大崎梢のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ成風堂シリーズ第三弾5編。表題作『サイン会はいかが?』 「ファンの正体を見破れる店員のいる店で、サイン会を開きたい」―若手ミステリ作家のちょっと変わった要望に名乗りを上げた成風堂だが…。『取り寄せトラップ』同一書籍に四件の取り寄せ依頼。ところが連絡を入れると、四人が四人ともそんな注文はした覚えがないと……。『バイト金森くんの告白』杏子が幹事となった飲み会で各自受けるネタ披露。多絵の「付録の悲劇」の流れから金森くんの失恋?告白が鈍い男の相談になる。
『君と語る永遠』母親と暮らす少年の話が心に沁みる。
今回は、舞台が駅ビルの六階にある書店・成風堂に戻り書店の裏話。しっかり者の杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵のほほえましいやり取りが再開。短編集の方が内容が絞れて構成にスピード感があり、読みやすくわかりやすかった。『本屋の謎は本屋が解決』多絵ちゃんにまた会いたい。 -
Posted by ブクログ
土佐の高知のよさこい祭りを舞台に、
東京から高知の大学に来た主人公の
一夏の成長を追った作品。
主人公の篤史は、東京出身だが
毎年長い休みは高知の祖父母宅に来ていた。
地元の同い年の従兄多郎に誘われ、
中学三年生の時に一度だけ参加した
「よさこい祭り」の踊り連で年上の女性に一目惚れ。
だがその彼女は、祭りの二日目には顔を出さず...
中途半端に断ち切られてしまった彼女との絆。
果たせないまま四年間引きずっている約束。
当人はなかなかそうとは認めないが、
その宙ぶらりんな気持ちに整理を付けるべく
高知にやって来た主人公。
だが、彼女を探して、会えたとして、
果たして自分はどうしたいのか。
年上の彼女はもう結婚しているのかも。
大体、正確な名前さえあいまいで...
彼女に会いたいと同時に、同じくらい会いたくない。
会うのが怖い。自分の気持ちに自信がない。
ゆらゆら揺れながらも、おせっかいな周りを巻き込み、
時に自分でも想像していなかった行動力を見せて
徐々に「幻の彼女」に近づいていく主人公。
果たしてその結末は...というメインのストーリーを、
四年振りに参加したよさこい祭りの「熱さ」「濃さ」が
大きく飲み込んだまま時間が流れていく。
最初は多郎に半ば無理やり参加させられたよさこい。
上達しない踊りに苦しみ、人間関係に悩み、
時にぶつかり、時に人を助け、助けられながら、
徐々に祭りの興奮に飲み込まれていく篤史。
このよさこい祭りの描写が、とても丁寧で、
祭りを知らない人でもどんどん引き込まれて
観客ではなく「参加する側」に感情移入できる。
そして私は、実は「参加する側」として
とさではないがよさこい祭りに絡んだことがある(^ ^
具体的には、某さいたまの踊り連に
踊るための音楽を提供したわけで(^ ^
当然本番も何度か見に行った(^ ^
道路っぱたで一観客として見たこともあるし、
本番前の打ち合わせなど、インサイダー目線で
参加させてもらったこともある。
一度など、ぜいたくにも地方車に乗せてもらい、
自分の作曲した音楽に合わせて
百人からの人間が踊るのを高みの見物、
なんてなこともさせてもらった(^ ^
あれはもの凄い快感(^ ^
作曲家冥利に尽きるってもんで(^ ^
...ということで、私はおそらく
一般人よりもよさこいへの思い入れが強い(^ ^
自分で踊った経験は無いが、練習、準備、前日、
当日の本番前の緊張、いざ踊り始めた熱狂など、
もう篤史たちの気持ちが手に取るように分かる(^ ^
さらに、主人公以外の登場人物も魅力的。
それぞれにそれぞれのストーリーがあり、
それぞれが迷い、悩み、挫折し、乗り越え、
うまくいったりいかなかったりしていく。
それらもすべて、よさこい祭りを太い縦軸に
同じ時間を共有しながら進んでいく。
そして、皆悩みや迷いを抱えたままながら、
よさこいの本番の大きなうねりには逆らえず、
それぞれなりに祭りに集中し、楽しんでいる。
ただ、一日何回も会場を変えて踊る、
その合間の時間になるとまた悩み出して...
それが解決しないうちに次の踊りが始まり...
