東浩紀のレビュー一覧
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世界の頭のいい人たちからコンパクトに要点教えてもらおう!という、ある意味とても今っぽい本。中公新書で出た企画が成功したので、後追いという印象もある。
後追いとはいえ、世界は変わっており、最新の状態を前提にスピーディに新書化してるので、つまらないということはない。
今回はコロナとウクライナを前提に話している。
複数の人が話し、それをまた複数の人が感想を言う二重構造で議論が深まっていて良い。
学ぶとは考える体験であり、時間がかかるためデジタル化やコスパとは相容れないないという言葉は印象的。
多元的に考えるという言葉一つでも、人によって表現が違い、印象も変わる。
読後は「もっと本を読もう、ネットは減らそう」となった。 -
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『エマニュエル・トッド』
(2022年現在、今後の世界情勢について)私は歴史家が本職。でも歴史の話はまったく役立たず。なぜなら、私たちが経験しているのは、まったく新しい何かだから。
歴史と違う点
・20世紀初めは各国人口増加したが、今は中国も含め減少する見通し
・冷戦時は、ロシアとNATOが直接対決したことはないが、ウクライナ戦争は、核使用が現実味を帯びるロシア対NATOの本物の戦争
・プーチンは独裁者だと言うが、ヒトラーや、ムッソリーニ、スターリンと違いイデオロギーが無い折衷的で多様な独裁者
・各国国民は超個人主義になった。それはロシア国民も同じ。だから国家間の経済紛争や戦争が行っているのにどこの国民もここです。だから参加したがらない33
中国に選択肢は無い。どうしたってロシアに加担せざるを得ない。一方、新興国のインド、トルコ、イラン、パキスタンなどは今後の世界を決める立場になる。しかも彼らは先進国を好きじゃない(旧植民地だから)。それにこれらの国は強烈な父権制文化の国で、女性解放などの先進国の理論には興味を示さない。彼らに選択を迫るのは危険だ39
『マルクス・ガブリエル』
ロックダウンシステムは「近代史上で初めて世界が中国を真似たシステム」。直ぐに見直されたが。56
コロナ禍で分かったのは「国境無き世界」はまだ存在せず、相変わらず「国民国家」が世界の潮流だという姿が炙り出されたこと。結局どの先進自由民主国も、マスクやワクチンを奪い合い、国家内の医療保険制度の範囲に壁を作った57
SNSでは、自由民主主義の水準に達する会話は成立しない。「Twitterで誰が大統領になったのか」を忘れてはいけない。(ガブリエルはコロナ禍の中でSNSアカウントを消去した)71
アイデンティティーで人を見るのは間違っている。例えばジェンダーの問題で、相手をノンバイナリーやクエスチョニングの人として見るのは道徳的に間違い。なぜなら見解の是非を「相手のなかの人間性を見て判断」するのではなく「その人のアイデンティティーを見て判断」しているから。ここで言うアイデンティティーとはジェンダー、人種、国籍など72
SNSでフェイク認定されてBANされる、といった国家が行えば「言論統制」と大問題になることを、Twitterなどの一企業が行っていることは異常 與那覇98
「現代に歴史は参考にならない」は賛成。無文字社会から文字社会になり、歴史は「記憶=暗唱」⇒「記録=叙述」になった。そして現代、歴史は「データ=検索」の時代になってしまった。必要な時に歴史を「つまみ食い」する。私は「歴史家」という肩書きを辞めて「評論家」になった。與那覇109
「日本はアジアで唯一の先進国」というパターナリズムをそろそろ捨てるべき。技能実習生というシステム自体が「途上国人を勉強させてやる」という建て前で成り立っている。これを「人口減少で衰退する日本の生活を維持するため『お手伝いに来てもらっている』」と正直に改めるべき。與那覇119
グローバリゼーションの原因のひとつは「道徳にとらわれない自己利益の追及」だ。「これは禁止されていない」「法的には間違っていない」と経済活動する。これは道徳を外部委託している(政府や行政たけが担っている)ことが関わっている。しかし難しいのは利益追求と道徳がトレードオフになっていて、解決法が見つからないこと。ミラノビッチ167
アフリカや南米、一部のアジアの国で見られるような極端な貧困や低開発がなくなった世界ができたとする。おそらくそうすると、より人々の交流が活発になるのと、各国内(先進国)の格差問題や不平等の縮小が起こると予想できる。ミラノビッチ186
