あらすじ
中学2年生の花南子は、父親の海外勤務によって春休みから一人暮らしを始める。その場所は曾祖母の五月さんが経営するアパート「さつきハイツ」。その矢先、五月さんがぎっくり腰で入院、心細い花南子のもとに宛先不明の謎の封書が届く。同級生男子とともにその謎を調べ始める花南子だが、偶然出会った“名探偵”の存在が、花南子の生活を大きく動かし始める……。ちょっぴり切なくて、心にしみる極上の読後感をお約束します。
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中学2年生の花南子は父の海外出張のために、曾祖母の五月ハイツで一人暮らしを始める。ひょんなことから近所に住む根尾くんと一緒に、同じアパートに住む今津探偵(調査員)と謎解きを始めるのだが、、、。
近所の出来事とは言え、たぶん中学生にとっては重すぎる謎や問題なのだが、暗くならずに中学生パワーで乗り越えていく感じ。
今津探偵の正体にはおどろいた。理屈で受け入れるのと気持ちで受け入れるのとでは違うだろうなあ。
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中学2年生の花南子と根尾のコンビがご近所の謎を調べ名探偵(調査員)と出会いいくつもの出来事を解決していく。父が海外勤務、曽祖母は入院と花南子の境遇に驚くけど中学生が冒険するには自由が必要。世の中残酷で酷いことはたくさんあるものの中学生が出会う謎にしては少し重たく感じてしまうがそれはそれ、面白かった。タイトルが名探偵とあるので不思議だったけど最後まで読むと謎が解ける。これは中々に想像してなかった展開でまた驚いた。理解することと受け入れることは違うし子供としては複雑な気分になりそう。帯とは違うけど楽しかった。
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父と二人暮らしだった中学生の花南子は,父の単身海外赴任に伴い曾祖母の五月さんがオーナーであるアパートの一室に引っ越してくる。その矢先,五月さんはぎっくり腰でしばらく入院することになってしまう。近所に住む母子家庭の男子,根尾くんと仲良くなり,彼が持ち込んできた近所でおきた事件を独自に操作することに。そのさなか,同じアパートの2階に住む今津という調査会社で調査員をしている青年と知り合う。中学生の男女二人で事件に首を突っ込む二人を心配してか,今津は何くれとなく二人をサポートしてくれる。
そんなこんなでいくつかの事件に関わっているうちに,今津の意外な正体が明らかになってくる。
「きらきらを少し」
根尾の家の近所に住むおじいさんが行方不明になっているらしい。姿を消したと思われる時間帯に根尾自身が不審な黒い車を目撃している。が海外に住んでいる家族に警察が連絡を取ったところ,急な用事で出かけているだけだと答えたらしい。
「ここだけに残ってる」
花南子の部屋を外からこっそり覗いているという不審者がいるという。
「マイホームタウン」
根尾の隣の部屋の男が根尾の母親に興味を持っているらしく,根尾の母親が参加してる川清掃のボランティアにも参加しようとしているらしい。様子を探るべく花南子も根尾と一緒にボランティアに参加することにする。
そこで隣の男が関心を持っているのは実は根尾の母ではなく別の人だと解る。隣の男の目的とは。
「おばあさんがいっぱい」
花南子は今津がアパートを引き払ったことを知る。
五月さんが出かけたっきり帰ってこない。さつきから聞いた昔話を手がかりに隣町の相馬と言う家にまでたどり着き,さつきさんが訪ねてきたことを突き止めるが。
「ここから上がる」
根尾の住んでるアパートで火災が発生する。たまたまアパートまで来ていた花南子は色々怪しい部屋に逃げ遅れていた子どもの救出に向かう。しかし煙を吸ってしまい気を失いかけたとき,自分の名前を呼び捨てで呼ぶ声を聞く。花南子を助けたのは...
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確かに伏線がいっぱい!
中学生時代にこんな探偵みたいなことができたら、さぞ楽しかろう
巻き起こる不可解な出来事を解決していく2人の中学生と探偵さん。
ほっこりしたお話もあり、良い。
でも、最後の探偵さんの伏線回収は、
お、お…ー そうか…
上手いというより、なくもないけど、
頑張って捻ったなーと言いたくなった。
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一般論ではなく自分に関わる案件として捉えた場合、綺麗事では済まない感情が沸き上がってくる。そうして自分の器の大きさを知り、それが自己評価より小さいことに落胆する。けれども落ち込みながらも、変わってゆきたいと決意し、分かち合える人を大切にしたいと願う。
設定なとが当世風であるものの、普遍的なティーンの成長譚ではなかろうか。ご近所の普通のおじさんおばさんたちにも、いろんな遍歴や葛藤があって「まさに人に歴史ありだな。なにげに暮らしてる大人すげえ」と思った自分の中学生時代を思い出した。あまり器が大きくなっていないことに気付かされるのは切なかったが、世間という外側から自己を知った衝撃を、共感したり思い起こさせる作品だと思う。
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いくつか身近で起こる???な事件をするりと解決しちゃう近所の探偵さん、今津さん。なぞもなぞでなるほど〜ととても納得できるものばかり。よかった!
