東浩紀のレビュー一覧

  • 忘却にあらがう 平成から令和へ

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    巻末の付録の「平成という病」がこの本の本質なのだろう。東さんが平成を生きたこれまでに失望し、疲れ、やる気を無くし、それでも令和という時代を迎え、偽りでない希望を見出そうとまた立ち上がりそうな気配だ。
    なーんて偉そうなことを言える人間ではないが、この人は本当に素直に自分の失敗だったり不明だったりをきちんと認めている。だから、自分はこの人を信用するのだが、批評家(だった?)なのだから起こったことにしか見付けないのではなく、哲学者(だった、そして今は?)なのだから、これからの日本がどうなるのかまではきちんとわからなくても、どうしていくべきなのかの一つの方向性を教えてほしいと思っている。

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    2022年10月26日
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅

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    検索エンジンに支配され固定的な生き方をするよりも、偶発的な発見や出会いを求めて新しい旅の可能性を探ろう。利便性は便利で最適化されているように思いがちだが、型にはまりすぎてしまう恐れもあるので要注意。自分は旅行が割と好きな方だが、常にガイドブックとスマホの指示通りに旅していて、パッケージ化されていたなあと思わなくもない。むしろプラン通りいかなかったり、アクシデントがあったからこその発見・出会いがあると、むしろオリジナリティがあって、あとで振り返ってみると意外と楽しい思い出だったなあと思うことはよくある。

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    2022年06月19日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    “しかしポストモダンの人間は、「意味」への渇望を社交性を通しては満たすことができず、むしろ動物的な欲求に還元することで孤独に満たしている。そこではもはや、小さな物語と大きな非物語のあいだにいかなる繋がりもなく、世界全体はただ即物的に、だれの生にも意味を与えることなく漂っている。意味の動物性への還元、人間性の無意味化、そしてシミュラークルの水準での動物性とデータベースの水準での人間性の解離的な共存。(略)「ポストモダンでは超越性の観念が凋落するとして、ではそこで人間性はどうなってしまうのか」という疑問に対する、現時点での筆者の答えである。(p.140)”

     サブカルチャー論でよく名前を聞く本。

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    2022年06月11日
  • 新記号論 脳とメディアが出会うとき

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    ネタバレ

     記号論とはなにか。歴史からここまでの新しい言説までをまとめたものである。知を愛するものであれば必読の書である。
     この分野はコンピュータ、AIの発展の礎になっているし、そもそもメディアを探究する場合にも必要になるものである。
     本書に「ヒトはみな同じ文字を書いている」、「ニューロンリサイクル仮説」を取り上げた箇所がある。ヒトが進化の過程で森で生活していた時期があるとされる。その森での生活でモノを見分けるのに使っていた視覚に関する身体の部位や脳の視覚野。これを文字を読むことに転用しているのではないかということの根拠にしているのである。
     グラフィックレコーディングにおいて、文字を書く、絵を描く

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    2022年05月01日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    コロナ後の日本社会はどのように変化してゆくのか。変化した社会にどう生きるか。桐野夏生さんの「不寛容な時代、自由な小説から力を得て欲しい」の言葉に、不安の塊がふうっと軽くなりました。

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    2022年04月04日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

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    誤配=啓蒙
    オルタナティブこそが反資本主義、反権力になりうる。有料化されたコンテンツで健全なコミュニティが作られる。

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    2022年03月27日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    オタクにとって価値を見出す点が、作品から作品の文脈に変遷していくまで。同人活動へのつながりがスッキリ理解できた

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    2022年03月15日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

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    オイラ東浩紀より4つ下なんで、ちょうどこの本に書かれてる時の東浩紀くらいの歳なのよね。で、外回りの営業から内勤の事務職へ異動。「会社の本質は事務」とか「任せると目を逸らすとは違う」とかいろいろ刺さり過ぎる。まぁ東浩紀でもこんだけ迷い惑ってんねんから凡人の我々なんぞが40過ぎて迷ったり惑ったりするのも仕方ないわ。

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    2022年02月18日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    うまく時代の表層の流れは捉えている。
    最後のゲームyu-noの紹介は実例として面白いが、妥当性があるのか、筆者が言う通り深読みではないのか、その疑念を晴らす作業が欲しかった。

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    2022年02月02日
  • ゲンロン12

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    東浩紀の訂正可能性の哲学。公共性を開放性ではなく、訂正可能性としてとらえるという新しい哲学。そして東的な家族という概念。とても熱くなった。

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    2022年01月28日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    20人によるエッセイ。
    共感できる話が一つや二つはあるのではないでしょうか。
    私は瀬戸内寂聴さんでした。

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    2021年09月27日
  • これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講

