東浩紀のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
大まかに前半が理論的な内容で、ゲーム的リアリズム自然主義的な読解に対する環境分析的な読解等が説明される。後半が環境分析的な読解による具体的な作品批評、という構成。
後半により、かなりクリアに色々理解できた気がする。俺はこの本で主に取り上げられている類の小説、ラノベとか舞城王太郎は殆ど読んでなくて、数少ない接点である例えば西尾維新原作の漫画とかは何となく圧倒される感じだったけども、なんかその圧倒される理由の構造的な部分が理解できた。
この本が書かれた2007年は、ゲーム的リアリズムは虚構の世界に軸足があったように思えるけども、現在(2018年)は現実がかなりゲーム的になってきていて、現実が糞ゲ -
Posted by ブクログ
インパク知 6・7
自分たちだけの閉じられた世界(想像界)と、それを破壊するどうしようもない力(現実界)が短絡し、社会や政治など、本来であればふたつをつなぐもの(象徴界)への言及がない――「涼宮ハルヒ」などに代表される「セカイ系」の作品が抱える、「社会とのつながりのなさ」に、作家はどのように対抗しているのか、という考察。
新井素子の「家族」、法月綸太郎の「恋愛」、押井守の「ループ」、そして、小松左京の「未来」について、それぞれの章で考察を加えている。
本書においては、「セカイ系」の解決策は、「自分を(何らかの形で)未来につなぐこと」であると述べられていたように思う。四人の作家の作品への愛 -
Posted by ブクログ
"Author mentioned that we were separated in globalism - Libertarian - and nationalism - Communitarianism, and we lost concrete ties in our world. However the miss-delivery which is indicated in this book as "Tourist Philosophy" will be able to re-connect the separated world."
・後 -
Posted by ブクログ
ネタバレ批評が忘れ去られようとしている世の中で、その忘れ去られようとしている過程を年代ごとに紐解いていき、悲観論で終わるわけでなく、時代の空気と格闘し、「観客=外部のアイデンティティ」の復興を模索する。まさに文中で東さんも述べている通り、スポーツと同じ構造だと思った。当事者性ばかりがクローズアップされるが、周囲にはプロになりたい人、アマチュアリズムでも持続する人(趣味の人とも言える)、熱狂的なファン、テレビなどでそれなりに楽しむ観客まで、さまざまな階層の人が世界を形成している。そういう息の長い哲学・理論で思考すること。それはどの世界に生きていても必要な事だと思う。教育の重要性、関わりの多様性、異質なも
-
Posted by ブクログ
東浩紀は『弱いつながり』以来2冊目だったので、弱い~の続編的な目線で読んだ。2017年の人文書としてはかなり読まれた1冊で、目を通してみると著者の熱量がうかがえる。わかりやすく丁寧な文体で書かれながらも、今の時代を憂い行動を起こそうというような焦りを感じる。これがゲンロンカフェなどを精力的に展開しようとする東の原動力であるかと思うと、納得がいく。言論人として、批評家としての世界とのかかわり方。こうした人と人の撹拌の意図は本書でいう「誤配」だろう。
本書のテーマは「観光客」。国民ではなく、旅人でもなく、観光客。国民国家と帝国という今までの社会論では二項対立的に語られていた概念が、政治と経済、コ -
Posted by ブクログ
ゲンロン0 観光客の哲学 東浩紀 genron
読み始めは屁理屈かと思いきや 終わりに近づくほど面白くなる
始めの内は進まず何度かバカバカしくなりながらの
二章の終わり頃までの感想は
混沌の中のリアリティーと言うプロセスを明確に見せてくれる内容であった
哲学が根源性を追求するものだとすればこの物語は
才走って道草を食っている状態にあるように見える
それは過去に根ざす縄張りの穏便な安全地帯から
覗き趣味の気晴らしをしている観光で
平和を良しとして求める第三者のナンセンスを
教えてくれる反面教師のようである
観光は時の流れの中で今を捉えながら
出合いの選択をし続ける冒険の旅と比べると程遠い
覗 -
Posted by ブクログ
ネタバレ政治に他者に関わることなく引きこもって自らの欲求を追求して暮らすことが可能な動物の時代。神も国家もアイデンティティの拠り所として機能せず、グローバルリズムを否定するためにテロリストでさえふわふわした浅薄な理由で(動画を見て)生まれる。テクノロジーとグローバル化により均質になっていく世界で、数々の哲学者の論説をひもときながら人はどうあるべきか模索する。
本来は世界市民となるはずだった現代人はリベラリズムに疲れはて、リバタリアニズムとコミュニタリアニズムに分裂している。グローバリズム(経済的利益、肉体関係)はナショナリズム(政治、恋愛関係)を取り残したまま歪な秩序として浸透したのだ。SNSやLG -
Posted by ブクログ
本のタイトルにあるように、日本に今後戦後80年は
くるのかという議題で、現政権を中心に批判する
下記の講義集
内田樹氏ー比較敗戦論
東浩紀-本と新聞と大学は生き残れるか
木村草太-集団的自衛権問題とはなんだったのか
山室信一-戦後が戦前に転じるとき
上野千鶴子-戦後日本の下半身
河村小百合-この国の財政・経済のこれから
姜尚中-総括講演
このなかでも、山室信一氏、上野千鶴子氏、河村小百合氏の
3本がとても興味を引きました。
どれも、日本が破綻し、または戦争の道に進むのでは
ないかという潜在的な恐れを感じる内容です。
支持率は高いですが、本当に今の政権でいいのでしょうか?
他人事ではないような