p.267 あのとき今津さんは、「君たちの言う帰れるところって、いつでも子どもに戻れて、優しい親が待っている家なんだろうね。心配しなくていい。ほとんどの人が持っていないから。家があったとしても寛容な場所とは限らない。灼熱の砂漠とか酷寒の荒野かもよ」と言った。
今津さんがお母さんの弟ならば、「寛容な場所とは限らない」とは、北海道の自分の家を指しているのだろうか。そこはお母さんの実家でもある。
灼熱の砂漠や酷寒の荒野を魔えにするような、とても居心地の悪いところだとしたら、お母さんは離婚した後、どうしていたのだろう。
p.270 がとても難しい。
「うまくしゃべれなくて。今何か言ったら、ひどいことを言いそう。自分で自分がすごく嫌いになりそうな、ひどい言葉。だから何も言えなくて」
「無理して言わなくてもいい。取り繕った上辺だけの言葉を聞かされる方がしんどい」
「そうかな」
「そうだよ」
「でも、いつまでも黙ったままじゃいられないでしょ。今にもこぼれそうな縁まで盛り上がったコップの水を、手に持って歩いている気分」
根尾は橋の欄干から流れゆく水面をじっと見つめ、しばらくしてから言った。
「コップを大きくすればいい」
「どうやって」
「安住さんも勉強しなよ。いろんなことを学んで、本を読んだり人と会ったりしていると、たぶんコップは大きくなるんだ。飛んでも跳ねても水はこぼれなくなる」花南子は欄干の上に自分の両手を出した。重ねた左右の指の間に、小さなガラスのコップが見えるような気がする。受け止め切れない、もしかしたらの現実が、なみなみと注がれている。
ニュースや漫画などの創作物でしか見たことのない身体的特徴、それについて自分は偏見は持ちたくないと思っていたし、そういう人がいても分け隔てなく接するつもりだった。心ない言葉を投げつけるような人間を嫌い、つねに公平でありたかった。
思うのと実際の行動はたぶんちがう。心もちがう。他人事と自分事でも大きくちがう。
今の自分は小さな小さなコップしか持たず、今すぐ川面に叩きつけたい衝動をこらえるのがやっと
だ。
「安住さん、おれたちまだ十五歳だよ。変われる余地だけは山ほどあるよ。少なくともおれは、春休みの前と後ではずいぶん変わった。来年の春休みまでにはもっと変わっているかもしれない。今がすべてじゃないよ」
「私も変われる?変われば・・・・・・」
今津さんのことをもっとちゃんと考えられるようになるだろうか。
春休みになるまで、今津さんとは口を利いたこともなかった。一•二号室に引っ越してすぐ五月さんが入院してしまい、直井さんの件で初めて関わりを持った。そのあと庭先に不審者が現れたので花南子が不安を訴え、解決に一役買ってもらった。川端さんのときは中学生コンビを危ぶんで、今津さんの方から事件の詳細を調べてくれた。
もしかしたら向こうからすると、予定外に近づきすぎたのかもしれない。それで五月さんが退院してすぐアパートを出た。そっと静かに離れていくつもりだったのに、火事が起きて危険な部屋に飛び込まざるをえなくなった。花南子と呼びかけ、母親について話してしまった。その直後から行方がわからない。
今津カホルという名前を使っていたわりに、徹底して関わりを避けていたのは、正体を知られたら娘は母親を失うとわかっていたからか。
娘。あの人にとって自分はどういう存在だったのだろう。
自分は母親をなくすのだろうか。
p.272 花南子はあきれたり笑ったりして、重ねていた左右の指をぱっと開いた。イメージの中のガラスのコップは川面に落ちることなく、放たれた鳥のように羽ばたいていく。
いつか両手で、父親ではないもうひとりの親を掴めるだろうか。南に咲く花のように強くたくましくなって。
自分はなくさない。自分の中の大切なものを。
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中2の花南子は父親が海外勤務になり、曽祖母の経営するアパートで暮らす事になる。だが、曽祖母の五月がギックリ腰になり入院していまう。そんな中、宛先不明の封書が届き、同級生の根尾と共に偶然出会った興信所の調査員・今津と共にご近所で起きた謎を解いて行く…
大人では出来ない中学生ならではの聞き込みなど、ちょっと危なっかしいけれど中々の探偵ぶりの二人でした。
今津の正体が判った時、少ししんみりしてしまいましたが、根尾の存在に救われた気がしました。
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父親の海外赴任で曾祖母と暮らすことになった中学生の花南子。近所に住む同級生と一緒にご近所で起こるあれこれにチャレンジ。
うん、2人が一生懸命で可愛い。
でも、事件は正真正銘危ないものもありえるから、ちょっと危うい。
2人の冒険は、花南子の曾祖母の五月さんには秘密w
でも、同じアパートに住む探偵の今津がなんとも頼もしい。
後半、2人が今津と接近していることを知った五月さんの反応に、まさか、彼が花南子の実の父では、なんて妄想をたくましくたり。
それだけに、最後の最後のあの展開には驚いた。
そして、あのラストには、なんだか尻切れトンボの気がしてしまった。すべてを明らかにするだけがいいわけではないんだけど、、、
