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19世紀初頭、世界地図の中で樺太は唯一謎の地域だった。樺太は島なのか、大陸の一部なのか。樺太調査に挑んだ間宮林蔵は、苛酷な探検行の末、樺太が島であることを確認する。その後、シーボルト事件に絡んで思いがけない悪評にさらされ、さらには幕府隠密として各地を巡った、知られざる栄光と不運の生涯を克明に描く。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
かなり面白かった。歴史物で文章が頭に入りづらいこともあったが、間宮林蔵と海峡について知識を得ることができ面白かった。
間宮林蔵といえば、樺太の地図作った事くらいしか知らなくて、「ひたすら歩いて測量して地図作ってる、クソ地味な男」くらいに思ってたけど、これ読んでほんともうすみません、って思った。 めっちゃ気合い入ってる漢でした!! そーいえば樺太って昔日本領だったもんねーだから地図書いたのね〜とか思ってて、ほんとそれ...続きを読むもすみません…。笑 「江戸の文化」として、ただ人名を丸暗記してただけだけど、江戸後期の異国船対応を迫られた時代や政治の中で彼の人生が動いていくのが、臨場感あっておもしろかったなーー。 幕末までいかない、揺れ動く江戸後期の話も面白い。
吉村先生、記録文学はハードボイルドです。主人公の心情を抑えながらも乾いたと言うより客観的文体で、人物を追います。北方先生が題材【林蔵の貌】にしたのもわかります。凄い日本人がいました。もっと知られて良いですね。NHKでドラマにして欲しいです。
間宮林蔵といえば、江戸時代、樺太を調査し、世界で初めて樺太が島であることを発見。その功績で「間宮海峡」という地名を後世に残した。というのが、教科書的説明。本小説でも、林蔵の樺太探検は詳細に描かれ、当時の乏しい装備で死を覚悟して赴く林蔵の覚悟が伝わってくる。 しかし、間宮林蔵がアドベンチャーというの...続きを読むは彼の一面に過ぎない。彼の人生の真骨頂は樺太探検後、豊富な地理の知識と行動力が認められ、スパイや政治アドバイザーとして幕府に貢献したことだ。 何よりも、林蔵は正義を重んじる。若き頃、日本領土にロシア人が侵入したとき、徹底抗戦を主張する。樺太探検のために異国のユーラシア大陸にまで足を踏み入れてしまったことが鎖国政策に反するのではないかと、苦悩する。また、その鎖国政策では外国人との交流が禁じられており、突然のシーボルトからの贈り物を開封せず、奉行所へ提出する。など、幕府に従順で慎重だ。そして、そんな冷静な判断がその後の彼の評価をより高めた。真っ当に生きれば、どこかで報われるものだ。 また、鍛えた脚力で北海道から九州まで歩き回り、隠密行動も苦にしない林蔵は幕府からの信頼を得、出世街道まっしぐら。 が、そのおかげで、妻も持たず、子孫も残さず、両親の死に目にも会えなかった。家族とのくつろぎとは無縁の人生だった。今でいえば、仕事一筋で、忠実なCIA調査官といった感じか。その点が生涯を地図作りだけに捧げた伊能忠敬とは異なる。
スリリングで緊張感のある展開、面白かった。日本の領土問題の原点。江戸後期、北方沿岸に頻繁に出没するロシア船の脅威が日に日に高まる中、ついに択捉島の集落が襲撃される。世界地図で唯一不明となっていた、樺太が中国東北地域の東契丹と陸続きかどうかを確かめる必要は国防上の最重要課題となった。百姓から立身した林...続きを読む蔵は、樺太の探検を命じられる。 間宮海峡を発見したとして、歴史の教科書で必ず名前が出る人物だが、当時の江戸日本が置かれていた外交上の背景は教えない。ただ、行って見てきただけのような教え方も手伝ってか、彼の業績は過小評価され過ぎの感を禁じ得ない。
