東浩紀のレビュー一覧

  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    東浩紀の思想を象徴するかのような一冊。大きな物語から、小分けにしてソフト販売していくというような発送は、非常によく分かる。世のコンテンツは、機能・仕様と共に、その物語が付随する。例えば、誰が、どれだけ苦労して作ったか。作品そのものと同じ位、そうした背景が重視される。しかし、本著はもう少しコンパクトな内容にできたのかな、と思う。

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    2021年07月13日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

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    ☑︎会社の本体はむしろ事務にある
    ☑︎いっけん本質的でないことこそ本質的
    ☑︎知る→考える→わかる→考える→動かす

    会社経営は一筋縄ではいかないということを学びました!

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    2021年03月05日
  • 戦争する国の道徳 安保・沖縄・福島

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    かつて厳しく対立しあった過去をもちながら、その後急接近することになった小林よしのりと宮台真司の二人に、司会役の東浩紀を加えた三者が、現代の日本が直面する諸問題について論じあった鼎談です。

    小林は、『ゴーマニズム宣言』シリーズで「サヨク」を批判し「保守」の立場を標榜してきました。他方宮台は、右翼を主意主義、左翼を主知主義とみなしています。そのうえで、カール・ポパーのピースミール社会工学のような漸進主義を評価し、たうえで、「ネトウヨ」が「知性の劣化」ではなく「感情の劣化」として位置づけることで、小林の立場に歩み寄りを見せています。こうした漸進主義には同意をおぼえますが、日本のポパリアンである鶴見

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    2021年03月05日
  • ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

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    「動物化するポストモダン」の続編にあたる本書は、さらにライトノベル、そして美少女ゲームにまで範囲を広げ、オタク文化を考察している。
    しかしこれまでサブカルチャーとされてきたアニメやゲームの世界が、最早マスカルチャーになったと言っていい状況は、どのように分析をするのかさらなる続編が期待される。

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    2020年11月10日
  • 父として考える

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    東と北田暁大が編集を担当している『思想地図』(NHK出版)に収録された対談に、あらたにおこなわれた対談を増補した本です。

    最初のほうでは、ともに幼い娘をさずかった両者が、それぞれの子育てにおける体験などを語りあっていますが、しだいに日本社会の現状を批判し、あるべき共同体のかたちについての議論へとシフトしていきます。ただし、基本的には宮台が議論をリードしており、『一般意志2.0―ルソー、フロイト、グーグル』(講談社文庫)で社会思想を展開した東は、最初のほうでショッピング・モールの意義についてすこし独自の見解を語っているほかには、あまり踏み込んだ議論を展開していません。

    宮台の議論は、「コミュ

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    2019年09月18日
  • リアルのゆくえ おたく/オタクはどう生きるか

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    2019.9.9
    今更ながら読むが、現在でも有用な話なんじゃないかしら。僕自身が会社勤めをしつつも社会から隔絶して生きているので(消費者としては繋がっているが)、この10年の両氏の仕事ぶりなどはわからないが、十年前の現実も現状とさほど変わりない。むしろ体感としては問題は尖鋭化してるんじゃないのかなー。
    2人の会話が噛み合わないのはお互い倫理について話ているからだろう。

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    2019年09月10日
  • ゲンロン0 観光客の哲学

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    朝日新聞が発表した平成の30冊で何と4位に選ばれた著書。読んでみたが、以下の下り以外は、教養のない自分にはまったく意味が分からなかった。

     けれども、その起源がギリシア哲学に遡ることからわかるように、最善説の本質は、神の有無以前に、ぼくたちが生きるいまここのこの現実、その唯一性や一回性に対する態度にあるからである。最善説の支持者はこの現実に「まちがい」はないと考える。すべての苦しみや悲しみに意味があると考える。批判者はそうではないと考える。なんの意味もなく、無駄に苦しめられ殺されるひともいると考える。重要なのはその対立である。