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父親の海外勤務により曾祖母の経営するアパート「さつきハイツ」で暮らし始めた主人公が出会う謎。ひとつひとつの謎を主人公達と一緒に推理していく過程が面白かった。最後に明かされた、”名探偵“の秘密には驚き。唐突な展開の印象があったので、そこに至るまでの過程がもう少し描かれて欲しかったなと思う。
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中学生の女の子が、家庭の事情で束の間の一人暮らし。そこで遭遇するご近所の謎……2階に住む探偵(調査員)……!表紙もかわいく、好きなシチュエーションでワクワクした。ときどきのぞくさびしさや、未来への希望や不安にドキッとしたり。
しかし、最後に明かされる今津さんの正体。そのくだり、必要だったかなぁ?伏線も特になかったと思うし、「身体的特徴」って?お母さんの弟、ということでもよかったし、さらに、そうでなくっても。
最後にびっくり!とか、多様性とか、無理に盛り込まなくても。それぞれの家庭環境も複雑すぎてちょっと混乱してしまった。
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中3の花南子さんが主人公の連作集。父親の転勤で、曽祖母との2人暮らしを始めたハイツでの、ちょっとしたミステリーを解決して行く。懐かしい様なご近所とのやり取りがホッとさせられる。最後は切なかった。
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中学3年になる前の春休み、花南子は父親が海外赴任になった事をきっかけに曾祖母の五月さんのアパートの一室で生活を始める。
近所に住む同級生の根尾くんと、同じアパートの住人で調査会社勤務の今津さんと日常のいくつかの事件を解決する短編5作品。
古い下町の風情を残す人情味あふれる町や、花南子と根尾くんの微妙に居心地の良い関係、中学生2人の調査会社の調査員という今津への憧れなど。さわやかに描かれています。
ラストは、んんん?って感じでしたが、やっぱりさわやかな読後感でした。
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中三になる春休み。花南子と同級生の根尾は事件を通じて一人の探偵と出会う。ほのぼのご近所ミステリかと思いきや、中学生には見せたくない泥沼展開も。最後に明かされた真実を花南子はどう受けとめたのか気になります。
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曽祖母が経営するアパートで一人暮らしをする中学生の花南子が同じアパートに住む探偵と出会う話。中学生だからこその行動力と発想、それにヒヤヒヤしてしまうのは歳をとったからか。ご近所付き合い煩わしいと思いつつこういうご近所付き合いならしてみたい矛盾。
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中学生の春休み。父子家庭の父親が外国へ単身赴任。離婚した母親とは交流無し。曾祖母のアパートの一部屋に住むことに。状況自体すごい。ひょんなことから隣のクラス男子やアパートの住人の探偵さんと事件解決みたいな。人間のやなところとか中学生の社会勉強か。面白く読んだけど探偵さんのまさかの正体に驚く。多様性かあ。1話目は伏線だった?そうでなくても厳しい状況なんだけど…。まぁ見守ってくれてるならそれは安心なんでしょう。
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最初は普通の日常系ミステリかと思った。でも最後は意外な方向で終わった。
そして一話目に戻ってみると、なるほど、この台詞はそういう意味だったのかーということがわかる。
ただ、設定に無理があるように感じた。
Posted by ブクログ
親の離婚により父娘2人暮らしだったが、その父の海外赴任に伴いひいおばあちゃんである五月のアパートに越す花南子。同級生の根津といろんな問題を、調査員の今津が度々助けてくれながら謎解きする。今津の正体が意外で興味深い。なるほど見守ってくれてるのか、と。それを知って、また続編が出るといいな。花南子たちの成長も見たい。
Posted by ブクログ
【収録作品】きらきらを少し/ここだけに残ってる/マイホームタウン/おばあさんがいっぱい/ここから上がる
中学2年生の花南子は、両親が離婚した後、父親と二人暮らしだったが、その父親が海外に赴任することになり、曾祖母の営むアパートの一室で暮らすことになる。
そして、近所に住む同じクラブの根尾と共に、さまざまな事件に関わっていく。その過程で同じアパートに住む調査会社の調査員・今津と出会う。今津は渋々ながら彼女たちの頼みに手を貸すが。
花南子と根尾の好奇心にはヒヤヒヤさせられるが、一つ一つの事件の背後にはなかなかヘビーな問題が隠れている。
自分たちの置かれている状況にめげず、前向きに進もうとする二人はまぶしい。そして、自分の中にある偏見に気づいた花南子の柔らかな感性も好ましい。
すべてが明らかになり、花南子がずっと守られていたことがわかる最終話は温かい気持ちにしてくれる。今津は優秀で、真面目で、温かい人である。五月のバイタリティは見習いたい。