大崎梢のレビュー一覧
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「女ともだち」がテーマの短編小説アンソロジー
既に出尽くした感のあるテーマですが、昨今のSNSを取り入れた短編は8篇全て新鮮で面白かったです。
なんでも真似して来る女性を描いた村山由佳さんの「COPY」
女性あるあるです。
そしてそこに惹きつけておきながらのラストの急展開にはドキっとします。
坂井希久子さんの「ト・モ・ダ・チ」はイヤミスを連想させるどろどろした話で、もはやホラーの様にも思えて怖かった。
千早 茜さんの「卵の殻」は繊細な女性心理が描かれていて女性の執着がただただ恐ろしい。
「サバサバした女なんていないよ」のセリフが印象に残ります。
子供時代の競争意識、嫉妬心を描いた大崎 梢さんの「水底の星」
大人になってからの友人作り、在り方を繊細に描いた額賀 澪さんの「こっちを向いて」読み終えてタイトルを見るとなるほどと思えます。
柔らかい気持ちになれた阿川 佐和子さんの「ブータンの歌」
情景が絶えず浮かび、二人の女性の微妙でありながらイイ感じの距離感を感じた嶋津 輝さんの「ラインのふたり」
ややこしい人間関係ながら、こういうのも有りなのかと妙に女同士のリアルを感じた森 絵都さんの「獣の夜」タイトルがナイスマッチです。
怖さあり、優しさあり、嫉妬、憎悪、女ともだちには様々な感情が蠢いている事を改めて実感すると共に、親友、本当の意味で真友に出会うのは伴侶を見つけるより大変かも知れないと思った短編集。 -
Posted by ブクログ
トップアスリートの光と影。
そういうもの、端から見てるとドロドロしたものが含まれているように思ってた。
確かにそれはあるけれど、それだけではない。
高みを目指して挫折して、自分の人生は終わったと全てを諦めて敗北感と共に生きていく。
そんなのは、何かに一生懸命になったことのない人の戯言だ。
アスリートとして頂点を目指すことは終わったのかもしれないけど、その経験を生かしてその後の人生をいくらでも豊かに生きていくことができる。
誰かを応援しながら、自分も応援して。
スポーツは、それをやっている人だけのものじゃなくて、支える人も観戦する人もいろんな人がいて、それぞれの人のもので。
それぞれの人の希望の光であってほしい。 -
購入済み
ごちそうさまでした!
ご贔屓の先生から始めましての先生まで、ほぼ全て楽しく美味しく読めました
たぶん、ご近所のあのお店?とか今度旅行に行ったら探してみよう!とか実在するお店がモデルになっていたりでワクワクしました
想い出編だったからか、ちょっと寂しかったり秘密があったりもしますが最終的には納得できるので安心して読めました -
Posted by ブクログ
過去の後悔、疑念・・・時を超えて知らされる真実。
切なくも優しい、5つのストーリー。
正に過去の忘れ物が見つかったような物語。なんだか小さな刺が刺さっているようで心の片隅で気になっていたことが、ぱあっと晴れるよう。ハラハラしつつも温かい気持ちになれました。
「沙羅の実」 不動産仲介会社で営業をしている『弘司』は、担当先で小学校時代の教師と再会する。すると彼は弘司に関わりのある二十年前の二つの事件について語り始める。
二つの事件とは、当時六年生の児童拉致監禁と、その子の同級生の父親の転落死。切ない事件の真相は何となく察しがついたが、はっきりと書ききってしまわないことと、ミスリードを利用した最後の一押しがなんともいい。物悲しくも優しい余韻を残す。
「君の歌」 高校の卒業式の後、『芳樹』はあまり話したことなない『高崎』に声をかけられる。訝しむ芳樹に彼が語り始めたのは、当時別々だった彼の中学で起きた女子生徒が襲われた事件だった。
逃げ場のない教室から消えた犯人、事件は未解決のまま。謎自体は難しくない。青年期の揺らめく心情を楽しむ話。
「雪の糸」 別れを決めたカップルが最後の時を過ごす馴染みの喫茶店。彼女が告白した他愛もない悪戯に、彼の表情が変わった。
頼んでおいた時間より一時間遅く起こされたことを知らなかった為、先輩に電話する約束を破ってしまった結果になったことに気付く彼。もしかしたら先輩は命を絶っているんじゃないかと想像しドキドキしたけれど、むしろ良い方に変わっていたようでホッとした。
「おとなりの」分譲地に住む『小島』は、商店街の知人に、事件の日息子を見たといわれ動揺する。その事件とは、十年前近所で起きた強盗殺人事件で、熱で高校を休んでいた息子が疑われたのだ。家に一人だった息子のアリバイは、隣の奥さんが証明してくれたのだったが・・・
