東浩紀のレビュー一覧

  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    オタクたちは自分の好む萌え要素や自分の好む演出を単純に求めている。そうした個別の事柄に対する自分の意見や主張(好み)は、他人と共有されることなく、自分の欲求を孤独に満たすものでしかない。彼らは情報交換や作品評価については掲示板やオフ会で積極的に他人とつながるが、それは親族や地域共同体のような現実に基盤をもつものではなく、ある作品(情報)への関心だけで支えられている表面的なもの。自分にとって有益な情報が得られなければ、他人とのかかわりから離れてしまう。いまや、生きる意味や欲求は人間関係の中で生まれるものではなくなり、他人とのかかわりなしに、ひとりで孤独に満たされるようになっている。

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    2024年05月02日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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     モダンは大きな物語があった。この大きな物語とは技術的革新による科学や工学の信仰、社会的イデオロギーの信仰などのことを指し、簡単にいえば万人に共有された思想や観念のようなものである。
     その大きな物語が上手く機能しなくなり、社会全体としてまとまりが無くなる。この大きな物語の凋落後をポストモダン(近代の後)と定義し、ポストモダンでは、どのような社会の形が残っているのか。オタク系文化に共通する事柄から、ポストモダンに残った社会の形、そして今後の社会の姿をを紐解いていく本。

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    2024年03月26日
  • 日本の歪み

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    歪みは相対的なものなのか絶対的なものなのかよくわからなくなってしまった。「矛盾」=「歪み」なのか、ただ矛盾を孕んだ状態というのは必ずしも歪みではない気もする。
    この様な批評家的な方々いるのは否定しないものの、全体的に漂うペシミスティックな感じが、自分には合わない気がした。

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    2024年02月23日
  • 観光客の哲学 増補版

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    リベラリズムが力を失い、グローバリズムすなわち市場経済で動物化している思考とナショナリズムすなわちコミュニティにあって自我を確立する思考とが同時に成立する中で、観光客的に無責任に個がつながって信頼関係を作るのが分断を乗り越えるのに大事という話、と理解した。話がいろいろ広がるので他のポイントは掴みきれてないけど、上記の話は納得する。これから読む訂正可能性の方が気になっているので楽しみ。

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    2024年02月23日
  • 訂正可能性の哲学

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    訂正可能性自体は可謬主義的なこととの違いがはっきりとは理解できなかった。

    ヴィトケンシュタインの言語ゲームやクリプキの議論から原理的な訂正不可避性については新鮮さを感じたが、そこから導かれることは、可謬主義や批判的思考の重要性、脱構築の正義など既存の思想との違いがよくわからなかった。

    一般意思が独裁などにつながる危険性も他書でも見られる主張に思った。人工知能民主主義とう概念は私は意識していなかったので、ルソーの思想とのつながりもふくめ、その発想や概念はなるほどとおもった。

    私自身も、人工知能民主主義については、人間の理性の限界は、ほぼ原理(HW限界)におもうので、人間による政治では「加速

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    2024年02月17日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    トッドさんが好きなので買いました。以下引用ではないのですが、
    「第一次世界大戦、第二次世界大戦と現在起きている紛争は違う。前者は人口が増え、成長している世界で起きた。現在は衰退国の戦争である。本質的に全然違うものである。現在は国民の意思と乖離し、政府が戦争をしている。」
    納得。だからどうなる、というところまでは落とし込めていません。歴史学者のトッドさんでさえも未知の領域なのである。そのうち考えをまとめてくれないかな。

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    2024年02月05日
  • 日本の歪み

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    日本社会での生きづらさや居心地の悪さについて論じていた。言葉と現象が違うものになっているのではという話は面白いと思った。一生懸命になれるものを見つけるというところは一つ救いになっていた。

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    2024年02月05日
  • 日本の歪み

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    独特の視点で論理を組み立てる3者による鼎談。
    脳科学者の茂木健一郎が、解剖学者の養老孟司、評論家の東浩紀の意見を引き出しながら、日本がどんよりと浸かっている諸問題に切り込んでいく。3者3様の取組み、話し方に考え方の基盤が垣間見える。共通点を求めることでなく、自由に持論を披瀝し合うことで、お互いの理解を深めていく。読者は、その雰囲気のなかで共鳴するなり、反発するなり、自由な読み方で臨める。諸外国と比べたときの我が国の独自性が感じられてくる。

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    2024年01月13日
  • 日本の歪み

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    何でこの本を手に取ったか忘れてしまったが、軽快に読め、たくさんの教養から導き出される会話が興味深く面白かった

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    2024年01月02日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

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    東浩紀(1971年~)氏は、東大教養学部卒、東大大学院総合文化研究科修士・博士課程修了の、批評家、哲学者、小説家。1999年に発表したデビュー作『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』は、浅田彰氏が「自著『構造と力』が過去のものとなった」と評して脚光を浴び、哲学書としては異例のベストセラーとなった。
    また、2010年に合同会社コンテクチュアズ(後の(株)ゲンロン)を創立し、代表取締役社長を務め(現在は取締役)、批評誌「ゲンロン」や書籍の出版、カフェイベントの主催、スクールの運営、及び放送プラットフォーム「シラス」の運営(合同会社シラスの元代表取締役)等、様々な事業に携わっている。
    本書は

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    2023年12月24日
  • 新記号論 脳とメディアが出会うとき

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    石田さんが書いてる補論は第一のものですでによく理解できず、というよりそもそも本論の東さんとの講義のところからして良くはわからないまま読んでいたのだが、東さんがところどころ解説してくれるのでなんとか読み進められていたようなものだった。

    結局のところ、一生懸命お二人が、今のこの時代に哲学が、人文学が何をすべきなのかということを何時間もかけて語ってくれているのだが、読んでるこちらはそれがどうして大切なのかということがよくわからないから、噛めずに舐めてるみたいな読み方になってしまった…

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    2023年11月18日
  • 日本の歪み

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    非常に理屈っぽい三人の対談。意味が私には理解できない部分も多々ある。養老先生が、「日本は首都を襲った地震の度に社会変革が起こった。」とおっしゃっているが、次回、首都を襲う地震が起きたら、どうなるのだろうか?

