出会いや、自身の心の奥底から湧き出てくる容子さんへの愛情、そして築いてきたその暖かな日々。そして二人三脚で歩んできた、いや、一心同体と言っても過言ではなかった容子さんを失い、『自身の半身が削ぎ落とされたかのように感じた』と綴られた晩年について、短い章で書かれた遺稿を紡いだように描かれていました。 エピローグとして、城山氏の次女にして作家の井上紀子氏からも、容子さんの死後の城山氏について寄稿されていました。 現代日本では、沢山の“モノ”に恵まれ、たくさんの選択肢を持てるようになりました。 しかし、それと同時に失った“モノ”も多くあると思います。本著ではその失った“モノ”の本質にも触れているように感じました。 巻末の解説にて、児玉清氏が引用していた一節にこうありました。 『仕事と伴侶。その二つだけ好きになれば人生は幸福だという…(「小説日本銀行」より)』 城山氏自身の作品で描かれていたこの一節は、まさに自身の内からでた言葉だったのだなと、そう感じさせてくれました。 ・ ・ ・ ・ ・ 彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる──。 気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴っていたのは、亡き妻とのふかい絆の記録だった。終戦から間もない若き日の出会い、大学講師をしながら作家を志す夫とそれを見守る妻がともに家庭を築く日々、そして病いによる別れ……。 没後に発見された感動、感涙の手記。
奥様への愛情の深さがストレートに表現されていた。 夫婦二人三脚で人生を築いていたことを感じさせられた。 愛情と敬意を持って奥様を大切にし、また、奥様との生活にこの上なく幸せを感じる姿に、私もそうありたいと強く思わされた。
著者が妻と出会って亡くなるまでの話。 奥様のことを「天使」「天女」等々と表現されるところから、いかに奥様を愛されていたのかがうかがい知れます。 ちょっと赤裸々な話もあるけれど、作家として忙しい夫をしっかり支え、愚痴もこぼすことなく取材の手伝い、旅行の同行などされ、できた奥さまだなぁと感心する事しかり...続きを読む。 こんなに思い思われて、本当に互いに運命の相手だったのだな、と思いました。
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