本当はむすこはどこに行ったのか、隣の奥さんはなぜ嘘の証言をしたのか?やきもきしながら読んでいたが、一気に分かるラストがいい。小さな布石も見事。
「野バラの庭へ」 回顧録のインタビュアとして、毎週鎌倉にある瀟洒な館を訪れることになった『香留』。上品な老婦人が語ったのは、この屋敷から忽然と姿を消した兄の婚約者について。結婚を目前とした彼女の身に何があったのか、真相を聞く前に老婦人が亡くなってしまう。だが、葬儀会場で目にした遺影は、全くの別人だった。
色々な意味でノスタルジックな作品。基本的に老人が痛い目に遭うのはいたたまれない気持ちになるが、まあそれだけのことをしたので仕方がないか。若さゆえに見えなかったことに後で気づくことはある。 -
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「家族」とは何か。家族である意義とはどこにあるのか。さらには、正義とは、個人のアイデンティティとは、幸せとは...等々、優しい文体で綴られる基本的には暖かな話なのに、いろいろと考えさせられる。
とある事情で、父+息子と、母+娘に分かれて暮らすことになった一家が主人公。章が替わるごとに「主役」のメンバーが入れ替わり、それぞれの主役の主観で話は進む。両親はともかく、小学生だった子どもたちが、それぞれの屈託を抱えながらも乗り越えていく & 乗り越えた後で振り返る感じが、とてもリアルで説得力がある。
一緒にいることがあたりまえ、と考えてしまいがちな「家族」が、離れて暮らすことによって見えてくるメリット・デメリットや、強まる思いも弱まる思いもあったりしつつ、それでも最後まで家族は家族のままでいる。さらに「発展的な別居」や「将来のためへの原点回帰」など、staticではない家族の「独特な幸せ」の物語、と言えるか。なんとも不思議な読後感。
タイトルの「よっつ屋根の下」は、巷間よく言われる「一つ屋根の下に暮らす家族」という言い回しを逆手にとって、うまいことを言うな、と感心した。ただこの家族が、曲がりなりにも「幸せな一家」をキープしていられるのは、経済的に恵まれているからでは...という気持ちも常につきまとっていた。もっと貧乏なら、こんな悠長なことは言っていられない気はするし...でも貧乏だったら「そもそもこんな問題は起きない」訳で...など、本に書かれていないことまであれこれ考えさせられてしまう(^ ^; 恐るべし、大崎梢(^ ^;
最後に、本書は千葉県の銚子市が主な舞台となっていて...偶然にもこの前に読んだ本も千葉県が舞台の小説で(^ ^ 私の中で「千葉行きたい欲」が、めらめらと燃え上がっている(^ ^; -
Posted by ブクログ
まんぞく!
ミステリってこのくらいのボリュームの短編集が読みやすいかもしれない。気分でない時は他の本に行って戻ってきても、弊害ないし。
そしてどのお話も、どこか考えさせられる軸が入っている、気がした。
個人的には、砂糖壺は空っぽ、喫茶マヨイガ、太陽と月が星になる、あたりが好きかな。
ミステリと女の子同士の恋って、相性いいわよね…!
喫茶…は、ショートストーリーだけど、言いたいことは声を大にして言っていいんだということが、すっと伝わってきた。
そしてそして、語り手が姉妹で入れ替わりながら時間が進んでいく太陽…は、悲しい結末だけど、憎しみが必ずしも憎しみにはならない(?)ところに救われる。
他のアンソロジーも読みます! -
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ネタバレ【Pretty】【Pop】【Pure】【Pipin】
【女の子はP】が好き!
予想外の配置転換により、全く興味の無い中学生女子向けのファッション雑誌の編集者になってしまった男性主人公。
大学時代は、マスコミについて調査するサークルに所属し、語学留学や体力作りにも励んだ。
その成果が実を結び、サークル内では快挙と呼べる名門と言われる老舗出版社「千石社」に入社する。
文芸部門の編集者を志ざしながら、入社後二年間は時事ネタ満載の週刊誌の雑用係として働いた。
裏方ながらも、誰もが知る週刊誌の現場で働けることに誇らしさもあった。
そんなさなかでの配置転換!!!
文芸部門からは程遠い、ローティーンの女の子向け雑誌の編集者だった。
担当する雑誌も編集部室も、自分の興味とはかけ離れた世界。見ただけで胸焼け、胃もたれがしそうなする小物やフリフリのついた洋服達を目の前にし、戦意喪失..。
全く前向きにはなれないが、文芸部門への移動を夢見て、それなりに仕事をこなそうとする。
人当たりも良く、物事をそつなくこなすことが得意だと自負していた主人公だが、慣れない仕事にミスの連発!!!