「リープフロッグ現象」先進諸国が経験した段階を「蛙飛び」にして新興国で特定の技術やインフラが先進国より速いスピードで整備、浸透すること。アフリカでは銀行口座持てなかった人々が電子マネーを使い、物資が行き届かず餓死者が出てた村にドローンでモノが供給されたり、携帯ゲームで教育が普及したりしている224
ジャック・アタリの「ポイズンフードをやめよう」「ナチュラルなものを接種しよう」という主張に疑問。アフリカでは虫害や干ばつに強いので遺伝子組み換え大豆が人々の命を救っている。反ポイズンフード思想を先進国の理論で、無自覚に、急速に強要すれば反論と大混乱を招く。小川227
SNSは秒で情報を得られるが、「考える」ことが出来ない。《人新世の資本論》は面白かったが、結論の「一人ひとりが考えて立ち上がるしかない」が不満。本当に今必要なのは「一人ひとりが立ち上がるために、人々に啓蒙や教育をどう届けるか」という方法論だ。東229
AIの恋人が出来たとする。長いあいだ恋人として会話したけれど、ある日、実は会話はアルゴリズムだったと発覚する。その「恋人」に「今まで会話してくれてありがとう」と言えるか。多くの人は「裏切られた」と思い結婚詐欺に遭ったと同じように感じるのでは?東239
私は「人々はそんなに理解しあわなくてもいい」と心から思っている。「理解しあえなくても共存できればいい」と考えるのが大事。この考えは人類が共存しあえる社会を作れる可能性がある。それに自分や自分と同じ考えのグループが、危機に陥って解決策が無い時、自分たちの思想が破綻したときに、全く想像もつかない「別の考え」を得られるリスクヘッジにもなりうる。小川240 -
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東さんが自分の中でトレンドになりつつあるので、初期の代表作を手に取る。90年代のオタクの閉塞的な空気と何となくネガティブな印象とポストモダン的な社会を結びつけて論じられている。人間関係の希薄さがとやかく騒がれてた時代の雰囲気をおおよそマッチしてるかな。
2023年のオタクはどうなのか、結構オタクの障壁はだいぶ優しくなって日本人の大部分がオタク的要素は持ち合わせているのではないでしょうか。しかし、90年代とは違いもっとライトな日常生活に溶け込んだ印象を受けます。昨今の小さい物語消費への動物的消費傾向は続いていると思うし、インターネットやSNSによる拡散効果でその餌食となる人数が昔に比べてはるかに多いように感じる。あとは、データーベース構造からのシュミラークルなんてものは、今はYouTube台頭の時代もあってそういった作品群が溢れかえっている。そこには〈萌え要素〉の流用による動物的消費の過剰摂取が見て取れる。
筆者の主張は現代加速している面と、より広範な人々が対象になっていてもはや気にもしないレベルに浸透しているのでは、そこには少なからず危惧すべき点があるのではと悶々としちゃう。
擬似社会でのいつでも降りられる関係性における社会性をオタクは築いており、本来の社会的な営みには参加していないといった主旨があるかと受け取ったが、それこそツイッターやらLINEやらの似非社会であったものが本当の社会生活で大きなウェイトを占めはじめて久しいし、この点では次のステージに移行してる感もある。
少し前の作品ですが、だからこそ当時の社会のあり方、現代のあり方を比べながら読み進めてみると今読んでも中々刺激的だなと。 -
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ネタバレ4名の著名な知識人へのインタビューと、それを踏まえた日本の知識人による論評という構成。日本の知識人の方々は、確り自身の意見を述べていて好感が持てた。
また4名のインタビューの中では、ミラノビッチ氏の話が面白かった。
曰く、エレファントカーブを見ると、程度の差こそあれ、あらゆる人々がグローバリゼーションを通じて所得が増加していることがわかる。また、グローバリゼーションに反発するのは、相対的に恩恵の少ない先進国の中産階級だけで、国内政策での対応が可能である。
そう考えると、保護貿易的な政策で中産階級を保護するより、再配分や成長産業への労働力移動を通じた、グローバリゼーションに抗わない政策の方が効果的ということなのだろう。
また、無道徳的な資本主義と道徳的な共同体は両立しない/経済成長しないと絶対的貧困は減らせないとも述べている。
つまり、無道徳的でも資本主義を通じて経済成長を続けるしか道はないということで、現実的な意見だと感じた。(因みに無道徳とは、”道徳・倫理について、内なる規範ではなく、法律などの外部規定に依存する”ことらしく、必ずしも悪いことではない) -
