名称未設定さんのレビュー一覧
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ネタバレ
フクノカミがもたらす幸福が…
瀬戸内海の小さな島に住む中学生の少女、早坂さんは、高校受験を前にして進路の問題にぶつかっていました。思いを寄せる相手が大阪に行くと言い出すなど、思い通りにならない現実の中、彼女は仏像のような何かを発見します。洗って安置しようとしたところ「それ」は、人間のように動き出し、旅人のような役割を演じつつ、島全体に富をもたらしていくことに。
いわゆる根拠なきバブルを描いたような作品ですが、情景や人間の描写が緻密で臨場感がありますね。敏感過ぎるが故に周りと馴染めなかった早坂さんの態度や表情も真に迫っているので、より異変がリアルに伝わってきます。 -
ネタバレ
鬼滅の刃・吉原遊郭編が面白い
人が血液感染によって鬼と化す、という、現代のゾンビ映画を彷彿とさせる設定が斬新な作品です。吉原遊郭編では、花魁を「手練手管で人を化かす存在=人外=鬼」としてキャラ付けした点が面白かったです。また、止め絵が非常に上手い作品でもあります。堕姫の鬼化の描写はとりわけ目を引くものでした。メデューサの蛇のように奔放に跳ね回る黒髪と、柔らかい肉付きや白い太股の対比が眩しくて、作者の筆致は女性を蠱惑的に見せるポイントを心憎い程に捉えていると思いました。無惨と堕姫が相対するシーンは耽美的で、宝塚の舞台を観ているような妖しいときめきさえ感じました。
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ネタバレ
主人公の正義感に惚れる
主人公は冴えないおじいさん、ところがある日アクシデントに巻き込まれ、気付くと全身アンドロイドのような体に。耳も良くなり人々の助ける声が聞こえるようになり、次々と人を助けます。そして自分の力がどれだけ強くなったかを知った時、その力は人を助けるための力に使おうと決めます。しかし時を同じくして同じアクシデントにあっていた青年が居ました。彼は主人公とまったく違う方向に進んで行きます…。
写実的な絵とアクションが見ごたえがあります。さらに、最強のヒーローが冴えないおじいさんというのは中々ない設定ですね。でもこのおじいさん、挫折を受けながらも何度も立ち上がります。読み手はどんどんおじいさんの魅力に惹きこ -
これぞ本当の異世界飯漫画
孤独のグルメ以降はさまざまな飯を食べる作品が増えていき、ここ最近では異世界で現代料理と食べさせ絶賛する作品が増えてきました。
そんななか王道ファンタジーの疑問の一つ、ダンジョンに長く潜っているなか食料はどうするの?に注目して書かれたのが本作です。
缶詰も長期保管できる技術もない中世ファンタジー、いつもどれるかわからないダンジョンで生き残るにはそこにいるモンスターを食べないといけない!
モンスターをどう調理するのか、どう料理するのか味はどうなるのか、様々な疑問を納得できる範囲で書かれており、絵柄と構成で極力グロさを減らしているのも万人に受けるとこでしょう。
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中国の春秋戦国代を生き抜く青年
中国の春秋戦国代、主人公の信は、同じ下僕の出身の漂と「いずれは天下の大将軍になる」と約束し二人は鍛えあって生きてきます。しかし漂は秦の王「政」の影武者として王宮へ連れられ、王弟の反乱事件により犠牲になり、漂の残した地図により政と山の民とともに王都奪還をします。やがて軍にはいり数々の武運をあげて自分の隊「飛信隊」をひきいて強敵を倒していきます。信と秦の王の政との関係が軸になり物語が進んでいきます。李牧による合併軍が秦を攻めて絶体絶命の時に、次々と信頼していた仲間や頼りになる将軍が倒されて絶望の淵の信を政が最後の砦の城で迎え、信が泣くシーンは読んでて私も泣きました。壮大な中国の歴史大作、超お勧めの