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    2023年11月11日
  • 訂正可能性の哲学

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    1055. 2023.09.10
    ・前半は家族論、後半は民主主義論。
    ・前半は遠回りな議論で「家族」概念は必ずしも閉じているとは言えないという程度の話。後半は「データ民主主義」を不十分で危険なものとして批判するが、藁人形論法に陥っている。

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    2023年10月19日
  • 日本の歪み

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    ゲンロンカフェでのトークイベントの書籍化と認識される。養老さんは抽象的形而上的な議論に乗らず徹底的に個人の実感に依拠せんとしていると感じた。国とかイデオロギーとか考えてもしょうがないから、自分の生活を考えること。ハンナアレントの真逆かもしれないが、今の雰囲気に対しては、養老先生の言葉の方がよい処方箋かもしれないと感じた。

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    2023年10月07日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    海外の有識者2人への個別インタビューに対して、国内の有識者2人が討論するという面白い構成。
    各国のコロナ対策の是非、ロシアのウクライナ侵攻に対するスタンスなど、インタビューを掘り下げていくと、有識者によって意見の食い違いがあることが分かり、国籍や立場によって複雑な事情があることを理解した。
    SNSやデジタル技術によって、人々が「単純化」された理論への志向が強くなり、少しでも異質なモノを見つけ次第排除しようとする傾向は、私自身も含め危惧している。リアルの交流が減ると、ついつい異質な他者を排除できるからだ。ただし、同じ価値観を共有できるほど、社会が単純ではない。
    人間は不確実で不完全な生き物。理解

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    2023年10月05日
  • 「戦後80年」はあるのか――「本と新聞の大学」講義録

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    今日は令和4年8月15日だ。正午少し前から毎年の様に戦没者への哀悼を示す番組が国営放送(NHK)で流れ、武道館には天皇皇后両陛下だけでなく岸田首相も訪れ、正午の時報がなれば1分間の黙祷が捧げられる。1945年8月15日は昭和天皇による玉音放送が流れた日であり、ラジオで初めて聞く天皇の言葉の前に、何やら難しい事を言っている様だが、日本が戦争に負けた事だけは確からしい、と膝をついて泣き出すもの、心の中では生き残れたと安堵するもの、様々な感情が渦巻いた日でもある。特に戦争遂行の最前線にいた軍部には腹を切って自決するものも多数いた。
    終戦記念日と呼ばれるこの日は、この様に先の大戦において国民が戦争に負

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    2023年08月15日
  • 観光客の哲学 増補版

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    増補の内容は本論の発展や展開というより、関連する随想という印象。とはいえ、改めて読み直してもやはり面白かったし、発見もある。「訂正可能性の哲学」への期待は高まる。

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    2023年07月29日
  • 角川インターネット講座12 開かれる国家 境界なき時代の法と政治

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    寄稿でもなく、論考の収録。つまり、各著者による著作を抜粋してテーマに沿って寄せ集めたものだから、読んだ事のある内容も多い。鈴木健、伊藤穰一、西田亮介、橘玲、五野井郁雄ほか、錚々たる面々。自分には重複も多いがそれはそれで。復習半分、発見半分。

    経済は全てをつなぐ。政治は境界を作る。情報技術は境界を壊し、つながりを加速する。テクノロジーの進化は、境界をいかに変容させ、その目指す形はいかようか。面白いテーマである。

    インターネットの黎明期には盛んに世界市民の誕生が謳われた。しかし一向に実現しない。現代はむしろ、リバタリアンの世界とコミュニタリアンの世界が分裂したまま共存している。国境が無くなるか

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    2023年06月25日
  • 父として考える

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    【314冊目】批評家の東浩紀さんと、社会学者の宮台真司さんが父親になられてからの考察を対話形式にしてしたためたもの。2010年出版。論壇では時の人であったこともあり、従来からお二人の議論を追っている人には目新しさはないのかもしれないが、私は興味深く拝読。

     「大きな政府」ではなく「大きな社会」という相互扶助のネットワークを構築していかないといけない。だけど、絆を構築・維持するには相応のコストが必要で、その覚悟が日本人には希薄。今後は個人のスキルを磨くことよりも、スキルのある誰かと繋がれるコミュニケーション能力が大切で、そうした能力を培うことが教育の目的…というのが大まかな議論の流れかな?

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    2023年06月18日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    コロナ禍をテーマにした、識者たちの短いインタビュー記事が集められたものだが、人間の生死について、人間どうしの関係性について、また経済について(これに関しては私自身の基礎知識がなく、よくわからなかったが…)など、コロナ禍に限らず、人間社会が抱える普遍的で本質的な事柄が多岐にわたって言及されていた。
    色々なるほどと思う言葉に出会ったが、特に、世界的な傾向にある「分断」が抱える問題について、アメリカ人経済学者の言葉が腑に落ちた。彼は、それは誰か一人の責任ではなく「差異を超えて互いに話し合うことを妨げている深い分断そのもの」が問題であると語った。特定の人物に責任を転嫁させるような報道に違和感があったが

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    2023年05月26日