江戸後期の測量家・探検家である間宮林蔵の人生を描いた壮大な記録。 歴史の教科書では「江戸後期には外国船が日本沿岸に来るようになり、幕府の警戒態勢が高まった。そのような状況の中で間宮林蔵が樺太を探検し、間宮海峡を発見した。」程度のインプットしか無かった。 これまで吉村昭の小説を何度か読んで、新たな史実...続きを読むを学び、毎回自分の中で歴史観が変わる衝撃を受けてきた。折しも会社の後輩が北海道に赴任することになったので、読んでみることにした。樺太からアムール川の地域はとても人間が住める環境ではないが、その厳しさをありのままに描くのは吉村昭の真骨頂であり、今回もどれほどの地獄絵図を見せつけられるのか、ある程度覚悟をしたうえでページを開いていく。 500ページ近くある長編の中で、主人公の間宮林蔵が樺太を探検し間宮海峡を発見するところまでが半分である。グーグルマップを横で開きながら、林蔵が辿ったであろう海岸、集落(おそらく現在は廃村になっているところもある)、地形や写真を確認しながら読んでいった。そして、死を覚悟しながら過酷な旅に飛び込んでいった間宮林蔵の尋常ならぬ情熱に思いを馳せた。 林蔵の探検(樺太だけでなく清領まで行った)は、現代の感覚では、無防備な状態で宇宙旅行に繰り出し、地球と交易するフリをして侵略しようと不気味に近づいてくるエイリアンと交渉しに行くようなものだろうか。アイヌやギリヤーク人の仲間を作り、彼らの言語や文化を学びながら突き進んでいた様子がたっぷり描かれていて、少年心をくすぐられた。グーグルマップをひととおり見た後は、ウィキペディアでいろいろと地名や民族名、登場人物名を調べてしまった。 間宮海峡を発見し江戸へ帰還したところで全体の半分であり、彼の後半生は伊能忠敬から測量技術を学んだり、シーボルト事件に巻き込まれたりと、江戸幕府の鎖国体制が少しずつ揺らいでいく様子を感じた。そのような不安定な社会情勢の中で、林蔵自身も完全鎖国&外国船排除という考えから、開国して交易をせざるを得ないという考えに少しずつ至っていく葛藤が描かれている。鎖国と開国、どちらも「他国の侵略を防止して国の防衛と発展を祈る」という根底の想いは共通しており、林蔵や周囲の関係者、さらには当時禁止されていた密貿易に手を出してしまう人達、先端の蘭学者達にもそれぞれの考え方(正義)があったのだろう。
間宮海峡(タタール海峡)の名で知られる、間宮林蔵の知られざる生涯を描いた小説。前半はロシアの脅威から蝦夷地をはじめとした北方の防御を強める幕府の意向を受け、樺太からさらに海を渡ってアムール河口付近も探査するなど、冒険家としての未踏地帯を踏破していくサバイバル活劇となっている。後半は幕府の隠密として各...続きを読む藩の内情を探るといった動きが増えてきており、農家出身ながら幕府や体制維持に多大なる貢献を果たした人物である。 間宮林蔵の才能は、会うべき人と出会いその人々の資質や想いを着実に受け継いで事を為すところにある。間宮林蔵の資質を最初に見抜き幕府の役人に取り立てた村上島之丞、測量の技術を惜しみなく伝え貴重な羅針盤を与えた伊能忠敬、ともに樺太を踏破して島であることを確認した松田伝十郎、そして恐らくは厳しい北の地で生きていく術を教えた名もなきアイヌの人々など、多くの師と巡り合った。 その強靭な肉体と任務に忠実な姿勢、何よりどんな場所からも生還するサバイバル能力は幕府にとって好都合だったわけで、後半生は開国や尊王攘夷といった各藩の動きの間でスパイとして活躍する。その動きの中からシーボルトによって間宮林蔵の名が国際的に知られるようになり、日本人で唯一世界地図上に名を残す人物となったのである。
前半の樺太の測量は、鬼気迫る情熱、意志を感じます。 後半は、隠密として、江戸末期の混乱と革命前夜の様子を知る事が出来ます。
感情的に盛り上げることなく淡々と客観的に綴る文体だからこそ、林蔵の執念というか情熱が強く強く伝わってくるような気がした。 断片的な史料を想像で繋ぎ合わせた部分が大きいって後書きには書いてあったけど、普通に細かな手記とか残ってたんじゃないかって思ってしまうくらい端々に「実際の出来事らしさ」を感じた。 ...続きを読む 周りの人々やシーボルトを題材にした物語や伝記にも触れて、多角的に味わってみたいな……。
いやこれはまた重厚な本なのですよ。 基本的には間宮林蔵がどこで何したかとか書いてるだけ、っちゃあだけなんけどね。 とりあえず樺太を探検した人って感じの認識だったんで、半分ぐらい読んで探検終わって、あれどうなるんじゃろって思ったら、残り半分は隠密の旅だった! というわけで、3へぇ。 しかし欧米の奴ら...続きを読むは勝手にやってきてクジラを殺しまくってしかも油だけ取って捨ててしまうとか酷い話ですよ。しかも陸地に上陸して薪とか要求してって何様なんだこれ。いや流石であるよニンニン。
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