東浩紀のレビュー一覧

  • 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

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    面白い。
    わりと論旨はわかりやすくて、ルソーが昔語ったようわからんものだった「一般意志」は、現代のICT革命を経て可視化された。それを政治に活かしていったら面白いんちゃうん?て感じかな。
    ルソーの一般意志って「人間は真理に自然とたどり着ける」みたいな人間への信頼感が根底にはあると思ってて、2.0ではその人間観はどうかなぁと思ったら、全然変わってないように見える。うーんどうなんだ。なんて読み進めたら、2.0はあくまでカウンターパートとして使うべき。みたいにあって。バランス感覚があるなぁ。なんて思ったけどそれって本末転倒というか、思想の鋭さが鈍った感じもする。そこから先の章は正直紙幅も足りてないし

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    2016年07月10日
  • 戦争する国の道徳 安保・沖縄・福島

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    感情と論理は、対になる概念なのだろうか。
    「感情的にならず論理的になれ」とか。「お前は理屈っぽい人間だから人の感情が理解できないんだ」とか(これはあまりにも暴論か)。
    感情と論理を対概念として、オルタナティブの様に扱う人は多い。

    しかし、本書はそれを否定する。感情は論理を規程しうる、ということからもわかるように、感情と論理は「あちらが立てばこちらが立たぬ」式の二者択一ではない。

    宮台によれば、いわゆる「ネトウヨ」や「ブサヨ」が台頭している背景にあるのは、「感情の劣化」だ。
    知性とは態度であり、したがって論理的思考力などの知的能力によって規程される類のモノではない。問題はむしろ思考を方向づけ

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    2016年06月06日
  • 戦争する国の道徳 安保・沖縄・福島

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    ネタバレ

    哲学は観光に似ている。
    いい意味での無責任さと軽薄さ。

    読書もそんなものじゃないだろうか。
    有限の時間に対しての情報量の多さが、暇の過ごし方に対する自由を奪っている気もする。

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    2016年02月09日
  • ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

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    オタク論でありポストモダン論であり文学論。
    ラノベにも美少女ゲームにも触れたことのない人にとっては理解しにくいかもしれない。そういう人でも理解しやすいように本文中で詳しく説明されているが、やっぱり実感としてわかるかどうかは大きな違いだろう。

    本書は2007年に出版されたが、2016年現在、ここで予言されていた新たな文学のあり方が当時よりも顕在化、加速化している気がする。メタ物語的な想像力に支えられた物語、読者を物語の中に参加させる手法は今や定番でありふれたものだし、当時よりもずっと、物語外の世界の権力は物語そのものを押しのけて肥大している。
    物語外の世界(読者/消費者/プレイヤー)に重心を置

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    2016年02月05日
  • 郵便的不安たちβ

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    日本のポストモダニズム潮流を分析してるのだが、そのときにアカデミズム=権力への意志の不在が前提された上で分析が進められている点が気になる。そのアカデミズムの不在が、どういう効果を生んでいるかってことも分析されないとポストモダニズムとかポストモダンのほんとの重要性ってわからないと思う。

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    2015年12月10日
  • 戦争する国の道徳 安保・沖縄・福島

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    「感情の劣化」、確かにその通りやと思いました。

    東さんが書かれてるように、小林さんと宮台さんの意見がすごく一致してる状況は喜んでいる場合じゃない。
    それだけ社会がヤバくなってると捉えないといけないのもよくわかった。

    面白い対談になってます。

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    2015年12月05日
  • 戦争する国の道徳 安保・沖縄・福島

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    たちまち理解できないほど小林氏と宮台氏の深い知識・経験と洞察による非常に感銘を受けた鼎談集である。特に宮台氏の発言については再読した上でより深く理解していきたい。

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    2015年11月13日
  • リアルのゆくえ おたく/オタクはどう生きるか

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    大塚英志と東浩紀が、四回にわたっておこなった対談の記録です。第一回は2001年、第二回は2002年で、東が『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)の頃の東が、『物語消費論』の大塚英志と、サブカルチャー批評について議論を交わしています。

    第三回は2007年で、今度は東が『ゲーム的リアリズムの誕生』(講談社現代新書)を刊行した後の対談です。そして2008年におこなわれた第四回は、秋葉原連続殺傷事件の直後の対談になっています。

    対談を通して、大塚は愚直なほどにおなじ問いかけを東に向けています。彼が問うているのは、「公」のことばをもう一度立ちあげなければならないという義務感であり、そうしたこと

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    2015年09月01日
  • 社会不満足 ―乙武洋匡 対談

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    世の中には理不尽なこと、解決すべき問題があまりにもたくさんある。
    この本に出てくる8人➕乙武さんは、それを重々承知の上で尚『自分には何ができるか?』を日々考え、模索しているのだろう。
    まずは現実を知ること。その上で社会の一員として何ができるのか?そんな事を考えさせられた。

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    2015年08月22日
  • 社会不満足 ―乙武洋匡 対談

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    小室さんの夫の家事を見守るくだりとか、堀潤の退職話とか面白くてニヤけたwチェルノブイリ観光の話はなかなか衝撃。知らなかった。

    対談という形でゲストの話がメインだけど、乙武さんのまとめ方や話の持っていき方、切り込み方や引き出し方など対話力が上手いって思った。

    いろんな視点を見ることができて良かった。

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    2015年03月27日
  • 社会不満足 ―乙武洋匡 対談

