東浩紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
別の本だが、えげつないが的を射た表現があって、それをキッカケにレビューを書き始めてみたい。ー 「人間とは黒のインクに発情する生き物」
これはなんだと思ったが、つまりこれは、例えば官能小説はただの記号の連なりだが、人間の生理に確実に侵食してくるし、ただのインクの曲線的図形が卑猥にも妖艶にも見える事もあろう。
こうした学習した記憶が身体反応に直結するという現象は人間のみに見られるのだという。例えば、フェロモンはリモートでは感じ得ないはずだが、人間が映像からそれを感受するのは、視覚が経験を呼び覚ますからだ。ネット環境でリアルな知り合いではない相手の性別はジェンダーレスで本来良いはずだが、相手の性差 -
Posted by ブクログ
3年ほど前に半分ぐらいまで貪るように読んで、そこからなぜか積ん読。ようやく再読したものの、前回読んだあたりまでが一番面白かったなという感想。なんだかな。
議論の中心となる概念は2つ、「データベース消費」と「動物の時代」。それぞれ大塚英志の「物語消費」と大澤真幸の「理想の時代」「虚構の時代」を発展的に継承し、現代(95年以降のこと)版にアップデートしたもの。
どちらも非常に使い勝手のよい概念で、思考ツールとして極めて有用。
特にデータベース・モデルに関しては、少なくともこれだけでこの本を読んだ元は取れた、と思うほど。
読みながら現代はどうだろうと考えるのも楽しかった。艦これやFGOは恐ろしい -
Posted by ブクログ
こだわりがあるのだろうが、タイトルが勿体無い。
あるルールの世界で動いているものに、後から違うルールだといちゃもんをつけられても、それが間違いだと論理的に説明することは難しいという話をもとに、我々はなんのゲームをプレイしているかわからない、ゲームが成立するには観客や評価を必要とする、評価されて初めてそのプレイの価値が定まる、すなわち物事の意味や価値は後から訂正されうるとする。
我々の人生もすべて思いがけないものの連続で、その意味は常に訂正されうる。人間万事塞翁が馬を哲学的に言っているようにも思えた。
例示としてとても興味深かったのは、エマニュエルトッドさんの家族形態と社会体制の因果。これ -
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Posted by ブクログ
新書なので平易な文章でまとめてくれはいるが、それでもその思想の深淵には踏み込めないもどかしさがある。微妙なニュアンスで差異が生じる「歴史修正主義」と「訂正する力」の明確な区別が自分の中で説明しきれていない。
「組織・組合」の重要性を説いているのが新鮮であった。このご時世、人間関係がどんどん希薄になっているという常識の反面、一部のコミケや独特なサークルなんかは今も活動盛んなのかもとか考える。そのような組織で「余剰な情報」を相互提供しあえる関係性って、「私」というアイデンティティが育まれ人生が豊かになりそうー。
ともあれ、ポストモダンの脱構築にも通ずる点も感じるし、自分ごとに引き戻してみると二