     したがって、その訪問権の概念の射程は、国家意志と結びつく外

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    2019年03月23日
  • ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

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    「物語は何処に行ったのか?」

    ライトノベルや美少女ゲームを通じてオタクとこの社会との関係性を見ていく。

    大きな物語が力を失うなかで、文学の一つの可能性としてのライトノベル。コミュニケーションの効率化としてのキャラクターを使った伝達。

    第一章は 理論 第二章は 作品論

    ライトノベル→キャラクター小説

    ライトノベルというものが市場の中でも大きなインパクトを持ち出してきている昨今、文学というものを考える上でも無視できない。また普通の文学小説とライトノベルの境界にあるような小説も最近では見られる。

    そういったものを考えていくうえで一つ参考になる論考であろう。

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    2018年10月09日
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅

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    思想家・東浩紀氏が旅についてとインターネットの検索ワードについての思索を交差させて書いたエッセイです。ネット社会と呼ばれる現代において検索ワードを考えて情報を得ることが自らの世界観を構築するうえで重要な要因といえます。しかし、普段と変わらぬ日常に身を置いていると検索ワードは凡庸になりがちです。そこで旅をして自身を普段と異なる環境を置くことで新たな着想を得、今までになかった世界観を見出すことができるとしています。また、言葉によって世界観は支配されていますが、現物を見聞きして得られるものは言葉以上のちからがあり、言葉重視からモノ重視へとシフトすべきという持論を展開しています。平易な文章で読みやすか

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    2018年09月22日
  • ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

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    インパク知5・5
    かかった時間180分くらい

    『動物化するポストモダン』の続編。前著?がオタク文化の分析を通じてなされた社会批評だとすると、本作はオタク文化の分析を通じてなされた文学(可能性)批評だという。

    大きな物語を喪失した私たちは、等価値的な、すなわち多様性が認められるかわりにとことん無価値的にも思える生を生きている。「ゲーム的小説」は、そんな時代を反映する、リセット可能で攻略対象化されたいくつもの現実と向き合う(または向き合わない)プレイヤー的登場人物と、リセット可能で攻略対象化されたいくつもの虚構と向き合う(または向き合わない)読書の関係が重ね合わされて描かれている「文学」だとい

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    2018年07月24日
  • 現代日本の批評 2001-2016

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    2000年代以降の批評空間を斜めに切った感じ。東浩紀の立ち位置が今まで以上によくわかった。浅田、中沢、柄谷、蓮見、宮台、東。大体こんなかんじでしょ。

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    2018年05月24日
  • ゲンロン0 観光客の哲学

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    大衆社会の実現と動物的消費者の出現を「人間ではないもの」の到来と位置付け否定しようとした20世紀哲学。大衆であり労働者であり消費者たる観光客は、公共的役割を担わず歴史にも政治にも関わらず、国境を無視して惑星上を飛び回る、人文思想のまさに敵。

    ことばの定義、文脈における用途からしっかり理解していかないと読めない難しさがありますが、何十年もかけて考え続けた結果でありプロセスなのですから、面白くて当然なのです。

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    2018年04月09日
  • ゲンロン0 観光客の哲学

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    ネタバレ

    誤配に期待するしかないと。他者への寛容を支える哲学が家族的類似性と誤配くらいしかない、というのだが。偶然で生まれて必然の存在へと変わっていくことを家族としてとらえることに一人の母親として強烈な違和感を覚えるが、それが説明できるまでには相当かかりそうな気がする。

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    2018年01月16日
  • ゲンロン0 観光客の哲学

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    現代社会の整理、否定神学的マルチチュード、すなわちチープで一過性の動員。これを刷新するための郵便的マルチチュードという概念の立ち上げ、その主体たる観光客を支える倫理としての家族、不気味なもの、そしてドストエフスキー。
    革新的な思想というには早計ではあるが、真面目な政治の外部にテロリズムがあり、それは不真面目なものであるから政治では対応出来ない。
    政治は真面目と不真面目を分割するが、文学はその分割を必要としない。
    それが終章への韻律と、行間に感情を埋め込む筆跡、そして象徴的な締めくくりを迎え、理路整然とした整理から零れ落ちる感情へと人を移行させる。

