東浩紀のレビュー一覧

  • ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

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     ポストモダン下では大きな物語は衰退し、データベース消費に基づいた小さな物語が多発し、また消費者はそれを受け入れている。ラノベや小説、ゲームの中に存在する一貫した部分を著者は見出しているし、実際説得力がある。作品を作る側はもちろんひとりひとり違うし、個性が出てくるのは当然なんだけど、実はそのひとつひとつも大きな枠組みの中で見ればどれも一貫してゲーム的リアリズム性を持っている。環境分析的な視点はなるほどなーと思いました。

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    2011年02月12日
  • 父として考える

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     主としてコミュニケーション能力に起因する問題について議論が進められていき、エリート目線の宮台に東が疑問を提示する形でのやり取りなどは読み物としても非常に面白い。
     しかし、ちょうど同年代の幼い娘をもつ父親としては、まったりと子育てを語る第1章に惹かれる。
     実際に幼児を抱えて世界の見え方がガラリと変わってしまう体験をしている身として、ただ単純に共感しちゃうんだもの。
     子供を介しての地域ネットワークへの繋がりとか、ショッピングモールなどに対する見方とか。
     この感覚はおそらく子供のいない方には理解不能なものだろうし、逆にもっと子供が大きく成長してる親御さんにとっては「はぁ?」というものであろ

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    2011年02月10日
  • ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

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    常に多様な物語の可能性を開いてしまうメタ物語的想像力の侵入により、「たった一つの終わり」を語ることが難しくなった時代におけるリアリズムとは一体どのようなものか。
    その可能性の一端を垣間見せてくれる一冊。

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    2010年10月31日
  • 父として考える

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    頭の悪い私は途中から議論についていけなくなった…(涙目)

    そんな身分でレビューを記すのはあれなので、備忘録的に自分が思ったことを記しておく。

    自分は「親」でありたい。
    親になれば、子どもの存在が故に、
    地域その他色々なコミュニティに否応がなしに関与することになる。
    この本でいうところの「グルーブワーク能力」が求められる。

    人ってのは色んな顔を持っている存在であって、各コミュニティで担う役割も違ってくる。
    また、全ての役割を担うこともできないから、相互のコミュニケーションで扶助し合うことになる。

    「親」とはそれを実践する存在であって、その背中を見て、というか真似して育つ。
    そんな親子関係

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    2010年09月28日
  • 父として考える

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    小難しい記述が多々あるが、お二人の間の年齢で、子どもが同じ年代と言うこともあり、
    書いてある内容については、同意できるものが、たくさんあった。

    自分がなんとなく思っていたことが、文字となって書かれていて
    自分と同じ考えの人が知識人にいると言うことが分かり、勇気をもらった気がした。

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    2010年09月28日
  • ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

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    前半ではラノベを社会学的・文学的見地から紐解いていく。後半はゲーム的リアリズムというアプローチから展開される個別の作品論。個人的には本書の主題だと思われるゲーム的リアリズムの話題に入る前のポストモダン論のほうがとても興味深く読めた。ゲーム的世界観から現実を描く手法なんかはオタクやってれば体感的に気付いてることだしね。前半部分はラノベ的なものを好きな人・懐疑的な人、書いている人・書きたい人は、若干難しいかもしれないけどぜひ読んでほしい。

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    2010年07月13日
  • リアルのゆくえ おたく/オタクはどう生きるか

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    東浩紀が大塚英志に絡まれ続ける対談集。もの凄く息苦しくなるのは,過去に大塚英志にダメ出しされた経験故だろうか(爆)東浩紀の忍耐力には感服します。いたたまれない気分を殺して読み進めると,第3章あたりでモダンを信じる大塚英志とポストモダンを堅持する東浩紀の対比がぱっと頭に浮かんで来て,ああ,対話って重要だねと思った。どっちの言うことも分かると思ってしまう自分はどこに居るのか?ポストモダンとモダンの対話からポスト・ポストモダンを考えさせられる。

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    2009年10月07日
  • リアルのゆくえ おたく/オタクはどう生きるか

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    為政が見えにくくシステム化していく社会にあってなおも為政する側の主体の存在を疑い、また、社会に関わるための「主体のあるべき」を議論しようという大塚氏と、まずは主体を切り離した中から見えてくる世界像を考察しようという東氏の、立脚点の差異に最初から最後まで互いが歩み寄らず、話が噛み合わない。が、現在の社会の状況についての洞察には両者ともに肯けるところが多く、両者ともに基本的に相手の考察を認め合っているので、「その噛み合わないところはいいから話を進めてくれ」と思うことはあっても、対談そのものが破綻しているというわけではない。どちらのとらえ方をするのかで、どちらがどういうものが見えてきて、どういうもの

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    2011年08月31日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    「大きな物語」「小さな物語」「大きな悲物語」「データベース」「シミュラークル」、様々な言葉で当時の文化を言い換えて、思考遊戯をしている、そういった本。
     2025年の現在においては、今を読み解くためのツールとしての意味は当然のことながら喪失していて、今も活動されている著者の思索の源泉を読み解くための原典、という立ち位置だと思う。
     2001年の発刊当初に出会っていれば、また全然違った感想になっただろうな。