どうなってしまうのか、、、⁉︎
一冊の小説を通して、色んな人の仕事に対する本気さや光と影を見れた気がする。
主人公と同じように、今までは興味が低かったファッション雑誌に対しても興味を持てた。華々しい世界にも沢山の努力と涙があることを再確認し、敬意を払いたくなった。目の前に与えられた仕事に真正面から向き合うことは、人生をも変えるのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
2021/08/16
あの文春砲を日々ぶっ放しまくってる文春系列の文春文庫から出版されている週刊誌の記事が出来上がっていく過程を小説にした話。
本の紹介では作者の大崎さんが綿密な取材に基づいて書いたとあり、おそらくこの話の中に描かれているそれぞれの話にも多少のフィクションなどはあると思うけど、モデルとなる人物がいたり、モデルとなる出来事があったりするのだろうなと思うくらいにリアリティがあった。
自分自身の感覚だと正直、「ある事無い事噂程度の話でも大した取材もしないで芸能人や政治家などのよろしくない話を脚色をつけまくって雑誌を作ってる」「訴えられたって雑誌が売れれば資金は回収できるしオッケーよ!」みたいな感じで、人間の心を持ってるのかも怪しい集団がこういう雑誌とか作ってるんだろうなぁって思ってました。
そうした部分は大きく誤解だったんだと思わされる本でした。主人公はどちらかというと、そんな誤解を抱いている人の立場に立っている設定だし、取材活動がどのように行われて、どのように記事が出来上がっていくのかをこの小説を読むことで見えてくるものがあります。 -
Posted by ブクログ
瑞々しく描かれる、保育士の主人公・美南の日常と子供たちや保護者とのふれあいと謎、そして恋。少しこそばゆいところもあるけれど、穏やかで優しく爽やかな読後感に包まれる小説。
表紙の絵になんとなく惹かれ、手に取った作品でしたが、表紙から受けたイメージ通りの作品でした。
かえで保育園で働く25歳の保育士・美南の周りで起こる様々なトラブル。それを一緒になって考えてくれるのは、1年と数ヶ月前に離婚し、男手ひとつで息子を育てる隆平。日常の謎系のミステリ要素を含みつつ、徐々に美南と隆平の関係性の変化が描かれていく連作長編です。
子供たちの描き方、大人たちの描き方、それぞれのバランスがとても良かった。様々な親の事情がある中で子供たちの心も揺れる。それが謎の引き金になっていくわけですが、謎が解けていくと共に、子供たちの複雑な心情が浮かび上がってくる。
印象的なのが第5話に収録されている「青い星の夜」
母親の大事な指輪を保育園に無断で持ってきてなくしてしまった女の子の話なのですが、指輪の行方と共になぜこの女の子が、指輪を持ち出したのか。その動機がまた暖かくていい。
話の内容を詳しく見ていくと、結構ドロドロしそうな展開になりそうなものが多いです。片親であるがゆえの孤独や、親の人間関係が話の背景にある話も多いし、隆平の周りの女性関係も、隆平に好意を抱く、シングルマザーがいたり、元奥さんが出てきて、
その二人がバチバチに火花を散らし、そのせいで隆平の息子の旬太が動揺したりと、下手するとシリアスでドロドロの展開にもなりかねない。
また美南も他の男性に好意を寄せられるのですが、その男もなかなかにくせ者。その男も話を引っかき回すから、なおのことドロドロ感がでてきそうになる。
それでも、作品は軽やかにそのドロドロに陥りそうになるラインからは、ギリギリで踏みとどまっているように感じます。それでいて、そうした親の人間関係に動揺してしまう子供たちの様子はしっかりと描いていて、それが物語にいいアクセントや緊張感を生む。
それがあるからこそ、その壁を越えたときの優しく、爽やかな読後感がより強まる。そこの描き方のバランス感覚が本当に上手かったと思います。
大人たちだって迷い、不安になりながらも生きている。それはこの作品で何度も描かれていたと思います。でも、それを拭い去ってくれるのも、子供の言葉だったり行動だったりする。そういう暖かさも印象的。
隆平のキャラも良かった。離婚する前までは特に子育てに熱心だった様子でもなく、保育園の先生たちも、なぜ母親が引き取らなかったのか、と疑問に思う人も多かったそう。
でも美南とともに子供たちのために頭を使い、また、息子の旬太とのやりとりもとても優しさに満ちあふれていて、読んでいて好感が持てる。
そして、彼が旬太を育てる決心をつけた理由が語られる場面も、とても良かった。やっぱり子供は、見るところはちゃんと見れるものなんだろうな、と思います。
そして、美南の心情も見逃せない。業務上保護者の親にあまり近づきすぎてはならない、でも一方で心惹かれていく。そういう状況で、ママ友のライバルや元奥さんが出てきたり、別の男性に言い寄られたり、隆平が熱を出せば、自分は何も出来ない状況にもどかしさを感じたりと、揺れる心情が瑞々しく丁寧に描かれます。
著者の大崎梢さんは元々名前は知っていたけど、今回が初読。物語であったり登場人物に対する暖かさや優しさが印象的で、他の作品もまた読みたくなりました。
表紙のイラストは谷川史子さん。こちらは名前は初めて知ったけど、少女マンガや恋愛マンガを中心に作品を多数発表されているみたいなので、こちらもいずれ手に取ってみたい。
気になる作家とマンガ家が同時に増える、個人的にお得な一冊になりました。