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    様々な分野で草の根運動を展開している人との対談。
    すごいなあとは思うけど、全部に共感できるわけではない。
    でも、それでいいんだ、ということをこの本は教えてくれた。
    相手を、別の考えを理解する。共感しなくていい。これが大事で、最も大切で、忘れられがち。
    触発された。

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    2015年03月21日
  • 社会不満足 ―乙武洋匡 対談

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    共感しないけど、理解し尊重する。というスタンスを私も是非身につけたい。

    世の中の不満足に対して、文句を言うだけではなく、他人任せではなく、出来ることを実行している人たちとその発想を分かりやすく紹介。
    どれも掘り下げて調べてみたいと思う内容。

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    2015年01月04日
  • 父として考える

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    面白かった、といえるほど読みこなせた訳ではない。が、二人が自らの育児から離れて、社会システムや現代若者論に脱線していくさまが面白かった。結局は、「人を幸せにできる人」に導くこと。当たり前で一番難しい、それが父としてやるべきこと。今を生きる子供たちに。ありがとう。

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    2014年11月03日
  • 父として考える

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    再読。この対談は『東京から考える』くらい好きだ。まえがきにもあるように、戸惑いに満ちている気がする。父として、父になれない者として、父になってしまった者としての。時折見える説明原理(独身者に対する子育て支援のロジックとか)について、宮台さんよりあずまんの方が正しかったんだということが、今読み返せばわかる。

    時代は自分と直接関係のない(ないはずないんだけど、ほんとは)人間に対して、「そんな人間知るか!」「嫌いだ!」「俺のほうが大変だ」「あたしのほうがえらい」……の合唱になっている気がして、息が苦しい。
    『ウェブ社会の思想』の脚注にも通じる話だけど。

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    2014年06月26日
  • セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題

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    現実から眼を背けていることを社会の欠落 象徴界の欠落としてつまりセカイ系的なものとして語る 宇野常寛『ゼロ年代の想像力』の影響がある ココで語るのはセカイ系の困難 つまり家族を作ることからはじまりマザコンを乗り越えることにアンサーを出す 自立して結婚し子供を設けたりすること等で現実に眼を向けることを促そうとしている 象徴界(社会)の克服がキーワードである

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    2014年07月15日
  • セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題

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    小説を読む時に、物語の「構成」はちょくちょく気にしながら読んでいますが、小説の「構造」を意識したことは余りありませんでした。なんていうと言葉遊びのようですが、本書を読み終えて思った率直な感慨です。

    普段、文芸評論はほとんど読まず、フィクションの海を漂うに任せていることばかりのワシですが、本書は「セカイ系」の世界へと誘う巻頭言から引き込まれました。セカイ系……ワシの中では「最終兵器彼女」あたりから意識し始めた単語・概念でしたが、そこに至る様々な文学史的経緯があった、しかもそれを著者なりの切り口で深掘りし、強い説得力でもって解説してくれます。

    しかしその解説も、全然小難しくはない。丁寧な説明、

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    2014年03月29日
  • セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題

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    まず本題とは別に東浩紀は作品をおもしろそうに紹介するなぁと思った
    ここに出てきた4人の作品はどれも読んだことなかったけれどすごく読みたくなった
    ひとつ気になったのはやはり押井守が出てきた点
    前置きされていたとはいえ違和感は残った
    『ゲーム的リアリズムの誕生』と比較して『all you need is kill』と「スカイ・クロラ」がとても似てるように感じた
    だからこそ何故桜坂では駄目だったのかを考えるためにもう一度読みたい

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    2014年03月15日
  • セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題

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    思いのほか、とても読みやすかった。文芸批評では取り上げられることのない、新井素子、法月綸太郎、押井守、小松左京の4名の作家から、閉塞したセカイ系をどう突破しようとしたか、が語られる。押井守の映画は何作品か見ていた他、法月綸太郎の本はほとんど読んでいたが、その他2名の作家はあまり読んでいない。それでもとても分かりやすい。
    法月綸太郎は、正統派本格ミステリであるようでいて、変格でもある。一時期までは主人公がよく悩んでおり、そこに共感していた(あんまり悩まなくなった近作は、作品としてのパワーも落ちてきたように思える)。が、セカイ系と恋愛の問題、として読み解くことができるとは全く思わなかった。

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    2014年01月05日
  • セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題

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    新井素子と法月綸太郞と押井守と小松左京の作品を使ってセカイ系の困難と呼ばれる問題の解決を考える。
    押井守以外は実は読んだことないし、押井作品もそんなに熱心に見ていない、けれど、面白かった。
    面白かったというか、4章の途中までなるほど、と思いつつ、なんか現実に目を向けよう的な話になるのかな、と思いつつ、なんだか最後の最後に何かとんでもないことが起きたような気がするのだけれど、その部分がどうにも理解を超えているようで、まだ咀嚼出来ていない、ので、もう一度読まねば。
    とてもとても読みやすい本だった。

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    2013年12月17日
  • セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題

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    ネタバレ

    面白かった。ボクはラノベもミステリーもほとんど読まないので、実感として東さんのいうことはわからないし、押井守にもハマらなかったけれど、ポストモダンとセカイ系の危機、その時代における小説の役割をわかりやすく説明してくれている。僕らよりも若い世代の価値観の一端も垣間見えたような気がする。
     特に、押井守の物語のループ性は、細野晴臣が言っていた「世界は螺旋形をしている」と似ているなと思った。反復しながらズレていく世界の中で、自分の生の一回性をどのように価値付けていくのか、愛、家族、もうひとつの母性・・・ 難しいけれど、東さん自身は肯定的な未来を模索し、見出しているようにも思えた。

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    2013年12月16日