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    2017年11月15日
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅

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    入門書。安いし読みやすい。観光客という主体に関しては、こちらの方を参照必須。既存の価値観に捉われない疎外から回復された人間像、ここまでは交通に着目した柄谷行人と同様。しかし、それを旅人と呼び、場にも根ざして生きるというのが柄谷行人から先へと進もうとする東浩紀の決定的な思想。
    ともに外国を旅する家族が、その示唆を与えたのは明白だろう。

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    2017年11月15日
  • ゲンロン0 観光客の哲学

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    レビューに惹かれて読んでみたが、私には少々難解で完読できなかった。。。観光客と言う存在をを様々な形態に当てはめて表現する手法は面白いと思うが、そこに至るまでの過程が読んでいて少々面倒で、私には合わなかった。

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    2017年10月23日
  • 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

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    ウェブ上で提供されるさまざまなサーヴィスによって人々の「動物的」な欲望が可視化され、「データベース」として利用しうるようになった現代社会の状況を踏まえ、それをルソーが説いた「一般意志」という謎めいた概念の現代的な解釈として捉えなおすことで、新たな民主主義の可能性を論じる試みです。

    「文庫版あとがき」で明確に述べられているように著者は、大衆の欲望がそのまま実現されるべきだと主張しているのではありません。著者がめざしているのは、カントやヘーゲルの倫理学や、現代のアレントやハーバーマスの政治哲学が、理性に基づく公共性に高い価値を置いていることを批判しつつ、彼らの主張するような「熟議」が対峙するべき

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    2017年09月07日
  • ゲンロン0 観光客の哲学

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    ネタバレ

    「観光客」という共同体や民族を越境する者(越境者)が、また人間の「観光客」的な在り方がこの先の世界を動かす(ひいては世界平和を実現する)?
    そんな刺激的な問いを哲学的なアプローチで描いている本著。

    盛りだくさんすぎて正直1回読んだだけでは私には処理しきれない・・!
    でも面白いと感じる部分がたくさんあった。
    著者はそのような読み方を望まないだろうけど、哲学(とその歴史)に興味を持つとっかかりとして手に取るのも面白いかも。

    しかし高校の歴史や道徳、大学の文化論で登場した哲学者や文学者の名前がたくさん出てくる。
    当時は興味を引かれなかったけど、思想を引用されるとみんな面白いことを考えてたんだなあ

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    2017年08月03日
  • ゲンロン0 観光客の哲学

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    冒頭で、えらく古い易経において、「観光」の語が「国」という語とセットになった一文に発現したらしきことに触れつつ、すぐさま見切られ、西欧のツーリズムの方へと心移りがなされている。本書の全体の視野の広がりからすれば、ささいな見切りであるともいえるが、果たして「観」や「光」という漢の字が、本書で語られるテーマにまるかぶりする意味はなかったのだろうか。
    ところどころで触れられているが、近代ツーリズム(*02)における「観」ること、視覚の優位は何を意味していたのだろうか、アーリの「観光のまなざし」の主構成はこの視覚の問題が根幹に据えられている。
    また、「光」は、風光と熟され、その風光は風景とほ

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    2017年05月20日
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅

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    検索キーワードは自分の中にある探したい欲望からでしか出てこないため、無限に知・視野を広げられるというのは誤解である、という訴えを主にしている。

    そこで著者が進めるのは旅。
    旅に出てこそ、普段の自分が巡り会わないキーワードを探し当てることになり、Googleの予測キーワードの予測を越えたキーワードにたどり着ける。これがAIを越えるということにもなる。

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    2016年11月13日