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    2025年12月06日
  • 訂正する力

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    著者の訂正する力の定義。
    過去との一貫性を主張しながら過去の解釈を変え、現実に合わせて変化する力の事。
    自分の形を変えて行く力。
    繋ぎ直す力。

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    2025年11月26日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    國分功一郎『暇と退屈の倫理学』の注でも紹介されている本書。初版は2001年なので、もはや23年前の本になるが、今年は東浩紀氏の本をたくさん読んでみたいと思っているので、彼の思考を辿る意味でも読んでみることに。

    本書はオタク分析からアプローチしているので、サブカルチャーやアニメ、プログラミングなどオタクの世界の読み解きについていくのは正直大変。
    したがって、一度全体を読んでから哲学的な考察を拾いながら振り返った。

    『暇と退屈の倫理学』でも「動物になること」はキーワードとして出てきているが、改めて「動物化とはどういう状態か」に注目。

    本書はアレクサンドル・コジェーブの考え方を参考にしていて、

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    2025年11月24日
  • 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

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    いつだか積読に入れていた本。さすがに読むのが遅すぎたか。
    ミクシィやUstreamやニコニコ動画といった懐かしい単語がちらほら。

    ルソーの社会契約論に着想を得て、オンライン上のデータから得られる人々の意思を「一般意志2.0」と呼ぶ。
    「熟議型」の政治だけではなく、人々が日常的に発信している情報(欲望)を掬い上げ、政策的な指標にしようとする提案だと理解した。

    エッセイだからか、自分の教養不足のせいか、寄り道と蛇足が多いと感じる。
    5章から12章を中心にコンパクトにして新書サイズにしてもらえるとありがたいのだが。

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    2025年11月23日
  • 訂正する力

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    東浩紀の本は「動物化するポストモダン」「一般意志2.0」「弱いつながり」「ゲンロン戦記」など面白く読んでいて、今回久々に手にとった本。新書なので内容は入門編で、わかりやすい語り口。語り下ろしなので余計にスラスラと読める。訂正力高めていきましょう。

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    2025年11月17日
  • ゲンロン18

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    「反時代的なブックガイド」が実に面白い。
    熱狂=政治から距離を取るために、手に取りたい。
    特に「風と共に去りぬ」「大いなる遺産」「細雪」あたり。

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    2025年11月06日
  • 訂正する力

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    変化が激しく、ちょっと目を離すと善悪が反転していく世の中で、矛盾なく生きていくことは不可能でそのために訂正し続ける力が必要となる。といった表面的な題材は分かったが、中身が難しすぎて、本質は理解できていないと思う。また、いろんな本を読んで再読したい。

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    2025年09月15日
  • ゆるく考える

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    最近の糸井重里さんとの対談が面白くて拝読しました。そうだな、と思うところもありましたが、ほとんどは自分の人生と交わらなさそうな言説でした。批評とはそういうものなのだろうか。

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    2025年09月13日
  • 訂正する力

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    2025/08/9
    第二章 じつは‥‥‥だったのダイナミズム が良かった。未来の可能性は過去の訂正によって開かれる。文系不要論に悲しくなることがあったが、東さんの言葉に少し安心した。

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    2025年08月09日
  • 訂正可能性の哲学

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    正しさが求められる現代社会における誤りを見直し、訂正することの重要性を説いている。プラトン、ウィトゲンシュタイン、ルソー、フーリエ、エマニュエル・トッド、ドストエフスキー、アーレント等の歴史上の哲学者・思想家を批判しつつ、そこに訂正可能性の考えを加えると…を論じている。特にルソーはコミュ障とか言ってることが人生の各フェーズで変わるとか「告白」についてとか結構ディスっている。ユヴァル・ノア・ハラリ、落合陽一、成田悠輔らの言説を「人工知能民主主義」として、AIで正解を出して、不正解を排除する思想社会の危険性に警鐘を鳴らしている。とはいえ、やはりあくまで批評家であり、AI関連技術への解像度は低いよう

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    2025年07月28日
  • 日本の歪み

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    明治維新、戦後の日本の歪み・矛盾について鼎談という形で3人で掘り下げている。言葉の曖昧さと、言葉の解釈の話が多かった。日本あるある、日本人の傾向みたいな話がよく書かれていて面白い。
    憲法に限る話ではないが、言葉と現実が1対1で対応することはなく、いかようにも解釈できるという話が印象に残った。
    養老先生は達観されていて、まあ自然にゆだねるしかないし、起きた事象も自然現象にすぎないよね、という考え方で、むしろZ世代のような現代的な若者の考え方に近いような、年齢が離れているのに一巡りしている感じがしていて面白かった。

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    2025年06月22日
  • 訂正する力

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    現代日本に必要なのは、一貫性をもちながら変わっていくこと。これを「訂正する力」と名付けて、色々と論じた本。1章は現代日本の問題点をうまく言語化していて良かった。でも、2章以降は観念的な話になっていって、イマイチよく分からなかった。

    第1章で、日本で訂正する力が働かないのは、「ぶれないこと」をアイデンティティにしている勢力がいて、議論が硬直し、社会の停滞を招いているから。その背景は、日本人は対話において信頼関係を築く訓練を受けておらず、いたずらに意見を変えると攻撃の対象になるかもしれないという不安を強く抱えているから。
    これは現代日本SNSの状況なんかを、よく現している気がする。

    でも、それ

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    2025年06月14日