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    11のエリアの第一人者との対談。非常に為になった。個人的な関心の重みもあり、中でも、東浩紀氏、石川善樹氏、水野和夫氏、平野啓一郎氏、山極寿一氏のパートは示唆に富んだ内容であると感じた。

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    2021年09月26日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

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    言葉では伝わらないこと、オンラインでは伝わらないこと、商業ベースじゃないとできないこと、でもスケールを追っててはできないこと、「仲間」となにかを成し遂げることの難しさ、仲間の存在のありがたさ、意図せぬ偶然の必要性、などなどいろんな示唆が詰まった本だった。
    この本では著者の仕事の中身である哲学?についてはそこまで深く書かれていなかったけど、日常の仕事とかキャリアにおいて失敗して仲間に支えられて内省して成長して少しずつ前に進んでみたいな過程を振り返るというか考えること自体が哲学なのかもしれないと思った。いろいろ考えている人は深みがあってかっこいいなと思った。
    ゲンロンのコンテンツにも触れてみようと

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    2021年09月25日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    異世界もの(転生するとか召喚されるとか、まぁ、その辺の細かいとこはどうでもいい)が雨後の筍みたいになっている理由は、これを読めばわかる。

    異世界ものの読者が求めているのは、「小さな物語」という表層が与えてくれる「効率的な感動」「そこそこの面白さ」と、「データベース」に蓄積されている設定の、目先の変わった組み合わせだけだから、量産できるし、既視感満載の作品しかない、ということらしい。
    むしろ、既視感ありき、なんだそうな。
    なんせ、大事なのは創造じゃなく引用の巧みさだから。
    そして、オリジナルとコピーの区別が消滅してるから、原作と言われる作品さえ先行作品の模倣と引用のパッチワーク。
    さらに、現実

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    2021年09月16日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    予想より読みやすかった。図解も手伝って筆者の言わんとするとこが、よく理解できる。アニメ、オタク文化をよく知らないのだが、そこも問題なく、むしろ楽しめた。もっと著者の本を読みたい!と思いました。

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    2021年09月03日
  • これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講

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    11人の識者へのインタビュー集。編者の好みなのか分野と言葉は違えど、思い描いている未来社会は似通っている人選のようにも思えます。気になる人物ばかりだったので問題ないですが。

    近代の強い個を持続できるほど人間は強くなく、場の関係性の上に柔らかい弱い個をなんとか保っているのが実情。そんな個人でも生きやすい社会制度へと変えていく時代に来たのかな。

    「欲望のエデュケーション」といった気づきのような新しい啓蒙の形で、これから価値観変更を優しく迫るお知らせが来るのだと思うw

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    2021年08月23日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

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    東さんの著書に哲学の誤配というのがあって、興味はあってもまだ読んだことはないのだが、この本でいう誤配とこのゲンロン戦記で度々出てくる誤配は同じなのだろうか気になったので、次は哲学の誤配を読んでみたいと思う。
    最後のあとがきで著者がいう様にこれは私小説なのだろう。
    だから、まぁ、特に東さんその人に肩入れするわけではないので、途中何を読んでいるのかなという気にもさせられたが、でも話は面白く、他の著書、といってもまだ2冊しか読んでいないけれど、この人は自分の失敗を赤裸々に告白してさらにきちんと謝るべきことは謝っている態度が一貫しているなというのが印象に残る人なので、このゲンロン戦記も同じ印象を持てる

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    2021年08月21日
  • 新記号論 脳とメディアが出会うとき

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    ネット社会となった今を生きるということについて、人間の自由について、脳神経科学を踏まえた哲学としての説明がされている。スッと入ってくるところが多かった。
    いつの時代も、人との繋がりの中にしか自分を見出せないだろう。メディアが変わっても、不器用でも粘り強く、勇気を持って向き合っていくしかない。改めて感じた。

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    2021年07月22日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    ポストモダンの精神構造、社会構造をオタクの文化をもとにして分析した本。
    示唆に富んだ内容であり、とても面白かった。東浩紀氏の造語がたびたび登場してくるが、どれも言いたいことを端的に言い表したストレートなネーミングによるもので、難解とは感じない。

    20代前半の私からすると文中に挙げられるアニメ・ゲームは馴染みのないものばかりだったが、90年代や2000年代前半の時代を理解する上では参考になった。本書の刊行から約20年が過ぎたわけだが、オタク文化、ひいてはポストモダンも新しい次元に入ったように思われる。この点に関しては新しい著作などで分析してくれることを期待している。

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    2021年07月04日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

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    著者の等身大の苦悩が共有できる良書。30~40台をどう生きるか?についても様々な警句に満ちている。
    人はいくつになっても学ぶことはあるし、いくつになっても学ばないといけない。

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    2021年06月16日