小説的に「じれったさ」を演出してるのかも知れないが、
でもこの流れはもの凄くリアルだ。
どんなに気がかりなことがあっても、踊らねばならない。
祭りは今しかないし、他のメンバーに迷惑は掛けられない。
が、「ねばならない」で踊り始めても、
仲間や観客の熱い視線に煽られて、いつの間にか集中し、
のみならず「熱狂」してしまう。これが祭りの魔力。
作者は、よさこい祭りのことをよく知り抜いていて、
動と静とのコントラストを見事に描き切っている。
読者も、登場人物と同様に悩み、はらはらしながらも、
熱い祭りの描写には一時それを忘れてしまう。
読後感は、本当によさこい祭りに参加したような(^ ^;
そして、大きくストーリーが動き出す前の
静かな導入部分で光明に張られた伏線が、
徐々にほぐれ、結び直されてゆくクライマックス。
エンディングでも、「まだまだ終わらない」祭りと、
「新たなる始まり」を匂わせる人間関係と、
本の最終ページを過ぎてもまだまだストーリーは続く(^ ^
いや〜、本当に読んでて気持ちのいい一冊でした(^o^ -
Posted by ブクログ
祭の日に真ん中に「子」の字が入ったねずみ石を見付けると願いを叶えてくれる。4年前の祭の日、サトはねずみ石を探しに行き行方不明となりその間の記憶をなくしていた。その夜に起こった母娘殺人事件の犯人はまだ見付かっていない。親友セイと祭のことを調べて行くうちに、サトは事件の真相へと迫っていく。
前半は中学生男子のほのぼのとした日常が描かれて、緩やかに物語が進みますが、後半新たな殺人事件が起きた辺りからサスペンス色が強くなり物語が急展開します。中学生という多感な時期を描くジュブナイルとしても、ミステリとしても楽しむことが出来ます。地方都市の祭を描くことでノスタルジィも醸し出しており、その物語世界は居心地がいいです。
それもサトとセイのふたりに負う処も大きいでしょう。ふたりがじゃれ合うようにしている場面や、年上のシュウとサトが仲良くしている処をセイが嫉妬する場面は実に微笑ましいです。だから後半セイが抱えている秘密があらわになった時、よそよそしさが漂い今までのは全て計算尽くだったのかと思わせサトと共に寂寥感を味わえます。この辺りの流れが巧いなと唸らされました。こういう男の子の描写は女性作家ならではでしょうか。古くは仁木悦子、そして宮部みゆきや恩田陸、加納朋子に通じるものがあるなと感じました。 -
Posted by 読むコレ
成風堂書店シリーズの3作目。ようやく読めた。
本当にこのシリーズは現在の仕事や音楽業界(販売メインのね)の
ダメさ加減を身につまされ、姿勢を正すと共に、諦めを感じてしまいます。
確かに音楽ソフト販売店員さんの中にもまだ気炎を上げ、戦っている人が
いないとは言いません。でも、圧倒的に少ない。少なすぎる。
カスみたいなバイヤーばっかり。そんな中で報われない孤軍奮闘は
だんだん音楽そのもを嫌いにさせる原因でしかない。
個人的にCD屋に行く事よりも書店に行くことの方が多くなった今、
どん底を見た分、書店の方が100000000倍興味ある店作りをしています。
今作の成風堂さんもその中の一店舗。
やはり、素敵な作品です。大好き。 -
Posted by ブクログ
作家6人による 30代女子お仕事アンソロジー。
あー、よかったぁ。
漫画家や通信講座の講師、プラネタリウム解説員
ツアー・コンダクター、ディスプレイデザイナー にスポーツライターと
馴染みがあるかといわれるとそうでもない職業だけど、
結局、根っこは同じようなことで苦しんだり悩んだりするのだなぁと思う。
お気に入りは小路幸也だなぁ~やっぱり。
6つの作品のにちょこちょこっと共通のお店や関わりがあって
そこが、いろんな職業でも
いろんなところでつながると感じられて嬉しい。
そうなのだ、今日電話したコールセンターの女子も
もしかしたら、チョコ好きかもしれない。
風邪気味だけど、頑張ってるのかもしれない。
星占いが1位だったかもしれない。
星座が同じかも・・・
そんなことだけど、
だけど、人はそれぞれ生きていて、つながるところがある。
そう思うと、明日も元気でいられるかも。
できれはプラス15歳の女子。。。いえ、おばさんで
書いてほしい。
だって、6人の主人公はやっぱり、私から見れば
若いんだもの。
なんでもできるよ!と思うもの。
と、拗ねてみてもダメかしら?? -
Posted by 読むコレ
シリーズ1作目を読まずに、いきなり2作目からの
挑戦でしたが、すんなり世界に入ることが出来て
楽しめました。
事件そのものはいろんな意味で微妙な内容な
気がしますが、きっとこの世界観を長編で展開する
には結構無理があって、その難しさは相当な気がするので...
全然許します。
とにかく今作から伝わる書店に対する想い。これは
腐りきった全国のCD屋の馬鹿バイヤーたちに強制的に
読ませるべきですね。
馬鹿◯◯ーレコードの勘違いクソバイヤーの中に、自身を
持って、この棚は「自分の棚です」。....と言えるヤツは殆ど
いないハズ。
だから音楽はこうやって死んでいったのだ。