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自分が今いるコミュニティから外に出てよその文化を体験するってことの重要性はとても共感。これは自分の視点として私自身も日頃から志向している。
そこからさらに、よそ者がよそ様のコミュニティに無責任に首を突っ込んで当事者でもないのに好き勝手思ったことを発信すること は咎められがちだけどむしろ新たな解とか可能性を見出すヒントになりうるからOK という社会の視点は言われるまであまり考えたことがなかった。でも確かにそうだなと学びになった。
この本を読んで、自分は視野を広げるとか自分自身のことしかなかなか考えていないけど、東さんは世の中の健全な有り様がなんなのかについても当事者意識?を持って考えられているんだなということが改めてしみじみ実感できて、さすがだな と思った。
陳腐だけど、積極的に未知な領域に飛び込んで、よそ者であることから気後れするのではなくよそ者であるからこその気づきを堂々と述べていこうと思った。 -
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デジタル時代の民主主義の在り方について、10年以上前に出たこの本で触れているのは驚きです。政治にコミュニケーションは不可欠と思っていましたが、国民全員がコミュニケーションが得意なわけでもなく、ただ、こうして欲しいという潜在的な欲求は持っているもの。これをテクノロジを駆使すれは、一般意思として抽出できるという主張。
ある意味、最近話題の成田先生の著作「22世紀の民主主義」の問いに対する答えを準備しているかの内容。一読再読の価値ありと思います。ChatGPTなどの優れたAIまで実装された現在、一般意思2.0を把握するところまであと一歩。どこかの国で試験的にシン民主主義が始まるような気がします。あるいは国内の自治体で潜在的な住民意思を細かな政策に反映していけば、シャイで内気な人も含めて、貴重な民意が反映され、快適な生活を求めて移住する人も増えるのではと思いました。 -
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2017年1月2日・9日合弁号から2022年4月19日号までの週刊誌AERAの巻頭コラム131本。まったく「忘却にあらがう」こと出来てません。すっかり忘れていることばかり。今日より明日という未来志向に駆動されてしまっています。昨日のことを思い出させるのはGoogleのフォトライブラリーの思い出リマインダーばかり。そこには本書で語られるような写真に写らない出来事は皆無。景色と友人と食べ物しか自分の昨日はないのかよ、と思っていたらスマホのプッシュ通知で「森友改ざん問題で元理財局長の責任認めず」とのニュース。そういうことも知らせてもらう時代に、自分の中にどんな「忘れたくない」テーマを持ちうるのか、とかとか考えてしましました。
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巻末の付録の「平成という病」がこの本の本質なのだろう。東さんが平成を生きたこれまでに失望し、疲れ、やる気を無くし、それでも令和という時代を迎え、偽りでない希望を見出そうとまた立ち上がりそうな気配だ。
なーんて偉そうなことを言える人間ではないが、この人は本当に素直に自分の失敗だったり不明だったりをきちんと認めている。だから、自分はこの人を信用するのだが、批評家(だった?)なのだから起こったことにしか見付けないのではなく、哲学者(だった、そして今は?)なのだから、これからの日本がどうなるのかまではきちんとわからなくても、どうしていくべきなのかの一つの方向性を教えてほしいと思っている。 -
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ネタバレ記号論とはなにか。歴史からここまでの新しい言説までをまとめたものである。知を愛するものであれば必読の書である。
この分野はコンピュータ、AIの発展の礎になっているし、そもそもメディアを探究する場合にも必要になるものである。
本書に「ヒトはみな同じ文字を書いている」、「ニューロンリサイクル仮説」を取り上げた箇所がある。ヒトが進化の過程で森で生活していた時期があるとされる。その森での生活でモノを見分けるのに使っていた視覚に関する身体の部位や脳の視覚野。これを文字を読むことに転用しているのではないかということの根拠にしているのである。
グラフィックレコーディングにおいて、文字を書く、絵を描くということは基本中の基本である。その学びにおいてこの考えは大変大きな示唆となる。